著者
郷田 賢 宮本 正一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.211-218, 2000-08-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
22
被引用文献数
9 16

This study examined the effect of the changes in facial expressions in different parts of the face on emotion recognition. Fiftytwo university students participated in the study. Seven emotions were selected as being the most suitable for categorization and expression: namely, anger, fear, surprise, disgust, sadness, happiness, and neutrality. Picture of these emotions were used to create stimulus materials, composed facial expressions were created by combining the upper and the lower parts of the pictures expressing different emotions. The participants were asked to categorize the type of emotion represented by each picture. The results showed that the upper area of the face was more often associated with anger, fear, surprise, and sadness. On the contrary, the lower area was more often associated with disgust and happiness. There were no significant differences between parts of the face associated with neutral emotions. Based on these results, we conclude that affected areas of the face differed as a function of emotion being experienced. Finally, the relationship of our results with Yamada's model (1993) was discussed.
著者
武田 弘 山口 亮 宮本 正道
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.55, 2004

今回新たに発見された集積岩ユークライト中に,小惑星ベスタのような原始惑星の地殻深部で形成されたと思われる転移ピジョン輝石が発見されたので、その鉱物学的研究を行い、固体惑星物質データベース画像中に類似の組織を探し、その形成過程を推論した。Asuka 980318試料は粗粒結晶質の隕石で、転移ピジョン輝石とCaに富む斜長石よりなる。その結晶化年代は45.6億年と古い。輝石は2_から_3mmの粗粒で、もとあったピジョン輝石の(001)方向に離溶した30ミクロンを越える厚さのオージャイト・ラメラ。このラメラの間には、転移した斜方輝石の(100)方向に配列したブレブス状のオージャイトが観察される。もとのピジョン輝石の粒界と、それより転移してできた斜方輝石の粒界は一致しない。このような組織を固体惑星物質データベースの画像に探した結果、同じく集積岩ユークライトのSerra de Mage (SdM) に見出されたものと非常によく似ている。その転移機構は、斜方輝石の核が形成され、それが成長する事で転移が進行し、もとのピジョン輝石の結晶粒界を超えて斜方輝石が大きく成長したと思われる。
著者
山田 幹雄 谷口 克也 奥村 充司 佐野 博昭 宮本 正規
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.714, pp.179-190, 2002-09-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
23

国内に点在する牡蠣養殖地では, 剥き身収獲後に発生する殻の野積み量と転用量との間に不均衡を生じている所も多くみられ, そのような産地では周辺環境の保全のみならず, 地場産業の振興を図る上からも殻の効率的な処理, 加工策の確立が急務の課題となっている. 本研究では能登半島七尾湾沿岸の養殖地を対象に, 破砕した牡蠣殻を現地のアスファルト舗装の路床構築に活用することを念頭に置いて, 実施工に先立つ室内試験および模擬路床の構築試験を行ったところ, 殻片混入の有無は安定材を添加して締固めた有機質粘土のCBRや強度発現過程に直接関与しないこと, 殻片を2割程度混入することで路床のトラフィカビリティは向上し, 併せて安定処理効果も大きくなるなどの結果が得られ, これより, 薄片状を呈する殻材であっても現道の路床改良工事に利用できる可能性は高いと判断した.
著者
川上 洋一 松村 泰志 笹井 浩介 安永 晋 稲田 紘 木内 貴弘 黒田 知宏 坂本 憲広 竹村 匡正 田中 博 玉川 裕夫 仲野 俊成 朴 勤植 平松 治彦 宮本 正喜
出版者
Japan Association for Medical Informatics
雑誌
医療情報学 = Japan journal of medical informatics (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.421-429, 2006-06-20
参考文献数
8
被引用文献数
3

近年,セマンティックウェブ技術を医療支援に応用するための技術が注目されている.本研究では,過去の画像診断レポートから抽出された症例データをエレメント化し,RDF(Resource Description Framework)で関連づけた症例データベースから支援情報を提供することができるシステムの実現可能性を見極めることを目的とした.<br/> 兵庫医科大学病院のMRIにおける脳血管障害のレポートを利用し,部位や基本所見,診断といったデータエレメントを抽出し,それぞれのデータエレメントを関連付けて症例データベースを構築した.その症例データベースから読影するレポートに応じた支援情報を適切に提供できるかについて過去のレポートから推定した結果,作成できるレポートの範囲およびレスポンスについて概ね満足できる見込みを得た.また構造化したデータモデルが胸部CRにも応用できることを大阪大学医学部附属病院のレポートから推定した.
著者
小沼 邦男 野崎 外茂次 北谷 秀樹 川中 武司 宮本 正俊 梶本 照穂
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.223-231, 1984-02-20 (Released:2017-01-01)

