著者
柳原 崇男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_459-I_465, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
25
被引用文献数
8 12

高齢者の外出頻度は心身機能や社会活動性を包含した健康指標であるとも考えられている.つまり,健康指標として,外出頻度を交通施策等の評価にも応用できると考えられる.高齢化社会に向けては,交通施策等が健康維持や介護予防に寄与することを,実証的データにより立証していくことも重要となる.本研究では,外出頻度と移動手段,活動能力の関係を実証的データから検討し,今後の高齢者の介護予防や健康維持の観点から移動手段のあり方について考察する.その結果,外出頻度に最も影響を与えるのは,移動手段であり,特に「車(自分で運転)」であり,自分で運転しない場合は,年齢やIADL(手段的自立)が影響している.また,本調査地域においては,公共交通や家族送迎・タクシー等の交通手段は,外出頻度に影響を与えていないことがわかった.
著者
桑原 崇通 原 和生
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.119, no.7, pp.610-625, 2022-07-10 (Released:2022-07-11)
参考文献数
86

胆膵疾患は膵管癌や自己免疫性膵炎,胆管癌など多彩な疾患が存在し,その治療方針は異なる.人工知能(AI)アルゴリズムの1つであるdeep learningは,特徴量を抽出することなく直接画像を解析することが可能である.今回われわれはTORIPOD声明などを参考にAI文献の評価チェックリストを作成し,胆膵領域のAI文献を評価した.胆膵領域AIの報告は膵腫瘍・膵囊胞・膵炎診断や検出,予後予測や病理グレード予測など多岐にわたる報告を認めたが,evidenceが高い外的検証を行った報告は少なかった.AIを日常臨床で使用するために薬事承認が必要であるが,それを得るためには前向きに大規模な多施設データを収集する必要がある.
著者
大歳 英征 中原 崇 波多 悠輔 前田 達哉 小林 孝史
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2022-IOT-58, no.8, pp.1-8, 2022-07-05

SSHは,認証と暗号化の技術を用いて安全に遠隔サーバへのアクセス環境を提供し,UNIX 等の OS で広く用いられている.しかし,その目的がサーバへの直接的なシェル操作であることから,企業の機密情報などを狙う攻撃者からの標的となりやすい.日常的に SSH サーバのログを監視・分析することは,それらの脅威に対処することに有用であるが,監視・分析作業は管理者にとって労力がかかることである.そこで,本稿では,グラフ理論を用いた SSH サーバログの統合管理およびリアルタイムに可視化するシステムを提案する.
著者
堀江 憲吾 亀山 紘司 水谷 晃輔 菅原 崇 清家 健作 土屋 朋大 安田 満 横井 繁明 仲野 正博 出口 隆 酒々井 夏子 広瀬 善信
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 = Acta urologica Japonica (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.517-521, 2014-10

A 72-year-old Japanese man was referred to a hospital because of urinary retention. Digital rectal examination revealed a stony, hard nodule in the prostate. A high level of serum PSA was not detected. Prostatic biopsy was performed, and pathological examination indicated adenocarcinoma of the prostate. He was referred to our hospital for treatment. Imaging examinations revealed no metastases (T4N0M0), so we re-evaluated the biopsy specimens. Immunohistochemical examination revealed prostatic small cell carcinoma. His levels of neuron-specific enolase (NSE) and pro-gastrin-releasing peptide (Pro-GRP) were high. We treated him with combination chemotherapy comprising irinotecan and cisplatin, and the treatment waseffective. After four coursesof the chemotherapy, levelsof NSE and Pro-GRP had decreased, and the prostatic mass had decreased in size. Needle rebiopsy of the prostate demonstrated no evidence of malignancy. Adjuvant external beam radiation therapy wasals o performed. The patient iss till alive at 18 month after diagnosis with no evidence of relapse or metastasis of the disease.
著者
鈴木 舞音 上原 崇史 金子 洋平 堀 洋輔 馬場 隆彰 齋藤 孝道
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.767-774, 2014-10-15

ソフトウエアのメモリ破損脆弱性を悪用する攻撃,いわゆる,メモリ破損攻撃が次々と登場し問題となっている.メモリ破損攻撃とは,メモリ破損脆弱性のあるプログラムの制御フローを攻撃者の意図する動作に変えることである.一般的には,Buffer Overflow攻撃とも呼ばれている.OSやコンパイラでの防御・攻撃緩和機能が開発されてはいるが,それらを回避する更なる攻撃も登場している.そこで,本論文では,メモリ破損脆弱性の分類を行い,制御フローを不正に書き換えるまでの攻撃に関して調査し,分類する.
著者
市川 知春 武田 和大 原 崇
出版者
日本シミュレーション学会
雑誌
日本シミュレーション学会論文誌 (ISSN:18835031)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.83-91, 2021 (Released:2021-08-31)
参考文献数
10

