著者
渡辺 黎也 岩田 泰幸 加藤 敦史
出版者
Entomological Society of Japan
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.111-116, 2022-09-25 (Released:2022-09-29)
参考文献数
26

Helophorus auriculatus Sharp, 1884 is an endangered water beetle that inhabits earth ditches and small pools in riverbeds and paddy fields. In Japan, the recent record of H. auriculatus has been limited to the Ibaraki Prefecture in 2019 and Tsushima Island, Nagasaki Prefecture in 2020. We rediscovered this species in the Saitama Prefecture, Japan, after 34 years and compared the habitat and adult morphology of this species among different Japanese regions.
著者
鷹澤翔 松本大士 吉沢剛 横田裕丈 岩田泰典 嘉陽拓
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
第49回日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
2014-04-29

【目的】加齢での筋力低下や座位姿勢での作業による体幹の不良姿勢として頭部前方突出位(以下,前突位)が見られる。また,臨床において前突位が上肢機能不全を引き起こしている症例をよく見かけ,前突位を修正する事により上肢挙上角度が増大することをしばしば経験する。先行研究では,前突位による上肢挙上動作での肩甲骨の動きや肩甲骨周囲筋群の活動を中心とした様々な研究は行われている。しかし,前突位と肩関節挙上角度に関して報告している研究は少ない。そこで今回は,頭部位置の違いが肩関節屈曲角度に及ぼす影響を解明することを目的とした。【方法】対象は整形外科的疾患のない健常成人男性10名(平均年齢27.2±4.0歳,身長175±5.9cm,体重65.5±9.9kg,BMI21.4±3.2)の両上肢で測定を行った。測定はベッド上座位(股関節,膝関節屈曲90°)で,足部の位置は肩幅とした。中間位は矢状面上で坐骨結節と肩峰を床面に垂直な直線で結び,この直線の延長線上に耳垂中心がある位置と設定した。前突位は,C7を触知し位置変化がないところまで前方突出してもらい,これを個人の前方突出位と設定した。左右肩関節自然屈曲を3回ずつ測定した。測定は最初に中間位での肩関節屈曲角度を測定し,その後前突位での角度を測定した。なお各測定は疲労の影響を避けるため,各測定時間には十分な休憩をとった。測定は,肩関節屈曲とし,日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会が制定する関節可動域検査法で行った。角度計は検者が神中式角度計を使用した。統計処理は,各肢位での最大屈曲角度での2変数の差をt-検定を用いて検定した。すべての統計解析はStatcel3を用い,有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき対象者に対し研究の趣旨と内容,得られたデータは研究以外で使用しないこと,および個人情報漏洩に注意することについて十分な説明のうえ同意を得て研究を行った。【結果】頭部両肢位での上肢屈曲角度は,中間位で右150°±11°,左148°±11°,突出位で右138°±11°,左134°±13°であった。中間位と前突位での上肢屈曲角度は有意な差が認められた。突出位で有意に上肢屈曲角度は低下した。(p<0.05)【考察】本研究により,頭部前方突出の増加に伴い肩関節屈曲角度が低下するということが明らかになった。この結果について,野田らの報告では前突位と中間位を比較すると,前突位で肩甲骨は下方回旋を呈したとされており,肩甲骨の可動性が低下したためと考えられる。正常な肩関節屈曲での肩甲骨の動きは,上方回旋・後傾・内転が生じるとされている。また,前突位では頸椎から肩甲骨へ付着している僧帽筋上部線維と肩甲挙筋が伸張され,肩甲骨下方回旋・前傾が起きたのではないかと考える。野田らの報告と前述した筋が伸張されることを踏まえると,肩甲骨上方回旋・後傾が制限され,関節窩上方変位が阻害されたと考える。よって,正常な肩甲上腕リズムが破綻したことにより肩関節屈曲角度の制限に至ったと考える。今回の結果から,頭部位置の変化では肩甲骨への影響が大きいのではないかと考える。しかし,今後の課題として頭部位置の違いだけではなく,脊柱・骨盤の肢位の関係,肩甲骨周囲の筋活動についても検討していくことが必要であると考える。【理学療法学研究としての意義】肩関節疾患の上肢挙上角度を目指した介入として,頸部アライメントの評価,治療を行うことの有用性があると示唆された。
著者
岩田 泰幸 冨樫 和孝 岩田 朋文
出版者
埼玉県立自然の博物館
雑誌
埼玉県立自然の博物館研究報告 (ISSN:18818528)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.17-24, 2020 (Released:2020-06-07)

