著者
小川 正幹 ユルム マルコ 米澤 拓郎 中澤 仁 徳田 英幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.38, pp.199-206, 2013-05-16

近年,ディスプレイの低価格化や,デジタルサイネージをはじめとする電子コンテンツへの関心の増加により,公共ディスプレイが普及して来た.それにともない,ユーザからの入力によってニーズに応じた情報を提供するインタラクティブな公共ディスプレイも登場して来た.現在インタラクティブな公共ディスプレイの持つ課題の一つとして,ディスプレイがユーザに対して有益である事を,ユーザへ伝える事が難しいという点が挙げられる.この間題を解決する事により,インタラクティブな公共ディスプレイへの関心や,利用頻度の向上が達成されると考えられる.本稿では,時間と場所を限定することでユーザに特別感を与える公共ディスプレイとのインタラクションモデルを提案する.その一例として,その時その場所にいた人々だけに配布され,かつその人だけが利用可能なクーポン配信アプリケーションを構築し評価実験を行い,本研究で提案したインタラクションモデルの有用性を示した.
著者
上原 年博 真島 恵吾 小川 正一郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.1522-1528, 1995-11-20
被引用文献数
8

磁気記録では, 記録過程において非線形歪みが発生する.この非線形歪みは, 記録信号のパターンに応じて, 磁化遷移点の位置がシフトする位相歪みと磁化遷移点の磁化量が変化する振幅歪みに分けることができる.この非線形歪みは, ディジタル記録において誤り率を劣化させる一要因になっており, この定量的な測定と解析が重要な課題となっている.本論文では, まず非線形磁化遷移点シフト量を記録再生系のダイパルス応答から正確に求めることができる新しい測定法を提案する.次に, この測定法を用いてMPテープとCoアモルファスヘッドを組合せて, 記録電流の振幅レベル, 最短符号反転長, 記録電流の低域抑圧度を変化させたときの非線形磁化遷移点シフト量を測定した.その結果, 非線形磁化遷移点シフトは, 最適記録電流の50%以上で現れ増加すること, 直前の磁化遷移点までの距離が0.5μm以下で増加すること, 非線形磁化遷移点シフト量を最小とする記録電流の低域抑圧度が存在することがわかった.
著者
小川 正巳 太田 保夫
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.499-505, 1973-12-30
被引用文献数
1

This investigation was conducted on rice seedlings to elucidate the plant growth-regulating properties of 3-hydroxy-5-methyl isoxazole which is an effective fungicide against the damping-off organism of rice seedlings. The results obtained are summarized as follows: 1) The promotion of root growth by 3-hydroxy-5-methyl isoxazole was assumed to be mediated by its metabolite (N-β-glucoside) in plants. 2) The formation and development of lateral roots and root hairs were accelerated in the early seedling stage. The root growth was vigorously promoted by 3-hydroxy-5-methyl isoxazole in the later seedling stage. 3) The rooting ability and root activity (oxidizing or reducing activity of roots) were enhanced by 3-hydroxy-5-methyl isoxazole.
著者
金 哲鎬 藤井 衛 品川 恭一 伊集院 博 高田 徹 松下 克也 小川 正宏
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.195-205, 2012 (Released:2012-03-28)
参考文献数
22
被引用文献数
4 2 3

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により,戸建住宅における地盤の液状化に対する対策工法の必要性が社会的に高まりつつある。本論文では,これからの液状化対策のために,液状化の被害を受けた戸建住宅の宅地地盤に焦点を絞り,86地点のスウェーデン式サウンディング試験や三成分コーン(CPT)試験結果をもとに既存の液状化評価手法の検証を行った。また,160件の液状化被害を受けた事例をもとに,地盤補強を実施した戸建住宅の傾斜の状況や傾斜角と補修方法との関連性を整理した。以上の結果をもとに,液状化が生ずるような地盤における適切な地盤補強工法についてその設計の考え方を示した。
著者
小川 正巳 猪谷 富雄
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.87, no.11, pp.1084-1089, 2012-11
著者
小川 正
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010

ヒトや動物は未知の藁境下にあっても、「環境とのコミュニケーション」によって、生存するための「新しい知識」を確立することができる。例えば、初めて遭遇した未知の森で、さまざまな色の木の実を食べたとき、「赤色の実は美味しかったが、他の色の実は不味かった」という試行錯誤的な経験を繰り返せば、「赤い色→美味しい」という新しい知識を獲得して、最初から赤い木の実を探すようになるだろう。このような柔軟な適応的行動の形成は、(1)「環境との試行錯誤的なコミュニケーション(刺激情報-行動選択-結果)を繰り返すことによって、問題解決のための新しい知識を見つける過程(試行錯誤による探索)」から、(2)「明示的に新しい知識を学習したあと、知識にもとづいて問題解決する過程(知識ベースによる探索)」への遷移と見なすことができる。我々は「試行錯誤を伴った視覚探索課題」を開発することによって、試行錯誤による探索をサルに繰返し行わせることに成功した。前頭前野(背外側部)のニューロン活動は、現在遂行している探索方略の状態(試行錯誤探索or知識ベース探索)と、方略変換を行うべきタイミングを表現していた。さらに注目すべきことに、方略変換のタイミングを正しく見つけるために前頭前野ニューロンは,エラーが生じた要因によってエラーを「複数のエラータイプ」に区別し、その後の探索方略を決定していた。先行研究において、このような複数のエラータイプとそれにリンクした方略変換の神経機構は報告されていない。なお、研究成果の一部を英文雑誌で公表した(Fulimto et al. Robotics and Autonomous Systems, 2012)。
著者
笹森 崇行 澤谷 邦男 安達 三郎 村井 泰仁 小川 正浩 井口 勝弘 西山 光生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.645-652, 1999-04-25
被引用文献数
12 3

