著者
齊藤 俊樹 大谷 昌也 金城 光
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第12回大会
巻号頁・発行日
pp.50, 2014 (Released:2014-10-05)

視線のカスケード現象とは,好きなものを選ぶ判断(選好判断)の際に,選択決定よりも時間的に先行して選択する刺激へ視線が偏るという現象のことである (Shimojo et al., 2003)。これまでの研究でカスケード現象は知覚していない記憶上の刺激に対しても生じることが報告されている。本研究では,記憶上の刺激に対してもカスケード現象が起こるのか,記憶保持時間によって視線の偏りの強さが変化するかを実験1で検討した。先行研究ではカスケード現象が選好判断以外でも生じる可能性が示唆されており,実験1において選好判断と選嫌判断での視線の動きに差がみられなかったことから,実験2では判断条件を増やしカスケード現象の違いを検討した。その結果,選好判断以外の判断でも最終的に選択した刺激への視線の偏りが認められた。本研究より,視線の偏りが好意判断に特別に影響していない可能性が示唆された。
著者
前谷 文美 寺村 誠 山崎 昌仁 大谷 昌之
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.191-196, 2015-01-15 (Released:2015-12-02)
参考文献数
28

二重エネルギーエックス線吸収測定法(Dual-energy X ray absorptiometry;DXA)にてホルスタイン種雌牛(生後1~ 425日)18頭の骨密度を測定した.測定部位は右中足骨とし,機器はDCS-600EXV(日立アロカメディカル,東京)を使用した.血清カルシウム(Ca)濃度,骨形成マーカーである骨型アルカリフォスファターゼ(bone-specific alkaline phosphatase;BAP)値,骨吸収マーカーであるⅠ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(type Ⅰcollagen cross-linked N-telopeptide;NTx)値を測定し,骨代謝状況を把握するためにNTxとBAPの比(NTx/BAP)を算出した.日齢と骨密度は強い正の相関関係を示し(r=0.86,p=0.0001),日齢の進行とともに骨密度は増加した.日齢と血清Ca濃度は強い負の相関関係を示し(r=-0.85,p=0.0245),日齢が進むにつれて血清Ca濃度が低下した.NTx/BAP値は血清Ca濃度と負の相関関係を示し(r=-0.61,p=0.0064),日齢とは相関関係がみられなかった(r=0.43,p=0.0743).骨密度とNTx/BAP値は相関関係がみられなかった(r=0.42,p=0.0837).DXA法を用いたホルスタイン種雌牛の骨密度の測定によって,日齢の進行に伴い,骨密度が増加することが判明した.今後,1歳以上のホルスタイン種雌牛を用いた同一個体に対する経時的な骨密度の測定により,成長に伴う骨密度の変化率と分娩前後の骨密度の変化率がデーター化されれば,乳熱などの周産期疾病予防や治療方針の判断につながると考えられる.
著者
前谷 文美 寺村 誠 山崎 昌仁 大谷 昌之
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.11-13, 2015-07-31 (Released:2015-12-02)
参考文献数
17

二重エネルギーエックス線吸収測定法(Dual-energy X ray absorptiometry;DXA)にてホルスタイン種育成雌牛(n=3)の骨密度を測定した.測定部位は尾椎とし,測定機器はDCS-600EXV(日立アロカメディカル,東京)を使用した.測定した全尾椎を1椎毎に箱形関心領域(region of interest;ROI)解析し,骨密度を算出した.その骨密度の最高値を採用し,日齢との関係性を調べた.また各個体で,骨密度を測定した全尾椎の中から無作為に2椎を選び,近位骨と遠位骨で骨密度を比較した.尾椎の骨密度は日齢とともに増加し,また近位骨の骨密度は遠位骨に比べて高かった.本研究ではDXA法を用いたホルスタイン種育成雌牛における尾椎の骨密度の測定によって日齢の進行に伴い,尾椎の骨密度が増加した.また尾椎は,ヒト用のDXA測定機器に対する牛の大きさなど生体面で制限を受ける場合が少なく,育成牛だけに限らず,成乳牛でも測定できる可能性がある.しかし同一個体の尾椎でも遠近差により骨密度の相違がみられる傾向がある点から,DXA法を用いて尾椎の骨密度を測定する時は何番目の尾椎を測定に用いるかを統一しなければならないと考えられた.
著者
齊藤 俊樹 大谷 昌也 金城 光
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.463-472, 2015-09-01 (Released:2016-03-01)
参考文献数
12

