著者
杉田 浩一 白井 邦郎 和田 敬三 川村 亮
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.311-315, 1977-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
3
被引用文献数
3 1

食品中コラーゲンの加熱による変化を解明するため,豚皮より調製した不溶性コラーゲンを水中で加熱し,ゼラチン化の進行状態を観察した。溶出窒素量よりみたゼラチン化は,加熱の温度,時間の増加により促進されるが,温度により限界がある。 pHが低下するとこの限界は除かれ,溶出量が著しく増大する。塩類は酸性側でゼラチン化を抑制し,中性側で促進する。加熱時の溶出物中には,ディスク電気泳動および,ゲルクロマトグラフィーにより,コラーゲンのα, β, γ鎖に相当する成分が検出されたが,ゼラチン化の進行にともない,そのパターンにはペプチド鎖の解裂による低分子化とみられる変化が起こった。
著者
大髙 理生 中島 健 吉田 晶子 鳥嶋 雅子 川崎 秀徳 山田 崇弘 和田 敬仁 小杉 眞司
出版者
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
遺伝性腫瘍 (ISSN:24356808)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.84-93, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
22

遺伝性腫瘍診療では,診断後発端者に血縁者への情報共有を推奨するが,困難な場合がある.欧米では受診勧奨の研究があるが,本邦の実態は不明である.2020年より遺伝性乳癌卵巣癌(hereditary breast and ovarian cancer;HBOC)は遺伝学的検査が保険収載され,血縁者への対応も求められる.本研究はHBOC患者血縁者への情報共有と受診勧奨の施設での課題抽出を目的とし,乳房悪性腫瘍の治療実績国内上位100施設を対象に質問紙調査を行った.初回調査で回答を得た44施設(44%)のうち5例以上のHBOC診断数の31施設を対象とし29施設(94%)から二次調査回答を得た.26施設(90%)で血縁者のリスク説明は実施だが,発端者家系に特化した資料配布は17施設(59%)で未実施であった.課題は,「未発症血縁者のサーベイランスが保険適用外」「血縁者と疎遠な関係性」であった.受診勧奨支援は施設間差を認め,その解決には多角的な検討が必要と考えられた.
著者
櫻井 晃洋 古庄 知己 和田 敬仁 涌井 敬子 玉井 眞理子 川目 裕 福嶋 義光
出版者
日本家族性腫瘍学会
雑誌
家族性腫瘍 (ISSN:13461052)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.51-56, 2005
被引用文献数
1

信州大学医学部では毎年4 年次生を対象として遺伝カウンセリング・ロールプレイ実習を行っている.グループ毎に提示された症例における医学的問題や家族の悩みを整理し,医学的情報をどのように伝えるべきか,それに対し患者・家族はどう受け止めるかを議論する.その上でシナリオを作成し,学生,教官,学外の遺伝カウンセリング専門家の前で発表して批評を受ける. 実習後の学生の反応としては,担当した疾患についての知識を深められたことと同時に,わかりやすく情報を伝えることの難しさ,情報を伝えられる側の気持ちを思いやることの重要性,医師の発言が患者・家族に与える影響の大きさについて深く考える機会になったとの感想が多くみられた.遺伝カウンセリング・ロールプレイで時間をかけて患者・家族の思いを想起し,これに基づいた対応を考えていくプロセスは遺伝医学実習として役立つのみならず,医師としての基本的な態度レベルの向上においても有意義であると考えられる.
著者
藤田 利治 藤井 陽介 渡辺 好宏 小坂 仁 和田 敬仁 森 雅亮 横田 俊平
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.73-95, 2010 (Released:2011-03-22)
参考文献数
14
被引用文献数
15 17

