著者
グエン ミン テイ 川村 隆浩 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.12, pp.2970-2978, 2013-12-01

本論文は,実世界での人々の行動を分析し,状況に応じた適切な情報提示などへ役立てることを目的に,Twitterなどソーシャルメディアから行動ネットワークを構築する研究の一環である.ソーシャルメディアからの行動抽出にあたっては,さまざまな理由から呟かれなかった行動が数多く存在し,結果として行動ネットワークがスパースになってしまうという問題が存在する.そこで,行動の性質とユーザのゴールを考慮した行動ベース協調フィルタリング手法を提案し,欠損行動の推測を試みる.また,協調フィルタリングによる頻度の原理の副作用としての低頻度だが価値のある情報が埋もれてしまう問題に対して,人が成功している人や行動にどのように影響を受けるか,を単純にモデル化し,一定の重み付けを行う方法を提案する.そして,東日本大震災発生時のtweet 337,958件を対象に評価実験を行った結果,提案手法を用いることで行動ネットワーク内の欠損行動ノードを一定程度,補完できることを確認した.
著者
全 泰賢 川村 隆浩 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.2485-2493, 2012-11-15

近年,商品やサービスを販売するECサイトの市場規模がますます拡大している.しかし,多くのECサイトの商品検索機能はカテゴリ絞り込みやキーワード検索に限られており,単語での特徴指定が困難な商品の検索においては難がある.たとえば,ECサイトの中でも特に売上げが伸びている服飾系の商品においては,ユーザは事前にブランド名やデザイン種別などの商品知識を頭に入れる必要があり,それによって商品群を絞り込んだ後にも何十というサムネイル画像を順番に見ていかなければならない.そこで本研究では,ユーザが閲覧した衣服(デザイン)の履歴を,商品画像の局所特徴量と商品説明文中のキーワードから,我々が事前に用意した服飾オントロジ上にマッピングする.そして,オントロジ内の距離計算によってユーザのデザインに関する嗜好を推定し,ユーザ嗜好に沿った衣服を抽出・推薦するエージェントシステムを提案する.また,推薦精度に関する評価実験を行い,70%超の再現率を達成していることを確認した.E-commerce market has been expanding, recently. However, search functionality for products in most of e-commerce sites are limited to keyword search and category selection, thus there is a problem to search for the product, to which it is difficult to specify its characteristics by words. In terms of a fashion product whose sales have been increasing year after year, users are required to learn the keywords like brand names and design terms in advance, and after just narrowing a list of the products they need to check small thumbnail images of enormous items one by one. Therefore, we propose an 'agent' service, which maps the user's browsing history of the product designs to the prepared fashion ontology based on local features of product images and keywords in product descriptions. Then, it estimates his/her favorite designs by calculating distances in the ontology and recommends the unseen items to the user. Also, we conducted an experiment for the recommendation accuracy, and confirmed more than 70% of recall.
著者
沈 偉 川村 隆浩 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.119, pp.7-14, 2008-06-23
被引用文献数
1

近年,Webに関する研究において,オントロジーの利用が盛んに進められている.しかし,オントロジーは構築の難しさが指摘され,構築するコストが問題視されている.そこで,本研究では一般ユーザを対象として,集合知としてオントロジーを構築するためのサイト,オントロジーWikiを提案する.
著者
小林 暁雄 坂井 寛章 桂樹 哲雄 伊藤 研悟 稲冨 素子 江口 尚 川村 隆浩
出版者
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
農研機構研究報告 (ISSN:24349895)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.13, pp.23-33, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
15

農研機構内のプロジェクトや研究部門・センター毎に進められているバイオ研究課題では,データ管理や解析ツール開発が一元化しておらず,データの分散や個別化が問題となっている.これを解決するため,研究課題のニーズに基づきリソースを集約・重点化することにより資源の活用を効率化し,研究成果の最大化に繋げるためのプロジェクトが機構内組織横断的に進められている.本プロジェクトでは,機構の持つ高度計算資源を連携してオミクス情報を収集・解析し,研究データの来歴保証と研究の効率化を実現する解析パイプラインシステムの構築が取り組まれている.この計算資源には,機構内のゲノム解析サーバ及びスーパーコンピュータ「紫峰」を用いるとともに,ゲノムデータと解析されたデータを保存・機構内横断で提供する基盤として,農研機構統合DB を用いる.さらに,DDBJ Sequence Read Archive に準ずるメタデータを採用し,機構内で横断的にゲノムデータを解析・検索可能な解析パイプラインシステム を実現する. 本稿では,メタデータ入出力システムの詳細について解説するとともに,パイプラインシステムの現状と課題について議論を行う.
著者
桂樹 哲雄 森 翔太郎 十一 浩典 石川(高野) 祐子 小林 暁雄 伊藤 研悟 山本(前田) 万里 川村 隆浩
出版者
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
農研機構研究報告 (ISSN:24349895)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.13, pp.47-61, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
15