ミズスマシGyrinus japonicusは,環境省版レッドデータブック2014では絶滅危惧II類に,埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)では絶滅危惧IA類に,2018山梨県レッドデータブックでは準絶滅危惧にそれぞれ選定されており,近年急激に減少している.本種について,埼玉県と山梨県の低山帯から山地帯で調査を行った.今回の調査により,ミズスマシの生息環境は以下の特徴を有することが明らかになった:1)河川の滞留域に形成されたD型およびR型の淵を主な生息地とすること,2)淵は主に周囲を樹林に囲まれた場所にあること,3)淵の水面は枝や水草でほとんど覆われないこと,4)水質は透明度が高く,貧栄養であること,5)同所では流水域に生息する種(例えば,オナガミズスマシOrectochilus regimbarti,モンキマメゲンゴロウPlatambus pictipennis,マルガムシHydrocassis lacustris,シマアメンボMetrocoris histrio),あるいは林に囲まれたような日当たりのよくない水域に生息する種(例えば,コセアカアメンボGerris gracilicornis,ヤスマツアメンボG. insularis,オオアメンボAquarius elongatus)がみられること.また,埼玉県のミズスマシの地域個体群は,2000~2010年頃には低山帯にある前述の特徴をもつ河川の淵などに孤立していたことが示唆された.これらの個体群は水量の減少といった河川環境の変化により絶滅したと考えられる.
著者
岩田 泰介 高橋 里沙子 伊藤 舞 今井 有紀 岸 竹美 戸村 慎太郎 山本 杏菜 藤田 淳
出版者
Japanese Society of Veterinary Anesthesia and Surgery
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.17-23, 2022 (Released:2022-12-21)
参考文献数
15

術中出血リスクが高い待機手術を受ける犬猫42頭に対して、術前希釈式自己血採血・輸血を実施した。日本自己血輸血学会のガイドラインを基に、プロトコルを作製した。希釈式自己血採血・輸血の関連する重度な有害事象は認められず、安全に実施できた。また、同種血輸血を回避できた症例がいたことから、希釈式自己血輸血は有用性が高いと考えられた。
著者
岩田 泰士 鈴木 育男 山本 雅人 古川 正志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.2752-2759, 2009-11-15

ネットワーク可視化技術は,ネットワークを大域的に俯瞰することで,その構造的特徴をとらえ,ノード間のリンク関係だけでは見えにくい新たな情報を見つけ出すうえで有用な技術である.本研究ではネットワークの可視化に対して,自己組織化マップ(SOM)の学習機構を利用した可視化方法を適用する.従来のSOMに基づくグラフレイアウト方法であるISOM(Inverted Self-Organizing Map)は,従来の力学的手法に比べ非常に高速であり,隣接ノードどうしが近い位置に配置されるという利点により,ある程度の意味を持つ結果が出力可能である.しかし,一方で可視化結果が信号領域で歪められる現象が起こる問題点を持つ.本研究ではこの問題点を解決する方法としてDSSOM(Dynamically-Signaling Self-Organizing Map)を提案し,その有用性を検証する.
著者
舟橋 恵二 大岩 加奈 河内 誠 岩田 泰 野田 由美子 中根 一匡 西村 直子 尾崎 隆男
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.229-234, 2016-03-25 (Released:2016-05-10)
参考文献数
21
被引用文献数
1

