著者
小松 孝徳 鈴木 健太郎 植田 一博 開 一夫 岡 夏樹
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.121-138, 2003-03-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
21
被引用文献数
3

The effects of the speaker's adjustment of the teaching strategy and the use of paralanguage information of speech to acquire its meaning were clarified by means of experiment: In the experiments, two subjects played a game of Pong: one of the subjects (operator) could not understand linguistically what the other one (teacher) was saying. The results of these experiments revealed the following. First, the teacher's high-pitched voice drew attention of the operator's current action. Second, the process of meaning acquisition can be regarded as reinforcement learning based on a multi-reward system (i.e., a positive reward for correct actions and a negative reward for incorrect actions, given in the form of the teacher's high-pitched voice). Finally, mutual adaptation between the subjects was observed, that is, the subjects learned to respond appropriately to each other's behavior. It is concluded that the above three phenomena are important to the process of meaning acquisition and can be viewed as the basic requirements to enable the acquisition of meaning of unknown speech, and to construct an adaptive sound interface, which can provide a natural interaction enviromnet for its user.
著者
平田 佐智子 小松 孝徳 中村 聡史 秋田 喜美 澤井 大樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.185, pp.1-6, 2013-08-16

オノマトペ(擬音語・擬態語)は表現力豊かな言葉であるとされており、その性質や応用可能性について明らかにされつつある。本研究は、オノマトペが言語コミュニケーションにおいて果たす役割を検討するため、地域によってオノマトペの使用頻度が異なるのか、またどのような人に対して用いられるのか、どのような伝達内容に対して用いられるのか、を調べるため全国規模の調査を行った。結果として、主観的な使用頻度には地域差は無いものの、オノマトペの地域差に対する根強い信念が存在すること、またオノマトペが親密性の高い間柄で用いられる点や、触覚や視覚情報を伝達する際に最も多く使用されることがわかった。
著者
小松 孝徳 森川 幸治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ICS, [知能と複雑系] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.71-78, 2004-10-28
参考文献数
7

円滑なコミュニケーションを行っている二者間には,自ら表出した情報が相手のそれに対して相互的に同調していく「引き込み現象」がよく観察される.そこで本研究では,人間が簡便に表出できる音声の「発話速度(話速)」に注目し,人間同士の対話状況において話速に関する引き込み現象が観察されるのか,また,インタラクションの相手が人工物となった場合で観察されるのかを確認する実験を行った.まず,人間同士の対話における話遠の引き込み現象の有無を観察するために,英会話の教材のような10種類の原稿を10人の被験者同士で交互に読みあっている際の話遠を計測した.その結果,録音された計90発話の約63%にあたる57発話において,相手の話速に自分の話速を合わせようという『話遠の引き込み現象』が観察された.続いて,あらかじめ録音された様々な話速の音声を再生する自動応答システムと被験者とが同様の対話文を読みあう実験を行った結果,27人の被験者の計243発話のうち約76%における186対話において,話速の引き込み現象が観察された.
著者
小松 孝徳 山田 誠ニ
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.79(2008-HCI-129), pp.35-42, 2008-07-31

著者らは,ユーザがインタラクション前のエージェントに対して予測した機能と,実際のエージェントとのインタラクションにてユーザが感じた機能との差を 「適応ギャップ」 として定義し,適応ギャップの値がユーザのインタラクションに対する様々な側面に与える影響について調査を行っている.本稿では,適応ギャップの値が,特にユーザの主観的な側面にどのような影響を与えているのかを実験的に調査し,その結果を考察した.
著者
中村 聡史 鈴木 正明 小松 孝徳
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.32-39, 2014-09-12

綺麗な文字を書くということに日本人の多くは興味を持っている.さて,綺麗な文字とはどのような文字だろうか?本研究では,人の手書き文字をフーリエ級数展開によって数式化し,その式の平均を計算することによって,平均的な文字を生成することを可能とした.また,その平均文字を利用した実験により,実際に書いた文字よりユーザの平均的な文字が高く評価されること,ユーザの平均文字より全体としての平均文字高く評価されることを明らかにした.さらに,ほとんどの人が自身の文字を高く評価する傾向があることも明らかにした.
著者
小松 孝徳 中村 聡史 鈴木 正明
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2014-HCI-159, no.7, pp.1-9, 2014-07-28

