著者
國方 敏夫 河野 恵三 牛尾 慎平 福田 恵温
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.131, no.11, pp.1667-1674, 2011-11-01 (Released:2011-11-01)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

We previously reported that oral administration of NK-4, a criptocyanine dye, enhances interleukin (IL)-12-depend- ent interferon (IFN)-γ production by lipopolysaccharide (LPS)-stimulated mouse splenocytes. These findings raised a possibility that NK-4 potentiated IFN-γ production by T cells, natural killer (NK) cells or natural killer T (NKT) cells in response to IL-12 produced by macrophage and dendritic cells. To explore this possibility, we first analyzed percentages of T, NK or NKT cells in splenocytes of mice that were administered NK-4 orally for three days. The percentage of NKT cells in splenocytes from NK-4-treated mice was significantly (p<0.05) increased compared to vehicle-treated mice. When splenocytes were stimulated with α-galactosylceramide (α-GalCer), an NKT cell ligand, IFN-γ production by splenocytes from NK-4-treated mice tended to increase, while no difference in the IL-4 production and proliferation were observed between the vehicle- and NK-4-treated mice. When IFN-γ/IL-4 ratios were calculated in individual mice, the ratios were significantly (p<0.05) elevated in NK-4-treated mice. Furthermore, IL-12 production by α-GalCer-stimulated splenocytes from NK-4-treated mice was also significantly (p<0.05) increased. These results suggest that oral administration of NK-4 increases the population of type I NKT cells with potent IFN-γ-producing activities. Since IL-12 and IFN-γ have been shown to play important roles in anti-tumor immunity as well as in the defence against bacterial infection, our results further imply that NK-4 may provide a potential therapeutic tool in cancer immunotherapy.
著者
木下 央子 木下 正嘉 高橋 亜紀代 湯浅 慎介 福田 恵一
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.427-431, 2012-08-01 (Released:2012-11-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1 6

皮膚老化は皮膚が人間の最も表面にある臓器ゆえに,経時的,遺伝的な内因的要因だけではなく,日光や大気などの外的要因も老化現象に影響を及ぼす。皮膚のたるみやしわの大きな原因は皮下組織の線維芽細胞の細胞数減少や結合組織構成タンパクの分泌能低下,日光などの外的ストレスが原因となるコラーゲン分解亢進などが主な原因となって起こることが知られている。フルボ酸は腐植物質より抽出される自然由来の物質であるが,キレート作用や pH 緩衝作用,細菌増殖抑制作用や,湿疹に対する有用性の報告がある。このフルボ酸が線維芽細胞やコラーゲン分解に直接的に関与する matrix metalloproteinase (MMP) に対してどのような効果をもたらすか調べた。細胞は正常人成人の皮膚線維芽細胞を使用し,細胞のバイアビリティは Calcein-AM を使用した細胞のエステラーゼ活性を測定することにより,MMP の阻害作用については FITC 標識コラーゲンの分解抑制試験にて観察した。フルボ酸1%では26.1% (P<0.01) 細胞バイアビリティ増加を認め5%でも細胞毒性を認めなかっ た MMP の抑制試験において MMP-8 0.25unit ではコントロールに比べフルボ酸1%は約47% (P<0.01),フルボ酸5%は約61% (P<0.01) の MMP 抑制効果を認め,MMP-8 0.5unit ではコントロールに比べフルボ酸1%は約23% (P<0.01),フルボ酸5%は約56% (P<0.01) の MMP 抑制効果を認めた。今回の実験よりフルボ酸は線維芽細胞のバイアビリティ増加と MMP によるコラーゲン分解を抑制するという二つの観点からアンチエイジングに対して有用である可能性が示唆された。
著者
福田 恵美子 脇田 祐一朗
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.38-55, 2009-12
被引用文献数
2

本論文では,2008年現在形成されている自公連立政権の振る舞いを,提携構造を考慮した投票力指数(CS値)(G.Owen,1977)とそれを指標とした提携形成ゲーム(Hart-Kurz,1983)を用いて考察する.本研究では,二院制における衆議院の優越を考慮し,再審議での投票力指数に対する割引因子が0.3167以上であれば自公連立が提携形成ゲームにおいて安定であることを示した.また,他の安定な連立の考察を通じて,公明党が自公連立を堅持する誘因があるという知見を得た.さらに,2005年の郵政民営化法案を巡る衆議院解散についても同様の分析を行い,当時,特定の法案の成立を目指しており,かつ再審議での投票力指数が大きくなかったことが,解散に踏み切った要因である可能性を示した.
著者
奥 和之 沢谷 郁夫 茶円 博人 福田 恵温 栗本 雅司
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.381-384, 1998-06-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
22
被引用文献数
12 15

