著者
川野 紀子 田代 充生 田口 雅史 木原 康之 芳川 一郎 宿輪 和孝 山崎 雅弘 久米 恵一郎 大槻 眞
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.105, no.11, pp.1627-1633, 2008 (Released:2008-11-05)
参考文献数
19

症例は73歳男性.排便時の肛門部痛を主訴に来院した.直腸Rb部に直径4cm大の一部黒色を呈する隆起性病変を認め,肝転移をともない,直腸肛門部悪性黒色腫(Stage IV)と診断された.dacarbazine,nimustine,cisplatin,tamoxifenによる多剤併用化学療法(DAC-Tam療法)に加えinterferon-βの局所投与を施行したところ,1コース終了時には疼痛の消失と原発巣の縮小,肝転移の消失を認めた.計6コース施行後に,直腸腫瘍からの出血コントロールに対する放射線治療を併用した.化学療法を合計8コース施行し,初回治療開始後24カ月経過した現在も生存中である.
著者
乃木 章子 塩飽 邦憲 北島 桂子 山崎 雅之 アヌーラド エルデンビレグ エンヘマー ビャンバ 米山 敏美 橋本 道男 木原 勇夫 矢倉 千昭 花岡 秀明 井山 ゆり 三原 聖子 山根 洋右
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.649-659, 2004-11-30
被引用文献数
1 3

農村地域で肥満, インスリン抵抗性, 脂質異常, 高血圧を合併した代謝症候群が増加している。代謝症候群に対しては体重減少が有効とされているが, 白人と日本人では肥満と代謝症候群の関係に差異が見られる。日本人での体重減少と生活習慣変容, 体重減少と代謝症候群の改善についての実証的な研究は少ないため, 体重減少に寄与する要因, 体重減少と代謝症候群改善との関係を研究した。2000~2003年に健康教育介入による3か月間の肥満改善プログラムに参加した住民188名を対象とした。参加者の平均体重減少は1.3kgであり, BMI, ウエスト囲, 血圧,総コレステロール, LDLコレステロール, 中性脂肪の減少, HDLコレステロールの増加を認めた。相関および回帰分析により, 摂取熱量減少, 消費熱量増加が体重減少に寄与していることが明らかになった。一方, 体重変化との有意な相関が認められたのは, 各種肥満指標, 総コレステロール, 中性脂肪, HDLコレステロールであり, 血圧とLDLコレステロールでは有意な相関を認めなかった。体重変化量と有意な相関が認められた血液生化学的検査値の変化量との相関係数は比較的低く, 体重変化量は中性脂肪や総コレステロールの変動の10%以下しか説明しなかった。代謝症候群の改善における体重減少の有効性について, アジア人の民族差に着目した体重減少の有効性に関する実証的な研究が重要と考えられる。
著者
安藤 拓也 山崎 雅彦 深尾 俊一 中野 浩一郎 呉原 裕樹 堅田 武保 舟曳 純仁 中野 貞生 池上 雅博
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.1698-1702, 2003-12-01
被引用文献数
4

腸閉塞にて発症した非特異性多発性小腸潰癈疾の2例を経験したので報告する.症例1 26歳の男性.繰り返す腸閉塞にて入院.小腸造形にて回腸に粘膜集中像をともなう潰瘍,多発する輪状狭窄を認めた.小腸潰瘍による狭窄にて腸閉塞を呈したと診断し,回腸切除術と狭窄形成術を施行した.症例2 . 31歳の男性.繰り返す腸閉塞と貧血にて入院.逆行け回腸遺影にて回腸末端に不整形潰瘍と軽度の狭窄像を認めた.小腸潰癈による狭窄にて腸閉塞を呈したと診断し回腸切除術を施行した.いずれの症例も切除標本では,亜輪状傾向の潰瘍あるいは潰瘍徹夜を認め,それに伴い腸管の狭窄を呈していた.組織学的にはUl-IIの潰瘍が主体であり,狭窄部では線維化が著明であった.以上から非特異性多発性小腸潰瘍疾による腸閉塞と診断した.
著者
原田 和典 西山 峰広 山崎 雅弘 權 寧璡
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

火災時の高強度コンクリートの爆裂は,発生機構が未解明の厄介な現象である。本研究では,空隙圧力と熱応力が複合して発生する応力が爆裂発生の原因であるとの仮説を立て,これを検証することを目的とした。外周圧縮実験と耐火加熱実験を行い,部分加熱時のように不均一な温度分布下で爆裂が起こりやすいこと、また爆裂に先立って亀裂が生じて空隙圧力が低下しても爆裂が生じることを示し、空隙圧力よりも熱応力の方が影響が大きいことを実験的に明らかにした。並行して熱伝導解析と弾性熱応力解析を行い、爆裂が生じた部分における熱応力の集中傾向を考察した。
著者
遠藤 一夫 山崎 雅彦 葛島 達也 深尾 俊一 横田 広子 中野 貞生
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.79-83, 1997-01-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
28
被引用文献数
3

