著者
大石 裕
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.399-424, 2004-12

根岸毅教授退職記念号一 問題の所在二 言説分析の批判性 : 合意、正当な論争、そして逸脱三 水俣病に関する新聞報道 (一) 出来事の物語化とニュース・バリュー : 対立と紛争 (二) 出来事の物語化とニュースの物語① : 紛争の発生―展開―終結 (三) 出来事の物語化とニュースの物語② : 報道の中立性、そして客観報道との関連で四 「潜在化(non-event, non-issue)」する水俣病 (一) 「地域振興」という物語、そして儀礼としての選挙 (二) 「中心=われわれと周辺=彼ら」という物語五 結び
著者
山本 信人 大石 裕 烏谷 昌幸
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

21世紀の東南アジアは原子力ルネサンスといわれ、エネルギー確保と省エネ、気候変動対策の切り札としての原発が脚光を浴びた。インドネシア(05年)とフィリピン(09年)は原発(再)建設を政策課題としたが、反対の市民運動がわき上がった。主たる論争点は原発の安全性と政策過程の透明性であった。安全性については推進・反対派ともに科学者を要して論争を展開した。結果的には原発建設計画は中止に追い込まれた。その主要因は、政策過程の不透明性と政策不信、そして「援助」国と関連多国籍企業の資本の論理、つまり安全への不安であった。
著者
大石 裕司 大沼 晃浩 眞下 大輔 高瀬 誠由
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J106-B, no.5, pp.281-291, 2023-05-01

ローカル5Gは既設ネットワークから分離して敷設されうるが,ローカル5Gネットワークから既設ネットワーク内システムの利用のために相互接続の需要がある.一方でローカル5Gネットワークと既設ネットワークとの間には,(1)アドレス体系が独立でありネットワーク管理レイヤが異なるため,既設ネットワークからローカル5G端末を識別・管理できない,(2)セキュリティレベルの低いローカル5Gネットワークにより既設ネットワークのセキュリティリスクが増大する,という二つのギャップがあり相互接続が許可されない.本論文では解決技術として,(1)レイヤ間でアドレスを変換し既設ネットワークからローカル5G端末を識別・管理させる「レイヤ間アドレス変換」,(2)ローカル5Gネットワークから既設ネットワークへの通信範囲を限定する「既設ネットワーク内トンネリング」の二つの手法を提案した.提案手法をソフトウェアにより実装し,実際のローカル5Gネットワークと実際の社内ネットワークを用いて評価を行った.結果として,提案手法にて二つのギャップを解決し,ローカル5Gネットワークと既設ネットワーク間で相互接続できることを確認した.
著者
浅見 祐香 野村 和孝 嶋田 洋徳 大石 裕代 大石 雅之
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.92.19053, (Released:2021-03-31)
参考文献数
30
被引用文献数
2

The present study aimed to clarify the cognitive and behavioral features of the process from the onset of stealing to the development of kleptomania. We also analyzed the differences between kleptomania and shoplifting for personal gain. Semi-structured interviews were conducted with 25 participants (15 patients with kleptomania, 4 shoplifters, and 6 with other addictions). An analysis based on a modified grounded theory approach (M-GTA) revealed 24 concepts and 5 categories. We identified four stages of the process of kleptomania. The stages were “first theft,” “increasing frequency of stealing,” “pathological stealing” where the act of stealing was more beneficial than the stolen goods, followed by “automatic stealing” whenever they steal automatically in their favorite stores. We identified “breaking dependence on stealing” as the fifth category. In contrast, shoplifters for personal gain did not move into “pathological stealing.” Thus, it is assumed that the development of kleptomania involves a series of processes from starting to steal to addiction, then, it is assumed to enter a dependent stage from the stage of “pathological stealing.”

2 0 0 0 OA 消化管毒性

著者
大石 裕司
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.131, no.5, pp.373-377, 2008 (Released:2008-05-14)
参考文献数
7
被引用文献数
1

消化管とは口腔から肛門までの管状の器官を指し,消化吸収に関連する舌,各種の唾液腺,膵臓,肝臓,胆嚢を含めて消化器と称する.消化管の基本構造は,粘膜,筋層,漿膜の3層より成り,筋層内には脊髄に匹敵するほどのニューロンを有する腸管神経系を持ち交感・副交感神経を介して中枢神経と連携するとともに,粘膜に存在する多種類の神経内分泌細胞とその消化管ホルモンにより,微妙な制御がなされている.医薬品開発上の安全性試験で遭遇する消化管毒性の主な症状所見として悪心・嘔吐,排便異常,便の性状異常,鼓腸などがあり,何れも注意深い動物の観察が重要である.消化管毒性の組織変化としては,粘膜の出血,粘膜の損傷・再生,粘膜の欠損すなわちびらん・潰瘍,炎症,粘膜の萎縮,消化管の癒着,リン脂質・脂質やカルシウム塩の蓄積症などが剖検や病理組織検査で認められ,頻度は少ないものの増殖性の悪性腫瘍に至る変化も認められる.
著者
⼤⽯ 裕介 広上 新 新出 孝政 ⽥上 直樹 古村 孝志 今村 ⽂彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.24, pp.23-24001, 2023 (Released:2023-12-04)
参考文献数
11