インターネットショッピングのレビュー機能は,購入者が商品の感想や評価を記入できる機能である.購入希望者は商品レビューを読んで,事前に商品の情報を得ることができる.しかし,すべての購入者が注意深くレビューを書かないため,参考にならない商品レビューも存在する.本研究では機械学習を用いた自然言語処理にて商品レビューの解析,評価を行い,参考になる順番に並び替えを行うシステムを構築する.レビューの内容に登場する回数が多いものを学習素性とし,学習素性が商品レビューの内容に影響する重みを算出して,適切な重みを求めるように,ロジスティック回帰を用いて学習を行う.システムの評価には,クイックソートを利用した評価法であるQE法を提案する.QE法を使用することで,正しく並び替えができているかどうかの評価を行うことができた.実験の結果,提案するシステムは,高い精度で商品レビューの並び替えが行えることを確認できた.
著者
原 崇文 塚越 貴哉 谷口 峻 安島 俊幸
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.141, no.9, pp.709-717, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)
参考文献数
23

Permanent magnet synchronous motors (PMSMs) are widely used in various applications as high-power-density and highly efficient drive sources. However, a PMSM generates electromagnetic vibration because of the space and time harmonics. In this paper, we propose a synchronous PWM control method for shifting the carrier wave phase against the modulated wave. As the proposed control matches the ripple frequencies caused by the spatial and time harmonics, the ripple caused by the space harmonics is canceled by that caused by the time harmonics, with the phase shift of the carrier wave. The phase shift of the carrier wave is confirmed experimentally. In addition, it is experimentally verified that the vibration of the proposed method at a specific frequency is reduced by 46%@7,900r/min and 53%@19,500r/min.
著者
中作 勇介 松原 崇
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回全国大会(2021)
巻号頁・発行日
pp.2G4GS2f05, 2021 (Released:2021-06-14)

データごとに尤度を求めることができる深層生成モデルは,分布外検知の手法として多く用いられている.一方で深層生成モデルを分布外検知に利用する際,データによっては分布外データの尤度が分布内データの尤度より大きく推定されてしまうことがあるという問題が存在する.変分自己符号化器もこの問題を抱えた深層生成モデルの1つである.この問題を解決するために,本論文では変分自己符号化器において潜在変数の事前分布を変更することを提案する.通常の変分自己符号化器は潜在変数の事前分布を標準正規分布としている.これに対して提案手法では分布外データの潜在変数が原点付近に集まるという仮説を立て,原点付近の確率密度が低い事前分布を用いる.これによって分布外データに対する尤度が低くなり,結果として分布外検知の性能の向上が期待される.Fashion-MNISTとMNISTに対して実験を行い,既存の手法に比べて分布外検知における性能が向上することを示した.
著者
近藤 有 榊原 崇芳 加藤 潤 渡邊 雅史 西村 栄輝 實安 健市 下野 大貴 間瀬 悟 三宅 芳男
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.239-248, 2020-05-10 (Released:2021-05-10)
参考文献数
17

We developed a Markov model to evaluate the cost-effectiveness of nivolumab in patients with advanced or recurrent esophageal cancer receiving second-line treatment in Japan. We assessed an incremental cost-effective ratio (ICER) for nivolumab versus docetaxel from the health insurers' perspective. A threshold ICER was set at 7.5 million JPY. The ICER was calculated to be 12.45 million JPY per quality-adjusted life year, which was above the threshold. In a one-way sensitivity analysis, the results were most sensitive to the utility scores for nivolumab. If the cost of nivolumab per 240 mg could be reduced below 282,817 JPY or nivolumab could prolong the overall survival up to 4.1 months, the ICER fell below the threshold. The probabilistic sensitivity analysis revealed a 17.6% probability that nivolumab was cost-effective as compared to docetaxel. Our study suggests that nivolumab is not cost-effective in patients with advanced or recurrent esophageal cancer receiving second-line treatment as of this moment. Therefore, for future study, it is advisable to review drug prices and select patients who are expected to have high therapeutic effects.
著者
石井 成郎 鈴木 裕利 鈴木 滉人 澤野 弘明 伊藤 誠 原 崇
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

本研究ではオープンデータを検索対象とした、汎用的な想定外検索システムを構築した。想定外検索とは、利用者が欲しいと思っていた情報だけでなく、利用者があまり気付かないような関連情報を提供する検索のことを指す。たとえば、利用者が「ルシアン・フロイド」という人名を検索した場合に、ルシアン・フロイド自身に関するリソースだけでなく、リソースを分析することにより「人名」という事象に関連する「生誕地」、「最終学歴」と事象を導き出し、それらの事象に関してリソースを検索することにより、ルシアン・フロイドと生誕地が同じ画家の「ジョージ・クロス」やルシアン・フロイドと同じ学校を卒業した画家の「アレキサンダー・マックイーン」に関するリソースが提供されるような検索である。システムの試行結果から、実際に公開されているオープンデータを用いて有用な情報の関連性を可視化できたことを確認した。
著者
吉原 崇恵 加賀 恵子 鈴木 裕乃
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.80, 2008

