著者
福田 拓哉 飯塚 晃央 大山 隆太 新川 諒
出版者
九州産業大学 人間科学会
雑誌
人間科学 (ISSN:24344753)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.49-60, 2022 (Released:2022-03-26)
参考文献数
43

コロナ禍はプロスポーツにも大打撃を与えた。2020年における世界各地からの報告によれば,その経済的損失は日本で2,747億円,欧州主要サッカーリーグで4,320億円,北米では大学スポーツを含めて1兆3,000億円にのぼる。こうした中,プロスポーツ組織が取るべき経営のあり方については,学術的な研究がほとんどなされていない。そのため,この危機の中での対処方法や価値創造のあり方が議論されることは実務のみならず学術の面からも重要であろう。そこで,本研究は筆者らが所属する日本,欧州,北米のプロスポーツチームを事例に,この緊急事態を乗り越えるための知見,課題,可能性を整理することを目的にした。研修対象は,福岡ソフトバンクホークス(日本,プロ野球),シント=トロイデンVV(ベルギー,サッカー),ワシントンウィザーズ(アメリカ,バスケットボール)であり,ケース・スタディの手法を用いて分析を進めた。
著者
大山 隆子 大山 隆子
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.135-155, 2017-11-29

接続助詞「し」の規範的用法は「並列」を表し「この町は自然が多いし,きれいだし,便利だ。」のような使用である。しかし,最近,若者を中心に「きれいだし。」のように「従属節し。」のみで終わる使用が観察される。このような従属節のみで終わる現象は白川(2009)では,「言いさし」の現象と呼ん でいる。これらの「し」は,先行研究で述べられている「し」の用法の中の「婉曲的用法」とは異なり,話し手の強い伝達態度を表す機能を持つものと考えられる。本稿では,先ず「し」の統語的特徴について述べ,次に「し」の語用論的機能について考察する。また「し」と出現位置が似ている終助詞の「よ」と接続助詞の「から」が談話の中でどのような語用論的機能を持つのか比較分析する。 考察の結果としては,「し」は「理由」となるものが複数存在する時は「~し~し~。」と「並列」を表し,また「~し,(~,~)」のように「非並列」の場合は,複数の理由の存在を暗示できる。また「理由」を(実は)一つしか持たない場合は,「~し。」の形で打ち止め,あたかも理由が複数あるかの ように示す談話効果を持つと考えられる。 また「し」,「よ」,「から」は談話標識として「発話する情報についての話者自身の伝達上の態度を示す」機能を持つと考えられる。「し」は「発話内容については判断済みの態度であり,「聞き手への受容要求」については,考慮しないが,効果を示せる。聞き手あるいは,周りと同一認識状況では使用しにくい。反論に使用できる。」などの特徴があると考えられる。 また比較対象とした終助詞「よ」の機能を分析すると,その違いは大きいと言える。「よ」はもともと終助詞であり,「聞き手との関係において」用いられるが,「し」は「変更の可能性がない結論を聞き手に表明する態度である」と言える。「よ」はまた,談話管理は話し手が行い,相手と話す態度を残している。「聞き手への受容要求」があり,聞き手あるいは,周りとの同一認識状況でも使用できる。 次に接続助詞「から」との比較であるが,二つは同じ接続助詞の種類であるが,「から」は「論理関係標示接続」であり,「し」は「事実関係認識標示接続」である。この違いから,「から」は前件で確実な根拠・理由となり得るものを挙げ,後件での行動を促す機能を持つ。一方「し」は論理関係ではなく,話し手が認識した事実をつなぐものである。「言いさし」になっても,これらは二つの違いとなって表れているものと考える。
著者
浦野 喜美子 山本 亜矢子 山田 幸世 杉木 由美子 小池 幹義 田仲 久人 大山 隆幸 浅見 隆康 高橋 篤
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.325-333, 2014-11-01 (Released:2015-01-07)
参考文献数
5