2013年4月~2014年3月に,当院小児科を受診した気道感染症患者215例(6か月~14歳0か月,中央値5歳2か月)からA群溶血性レンサ球菌を215株分離した。全分離株についてT血清型と15種抗菌薬(PCG,AMPC,CTX,CTRX,CDTR,CFPN,PAPM,IPM,EM,CAM,CLDM,MINO,TFLX,LVFX,VCM)のMIC値を測定し,過去にわれわれが行った4回の調査成績と比較した。2013年の血清型別分離率は,12型34%,B3264型30%,1型11%,28型9%の順であった。各血清型の分離率は調査時期により異なったが,12型は過去4回を含むすべての調査において中心を占めていた。EM,CAM,CLDM,MINO,TFLX,LVFXにはそれぞれ58%,58%,49%,5%,8%,2%が耐性を示し,CLDM耐性株は全てEMおよびCAMにも耐性であった。過去4回を含む計1,696株において,βラクタム系抗菌薬およびVCMの耐性株はなかった。EMおよびCAM耐性率は,それぞれ1996年9%,未検討,2001年14%,13%,2003年20%,20%,2006年20%,20%と漸増し,2013年には共に58%まで上昇した。これまでに最も多く分離された12型では,血清型別のEMおよびCAM耐性率が2006年の共に20%から,2013年には共に85%と著しく上昇した。
著者
岩田 泰幸 岩田 朋文
出版者
埼玉県立自然の博物館
雑誌
埼玉県立自然の博物館研究報告 (ISSN:18818528)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.39-46, 2019 (Released:2019-06-14)

ヤマガタトビイロトビケラ幼虫について,埼玉県内の荒川水系(上流から中流)で調査を実施した.本種は本州中部の山地帯においては普通種であり,その幼虫は晩秋から初夏にかけて河川の淵で多数見つかることが知られる.本報告では,埼玉県内における本種の追加記録を公表し,県内の本種の生息環境を主に河川形態に基づいて記載した.本種の生息環境と多くの個体が見つかった場所の特徴は,次の4つとなる:1)河川形態は一蛇行区間に複数の瀬と淵をもつAa型である,2)階段状の淵(S型の淵)を有する,3)淵には落ち葉など枯死植物体が多く積もる,4)特に淵の縁部に多くの個体が見られる.その一方で,ヤマガタトビイロトビケラに近縁なNothopsyche sp. NAの幼虫は,前者とは異なり,中流域の主に河川形態がBb型のところにおいて,R型あるいはM型の淵に繁茂する抽水植物(ヨシなど)の流水で洗われた根際から多くの個体が得られた.
著者
鈴木 勝昭 武井 教使 土屋 賢治 宮地 泰士 中村 和彦 岩田 泰秀 竹林 淳和 吉原 雄二郎 須田 史朗 尾内 康臣 辻井 正次
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、自閉症の病態において脳内コリン系の果たす役割を明らかにすることにある。自閉症者脳内のアセチルコリンエステラーゼ活性を陽電子断層法(PET)により計測したところ、顔認知に重要な紡錘状回において有意に低下していた。さらに、この低下は社会性の障害の重症度と逆相関していた。すなわち、紡錘状回におけるコリン系の障害が強いほど、社会性の障害が強いという相関関係が示唆された。この結果は、自閉症のコリン系の障害は発達の早期に既に起こっており、顔認知の障害がもたらされ、もって社会性の障害の基盤となっていることを示唆している。そこで、認知の障害を注視点分布によって検出し、早期診断に役立てるために、乳幼児でもストレスなく注視点を測定可能な機器の開発を産学連携で行い、現在も継続中である。
著者
河内 誠 尾崎 隆男 西村 直子 大岩 加奈 岩田 泰 野田 由美子 中根 一匡 舟橋 恵二
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.569-575, 2015-09-25 (Released:2015-11-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1