「ひらがなはカタカナよりも丸っこい」 ことを客観的に示すために,文字を平面曲線としてとらえた上でそれを数式化し,そこから抽出した曲率を用いて文字の丸さを表現する手法を提案した.この結果をもとに,文字における数式表現および曲率の利用可能性をいくつか提案し,その将来性について議論する.
著者
中村 聡史 鈴木 正明 小松 孝徳
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.2599-2609, 2016-12-15

綺麗な文字を書くということに日本人の多くは興味を持っていると考えられる.さて,綺麗な文字とはどのような文字だろうか?本研究では,人の手書き文字をフーリエ級数展開によって数式化し,その式の平均を計算することによって,平均的な文字を生成することを可能とした.また,その平均文字を利用した実験により,実際に書いた文字よりユーザの平均的な文字が高く評価されること,ユーザの平均文字より全体としての平均文字が高く評価されることを明らかにした.さらに,ほとんどの人が自身の文字を高く評価する傾向があることも明らかにした.Almost Japanese are interested in handwriting beautiful characters. Here, what is beautiful handwritten character? In this paper, we proposed a method to generate average handwritten characters by using Fourier series expansion. Then, an experimental test showed that user's average characters are more beautiful than user's handwritten characters. Another test showed that average characters of users are more beautiful than each user's average characters and that almost all users evaluate own average characters highly.
著者
小松 孝徳 九鬼 望
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

筆者らの先行研究において,あるタスクに従事しているユーザに対して,エージェントがしりとりにと誘った場合,そのエージェントがCGの場合よりもロボットであった場合の方が,しりとりに応じる割合が有意に高いことが明らかになった.そこで本研究では,エージェントがCGであった場合でもユーザがしりとりに応じる要因として,ロボットとのインタラクション経験およびキャラクタ設定の有無に注目し,その影響を考察した.
著者
小松 孝徳 山田 誠二
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.500-512, 2008-08-15 (Released:2008-11-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究では,ユーザに対して特定の態度を想起させるような人工音を,それぞれ異なる外見を持つエージェントから表出させて,実際のユーザがそれらの人工音にこめられた態度をどのように解釈するのかを実験的に考察した.その結果,たとえ同じ人工音であってもその情報を表出するエージェントの外見が異なると,その人工音が必ずしも同じ意味として解釈されないことが明らかになった.具体的には,予備実験で選定した被験者に対して特定の態度を想起することができる8種類の人工音をMindStorms,AIBOといったエージェントから表出した場合,その態度一致率は,PCからの表出に比べて有意に低くなることがわかった.この結果は,同じ情報であっても外見の異なるエージェントからそれらを表出することで,異なる意味として解釈されてしまうことを明確に示していた.また,ポジティブ/ネガティブといった態度をユーザに解釈させる場合,1).エージェントの外見から予期できるような情報を用いた上で,2).その情報に対して「自然なエネルギーの流れから逸脱させるか否か」という属性を付与する,という二点を満たすことが重要だと考えられた.
著者
小林 一樹 船越 孝太郎 小松 孝徳 山田 誠二 中野 幹生
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.604-612, 2015-07-01 (Released:2015-05-21)
参考文献数
30
被引用文献数
2

In this paper, we describe an investigation into users' experiences of a simple talking robot with back-channel feedbacks that is designed based on an artificial subtle expression (ASE). In the experiments with participants, they are divided into six conditions based on an expression factor (three levels; human-like speech, blinking light, and beeping sound) and a timing decision method factor (two levels; a linguistic method and an acoustic method) for investigating participants' impressions on the dialogue experience. We developed an electric pedestal to show the blinking expression, on which a simple cubic robot was fixed. Participants engaged in a task of explaining a cooking procedure with a spoken dialogue system coupled with the robot on the pedestal. The robots responded to them by making the back-channel feedbacks in accordance with the expression factor. The results of questionnaire analyses suggested that the ASE-based expressions of back-channel feedback provide positive experiences for users.
著者
小松 孝徳
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,「単一モダリティでシンプルに構成され,コミュニケーションにおける主たるプロトコルに干渉することなくエージェントの内部状態を直感的にかつ正確にユーザに伝達できる表現」を ASE と定義した.その必要十分条件は「シンプル」「補完的」という設計的要件および「直感的」「正確」という機能的要件の二種類に分けられる.そこで,ユーザに情報を発信するロボットに「シンプル」「補完的」という二つの設計的要件を満たした人工音を実装し,その人工音に関する事前知識を持たないユーザによりその意図が「直感的」「正確」に解釈されていたのか,つまり機能的要件が満たされていたのかを実験的に検証した.具体的には,実装した人工音がエージェントの内部状態をユーザに直感的かつ正確に伝達できることを検証し,この人工音が ASE の必要十分条件を満たす一つの実例であることを示した.
著者
秋田 純一 小松 孝徳
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