トレハロースを含むとされる天然食品及び発酵食品中のトレハロース含量について,ガスクロマトグラフィーにより分析を行った.1) トレハロースはキノコ類,パン酵母に比較的多く含まれており,固形物当たりのトレハロース含量は,キノコ類で10~23%,パン酵母で7~11%であった.2) トレハロースは,酒類(日本酒,ビール,ワイン),味醂,大豆製品,エビ類に,海藻類ではモズク,ヒジキに検出され,各々のトレハロース含量は,30~240ppm,260 ppm, 5~150ppm, 5~5000ppm, 4ppm, 2700ppmであった.以上の結果より,トレハロースは,キノコ類,酵母類に多く含まれていたが,その他の食品にも幅広く含まれており,トレハロースは,日常的な食事において広く摂取されている糖質であると推察される.
著者
相馬 雄輔 藤田 淳 遠山 周吾 金澤 英明 福田 恵一
出版者
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
雑誌
Cardiovascular Anesthesia (ISSN:13429132)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.3-7, 2020-08-01 (Released:2020-09-10)
参考文献数
12

我々はiPS細胞を用いてヒト再生心室筋細胞を作出することに成功した。また,細胞のエネルギー代謝の差を利用して未分化幹細胞と非心筋細胞を除去し,心筋細胞の純度を99%以上に精製する代謝的純化法を開発した。さらに,再生心筋細胞から微小心筋組織(心筋球)を作製し,特殊な心筋球移植デバイスを開発することで心筋球移植法を確立した。免疫不全動物を用いた心筋細胞移植の造腫瘍性試験ではiPS細胞由来心筋細胞による腫瘍形成は観察されなかった。これらの基礎研究の結果から臨床応用へと進む準備が整ってきたと考え,今後ヒトを対象とした臨床研究を予定している。本稿にて再生医療の現状と将来展望を解説する。
著者
阿賀 美穂 宮田 学 牛尾 知恵 吉實 知代 有安 利夫 新井 成之 太田 恒孝 福田 恵温
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.374-378, 2007-08-15
参考文献数
17
被引用文献数
1

トレハロースが口腔内細胞を酸やタバコなどの傷害物質から保護するかについて検討した.培養ヒト細胞粘膜モデルに酸またはタバコ煙成分と同時にトレハロースを添加し,傷害の程度を形態的または定量的に評価した.その結果,トレハロースには,酸またはタバコ煙成分による傷害から細胞を保護する作用があることが示された.これらのことより,のど飴等へのトレハロースの配合添加の有用性が示唆された.
著者
福田 恵美子 舛井 道晴 伊藤 暢彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.383, pp.23-26, 2007-12-06

検索連動型広告とは,検索エンジンに入力された語に関連する広告を配信する広告手法である。広告枠はオークションによって取引され,Yahoo!,Googleなどでは"一般化セカンドプライスオークション"(GSP)が採用されている。GSPは,誘因両立性をもつことで知られるヴィクレイ・クラーク・グローブス(VCG)メカニズムと似た構造を持つ。Edelman and Ostorovsky [1]では,GSPにおいては各入札者の入札と収益が安定しないことを示している。それに対し,VCGでは理論的にはそのような不安定性はない。また,Edelman et al. [2]では新たに局所的エンヴィ・フリー均衡を定義し,入札者の戦略を制限したGSPにおける均衡では,VCGにおける支配戦略均衡による収益以上となることを示した。これらの結果を受け,本稿では経済実験によりGSPとVCGの比較を行った。
著者
福田 恵一 小林 芳夫 半田 俊之介 吉川 勉 内田 博 中村 芳郎
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.1913-1918, 1989-09-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
7

Methicnlin耐性ブドウ球菌 (MRSA) による感染性心内膜炎と, これに伴う大動脈弁閉鎖不全症にCefmetazole (CMZ) とFosfomycin (FOM) の併用療法を行い根治し得た症例を経験した。被検出菌はin vitroにおいてもDisc法及び平板法によりCMZとFOMの相乗効果がみられた。MRSA感染症において感染性心内膜炎のような重症感染症に対してもCMZとFOMの併用が有用であつたとの報告はなく, 両者の併用が相乗効果を持つことが確認できた希有な症例と考えられ報告した。
著者
福田 恵子
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual60, no.Abstract, pp.213_1, 2022 (Released:2022-12-01)

近赤外光(NIRS:near-infrared spectroscopy)による脳機能計測において、皮膚血流を抑制するためのアルゴリズムとして深さ選択性フィルタが提案されている(1)。深さ選択性フィルタは、光強度変化が生じる要因が、生体組織内で血液量変化が生じる領域を皮膚血液量変化が生じる表層と脳血液量変化が生じる深層の2層のみと仮定して、生体の光学特性をモデル化して3次元解を求め、深層信号のみを抽出して光トポグラフィを再構築する方法である。本手法の適用時には表層信号の変化を選択的に検出するために光の照射・受光間距離の短い(SSD)信号を取得して補正に使用する。しかしながら、表層信号の抑制が過剰に作用し、対象信号が減衰する場合が存在する。この問題の解決ために、モデル化時の解析ボクセルの配置をシミュレーションにより検討した。表層に配置する解析ボクセルについてSSD信号の検出点直下(深さ2㎜)のボクセルを除外することにより、深層信号を減衰の弊害を低減できることを確認した。【参考文献】(1)藤井麻美子他,生体医工学,48(4)pp.383-395,2010.
著者
福田 恵子 後藤 真理
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.150-161, 2012-11-01 (Released:2017-11-17)