【背景と目的】 群馬県山間部の高齢過疎化が顕著な2次保健医療圏A地区は他の県内2次保健医療圏と比べて自殺率が高いため, A地区特有の自殺率上昇要因を検討する. 【対象と方法】 群馬県と県内2次保健医療圏で, 研究対象地区のA地区, 比較対象地区としてA地区と同様の人口構成や地勢的状況にあるB地区, 中核市に隣接しているが高齢過疎化の著しい山間部も含むC地区, 主に平野部に位置し中核市に隣接するD地区, 中核市のE地区を選定し, 平成21年 (一部20年) -24年における各地区自殺率・男女年代別自殺率・自殺原因・自殺者の職業と同居率を比較検討, A地区年代別の自殺者配偶関係の検討とA地区各市町村別の自殺率・男女年代別自殺率・自殺者の同居率と年齢の比較検討も行った. 【結 果】 (1) A地区は男女とも他地区と比べて自殺率が高く, 年代別検討では他地区と比べて男性自殺率が20歳代, 40歳代, 50歳代, 70歳代で高く, 女性自殺率が70歳代で高かった. (2) A地区男性自殺者の自殺理由は他地区と比べて経済・仕事・男女間の問題の占める割合が高く, 健康問題の占める割合が低く, 女性自殺者では家庭問題の占める割合が低かった. (3) A地区は他地区と比べて男性自殺者で自営業や勤務者の占める割合が高く, 女性自殺者で無職の占める割合が高かった. (4) A地区男性自殺者同居率は他地区と比べて比較的高く (79%), 女性自殺者は比較的低かった (71%). (5) A地区男性自殺者40-50歳代の離別・未婚率, 女性自殺者60歳以上の死別率は高く, 女性自殺者は男性より高齢であった. (6) A地区各市町村別の検討で, A地区辺縁に位置するe村では自殺率が特に男性で高かった. 村地域の自殺者は高齢者, 特に女性が多く, 女性自殺者同居率が高かった. 【結 論】 群馬県A地区は人口構成や地勢的状況が近似しているB地区やC地区と比べて自殺率が高く, その原因としてA地区特有の要因が考えられた. すなわち, (1)離別, 未婚, 仕事問題や経済的理由, あるいは男女間の問題を背景とした20歳代と40-50歳代男性における自殺率の上昇, (2)配偶者の死別や家庭内孤立などを契機にした70歳代女性の自殺率上昇が推測された. さらに, (3)A地区村部では高齢自殺者が特に女性で多く, 健康問題と共に前述の配偶者の死別による孤独, 家庭内孤立, あるいは鬱傾向等の村部特有の要因があることも推測された. A地区の自殺対策ではこれらの要因を踏まえた対応が必要と考える.
著者
持田 勲 光来 要三 坂西 欣也 藤堂 義夫 大山 隆
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会誌 (ISSN:05824664)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.101-106, 1991

比較的パラフィニックなFCCデカント油 (FCC-DO) との共炭化において, 低硫黄減圧残油 (LSVR) を熱処理することによってボトムモザイクコークスの消去を試みた。その結果420°C(1~5h) という非常に限られた条件でLSVRを熱処理するとモザイクコークスが消去できた。熱処理によってLSVR中のアスファルテン分が分解され, ベンゼン不溶分やメソフェーズをわずかに生成するのみで, 芳香族性を向上させることができた。こうした熱改質は, アスファルテン成分の炭化時の熱安定性とFCC-DOへの溶解性を向上し, 炭化初期におけるメソフェーズの相分離が抑制できるため底部モザイクが生成しないのであろう。
著者
大山 隆
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

