著者
高岡 健 岡田 俊
出版者
一般社団法人 日本児童青年精神医学会
雑誌
児童青年精神医学とその近接領域 (ISSN:02890968)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.208-220, 2018-04-01 (Released:2019-08-21)
参考文献数
37

“child”の訳語としての「児童」と「小児」について,その異同を検討した。年齢が幼いという意味では両方の使用が可能であるが,心理・社会・法などを含む広い概念としては「児童」を用いるべきであり,身体との結びつきに重点が置かれる場合には「小児」を用いるべきである。和語である「子ども(期)」「子供(期)」「こども(期)」は,一般の人々向けに平易さを強調する場合に限って用いるべきであり,漢語である「青年(期)」「思春期」とは対応しない。「児童(期)」には「青年(期)」が対応し,「小児期」には「思春期」が対応する。
著者
岡田 俊裕
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1-17, 1993-06-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
44
被引用文献数
2 2

日本において,地理学研究が組織的・本格的に行われ始めたのは1920年代の半ばごろであろう.その後の日本では,十五年戦争によって中国などアジアへの侵略行為を続けた.このことは,日本の地理学研究に直接・間接に影響を与えた.敗戦後,日本はGHQの占領下におかれ,その間,地理学は社会科学的な研究への志向を強め,発展していった. このような社会情況のなかで,飯塚浩二 (1906-1970) は積極的にそれに関与しつっ日本の地理学を啓蒙した.一方,辻村太郎 (1890-1983) は,直接的には社会情況に関与せず,アカデミー地理学の制度的・理論的樹立のために奮闘した.また三沢勝衛 (1885-1937) は,独学で地理学・教育学・自然諸科学などを修め,農村・地方の更生という実践的関心と結びっいた地理学研究と地理教育を展開した. 仮に,日本の地理学研究の流れを,「中央」の主流と非主流および「地方」の分流に三区分できるとするならば,辻村・飯塚・三沢をそれぞれの代表的存在の一人とみなすことができよう.辻村はおもにドイツ地理学の,飯塚はフランス地理学の影響が強く,三沢には欧米地理学の直接的な影響を認めることができない点でも対照的である.これら三者の研究活動の軌跡をたどるならば,近現代日本の地理学思想史を立体的に展望する端緒になると考えられる. その際,次のような点を重視した.第一に個人史的な考察.それは,各学説を動的かっ多面的に把握するためであり,また,各研究者の業績の全体を視野に入れたうえで各部分の内容を理解するためでもある.第二に,学説と時代思潮や学問的環境との関連性の考察.独自の理念の下に一定の社会的責任を果たそうとするほどの研究者ならば,自己をとりまく時代思潮ないし学問的環境を鋭敏に受けとあ,その動向に何らかの形で関与しようとするからである.なお,学問の発達史において戦中と戦後の間に断絶はないと考えた.学問研究は,いっの時代でも特定の環境のなかでなされるのであり,程度の差こそあれ常に時代的制約を受けざるをえない.したがって,戦中の学問研究を特別視することはできないと考えた.
著者
岡田 俊
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1385-1391, 2019-12-15

抄録 神経発達症は,幼少期から認められる認知と行動の偏りであり,そのために日常生活に支障を来すものをいう。いずれの神経発達症特性も,それ自身は病理的ではなく,質的,量的な差異に過ぎず,むしろ当事者には社会における不適応感として認知されやすい。神経発達症の診断においては,このような生きづらさと特性との関係を伝えるとともに,その切り分けについても明確化するなど,心理的な配慮が求められる。近年では「発達障害」概念が広く認知されるようになったが,同時に多くのスティグマを伴っている。神経発達症は,まだ明確な輪郭を持たない障害概念であり,この輪郭を生物学的に明確にする試みを継続する一方,現状においては生きづらさの原因となり得る特性として,支援の対象として位置付け,当事者および周囲の人々に特性の理解を進めていくべきである。
著者
岡田 俊裕
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.389-406, 1985-10-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
103
被引用文献数
1 2

Koji Iizuka (1906∼1970) was a Japanese geographer and a critic of civilization. In this paper the writer reviews the transition of Iizuka's views of Asia from the time of World War II through the post war period. The writer states that this transition was accompanied by changes in Iizuka's views of Japan and West Europe. The beginning of this transition parallels the Great East Asia War, the surrender of Japan, the rise of nationalism in Asia and changes in the world situation. The transitions in Iizuka's views are summarized in the figure below: Iizuka's view of West Europe Iizuka's view of Asia Iizuka's view of Japan Transition of Koji Iizuka's views of West Europe, Asia and Japan
著者
岡田 俊裕
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.20-38, 1996-01-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
128
被引用文献数
1