Objective: The mechanism underlying the development of neuropsychiatric symptoms such as unconsciousness, abnormal behavior, delirium, hallucinations, and convulsions in influenza has not been thoroughly investigated. The relationship between drug administration and neuropsychiatric symptoms during influenza is also poorly understood. This study is the first pharmacoepidemiologic study focused on investigating the relationship between drug administration and neuropsychiatric symptoms.Design: Cohort studyMethods: Study subjects were patients under 18 years old who had influenza during the 2006/07 season. We prepared two kinds of questionnaires for doctor and for patient's family, and carried out the survey between January and March, 2007. Using data from 9,389 patients, we analyzed the relationship between neuropsychiatric symptoms, such as delirium, unconsciousness and convulsion, and drug administration of acetaminophen and oseltamivir.Results: Analysis of the relationship between delirium and drug administration provided hazard ratios of 1.55(p=0.061)for acetaminophen and 1.51(p=0.084)for oseltamivir. These hazard ratios, which were adjusted for risk factors by multivariate analysis of the proportional hazard model, showed an increasing tendency of delirium after administration of each drug. In patients who received oseltamivir, a high incidence of delirium was observed between 6 and 12 hours after onset of fever. Furthermore, delirium was found to develop in a shorter time following oseltamivir use than it did after acetaminophen use. There was no relationship between unconsciousness and acetaminophen administration, as demonstrated by a hazard ratio of 1.06(p=0.839). The incidence of unconsciousness increased significantly with oseltamivir use with a hazard ratio of 1.79(p=0.0389), and unconsciousness was found to occur in a short time after oseltamivir use.Conclusion: The results obtained from this study suggest that there are increased risks of delirium and unconsciousness with drug administration. Further pharmacoepidemiologic studies for hypothesis testing are required to study the relationship between abnormal behavior and drug administration.
著者
高橋 幸資 清水 ふさ子 白井 邦郎 和田 敬三
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.34-40, 1982
被引用文献数
3 1

比較的低水分食品中澱粉の糊化温度を熱分析で測定する目的で,米,ソバ,小麦粉生地およびこれらの加工食品とその単離澱粉の示差熱分析を行った.以下に実験結果を要約する. 1.米のDTA曲線は,単一の明瞭な吸熱ピークを示し,おのおのの単離澱粉のDTA曲線とは高温側に1~6℃ ずれている以外はきわめてよく似たパターンを示した.さらに吸熱ピークの過程で澱粉粒の偏光の消失を伴うことから澱粉の糊化を検出したものと判断した.ソバのDTA曲線は非常にブロードであったが,単離澱粉とはよく似ている.精白米を室温で3年間貯蔵すると約4℃ 糊化開始温度が上昇した. 2.モデル麺により小麦粉のDTAを行ってみると単離澱粉とよく似た曲線を示し,小麦粉中のタンパク質による吸熱シグナルはあっても小さいと考えた.しかし単離澱粉とは異なって塩化ナトリウムおよび炭酸アルカリの使用により糊化開始温度は上昇し,10%の使用量で5~9℃ 高まった. 3.加工食品の糊化開始温度は,スパグッティでは約59~60℃ で比較的低く,ソーメン,ヒヤムギ,ウドンでは約61~64℃ で,次に,中華麺では約63~65℃ と比較的高かった.この順序は製麺時の塩の使用量とよく一致する.ソバ麺の糊化開始温度は約63~65℃ であった.ビーフンの吸熱ピークは,ブロードで面積も小さく糊化開始温度も約50℃ と低かった. なお,本報告の大要は,昭和54年度日本栄養改善学会で発表した.
著者
多和田 敬介 満倉 靖恵 浜田 望
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.457, pp.21-24, 2012-02-23

ブレインコンピュータインターフェース(brain-computer interface: BCI)は,脳からの信号により操作する装置である.BCIにより,筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)や頸椎損傷により運動機能を失った人々は,機器の操作や周囲の人とのコミュニケーションが可能となる.単一試行脳波を用いたP300スペラーは,文字を高速に入力するBCIである.しかしながら,単一試行脳波を用いたP300スペラーは文字の判別精度が低いため,精度向上が課題である.本研究では,独立成分分析を用いたP300の検出および変数減少法による電極位置決定を行なうことにより,単一試行脳波を用いたP300スペラーの精度向上を目指す.
著者
鎌田 直人 江崎 功二郎 矢田 豊 和田 敬四郎
出版者
金沢大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

個体群生態学的な研究により、カシノナガキクイムシはイニシアルアタックの際に、衰弱木や感受性の個体を選択的に攻撃するのではなく、無差別に攻撃していた。穿孔数やカシナガの繁殖成功度は、樹木の生死ではなく過去の穿孔の有無によって強く影響されていた。過去にカシナガの穿入を受けていない7本のミズナラを測定対象とし、樹幹北側の地際部と地上高150cmの位置で、各2点ずつの温度測定を行った。その結果、1)150cm部位と地際部の温度差(以下、温度差)は、特に6〜8月の高温時(日最高気温約25℃以上)に大きくなった。2)秋までに被害を受け葉が褐変または萎凋した個体(以下、被害個体)は、1個体を除き、カシナガ穿入前(6月上・中旬)に高温時の温度差が大きかった。3)上記例外の1個体は150cm部位と地際部の温度の平均値(以下、平均温度)については他の個体よりも高めで、最も早くカシナガの穿入を受け、枯死した。樹幹2ヶ所の温度差と平均温度によって、樹体の健全性を評価し、カシノナガキクイムシの穿孔に伴う枯死や萎凋を予測できる可能性がある。