<p>世界的にESG経営が重要視される中、FCC残渣油を原料にしてニードルコークスを生産し、高品質な電気製鋼用黒鉛電極の骨材を生産するとともに、電気自動車用のリチウムイオン電池の炭素材を生産している。本発表では、このスキームと装置の信頼性向上の考え方を紹介する。</p>
著者
松田 雅弘 大山 隆人 小西 由里子 東 拓弥 高見澤 一樹 田浦 正之 宮島 恵樹 村永 信吾 小串 健志 杉浦 史郎 三好 主晃 石井 真夢 岡田 亨 亀山 顕太郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】加齢に伴う運動器障害のために移動能力の低下をきたし,要介護になったり,要介護になる危険の高い状態を「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」と定義し,中高齢者の運動器に起こる身体状態として知られている。子どもの発育の偏りや運動不足,食育などが原因となり,筋肉,骨,関節などの運動器のいずれか,もしくは複数に障害が起き,歩行や日常生活に何らかの障害を引き起こすなど,子どもでも同様の状態が起こりうる。さらに,転んでも手がつけない,片脚でしっかり立つ,しゃがみ込むなど基本動作から,身を傷害から守る動作ができない子が急増している。幼稚園児36.0%,就学児42.6%,小学校40%で片足立ち。しゃがみ込み,肩180度挙上,体前屈の4項目の検査で1つでも当てはまる児童生徒が存在する。【活動報告】千葉県浦安市の児童に対するロコモの検診を行政と連携し,千葉県スポーツ健康増進支援部中心に実施した。参加者は3~12歳の334名であった。検査項目は先行研究にある片脚立ち,肩180度挙上,しゃがみ込み,体前屈以外に,四つ這いバランス,腕立て・腹筋などの体幹筋力,2ステップテスト,立ち上がりテストなど,柔軟性・筋力・バランス能力など12項目とした。また,食事・睡眠などのアンケートを実施した。当日は理学療法士が子どもと1対1で検査することで安全性の確保と,子どもの集中力を維持させ,検診を楽しむことで計測が可能であった。【考察】この検診で成長にともなう運動発達が遅れている子の把握が可能であった。親を含めた検診を通じて家族の運動への関心が高まったことや,自分の子どもの運動能力の把握,日頃の運動指導にもつながった。【結論】今回の検診で子どもの運動機能の現状を把握するのに,この取り組みが有益なことが示唆された。今後は広く地域と連携して子どものロコモ検診を行い,健康状態の把握と運動の啓発を理学療法士の視点として取り組んでいきたい。
著者
中田 英二 大山 隆弘 馬原 保典 市原 義久 松本 裕之
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.71-82, 2004-06-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
29
被引用文献数
9 13

海底下に掘削された岩盤坑道において, 堆積岩試料を採取しその浸水崩壊特性について調査を行った. この結果, 海底下坑道で採取した堆積岩 (粗粒砂岩, 細粒砂岩, 砂質泥岩) は, 一度乾燥させたのち, 蒸留水に浸水させた場合, 崩壊して砂, 泥状になるものが多いことが明らかになった. 一方, 同じく乾燥させた試料を塩水に浸水させた場合, 崩壊しないことが明らかとなった. また採取した試料のうち, 方解石を含有する岩石は蒸留水中でも浸水崩壊しなかった. 海底下のようにNaイオンに富み, スメクタイト含有率が1.5wt%以上の岩石は浸水崩壊しやすく, 透水係数は粘性係数の大きな塩水を通水した方が, 蒸留水を通水した場合よりも大きくなる傾向が認められた. 蒸留水による透水試験終了後, CaCl2溶液を通水させた試料は, 浸水崩壊を起こさなかったことから, 岩石の力学的性質は間隙水に溶存するイオンの種類や濃度, 粘土鉱物の量と層間イオンの種類により異なると考えられた. 地下深部の利用に際しては水質が力学的性質へ与える影響も考慮しておくことが重要と思われた.
著者
小林 俊一 片江 伸之 松本 達郎 木村 普太 加世田 光子 大山 隆之
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.41-42, 1994-09-20
被引用文献数
1

音声合成は人間と機械の自然なインタフェースとして注目されており,当社では,NIFTY-Servcでの電子メール読み上げサービスや,視覚に障害のある方を対象とした,ディスプレイ上の文字読み上げシステムFMTALK-IIなどの応用例がある。しかし,これらは音声信号処理用のハードウェアを必要としていた。ここ数年,パーソナルコンピュータの処理能力が著しく向上し,実時間での音声処理が可能となってきた。また,メモリが非常に安価になったため,システムの蓄積データを圧縮する必要性が小さくなった。このような背景のもとで,全ての処理をソフトウェアで行ない,かつ高品質な音声の合成が可能なテキスト音声合成システムを開発したので,報告する。本システムの技術的な特徴は以下の3点である。1.DP照合法と詳細二方向文法による形態素解析2.折れ線モデルによる基本周波数パターン生成3.波形編集方式による音声波形生成