架空送電線の工事や保守作業を行うときには, 感電事故を防ぐために作業回線の送電を停止するとともに, 商用周波数の誘導電流による感電対策のために電線を鉄塔に接地する. しかしながら, このような接地による誘導対策を行ってもラジオやテレビの放送所の近傍にある送電線では, 送電線上に大きな誘導電流が流れる場合があることが, 以前から指摘されてきた. そのために, 放送所近傍の送電線については放送が行われていない深夜などに作業を行うのが実状であった. しかしながら, このように送電線に放送波が強く誘導される場所は極めてまれであるために, 放送波による誘導現象を詳しく研究した例は現在までになかった. 本論文では, 放送波による大きな誘導電界が発生する場所を取り上げ, 誘導現象をモーメント法によって解析する. まず, 誘導電界の周波数特性を求め, 送電設備が多くの周波数で共振していることを示す. つぎに, 四つの共振周波数において, 地線を含む各送電線上を流れる誘導電流を求めることにより, 送電設備の共振構造を明らかにする. また, 放送波による誘導が発生する送電線の場所を予測する方法について考察する.
著者
小川 正広
出版者
京都大学文学部西洋古典研究室
雑誌
西洋古典論集 (ISSN:02897113)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.41-66, 1980-03-20

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
草原 和博 棚橋 健治 溝口 和宏 桑原 敏典 鴛原 進 橋本 康弘 山田 秀和 渡部 竜也 藤本 将人 田中 伸 田口 紘子 後藤 賢次郎 小川 正人 川口 広美
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,社会科教育研究の日米比較を通して,それぞれの学界で確立されてきた研究方法論を抽出し,再構成することで,国際的な研究交流にたえうる「研究法ハンドブック」を開発しようとした。米国の研究者を招いたシンポジウムでの討論と聞き取り調査,ならびに文献調査を踏まえて,効果が期待される以下3つの方法論を導出し,論文作成の手続きを定式化することができた。(1)規範的・原理的な提言(2)実験的・実践的な開発(3)実証的・経験的な研究。
著者
後藤 香織 野村 孝路 小川 正行
出版者
日本水泳・水中運動学会
雑誌
水泳水中運動科学 (ISSN:18806937)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.23-30, 2007 (Released:2008-05-24)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

Physical strength and performance test (PSPT) results for elite junior divers selected annually in the diving competition finals of the National Junior High School Selection Swim Meets (1998∼2005) were studied. It was found that the relationship between the PSPT results and the competition scores compared from the viewpoint of the annual results were as follows: the PSPT results for both genders indicated gradual improvements among male and female springboard divers, and male and female platform divers (ANOVA: p<0.05). The competition scores for springboard diving also indicated gradual improvements as mentioned above. Various athletic abilities, such as the flexibility of the shoulder joints, body tucks, etc., and especially muscular strength were improved during the PSPT. It was recognized that this unique improvement in the PSPT and competition scores have been achieved by using newly developed training systems.
著者
小川 正人
出版者
道立アイヌ民族文化研究セン
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題は、近現代日本のアイヌ教育史の中でも、〈アイヌ政策〉が可視的だった1930年代以前とアイヌ民族の権利回復・伝統文化の再評価が唱えられるようになった1960年代末以降との"狭間"に当たり、「アイヌ」という言葉すらタブーとされることが多かった1940~50年代を対象として、この時期の教員や地域のアイヌによる取組や活動をあらためて調査し、当時のアイヌと教育に関わる様々な問題の実態を明らかにすることを目的とした。具体的な作業と成果は次のとおりである。(1)先ず北海道大学附属図書館、北海道立図書館、北海道教育大学附属図書館等において、当該時期の教育行政関係文書、教育雑誌、教職員組合関係文献等を調査し、本研究課題に関わる記録資料の所在に関する予備的確認を行った。(4月~6月)(2)その結果を踏まえ、道内各地域での関係資料調査を順次実施したほか、全国的な教育行政・教育研究組織等の動向を掴むため東京都での資料調査、早くからアイヌの教育問題に関心を持ち人的な交流も確認できる被差別部落地域における情報を収集するため京都、奈良、大阪での資料調査を実施した。(7月~12月)(3)並行して、収集した情報のデータベース(文献目録)化を実施。10月に開催された教育史学会第57回大会での口頭研究発表にその成果の一部を援用した。(4)12月以降は補充調査を実施しつつ、収集した情報の整理・分析作業を継続した。(5)以上の作業を通して、確認できた当該時期の関係資料は、数としては前後の時期に比べきわめて乏しい。しかも、タイトルに「単級複式学校」「地域の低所得者層」「非行等の語のみを記したものが目立つ。予て指摘されてきた"見えない問題"とされていた時期だとする把握は、現象としては確かにその通りである。しかしこれらの記録には、地域のアイヌ児童の問題と取組む教職員や、自ら教育研究団体の場で発言するアイヌの存在が確認できる。そして、これらの人々による、問題の所在と打開の方策を模索する営みは、その困難さに行き当たれは当たるほどに、人々自身の意図を超えて、アイヌ児童を取り巻く諸問題が、「貧困」「僻地」「階層」だけではない淵源―先住者ゆえに抱えさせられてきたもの―を持つことを暗示している、というのが筆者の仮説的な結論である。本研究により筆者は、「アイヌ=先住民族」という理解が与件ではない時期に、実態との不断の取り組みによって、その問題が"予感"されたことが重要ではないかと考えるに至った。本研究の成果については、2014年10月に開催される教育史学会大会にて改めて発表する予定である。
著者
小川 正廣 OGAWA Masahiro
出版者
名古屋大学文学部
雑誌
名古屋大学文学部研究論集 (ISSN:04694716)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.1-24, 2008-03-31 (Released:2008-10-01)