農研機構では,2012-2015 年度に実施した機能性農林水産物・食品開発プロジェクトの成果物を元に,農林水産物が持つ機能性成分について文献情報と共に整理し,「機能性成分・評価情報データベース」として2018 年より公開している.一方,2019 年から,農研機構は島津製作所と共同で「食品機能性成分解析共同研究ラボ(NARO 島津ラボ)」を設置し,機能性農林水産物に関する様々な分析を実施してきた.また,農研機構内には戦略的イノベーション創造プログラム第2 期「スマートバイオ産業・農業基盤技術」(SIP2)の分析データも存在する.このたび農研機構では,機構内で得られた食品機能性成分データを一か所に集める狙いから,「機能性成分・評価情報データベース」,「NARO 島津ラボ」のデータ,SIP2 の成果等を集約し,「農研機構食品機能性成分統合データベース」を開発した.収録するデータには,公開情報だけでなく閲覧者を制限すべきクローズドデータが含まれるため,柔軟なユーザ認証機能を導入し,適切なアクセス管理を行えるようにした点に特徴がある.本データベースでは,データの属性に応じて検索結果をグループ化して表示するファセット検索機能やグラフ表示機能などを実装した.
著者
江上 周作 川村 隆浩 古崎 晃司 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.SWO-044, pp.08, 2018-03-18 (Released:2021-09-17)

Urban areas have many problems such as homelessness, illegally parked bicycles, and littering. These problems are influenced by various factors and are linked to each other; thus, an understanding of the problem structure is required in order to detect and solve the root problems that generate vicious cycles. Therefore, we propose constructing an urban problem linked open data (LOD) system that would include urban problems' causality. In addition, we propose a method for detecting vicious cycles of urban problems using inferences from the LOD. We first designed a Linked Data schema that represents urban problems' causality. Next, we instantiated actual causes and effects using crowdsourcing, supported with techniques based on natural language processing. In addition, we complemented the constructed LOD by drawing inferences using Semantic Web Rule Language (SWRL) rules. Finally, using SPARQL queries, we detected several root problems that led to vicious cycles, then urban-problem experts evaluated the extracted causal relations.
著者
小林 暁雄 桂樹 哲雄 伊藤 研吾 稲冨 素子 山崎 啓太 川村 隆浩
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3Yin214, 2022 (Released:2022-07-11)

ムーンショット型研究開発「フードロス削減とQoL向上を同時に実現する革新的な食ソリューションの開発」では、美味しく、かつ、一人ひとりの体質や体調改善に効果的な料理を自動的に提供する、AIシェフマシンの実現を目指している。農研機構では、このAIシェフマシンの実現に向けて、栄養・機能性食品データ、調理レシピデータ、プロファイルなどを適切に構造化した知識グラフ(ナレッジグラフ)を構築し、一人ひとりの嗜好、健康状態に合わせたレシピデータを3Dフードプリンタに出力するシステムを構築している。知識グラフの構築にあたっては、食に関する大規模オントロジーであるFoodOnとリンクすることで、コンソーシアムが独自に解析・収集したデータでは網羅しきれない成分や調理手法などについても取り込んでいる。知識グラフに基づく推論技術としては、食に関する知識をビックデータで確率的に取り扱う手法の適用を検討している。本稿では、構築された知識グラフ及び収録されたデータについて解説するとともに、知識グラフに対する推論手法の適用実験について解説する。
著者
竹之内 隆夫 川村 隆浩 大須賀 昭彦
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.3, pp.525-532, 2012-10-23