地質学専攻の小川琢治 (1870-1941) が地理学研究に着手したのは,『台湾諸島誌』 (1896) を執筆し,『地学雑誌』を編集した (1897~1907年)ことに要因があった. 1908年京都帝大地理学講座の主宰者となった小川は,孤立荘宅と条里集落に関する研究を例示して居住地理学研究を唱導した.当初彼は,農業経営や農村生活へも考察を及ぼす姿勢を示したが,以後,もっぱら村落居住の起源・成立と変遷の研究を重視するにいたった.また小川は,刀剣の銘文を判読して刀工の地理的分布を明らかにした.それは当時の有力な集落の分布を示し,古代・中世日本の地域像の描出に役立った.小川が翻訳または考案した地理学用語は,あまり普及したとはいえない.しかし,彼の創見に富んだ研究業績は,高い研究レベルにおいて強い指導性をもった.ことに居住地理学の分野にはそれが明瞭に認められ,歴史地理的考察を軸とする研究方法は今日の人文地理学にも直結している.
著者
志藤 博克 積 栄 岡田 俊輔 高橋 圭二 舘山 則義 馬渕 彰二
出版者
日本農作業学会
雑誌
農作業研究 (ISSN:03891763)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.173-182, 2018 (Released:2019-06-20)
参考文献数
20

北海道では牛との接触による負傷事故が年間700件以上も報告されているが,府県では負傷事故調査を行っている自治体が限られていることもあり,問題が顕在化していない.そこで筆者らは9道県40戸の酪農家に聞き取り調査を実施した.その結果,府県でも北海道と同様,繋ぎ飼いでは搾乳時,放し飼いでは牛の移動時に事故が多く,長期入院した事例もある反面,労働力に余裕がないため余程のことでない限り入通院しない実態が明らかになった.事故の要因を分析した結果,繋ぎ飼いでの搾乳中の事故では,牛舎環境や牛の扱い方の改善による牛へのストレス軽減で,牛の危険行動を抑制すると同時に乳量増加や疾病の低減効果が期待でき,放し飼いでの牛の移動中の事故では,施設の改善により人と牛を分離することで事故の低減が期待できること等が示唆された.
著者
岡田 俊平
雑誌
成城大學經濟研究
巻号頁・発行日
no.10, pp.35-55, 1959-07
著者
早川 雄貴 滝沢 穂高 工藤 博幸 岡田 俊之
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.77-80, 2016

本報告では,腹部X線CT画像の位置合わせ手法について述べる.はじめに空気領域の非対応の問題に対応するため,粘性流体力学に基づく非剛体変形により2枚の画像の空気抜きを行う.次に撮像範囲の異なる2枚の画像間においても柔軟に同一組織の位置合わせを行えるようにするため,CT画像から骨領域を抽出し,その構造情報を基に大まかな位置合わせを行う.最後に,マクスウェルの悪魔アルゴリズムと局所的なアフィン変形のモデルに基づく変形場近似のアルゴリズムを用いて非剛体の位置合わせを行い,より詳細な位置合わせを行う.本報告では,本手法を実症例画像に適用した結果を示し,本手法の有効性を検証する.
著者
岩本 徹 濱田 康文 福岡 裕幸 岡田 俊明
出版者
社団法人日本農芸化学会
雑誌
日本農藝化學會誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.173-175, 1996-02-01
参考文献数
12
被引用文献数
3

In germinating Phaseolus vulgaris seeds, β-N-acetylhexosaminidase was found in all parts such as cotyledon, hypocotyl, plumule, and radicle, but N, N'-diacetylchitobiase (chitobiase) was present predominantly in cotyledons. β-N-Acetylhexosaminidase activity and protein content decreased gradually during the germination process;however, chitobiase activity in cotyledons was found to be increased. Germination in the present of some antibiotics inhibiting protein synthesis depressed the formation of chitobiase in the cotyledons, but these antibiotics did not significantly affect the formation of β-N-acetylhexosaminidase.
著者
東浦 圭佑 Prasad Mukherjee Dipti 岡田 俊之 横田 太 堀 雅敏 高尾 正樹 菅野 伸彦 陳 延偉 富山 憲幸 佐藤 嘉伸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.37, pp.51-56, 2012-05-10

本研究は,臓器形状の正常と疾患を統計形状解析による自動識別を目的としている.疾患になると形状が変形しやすい肝臓,大腿骨の学習データをを用いる.従来,正常と疾患を組み合わせた統計形状モデルによるSVM識別が行われている.本実験では,正常症例群から構築される正常統計形状モデルと疾患症例群から構築される疾患統計形状モデルを求め,正常統計形状モデルに直交する疾患統計形状の疾患部分空間を導き,未知データの変形成分を疾患部分空間に射影することにより,疾患に起因する変形成分を求める.疾患部分空間における変形成分のSVM識別により,識別精度の向上が確認できた.
著者
亀井 亮吾 山崎 隆治 岡田 俊之 菅本 一臣 吉川 秀樹 陳 延偉 富山 憲幸 佐藤 嘉伸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.364, pp.77-82, 2011-01-12
被引用文献数
5

人工膝関節3次元動態解析を目的とした従来の輪郭に基づく2D/3Dレジストレーション法では,骨部やセメント部に起因する雑音エッジを手作業で除去する必要があり,膨大な手間と作業時間が費やされている.本研究では従来手法に,ロバスト推定の適応範囲を限定する処理を加え,雑音エッジが含まれた輪郭画像においても安定な位置・姿勢推定を目指す.本手法では,3Dモデルの位置情報とモデルの形状そのものを利用する関心領域設定により処理対象となる輪郭点を限定することで,対象外のエッジを雑音エッジと見なし,雑音エッジの影響を減少させた位置・姿勢推定を行う.実験ではモデルのバウンディングボックスを用いた関心領域設定による従来手法に比べ成功確率が改善され,提案手法が有効であることが確認された.