Virgil is the most important classical author for the creation of Dante’s Divine Comedy. The present paper discusses how this ancient poet is treated in the poem and why the Comedy can be regarded as an epic rather than a “commedia”, which was the original title of the work and probably means a story with a happy ending. Although Virgil is paid the deepest respect as Dante’s master and guide in the Comedy, his limitations are repeatedly shown mainly in theological matters. In particular he lacks in deep understanding of human sin and Christian salvation, so that he is to disappear before Beatrice who can fully purify Dante’s soul and lead him through the paradise. In respect of natural virtues and human intellectual power, however, he is so excellent that his guidance through the underworld, successfully finished, represents a fortunate union of the classical humanism and the medieval Christianity. But there is another aspect of Virgil: the great spirit who stands for Limbo. In Dante’s hell this special place contains, besides the traditional residents of pious Jews before Christ and unbaptized children, the various pagan poets and philosophers who, despite their outstanding human achievements and their being innocent except for original sin, will not be given divine grace for ever. Why cannot those best pagans be saved? The question is put in Paradiso but remains mysteriously unanswered. Thus Dante casts a doubt on the Christian doctrine, while depicting the supreme bliss of his alter ego elevated to the vision of God. It is because of this unprejudiced view of human conditions that the Comedy should be ranked along with classical epic poetry and still has great spiritual value for us today.
著者
興野悠太郎 小川正幹 米澤拓郎 中澤仁 徳田英幸
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2013-UBI-38, no.48, pp.1-2, 2013-05-09

近年,スクリーン以外を対象として映像を投影するプロジェクションマッピングが盛んとなっている.しかし,現在のプロジェクションマッピングでは,静的な物体に対して投影されているものがほとんどで,移動している物体や形が変わる対象に投影する場合,あらかじめ複雑なキャリブレーションが必要な事から,あまり取り組まれていない.しかし,これらの物体に投影する事で,よりダイナミックで演出効果の高い表現を実現できると考えられる.本研究では,動的かつ不定形の物体に対し,事前のキャリブレーションを必要とすることなく,対象の状況を動的に判別し,投影を可能とする手法を実現する.
著者
猪谷 富雄 小川 正巳
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.137-147, 2004-06-05
参考文献数
110
被引用文献数
6

赤米とは、糠層にタンニン系赤色色素を持つイネの種類であり、わが国においては日本型とインド型の2種の赤米が栽培されてきた。日本型の赤米は古くから日本に渡来し、7-8世紀には全国各地で栽培されたことが平城京跡などから出土する木簡から推測されている。14-15世紀には中国からインド型の赤米もわが国へ渡来し、「大唐米」などと呼ばれ、近世に至るまでかなりの規模で栽培されていた。早熟で不良環境や病害虫に強い大唐米は、最盛期の江戸時代には関東から北陸地方以西において広く栽培され、特に低湿地や新たに開発された新田などに適していた。明治時代に入るとこれらの赤米は徐々に駆除され、わが国の水田から姿を消す道を辿った。例外として、日本型の赤米の一部が神聖視され、神社の神田などで連綿と栽培されてきたもの、雑草化して栽培品種に混生してきたものなどがある。約20年前から、赤米は小規模ながら栽培が復活し、日本各地で歴史や環境を考える教育や地域起こしの素材として利用されている。また、赤米は抗酸化活性を持つポリフェノールを含むこ機能性食品としても注目されている。わが国における赤まい栽培の歴史と赤米を取り巻く最近の研究状況などについて、以下の順に概要を述べる。(1)赤米を含む有色米の定義と分類、(2)赤米の赤色系色素、(3)赤米の栽培の歴史、(4)残存した赤米、(5)赤米など有色米が有する新機能、(6)赤米の育種などに関する最近の情勢。