複数機関が保持するユーザのパーソナル情報を結合・分析し,新たな知見を得ることが期待されている.特に医療情報のようなパーソナル情報はプライバシに関わるため,結合のための情報開示を必要最小限にすることや個人特定を防ぐことが求められ,そのための技術として分散匿名化が注目されている.しかし既存手法では,双方の機関のユーザ集合が一致しない場合にユーザのパーソナル情報がその機関に保持されているか否かというユーザ存在が漏洩する問題があった.そこで本論文では,ユーザ存在を隠蔽した分散匿名化手法を導入し,実際の診療機関のレセプトデータを用いて疾病の相関ルール抽出や診療回数の相関分析を行う際の有効性評価を行う.
著者
江上 周作 渡邊 勝太郎 川村 隆浩 Shusaku Egami Katsutaro Watanabe Takahiro Kawamura
雑誌
人工知能学会研究会資料
巻号頁・発行日
vol.47, no.13, pp.1-10, 2019-03-10

従来の科学技術マップ(サイエンスマップ,Map of Science)は論文間の引用関係に基づくものが多く,競争的資金によるプロジェクト等の引用が蓄積されない文書同士の関係や,論文とプロジェクトの関係を同一画面で可視化分析することは困難である.そこで,我々はこれまで論文やプロジェクトの内容類似度に基づく科学技術マップを開発してきた.開発したマップは論文やプロジェクトの時系列変化,統計情報,特徴語表示などの基本的な機能に加えて,ユーザの求める様々な視点からの分析に向けた動的レイアウト生成機能や,より高度な分析に向けたSPARQL検索結果の可視化連動機能などを提供する.本稿では,開発した科学技術マップの様々な機能や,これらの機能を実現するバックエンドとしてのナレッジグラフの構築,システムの構成,インタラクティブな操作の実現に向けたクラスタリング手法について述べ,分析結果の例について紹介する.
著者
川村 隆浩 江上 周作 長野 伸一 大向 一輝 森田 武史 山本 泰智 古崎 晃司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
JSAI大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.1F101, 2018

<p>本論では,2018年に国内で初開催するナレッジグラフを対象とした推論チャレンジについて述べる.近年,深層学習をきっかけに人工知能(AI)技術への関心が高まっている.今後,AI技術は幅広く普及し,さまざまな社会システムに埋め込まれるようになるだろう.しかし,安全・安心に社会の中でAIを活用していくためには,AIによるシステムの動作を正しく解釈,検証し,品質を保証する技術が必要となる.そこで,本会セマンティクWebとオントロジー(SWO)研究会では,解釈可能性なAIに関する最先端技術の共有と研究開発の促進を図るため,推論に関するチャレンジを開催する.具体的には,広く知られたシャーロックの推理小説をナレッジグラフ化し,そこから犯人を推理(推論)する技術を広く一般から募集する.本チャレンジは2018年度人工知能学会全国大会開催当日より約半年間の日程でスタートする.是非,チャレンジへの参加をご検討されたい.</p>
著者
川村 隆浩 山下 泰弘 松邑 勝治
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.2016_028, (Released:2016-06-30)
参考文献数
26
被引用文献数
1

現在,論文数や被引用数といった研究業績の量に基準を設けて研究者を判断することがしばしば行われている.しかし,基準の設定は分野によって異なる上,経験則に頼らざるを得ない.また,単純な合計では年長者が有利になり易い等の問題が指摘されている.そこで,本論では業績の量に加えて時系列的変化からも特徴を見つけ出し,それに基づいて研究者を分類することを試みる.具体的には,大規模な文献データセットからビブリオメトリクスの時系列パターン群を抽出し,機械学習手法によって研究者を “優秀” かそうでないか分類するモデルを構築する.実験では,JST と Scopus のデータセットを用いて 2 分野計 114 名の研究者を対象に,F 値 80%以上の精度で分類できることを確認した.今後は,対象人数の増加や別分野での検証を進め,“優秀” な人財発見に役立てたい.
著者
芦川 将之 川村 隆浩 大須賀 昭彦
出版者
The Japanese Society for Artificial Intelligence
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.503-515, 2014
被引用文献数
2

Open Crowdsourcing platforms like Amazon Mechanical Turk provide an attractive solution for process of high volume tasks with low costs. However problems of quality control is still of major interest. In this paper, we design a private crowdsourcing system, where we can devise methods for the quality control. For the quality control, we introduce four worker selection methods, each of which we call preprocessing filtering, real-time filtering, post processing filtering, and guess processing filtering. These methods include a novel approach, which utilizes a collaborative filtering technique in addition to a basic approach of initial training or gold standard data. For an use case, we have built a very large dictionary, which is necessary for Large Vocabulary Continuous Speech Recognition and Text-to-Speech. We show how the system yields high quality results for some difficult tasks of word extraction, part-of-speech tagging, and pronunciation prediction to build a large dictionary.
著者
グエン ミン テイ 川村 隆浩 大須賀 昭彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.12, pp.2970-2978, 2013-12-01