Case 1. A full term male infant was admitted on the day of birth with an associated omphalocele, spina bifida, extrophy of the bladder, imperforate anus and cecal fistula. 3 months after birth, a colostomy was created at the perineal portion. At 3 years of age, the patient underwent a total cystectomy and ileocutaneous ureterostomy. This 7 years old boy is now healthy and is leading active life. Case 2. A premature male infant was admitted on the day of his birth with an omphalocele, extrophy of the bladder, imperforate anus and cecal fistula. An intravenous pyelogram revealed bilateral double pelvis and double ureter. 4 months after birth, a colostomy was created at the perineal portion. At 2 years of age, an ileocutaneous ureterostomy was created at the left lower abdomen. This patient is now 5 years old and is healthy and active. The use of extrophied colon is contributory for the success. Colostomy was created at the perineum, in spite of all the defect of muscles in that place. Iliac osteotomies are not necessary in order to close the abdominal wall. It may be stressed that successful surgical management was achieved by employment of staged procedure.
著者
上野 香奈 美濃口 健治 河野 泰郎 小田 成人 和田 記代子 宮本 正秀 横江 琢也 橋本 直方 美濃口 秀子 田中 明彦 國分 二三男 足立 満
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.565-570, 2002-07-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
21
被引用文献数
1

アレルギー性鼻炎は,気管支喘息の増悪要因であることが示唆されている.そこで今回,スギ花粉症が成人気管支喘息におよぼす影響について検討した.当科外来通院中の成人気管支喘息患者333名中116名(34.8%)にスギ花粉症が合併していた.スギ花粉飛散期に喘鳴,呼吸困難,咳嗽,喀痰などの喘息症状が悪化するかを問診したところ,スギ花粉症を合併している116名の成人気管支喘息患者のうち41名(35.3%)の患者が,何らかの喘息症状が増悪すると回答した.喘息症状が悪化すると回答した41名中13名(スギ花粉症合併気管支喘息患者の11.2%)の患者は実際にスギ花粉症状出現後,朝のピークフロー値がスギ花粉飛散前と比較して平均10%以上(平均56.2L/min)低下した.スギ抗原特異的IgE値やヒスタミンに対する気道過敏性は,スギ花粉飛散期に喘息症状が増悪する群としない群との間に有意差は認められなかった.以上より,一部の成人気管支喘息患者では,スギ花粉飛散期に気流制限が認められることから,スギ花粉症は気管支喘息の増悪要因の一つであることが示唆された.
著者
鳥海 淳 三河内 岳 宮本 正道
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
日本鉱物学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.146, 2003 (Released:2004-07-26)

サハラ砂漠では近年大量の隕石が発見されているが、その中には火星隕石や月隕石といった珍しい種類の隕石が比較的多く含まれているのが特徴である。本研究では、このような最近新しく見つかった隕石の1つで、外観的特徴から月隕石の可能性があるものを分析・分類した。さらに、その鉱物学的・岩石学的特徴から、この隕石の起源、および他の隕石との関係について考察を行った。 この隕石はミリメートルサイズの岩片とそれよりやや小さい鉱物破片が黒灰色の石基に埋まっている角レキ化した組織を示し、主要構成鉱物は斜長石、輝石、カンラン石である。岩片には、いくつかの種類のものが見られるが、特徴的なものとしては、オフィティックな玄武岩質のものやインターサータルな組織を示すもの(インパクトメルト)が含まれる。輝石の組成は、非常に幅広く、En81Fs16Wo3からEn2Fs78Wo20を経由して、En34Fs34Wo32に及んでいる。特に、オフィティックな玄武岩質の岩片中に見られる輝石は著しい化学的ゾーニングを示している。輝石のFe/Mn(重量%比)は、60から70である。カンラン石の組成は、Fa14からFa61の範囲であるが、大部分のものは、Fa16-40である。斜長石は、An成分に富んでおり、An91からAn98となっている。他に少量であるが、アパタイト、シリカ、鉄ニッケルのメタルなども含まれている。また、その他の鉱物学的特徴としては、輝石中に幅最大数マイクロメートルの離溶ラメラが観察された。 以上の鉱物学的・岩石学的研究の結果(特に輝石のFe/Mn比より)、この隕石は月起源だと考えられ、しかも月の高地の部分の物質と海の部分の物質の両方を含んでいることが分かった。分類としては、月起源角レキ岩である。また、他の月隕石との比較の結果によると、この隕石はYamato793274/981031、EET87521/96008、QUE94281と最もよく似ており、同じ月の部分からきた可能性がある。しかし、これらは、いずれも南極隕石であり、この隕石と地球への落下がペアとは考えられない。また、その他のサハラ砂漠産の月隕石に、この隕石とペアととなるものもこれまで見つかっていない。この隕石はまだ正式名が付いていないために、現在その作業を進めているところである。
著者
宮本 正一
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.35-43, 1989

