- 著者
-
小川 正賢
- 出版者
- 一般社団法人 日本科学教育学会
- 雑誌
- 日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.2, pp.105-110, 2012 (Released:2018-04-07)
- 参考文献数
- 16
理工系博士号取得者の未就労問題は日本でも大きな課題となっており,政府,大学,研究機関,研究資金提供機関等も各種の方策を考案・実施してきているが,目にみえる成果は得られていない.それとは対照的に,博士号取得者の就労が問題化していない国もある.フィンランドはその一例である.本事例研究の目的は,フィンランドでは博士号取得者の就労問題に関していかなる方策が立てられているのか,その特徴を解明することにある.2012年初夏に実施したフィンランドの2大学への訪問調査と,文献資料の分析を行った.主な知見は,博士教育の当事者たち(教授,プログラム・コーディネータ,大学院生,大学管理者,政府担当者,開発公社担当者)が「就業スキル(転移可能なスキル)開発」を大学院教育の重要な要素として認識しそれを導入しはじめていることである.