本論文は,実世界での人々の行動を分析し,状況に応じた適切な情報提示などへ役立てることを目的に,Twitterなどソーシャルメディアから行動ネットワークを構築する研究の一環である.ソーシャルメディアからの行動抽出にあたっては,さまざまな理由から呟かれなかった行動が数多く存在し,結果として行動ネットワークがスパースになってしまうという問題が存在する.そこで,行動の性質とユーザのゴールを考慮した行動ベース協調フィルタリング手法を提案し,欠損行動の推測を試みる.また,協調フィルタリングによる頻度の原理の副作用としての低頻度だが価値のある情報が埋もれてしまう問題に対して,人が成功している人や行動にどのように影響を受けるか,を単純にモデル化し,一定の重み付けを行う方法を提案する.そして,東日本大震災発生時のtweet 337,958件を対象に評価実験を行った結果,提案手法を用いることで行動ネットワーク内の欠損行動ノードを一定程度,補完できることを確認した.
著者
ミン テイ グェン 川村 隆浩 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.386, pp.19-24, 2010-01-15
被引用文献数
1

本論文の目的は,日本語Webページの文中に現れる行動の基本属性(行動主,動作,対象,時刻,場面,場所)と行動間の遷移を自動的に抽出することである.しかし,先行研究では,抽出のための準備コストが大きいことや,抽出できる行動属性が少ないこと,適用可能な文の種類が少ないこと,行動属性間の係り受け関係を十分に考慮されていないこと,そしてプライバシーなどといった問題がある.そこで本論文では,条件付確率場(Conditional Random Fields)と自己教師あり学習(Self-Supervised Learning)を用いて,行動属性と行動間の遷移を自動的に抽出する手法を提案する.提案手法では,人手でラベル編集,初期インスタンスの作成,行動のドメインの定義などの必要がなく,一回のテストで文中に現れる行動属性と行動間の遷移を漏れなく全て抽出でき,高い精度が得られる(行動:88.9%,基本行動属性:90%以上,行動間の遷移:87.5%).
著者
三代 謙仁 川村 隆浩 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.1791-1799, 2011-11-01
参考文献数
19

近年,食や環境への意識の高まりから野菜作りやインテリアグリーンに関心が集まっている.しかし,都市の限られた環境で緑を育てるのは容易ではなく,その環境に適した植物を選択するには専門的な知識が必要ということもあり,不用意に繁茂させたり,逆に枯らしてしまうケースも多い.また,インテリア/エクステリアとしては周辺環境との調和が気になるが,成長時の生い茂った姿を想像するのは素人には難しい.そこで本論文では,携帯電話のセンサを用いて,植裁スペースの環境(日照,温度,気温等)に適した植物を推薦するエージェントシステムの開発について述べる.また,本システムでは,推薦した植物の成長した姿を3DCGで表示するという拡張現実手法を用いて,周辺の景観とマッチするかどうかを視覚的に確認することもできる.これにより,植物や園芸に関する特別な知識がなくとも,環境に適しており,かつ周辺の景観との調和のとれた植物を選ぶことが可能となる.今回の実験では約70%の精度で適した植物を推薦できることを確認できた.
著者
グェンミン テイ 伊藤 雅博 川村 隆浩 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.70, pp.39-44, 2011-05-19

本研究の最終目的は,計算機がユーザの状況を把握し,それに応じて皆の経験に基づく最適な行動パターンを推薦することである.これを実現するために,皆の経験に基づく行動パターンの集合知(行動パターンの構成要素,行動パターン間の関係)が必要である.そして,これらの行動パターンの表現,参照,更新の方式が必要である.しかし,皆の経験に基づく行動パターンの集合知を人手で構築するには膨大なコストがかかる.そこで,本論文は行動パターンの集合知である意味ネットワークの自動構築手法を提案する.まず,webコーパスから取得した行動文の中に現れる行動属性を自動的に抽出する.次に,抽出された行動データ(行動属性と行動属性間の関係)をN3で記述する.最後に,行動主と行動間の関係(遷移関係,因果関係)で,行動間のリンクを付け,意味ネットワークを構成する.