The purpose of this study was to investigate effective teaching methods for problem-solving in home economics of senior high school. For this purpose, home project employing problem-solving with practical reasoning was conducted, and the effectiveness of learning and incidence of employments of learning strategies was evaluated afterward. Our subjects were 220 students in a senior high school. Relationships among learning motives, mastery levels of tasks and learning strategy in the problem-solving were analyzed by the multiple regression analysis. The results were summarized as follows; (1) Before the home project, the cognitive strategies were mainly used, and they were improved among approximately 45% of students by the home project employing problem-solving with practical reasoning. This project improved the metacognitive strategies and the external resource strategies which were used among only 25-35% of students before the home project. (2) Multiple regression analysis suggested that the mastery level of task was elevated by increasing the cognitive motivation of attainment value which was elevated by ascending the metacognitive strategies. Learning strategy was increased by raising incidence of imitating strategies from another students and the mastery level of practice.
著者
福田 恵一 遠山 周吾 関 倫久 湯浅 慎介 下地 顕一郎 藤田 淳
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.7, pp.1287-1295, 2016-07-10 (Released:2017-07-10)
参考文献数
10

iPS(induced pluripotent stem)細胞の発見以来,再生医療への応用が期待されている.難治性重症心不全は心臓移植以外に根本治療がなく,新たな治療法の開発が待たれている.iPS細胞を用いた心臓の再生医療はこの10年で大きく進歩した.ゲノムを損傷せずに効率的に安全なiPS細胞を作出する技術,血清などの動物成分を含有しない培地でiPS細胞を大量増殖させる技術,効率的に心筋細胞を作出する技術,心筋細胞を純化精製する技術,効率的に心筋細胞を移植する技術やデバイスの開発などは大きく発展し,臨床応用直前の段階まで来ている.今後はこれらをフルに活用し,どのような症例に対していかに安全かつ有効な治療法になり得るかを検証し,育て上げていくかが問われている.
著者
白井 一幸 佐々木 徹 福田 恵介
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会年次大会講演予稿集 (ISSN:09191879)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.95-96, 1994

We developed an Input Signal Processing IC for MUSE-NTSC CONVERTER. It contains 8.1MHz LPF, ALC, and CLAMP circuits. We adopted a low cost PLL system, which made it possible to reduce the cost of Input Signal Processing unit.
著者
福田 恵津子 山本 真千子 玉腰 久美子 斉藤 由美子 赤松 曙子 高橋 宣光 飯沼 宏之 加藤 和三
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.99-103, 1999

人間ドック受診者におけるトレッドミル運動負荷試験施行例の5年間経過観察例について検討した。初回から陽性のまま変化しなかった例,経過中陽性に変化した例,初回から陰性のまま変化しなかった例の3群に分類した。虚血性心疾患発症の有無については,アンケート調査例も含め検討した。上記の3群については虚血性心疾患の発症は見られなかったが,アンケート調査例の中で,発症の回答が3例に見られた。
著者
吉澤 一巳 益田 律子 井上 哲夫 木本 陶子 福田 恵子
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.474-477, 2009-09-25 (Released:2011-09-01)
参考文献数
7

フェンタニル貼付剤を使用し,内服が困難であったがん性疼痛患者の突出痛の治療に,携帯型ディスポーザブル患者自己調節鎮痛 (patient-controlled analgesia:PCA)用注入ポンプを用いた間歇 PCAを行い,良好な効果を得たので報告する.間歇PCAによる1回ボーラス投与量は,フェンタニル1日量の5%のオピオイド換算量(モルヒネまたはフェンタニル)を,経静脈あるいは経皮下に投与した.ボーラス投与には,ケタミン(1-3 mg)を併用した.至適ボーラスのオピオイド用量は,痛みの強さ,鎮静度ならびに患者満足度により評価し,投与量を適宜増減して決定した.対象患者は16名で,フェンタニル貼付剤2.5-60 mg/72 hrを用いていた.間歇PCAの至適ボーラスのオピオイド換算用量は,フェンタニル貼付剤の1日量の平均5.8±1.9%(平均値±標準偏差)であった.以上の結果より,オピオイド鎮痛薬と少量ケタミンとの併用による間歇PCAは内服困難患者の突出痛の治療として有用であると考えられた.本法は患者満足度の向上,滴定投与による至適投与量決定にも大きく貢献した.