津波避難時の車使用は原則禁止されているが,東日本大震災では車避難により助かった事例もあり検討課題となっている.本研究では車避難があった場合の被災状況予測と,減災に向けた交通制御の検討を,リアルタイムの交通状況を起点に行う手法を検討した.本手法では,商用車プローブデータと道路監視カメラからの断面交通量データにより交通状況をリアルタイムにシミュレーションする.再現された交通状況を初期値とした避難車両の動きの予測を,津波浸水予測と組合せることで,車両の被災地点と台数を算出する.名古屋市臨海部への想定南海トラフ巨大地震による津波に本手法を適用し,車避難台数の増加に対する被災台数の加速度的な増加傾向を確認し,湾岸部からの交通流を優先させる信号制御や津波浸水域外からの車避難抑制による減災効果を確認した.
著者
大石 裕
出版者
日本メディア学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.97, pp.17-34, 2020-07-31 (Released:2020-09-26)
参考文献数
31

The masses have been perceived in a negative light in contrast to the public.In addition, the mass audience has been regarded as subjects who are easilymanipulated by media and political elites. Still, the elimination of the massesmay jeopardize democracy itself. This fear as held by the author derives fromthe fact that the masses and media in advanced societies have shaped populardemocracy as the correct form of democracy. This article re-examines masscommunication in terms of popular democracy and national democracy.
著者
髙武 嘉道 川俣 洋生 大石 裕樹 福石 和久 髙島 伸也
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.655-663, 2020-11-10 (Released:2021-11-10)
参考文献数
7
被引用文献数
3

Evaluating the awareness and experience with regard to clinical research and understanding the current challenges are important in promoting the engagement of hospital pharmacists in clinical research. Therefore, we conducted a questionnaire survey on 337 pharmacists working at 28 National Hospital Organization Kyushu Group facilities and 5 National Hansen's Sanatoriums, regarding their experience and awareness of clinical research. The survey was conducted via mail from June 2019 to July 2019. Overall, 335 (99.4%) questionnaires were collected, 280 (83.1%) of which were valid responses and could be analyzed. The survey showed that 48.2% of the responding pharmacists had delivered conference presentations and only 15.4% had published articles. The necessity for hospital pharmacists to plan and conduct clinical research was considered “necessary” or “slightly necessary” by 86.0% of the respondents; the most frequent reason was "for medical development." However, concerns about planning and conducting a clinical study were expressed by 94.6% of the pharmacists; “statistical analysis” was the most frequent issue. The results of this survey indicate that the majority of pharmacists are interested in clinical research; however, writing a dissertation was a difficult task for hospital pharmacists. Hence, we believe that it is important to include the topics of research planning and statistical analysis in the basic education of pharmacists.
著者
大石 裕
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.107-126, 2011-06

十時嚴周先生追悼論文集論説一 はじめに―「小泉政治」と世論二 意見の集合体としての世論(1) 支配的世論と複数の世論(2) 意見の表明三 世論と世論調査の問題点(1) 世論と輿論(2) 世論調査批判と再批判(3) メディア政治︑世論︑世論調査四 結び
著者
大石 裕
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.63-88, 2016-02

関根政美教授退職記念号1 はじめに : 公共圏としてのメディア2 『敗戦後論』はどのように論じられたか3 『永続敗戦論 : 戦後日本の核心』はどのように論じられたか4 考察
著者
伊藤 守 杉原 名穂子 松井 克浩 渡辺 登 北山 雅昭 北澤 裕 大石 裕 中村 潔
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究から、住民一人ひとりの主体的参加と民主的でオープンな討議を通じた巻町「住民投票」が偶発的な、突発的な「出来事」ではない、ということが明らかになった。巻町の行政が長年原発建設計画を積極的に受け止めて支持し、不安を抱えながら町民も一定の期待を抱いた背景に、60年代から70年代にかけて形成された巻町特有の社会経済的構造が存在した。「住民投票」という自己決定のプロセスが実現できた背景には、この社会経済的構造の漸進的な変容がある。第1に、公共投資依存の経済、ならびに外部資本導入による大規模開発型の経済そのものが行き詰まる一方で、町民の間に自らの地域の特徴を生かした内発的発展、維持可能な発展をめざす意識と実践が徐々にではあれ生まれてきた。第2に、80年以降に移住してきた社会層が区会や集落の枠組みと折り合いをつけながらも、これまでよりもより積極的で主体的に自己主張する層として巻町に根付いたことである。「自然」「伝統」「育児と福祉」「安全」をキーワードとした従来の関係を超え出る新たなネットワークと活動が生まれ、その活動を通じて上記の内発的発展、維持可能な発展をめざす経済的活動を支える広範な意識と態度が生まれたのである。こうしだ歴史的変容が、町民に旧来の意思決定システムに対する不満と批判の意識を抱かせ、自らの意思表明の場としての「住民投票」を可能にしたといえる。