目的 家庭科は体験的な学習をとおして、生活のしくみやよりよく生活するための知識や技術を習得することを目指してきたそのために実験や実習、そのほかの多様な体験的学習の方法も開発してきた。なかでも実習授業は子どもが気づき、考え、わかる、できることを育てる問題解決学習過程の中で、導入、展開あるいはまとめの段階において位置づけられ、豊かな教材と価値を生み出してきたと思われる。しかしながら、子どもたちの手が「虫歯」になっただけではない。「自分が傷ついたり」「他人を傷つけたり」する、またはその前段階の事例も多く、指導過程において危険回避の指導スキルが求められてきた。各教科書において「安全喚起マーク」のページやスペースを設けられているのも工夫の証である。ただしこの「安全喚起」の内容は、「ガスコンロのそばに燃えやすいものを置かない」「包丁は持ったまま歩き回らない」という表現になっている点が特徴的である。危険を予知し、回避する能力の育成とそのための指導の方策を追究しなければならない。そのために実習授業の観察記録をもとにKYTシートを作成し、危険箇所チェックと危険度の評価調査を行っている。昨年の報告では、大学生の教育実習経験者と未経験者で比較した。その結果、二者の間では大きな違いは見られなかった。今年度は中学生、小学生自身の危険予知の実態を把握することを目的とした。方法 調査内容は調理実習時間と被服製作時間における危険な場面をイラストによって想定したKYTシートを用いた。また危険度の評価をさせた。危険な場面の想定は次のとおりである。調理実習の場合。1.ザルから水をこぼしている。2.包丁の使い方がよくない。3.(調理台の)扉が開いている。4.まな板が机から出ている。5.火の傍に燃えるものがある。6.歩く時の包丁の持ち方が良くない。被服製作実習の場合。1.よそ見しながらアイロンを使っている。2.はさみを振り上げている。3.アイロンがコンセントにつながれたままになっている。4.ミシンの使い方。5.マチ針が出しっぱなし。6.ミシンの電源が入ったまま針を取り付けている。危険度の評価は高い順に4段階である。a.すぐにやめさせる。b.状況が変わると重大事故、状況を見て注意。c.いつか事故になるかもしれないので後で注意。d.事故にはならない。調査対象は小学校が浜松市公立小学校、附属小学校各1校(計132名)。中学校は附属浜松中学校、焼津市、藤枝市公立中学校(計205名)。対照として教員免許取得希望大学生(計42名)である。調査時期は2008年2月~3月。結果と考察 危険度a評価について調理場面では火の傍に燃えるものを置かない、歩く時の包丁の持ち方が多く指摘された。小中大学生ともに同様であった。被服製作場面ではミシンやアイロンの電源が入ったままについて多く、次によそみの作業、はさみの扱いが続いた。小中大学生ともにほぼ同様であった。危険度b評価は、状況を見る項目である。これは調理、被服場面のいずれにおいても小学生が多くあげており、調理では、まな板が机からはみ出ている、ザルから水をこぼしている、を指摘していた。同じく小学生が多くあげたb評価の被服場面ではよそ見しながらのアイロン使い、マチ針を出しっぱなしであった。大学生は他に比べてa評価項目が多く、小学生は他に比べてb評価項目が多くなっていた。大学生が指導的立場で考え指示が多くなるのではないかと思われた。子どものわかり方を把握すれば変化するかもしれないと考えさせた。小学生のb評価は自分の不安さが表れていると考えられる。同じ視点で見ると中学生が他に比べてaもbも少なくcの一般的注意、注意しないという評価が多くなっていることは自信、過信を示していると思われた。
著者
猪原 拓 寺内 靖順 神野 泰 大井 邦臣 西原 崇創 安齋 均 高尾 信廣 西 裕太郎 林田 憲明
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.38-43, 2010 (Released:2011-11-02)
参考文献数
17

たこつぼ心筋症から心破裂にいたった1例を経験したので報告する. 症例は89歳, 男性. 細菌性肺炎の診断にて入院. 入院翌日の心電図にてII, III, aVF, V2~6でST上昇を認めたため, 冠動脈造影を施行したが有意狭窄は認めなかった. 左室造影では, 心基部以外はほぼ無収縮であり, たこつぼ心筋症と診断した. 経過中, バイタルサインは安定しており, 心不全, 致死的不整脈を認めることはなかったものの, peak CK 2,200IU/Lという高値であり, ST上昇が遷延していた. 第6病日, 突然PEAとなり, CPRを施行したが, 救命できなかった. 心エコーにて心嚢液の貯留, 心嚢穿刺にて血性心嚢液を認めており, 心破裂にいたったと診断した.たこつぼ心筋症から心破裂にいたった報告は少数しかなく, 臨床的に重要な症例と考えられるため報告する.