著者
廣田 照幸 宮寺 晃夫 小玉 重夫 稲葉 振一郎 山口 毅 森 直人 仁平 典宏 佐久間 亜紀 平井 悠介 下司 晶 藤田 武志
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

教育システム設計の理論的基盤を確立するために、現代の教育理論、社会理論や政治哲学がどのように役立つのかを検討した。教育が果たす社会的機能を考えると、社会の多様な領域の制度との関わりを抜きにして教育システムを構想するのは問題をはらむということが明確になった。本研究では、社会のさまざまな領域の制度、特に福祉や労働の制度を支える諸原理と教育システムを構成する諸原理とを一貫した論理、または相補的な論理でつなぐ考察を行った。
著者
小玉 重夫
出版者
教育思想史学会
雑誌
近代教育フォーラム (ISSN:09196560)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.31-36, 2010

物語を、他者との出会いと共同作業のなかでの語り直しのプロセスとしてとらえる場合、重要なのは他者の性格とその位置である。そこには、了解可能な他者と了解不可能な他者という、二重の他者性があり、この両者の関係をどのようにとらえるかが問題となる。この問題は、他者の側からだけでなく、他者を了解、あるいは不了解する語りの当事者=主体の側からも、深められなければならない。この点について近年精力的な問題提起を行っているジュディス・バトラーの議論をふまえていえば、他者からの問いかけに対する応答を迫られることによって、物語る主体が脱中心化されるという視点は、他者の他者性を徹底させるうえで、重要なてがかりを提供する。
著者
小玉 重夫
出版者
日本教育政策学会
雑誌
日本教育政策学会年報
巻号頁・発行日
no.18, pp.8-17, 2011-07-15

During the post-war period the public education system in Japan had been considered to be clearly separated from the political system in two ways. First, education administration is separated from general administration in the name of the independence of education administration. Second, to secure the political neutrality of education educational practice by teachers had been considered not to be political. But these two assumptions have been gradually changed and reconsidered since the 1990s. It is at this point that politics of education is introduced. In this paper focusing on the post-Althusserian conception of ideology we try to capture the modern public education as a stake to which the political consequence of social reproduction is left. Following this conception school is not a neutral site which is independent of any political power, nor a political apparatus which contributes to predetermined social control. In this context the politics of education deals with both management and pedagogy, in other words, both school governance and school curriculum especially on citizenship.
著者
角松 生史 小田中 直樹 桑原 勇進 小玉 重夫 佐々木 弘通 進藤 兵 都築 幸恵 長谷川 貴彦 藤川 久昭 山本 顕治 横田 光平 世取山 洋介 DIMITRI Vanoverbeke 内野 美穂
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

1990年代後半以降のわが国の統治システムの構造的変容(「構造改革型」統治システム)を対象として、社会構成主義的方法を共通の立脚点とした学際的共同研究を行った。各年度毎に研究キーワードを設定して(2009年度「参加」、2010年度「責任」、2011年度「関係」)シンポジウム・共同研究会を開催した。「まちづくり」と市民参加、説明責任、教育基本法改正、歴史的記憶、裁判員制度、子どもの権利といったトピックについて、構造改革型統治システムのマクロ的・ミクロ的諸相が社会構成主義的観点から分析された。
著者
耳塚 寛明 牧野 カツコ 酒井 朗 小玉 重夫 冨士原 紀絵 内藤 俊史 堀 有喜衣
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

青少年の学力および進路形成過程を総合的に把握するため、東北地方1都市(2004年調査、以下Cエリア)と、比較対象地域である関東地方1都市(2003年調査、以下Aエリア)における生徒、保護者、担任調査の統合データを用い細分析を行った。学力、キャリア展望、学校適応等と家庭的背景、ジェンダー、学校的背景、地域的背景などとの関連を明らかにした。また、学級による学力差に注目した分析を行った。主な知見は以下の通りである。Cエリア小学校における学力の学級差について基礎的な分析を行ったところ、小学校6年生に学力の学級差が大きいこと、学力が高く学級による差異が小さいグット・プラクティスの学校が存在することが明らかになった。このような学級差に関して、都市部、稲作地域、兼業畑作地域といった地域的な要因、学校内の生徒集団、生徒集団の引継といった複数の要因が関連している可能性があり、今後の分析課題とした。高校生の職業イメージとジェンダーの関連について、親の仕事に対する捉え方に注目し分析を行ったところ、これまでの分析Aエリアに比べ業績主義的な特徴を持つことが明らかになってきたCエリアにおいても、パート、主婦・家事という仕事に対するイメージや、距離感に男女で違いがあることが明らかになった。高校生の学校適応について、小さい頃本を読んでもらったことがある、博物館に連れて行ってもらった、食事を大切にしている、近所づきあいを大切にしているといった家族関係、家庭環境と関連していることが明らかになった。一方、両親の学歴や勉強部屋の有無といった物理的な教育環境は影響していなかった。生徒、担任、保護者調査の統合データを用いることで、職業や所得、教育環境、家族関係といったより複雑な家庭的背景について分析、教育実践をも視野に入れた学力形成の要因分析を行うことが可能となった。(766字)
著者
廣田 照幸 田原 宏人 筒井 美紀 本田 由紀 小玉 重夫 苅谷 剛彦 大内 裕和 本田 由紀 小玉 重夫 苅谷 剛彦 大内 裕和 清水 睦美 千田 有紀
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

1990年代から現在に至る約20年の教育社会学の研究成果と教育現実の変動との関係の見直しの必要性が明らかになった。政治のレベルでの55年体制、経済のレベルでの日本的雇用システムを、暗黙の前提とした研究枠組みを脱する必要が浮かび上がった。特に、教育政策の立案-実施の過程に働く政治的な諸力が、1990年代初頭から大きく変容したこと、また、卒業生の受け皿である労働市場や雇用システムが、1990年代半ば以降、大きく変容したこと、その二つが、教育政策をめぐる議論に対しても、学校や生徒の現実に対しても、大きな意味を持っていた。とはいえ、実証性を研究の主要なツールとしてきた教育社会学は、そのような大きな構造変動を理論や研究枠組みのレベルで適切にとらえきれないまま、2000年代の教育改革の中で、部分的・断片的な実証データをもとにした推論を余儀なくされる状況に陥ってきたといえる。こうした検討を踏まえて、本研究から明らかになったのは、新たな政治・経済の枠組みをとらえた社会科学の知見を、教育社会学内部に取り込む必要性である。特に、グローバル資本主義の展開が政治や経済のあり方を左右する際、どういう選択肢が理論レベルであり得るのかをふまえ、それらの選択肢が教育政策に及ぼす影響を予測することの重要性が、明らかにされた。