症例は70歳の男性.内視鏡的大腸ポリープ切除後の経過観察のため施行した大腸内視鏡検査で回腸終末部に腫瘍を認めた.外科的切除した腫瘍は亜有茎性で,大きさ4.5×2.8×高さ2.2cm,病理組織学的に高分化腺癌で,深達度はmであった.極めて稀有な症例と考えられた.回腸癌の早;期発見のためには回腸終末部の観察が重要である.
著者
馬庭 瑠美 岩本 麻実子 山崎 雅之 塩飽 邦憲
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.77-87, 2012-07-31 (Released:2012-11-21)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

高齢者では身体機能や生活機能が低下しがちであり,栄養の維持改善が重要である。しかし,高齢者での栄養改善効果は,病院での重度な栄養不良患者を対象とした研究が多く,地域での高齢者で栄養改善が有効かどうかの研究は少ない。そこで,自立高齢者を対象とした介護予防プログラム (食・運動習慣改善支援) において,牛乳摂取による栄養と身体機能への効果を検討した。対象は出雲市在住で3か月間の介護予防プログラムに参加した高齢者45名 (平均年齢73.7±5.7歳) で,牛乳介入群22名と対照群23名の2群に分けた。牛乳介入群には,宅配により牛乳を提供し,介入前後に栄養摂取量,運動機能,体格,血液生化学等の調査を行なった。牛乳介入群では,牛乳・乳製品の摂取量が有意に増加し,栄養指数であるBMI,HDL-コレステロール,ヘモグロビンの改善が認められた。一方,対照群では栄養指数の改善は認められなかった。介入による変化量では,牛乳介入群のBMI,アルブミン,HDL-コレステロール,ヘモグロビン,HbA1c,必須アミノ酸/非必須アミノ酸比が対照群に比較して有意に改善した。運動機能では,介入前に対照群の運動機能が不良であり,運動教室の影響が強く現れたために,対照群が介入群よりも運動機能の改善が顕著であった。以上より,良好な栄養状態の高齢者でも牛乳摂取が栄養状態を改善させることが明らかになった。
著者
伊藤 寛 堀内 格 成瀬 博昭 坂上 充志 本多 英邦 長村 洋一 西田 圭志 石黒 伊三雄 山崎 雅彦
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, 1988-08-01

N-acetylneuraminic acid(以下NANA)はαおよびβ-globulin分画の糖蛋白質に含まれ,急性炎症,悪性腫瘍などで上昇するといわれている.その上昇に関与する蛋白質の性状は異なることが推測されることから大腸癌症例における詳細な糖蛋白質の動態の追跡を目的として,糖鎖末端にgalactose(以下GP)およびNANA-galactose(以下NGP)を有する糖蛋白質の定量を試みたので報告する.
著者
竹脇 出 大淵 邦之 山崎 雅弘
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.69, no.583, pp.39-46, 2004
被引用文献数
1 3 1

A new frequency-domain method is developed for evaluating the earthquake input energy to a structure-pile-soil system or a super-structure alone subjected to a horizontal ground motion at an outcropping engineering bedrock surface. It is shown that the formulation of the earthquake input energy in the frequency domain is essential for including the frequency-dependent vibration property of the surface ground in terms of the wave propagation theory and the frequency-dependent property of the dynamic Winkler-type spring of the soi l around piles. It is also demonstrated that (l)the present formulation is effective for various input levels and various ground nronerties and (2)the energy input mechanism in the building structure-pile-soil system can be well described by the newly introduced energy transfer function (F-function).
著者
沖野 晃一 冨田 裕人 橋本 浩二 山崎 雅也 大澤 拓 白川 暁 吉井 卓 岩下 茂信 宮嶋 浩志 村上 和彰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.80, pp.167-172, 1996-08-27
被引用文献数
5

本稿は,九州大学で現在開発中のPPRAM^R_<mf>仕様に基づく最初の試作LSIであるPPRAM^R_<mf>256?4のハードウエア構成について述べている.計画では,0.25μm CMOS,2層金属配線を用いて,"256"Mビット(2Mバイト)DRAMと"4"個の汎用プロセッサを1チップに搭載する.各プロセッサのロジック規模は50万トランジスタ程度で,24Kバイト・キャッシュを装備.プロセッサ当たりのローカル・メモリ容量は8Mバイトとなる.1998年度中の完成を目指している.This paper describes the hardware organization of the first prototype LSI chip based on the PPRAM^R_<mf> architecture, or PPRAM^R_<mf>256-4, which is now under development at Kyushu University. The PPRAM^R_<mf>256-4 will integrate 256Mb DRAM and four processors into a single chip with a 0.25μm CMOS technology. Each PE (Processing Element) will consist of a simple RISC processor of 500KTr, 24Kbyte cache memory, and 8Mb local DRAM memory. The development will complete by March, 1999.
著者
山崎 雅生 石黒 尚夫 岩下 正雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1804-1805, 1989-10-16

筆者等は先にデータフロー型画像処理プロセッサImPP(μPD7281)を開発したが,そのプログラム開発にはアセンブリ言語が用いられる.一方,データ依存並列性は,データフローグラフ表現の方が見やすい.これらの両者は共に1対1に対応しており,相互に変換することが可能である.最初にプログラムを入力する場合,テキスト表現であるアセンブラ記述の方が速く,デバグ時にはフローグラフが有用である.今回言語表現からフローグラフを自動生成するフローグラフジェネレータ(FLOLA:Flow Graph Generator & Layout System)を開発したので報告する.