1. 本研究は選択反応課題の作業遂行過程において, 観察者の存在が被験者の作業成績, 自己評価反応, そして心拍数にいかなる影響を及ぼすかを検討しようとするものである。<BR>2. 大学生36名が, 前半・後半とも一人で課題を遂行する単独群と, 後半だけは一人の観察者が存在する条件下で課題を行う被観察群とにランダムに分けられた。<BR>3. 課題は漢字1文字と数字1文字との対を5組記憶し, ある遅延時間後に, 呈示された漢字に対する数字を答えるという, 選択反応課題である。選択反応をした後, 被験者は自分の反応に対して「正解」あるいは「マチガイ」いずれかの自己評価をするように求められた。<BR>4. その結果, 観察者の存在は作業成績, 「正解」と自己報酬的に自己評価する比率などには影響を与えなかったが, 自己評価, 特に「正解」と自己評価する時の反応潜時を長くさせた。また瞬時心拍数が実験の進行とともに低下するのを抑制した。<BR>5. これらの結果は社会的促進の動因理論と情報処理自己呈示モデルから考察された。
著者
宮本 正一
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.69-77, 1987

1. 本研究は遅延選択反応課題の作業遂行過程において, 観察者の存在が被験者の自己呈示行動にいかなる影響を及ぼすかを検討しようとするものである。<BR>2. 大学生67名が, 前半・後半とも一人で課題を遂行する単独群と, 後半だけは一人の観察者が存在する条件下で課題を行なう被観察群とに分けられた。<BR>3. 課題は漢字1文字と数字1文字との対を4組記憶し, ある遅延時間後に, 呈示された漢字に対する数字を答えるという, 遅延選択反応課題である。選択反応後, 被験者は自分の反応に対する自信度を表明し, さらに反応の正誤をCRT上に表示するかどうかの選択をせまられた。<BR>4. その結果, 観察者の存在は正反応数などには影響を与えなかったが, 自信度の回答時間を長くさせた。また公的自意識傾向を低下させた。<BR>5. これらの結果は社会的促進の動因理論と情報処理自己呈示モデルから考察され, 公的自意識得点の低下は積極的自己呈示の技巧から解釈された。
著者
宮本 正一 小川 暢也 三隅 二不二
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.99-104, 1973-12-30 (Released:2010-11-26)
参考文献数
16

本研究は回避反応の習得と消去におよぼす社会的条件刺激の有効性を実証するために行なわれた. 社会的条件刺激はグリッド越しのとなりの部屋で他のラットに電気ショックを与えることにより作り出された, 恐怖反応である. 従来の手続きによるBuzzer群と比較した結果, 次のことが明らかになった.1. 習得基準までの試行数, その間の回避反応数の2測度には2群間の差がみられず, 反応潜時だけはSocial群がBuzzer群より短い傾向が認められた.2. 消去に関しては, 基準までの試行数, CR数, 反応潜時の3測度でいずれにも2群間に顕著な差が認められ, Social群の消去抵抗がBuzzer群より著しく大きかった.これらの結果は代理経験と社会的刺激のもつ複雑性の2つの観点から考察された.
著者
宮本 正和
出版者
英米文化学会
雑誌
英米文化 (ISSN:09173536)
巻号頁・発行日
no.21, pp.75-87, 1991-06-01

In the Middle Ages " a fool's glass" was used as a tool for self-reflection. Shakespeare handled it skillfully in his works. In A Midsummer night's Dream, that skill is found in the way which is quite immature. Let us look at that handling of the fool's glass in some other works before we search that skill in " A Midsummer night's Dream." And Comparing the result of our discussing with it, we conclude it as follows : Shakespeare uses a fool's glass as the means which can pass into another world. In Hamlet that another world is the world of Death. And when the gap of time arises, the gate between two worlds is opened. In Macbeth wWeird Sisters come into our world from their supernatural world. They place the gate and make it open like this. "When shall we three meet again?" In Hamlet the fool's glass is Ophelia's eyes. Hamlet can enter into another world-death world-through her eyes. Hamlet can enter into another world-death world-through her eyes. His reflected figure on her eyes is his own another self. the name of Hamlet means "fool". When he gazes his own figure, he gazes his foolish self. His father's name is Hamlet. dead Yorick he speaks to was once a court fool. ophelia's pupils are a fool's glass and function as the passing gate of some supernatural existance. In " A Midsummer Night's Dream", we can observe the immature origin of those elements. Through the hole of Wall, Pyramus and Thisby meet each other. they are fools. But they are not those who appear in Shakespeare's later works. They are not educated, so they appear to be foolish in the eye of Theseus Hippolyta and us. Their foolishness is not so serious, compared with that of Hamlet. Bottom's group think themselves as great actors, so they are foolish. The audience notice them foolish, but Bottom's group don't and never try to notice it. Hamlet asks himself what he and torments himself. So the foolishness of Bottom's group is more supericial. In Macbeth, Weird Sisters enter on the stage by using a placed time, When we search A Midsummer Night's Dream, we find the same situation, but in this play, the word "when" equals "if". The definite word of time becomes more vague and fantastic. And such a fantastic and vague word "if" introduces supernatural element into the stage. And so the hole of Wall opens, as Birnam wood moves.In this way, we observe the beginning of using a fool's glass in A Mid summer Night's Dream.