2012年10月~2014年3月の1年6カ月間に,激しい咳や長引く咳などにより百日咳の鑑別を要した168例を対象に,百日咳の実験室診断法を後方視的に検討した。病原体診断法として全例から後鼻腔ぬぐい液を採取し,百日咳菌分離とloop-mediated isothermal amplification(LAMP)法による百日咳菌DNA検出を行った。126例については,血清診断法としてPT-IgG抗体価を測定した(ペア血清67例,単血清59例)。実験室診断基準は,菌分離またはDNA検出または血清診断基準に該当したものとした。168例中34例(20%)が百日咳と実験室診断され,初診時年齢の中央値は0.9歳(日齢17~12.3歳)であった。DNA検出は16例(47%),菌分離は9例(26%)であり,菌分離例は全てDNA検出例であった。血清診断基準該当例は31例(91%)であり,18例(53%)が血清診断基準のみに該当した。その中の7例のワクチン未接種幼若乳児(日齢17~3カ月)では,6例がペア血清で抗体価の低下を認め,1例は幽門狭窄症による咳込み嘔吐であった。これら7例は母体の経胎盤移行抗体による血清診断基準偽該当例と考えられた。百日咳の実験室診断法として病原体診断がより確実であり,特に簡便・迅速で感度の高いLAMP法は有用と思われた。
著者
岩田 泰 中根 一匡 河内 誠 野田 由美子 舟橋 恵二 後藤 研誠 西村 直子 尾崎 隆男
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.617-621, 2015-09-25 (Released:2015-11-10)
参考文献数
17

Mycoplasma pneumoniae(Mp)は小児肺炎の重要な起因病原体である。われわれは,肺炎患者からloop-mediated isothermal amplification(LAMP)法を用いたMp DNA検出検査を実施しており,今回,最近5年間の成績を報告する。2009年4月~2014年3月に,肺炎の診断で当院に入院した小児2,215例から咽頭ぬぐい液を採取し,LAMP法によりMp DNAの検出を行った。2,215例中712例(32%)がMp DNA陽性であった。年齢は1ヶ月~15歳6ヶ月で中央値年齢が7歳2ヶ月であった。年度別のMp DNA検出例数は2009年37例,2010年161例,2011年308例,2012年147例,2013年59例であった。2011年に全国的なMp肺炎の流行があり,当院においても,2011年の9月に最も多い月間発生数をみた。検出例数の暦月別検討にて,春に少なく夏から初冬にかけて多いという季節集積性を認めた。712例全例でペア血清の抗体価を測定し,559例(79%)に抗体陽転または4倍以上の抗体価上昇を認めた。LAMP法によるMp DNA検出は簡便・迅速で感度が高く,小児Mp肺炎の有用な検査室診断法と考えられた。
著者
奥島 雄一 岩田 泰幸
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.264-274, 2012-10-05

筆者らは,害虫防除業者によって駆除されたスズメバチの巣を用いて,自然史博物館の普及イベントの中でハチの巣の解体ショーを実施した.博物館と防除業者が連帯することによって,イベントを円滑に実施することができた.双方の連帯によって,博物館としては,一般市民の興味の高い素材の入手経路を確保できる点,防除業者としては廃棄物の有効的な利用法と啓蒙活動への参画となる点でメリットがある.イベントの実施は,大型の巣が入手しやすくなる9月以降に企画するのが理想的であり,計画的に確保しておく必要がある.また,自然史博物館におけるスズメバチ駆除虫のその他の活用事例も紹介した.
著者
高貝 就 中村 和彦 鈴木 勝昭 岩田 泰秀 尾内 康臣 竹林 淳和 森 則夫
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

高機能自閉症者にみられる「タイムスリップ現象」に代表される記憶再構築障害に果たすドパミン系の役割を、ポジトロン断層法(PET)を用いて検討した。すなわち、定常状態とタイムスリップ現象を誘発するようなcueを負荷した状態とにおいて、ドパミンD1受容体密度を特異的トレーサー[llC]SCH23390とPETで計測した。現在、その結果について解析中である。