When we are shown pairs of human faces and instructed to decide which face is morepreferred, our gaze is gradually biased toward the face that we eventually choose. Shi-mojo, Simion, Shimojo, and Scheier (2003) coined this effect as the gaze cascade effect.In this study, we investigated whether the gaze bias could be observed in various judg-ments other than the preference judgment. In Experiment 1, we showed participants ahuman face and asked them to memorize it. Then we showed them another human faceand asked to do two kinds of judgments: the preference judgment where they had tochoose which face they liked more and the dislike judgment where they had to choosewhich face they disliked more. We found the gaze bias for memorized stimuli in bothjudgments. In Experiment 2, we showed other participants two human faces and in-structed to select one depending on each specific criterion for five different judgmentsincluding the preference judgment. The gaze bias was observed in all judgments, most robustly in the similar judgment where participants instructed to decide which face wasmore similar to themselves. Contrary to findings by Shimojo et al. (2003), our resultssuggest that the gaze cascade effect might be involved in the process of visual decision,not limited in preferential formation.
著者
金沢 定一 大谷 昌朗 佐藤 徹雄
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.517-521, 1959
被引用文献数
1

メチル-β-D-リボフラノシドをトシル化し生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離したところモノ,ジおよびトリトシル誘導体が得られた・これらの化合物のうちモノトシル体のアセタートをヨウ化ナトリウムと反応させメチル-2,3-ジ-O-アセチル-5-デオキシ-5-ヨ一ド-β-D-リボフラノシドとしたのち,これに塩化水素を作用させたところ2,3-ジ-O-アセチル-5-デオキシ-5-ヨード-Dリボフラノシルクロリド(リボースの1,5-ジハロゲン体)が得られた。また・ジおよびトリトシル体もヨウ化ナトリウムと反応させたところ,5位のトシル基のみがヨウ素で置換され,相当する5-デオキシ-5-ヨード体が得られた。同様にして・ベンジル-β-D-リボフラノシドからも同じようなトシル誘導体および5-デオキシ-5-ヨ_ド誘導体が得られた。これらの5-ヨード誘導体のうちベンジル-2,3-ジ-O-アセチル-5-デオキシ-5-ヨード-β-Dリボフラノシドに塩化水素を作用させたところ・メチルーリボシドの場合と同様にリボ一スの1,5-ジハロゲン体をうることができた。
著者
左 久 小田 伸一 萩野 顕彦 大谷 昌之
出版者
帯広畜産大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