画像システムを構成する画素構造に着目し、その中で受光素子や発光領域など実質的に画像を構成する「有効領域」の画素内の位置が異なる4種類の画素を、順序を乱数で決定して配置することで得られる「擬似的不規則画素配置」が、カメラやディスプレイにおける見た目のきれいさの向上や、あるいは同じきれいさを少ない画素数で得られることが示された。これにより、同じ画素数であればよりきれいな、あるいは少ない画素数で同じきれいさをもつカメラやディスプレイを実現することができる。
著者
寺島 宏紀 小松 孝徳
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

オノマトペの特徴的な使用法として,対象をうまく言語化して表現できない時に,そのモヤモヤとしたイメージがオノマトペに込められていると言われている.そこで本研究ではユーザがオノマトペに込めたイメージを数値化し抽出し,画像中の所望の対象にエフェクトとして反映させるようなドローイングツールを提案する.
著者
平田 佐智子 秋田 喜美 小松 孝徳 中村 聡史 藤井 弘樹 澤井 大樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

オノマトペ(擬音語・擬態語)は文学作品のみならず、漫画や商品の宣伝などに幅広く使用される。その一方で、話し言葉におけるオノマトペ使用頻度は地域や状況によって異なり、特に近畿・東北圏の使用頻度が高いという指摘がなされている。そこで、本研究では一般的に信じられている「近畿や東北の人は会話におけるオノマトペ使用頻度が高い」という信念が実際に存在するのか、またその信念が生じる起因を探ることを目的とする。
著者
山田 誠二 小松 孝徳
出版者
国立情報学研究所
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

主に家庭内での利用を想定して設計されたロボットエージェントは,人間との協調作業において,自分の状態を人間に簡潔かつ明確に伝える必要がある.そのようなロボットの態度表出において,ロボットの「外見」と表出される「表現」の関係を実験的に解明することが,本研究の目的であった.この関係に対する我々の仮説は,最も有益で基本的な態度のプリミティブである,正・負・中立のような基本的な態度の表出では,動物や人間に類似した外見と行動による表出は不要で,動物や人間の外見とはかけはなれたエージェントによる,単純かつ直観的でささいな表出(subtleexpressions)の方が効果的であるというものである.この仮説が成り立てば,ある種の態度表出においては,エージェントの外見を動物や人間に近づけるために無駄に多大なコストをかけることなく態度をユーザに理解させることが可能となり,エージェントと人間との自然なインタラクションを効率的かつ容易に実現できる.この仮説を広く一般的に成り立つことを理論的,あるいは実験的に示すのは現実には難しいが,我々は,ロロボットらしい外見のMindStromsが単純なビープ音を表出した場合とより複雑な犬に近い外見のAIBOが体の動きやLEDの点滅を組み合わせた複雑な表出をした場合について,どちらが基本的態度を人間により正確に伝えるかを比較する実験を計画,実行し,その結果その仮説が成り立つことを示した.
著者
加納 政芳 戸本 裕太郎 中村 剛士 小松 孝徳
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

本稿では,オノマトペが持つ音響的な特徴を用いて,オノマトペの類似関係を2 次元平面上に表現することを提案する.具体的には,ニューラルネットワークの恒等写像学習によって,多次元オノマトペ特徴を2次元に圧縮し,その空間内でのオノマトペの配置からオノマトペ間の類似性を判断・推測できるようにする.提案手法の有効性をアンケート調査によって確認した結果,「従来の辞書よりも理解しやすい」などの評価を得た.
著者
小松 孝徳 山田 誠二
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.232-240, 2009 (Released:2009-01-22)
参考文献数
14
被引用文献数
10 6

We describe an ``adaptation gap'' that indicates the differences between the functions of artificial agents users expect before starting their interactions and the functions they perceive after the interactions. We investigated the effects of this adaptation gap on users' impressions of the artificial agents because any variations in impressions before and after the start of an interaction determine whether the user feels that this agent is worth continuing an interaction. The results showed that the positive or negative signs of the adaptation gap and the subjective impression scores of the agents before the experiment affected the final users' impressions of the agents significantly.