泌乳牛へのルーメンバイパス加工デンプン給与が血漿成長ホルモン濃度や乳量・乳成分などに及ぼす影響を検討する4つの実験を行い以下の結果を得た。1.泌乳牛のデンプン利用能を調べるために、泌乳初期牛に40日間、米粉デンプンを日量0.5-1.5kg給与し、乳量および第一胃内容物性状を調べた。デンプン1.0kg以上を摂取した牛の第一胃内プロピオン酸モル比は上昇、pHは低下し、日乳量は減少した。バイパス性デンプン給与日量は1.0kg以下が適切と判断された。2.泌乳初期牛に90日間、バイパスパルミチン酸、リノール酸Caおよび米粉をリノール酸Caで皮膜処理したバイパス性デンプンを1日4,000kcal相当量給与した。日乳量増加は給与熱量からの期待値にほぼ匹敵し、バイパス性デンプン給与が泌乳量をより高めることはなかった。3.泌乳中期牛に180日間、バイパス性デンプンを1日1kg給与すると、開始後約100日間は日乳量が泌乳進行に伴って低下せ、バイパス性デンプン給与が泌乳持続性を高める可能性が示唆された。試験期間中の血漿IGF-1濃度はバイパス性デンプン給与牛111.1ng/mlと材料給与牛が対照牛よりも有意に高く、グルコース濃度は給与前後とも定常値で推移し、NEFA濃度は試験開始より次第に低下し給与2ヶ月後からほぼ一定の値となった。4.泌乳中期牛15頭に60日間、バイパス性デンプンを給与し、血漿GH濃度、GH分泌刺激ペプチド(GHRP)負荷GH分泌反応を検討した。バイパス性デンプン給与牛の第一胃内pHとVFAs濃度は給与前後で変化せず血漿GHの日内平均濃度、GHパルス高、基礎濃度およびパルス数は増加する傾向が認められたが、GHRP負荷反応は対照牛と違いがなかった。これらの試験結果は、泌乳牛へのバイパス性デンプン給与が成長ホルモン分泌を高め、泌乳の持続性を高める可能性があることを示唆している。
著者
中井 朋一 村田 暁 Yimamu Aibibula 名倉 泰三 佐藤 忠 佐渡谷 裕朗 大谷 昌之 花田 正明 岡本 明治
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.173-178, 2007-05-25

去勢牛の十二指腸からラフィノースを投与し,糞便のpHおよび<I>Bifidobacterium</I>と<I>Lactobacillus</I>の菌数に及ぼす影響について調査した.供試動物として十二指腸および回腸カニューレを装着したホルスタイン種去勢牛3頭を使用した.基本飼料はチモシー乾草(CP 7.0% DM, TDN 55.0% DM)および配合飼料(CP 20.5% DM, TDN 70.0% DM)とし,等量ずつ6時と15時に給与した.ラフィノースを50g含有した蒸留水200mLを,6時に十二指腸カニューレから4週間投与した.ラフィノース投与開始前日を0週(W0)とし,1(W1),2(W2),3(W3)および4週目(W4)の6時に回腸内容物および糞便を採取した.W0とW4には,ラフィノース投与直前と投与後4,8,12,16および20時間目に回腸内容物および糞便を採取した.採取したサンプルについてpHおよび<I>Bifidobacterium</I>と<I>Lactobacillus</I>の菌数を測定した.その結果,1週ごとの回腸内容物および糞便のpHおよび<I>Bifidobacterium</I>と<I>Lactobacillus</I>菌数に特定の傾向は認められなかった.W0およびW4に4時間ごとに採取した回腸内容物の同項目に特定の傾向はみられなかった.投与後8時間目の糞便においてW4がW0に比べ<I>Bifidobacterium</I>菌数が増加し (<I>P</I><0.05), pHが低下した (<I>P</I><0.05). 投与後12および16時間目の糞便では, W4がW0に比べ<I>Bifidobacterium</I>および<I>Lactobacillus</I>菌数が増加した(<I>P</I><0.05).以上から,去勢牛の十二指腸からラフィノースを投与することにより,糞便の<I>Bifidobacterium</I>および<I>Lactobacillus</I>菌数が増加し,pHが低下することを確認できた.
著者
大谷 昌弘 浦野 直樹 上田 徹
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.1459-1464, 2003-11-01
被引用文献数
8

IEEE802.11委員会により標準化が行われている無線LAN (Local Area Network)規格が近年著しい進展を遂げている.同委員会は物理層方式として1997年に最初の3方式を規定した後,1999年には802.11bおよび802.11a方式,2003年には802.11g方式の標準化を完了している.しかしこれらの上に積まれる802.11MAC (Medium Access Control)層にはQoS (Quality of Service)確保のメカニズムが存在しなかったため,同MAC層を用いた映像・音声データの伝送は事実上困難であった.そこで同委員会は上記問題を解決するためのTGe (Task Group E)を1999年に結成した.ここで現在審議されている802.11eの標準化が完了すると,それぞれの映像や音声データに必要な帯域を確保した上でそれらを無線伝送することが可能となる.本稿では802.11eの最新の仕様内容についてその概要を述べる.