著者
香取 幸夫 川瀬 哲明 小林 俊光
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.67-74, 2005 (Released:2012-09-24)
参考文献数
19
被引用文献数
1

This paper reviews the diagnosis and treatment of foreign bodies in the tracheobronchial tree of children. From 1986 to 2005, sixty-four cases were treated in the Tohoku University Hospital. According to previous reports, children under the age of three years were the most common sufferers. The most freguently found foreign bodies were peanuts, but non-organic materials were also the cause in a few cases. For the diagnosis and examination of the sites of foreign bodies, the history of aspiration and coughing attacks, weakness of respiratory sounds, chest roentgenogram f indings, and also CT scans were found to be valuable. In all cases, i t was possible to remove the foreign bodies by ventilation bronchoscopy.
著者
高梨 芳崇 川瀬 哲明 沖津 卓二 八幡 湖 奥村 有理 佐々木 志保 宮崎 浩充 香取 幸夫
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.136-142, 2015-04-28 (Released:2015-09-03)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

要旨:小児期における聴覚障害は言語発達, 学習, 心理面に大きな影響を与えるため, 早期発見と支援, 療育が重要とされている。難聴の早期発見のためには新生児聴覚スクリーニングが有用とされており, 現在では全国的に普及している。難聴の早期発見ができるようになったことに伴い, 難聴児への早期支援体制の充実が必要であると考えられている。しかし, 難聴児に対する早期支援体制に対しては地域格差があり, フォローアップに不十分な点がみられることもある。今回, われわれは宮城県の小児難聴の医療, 療育の現状と問題点について報告した。本県の新生児聴覚スクリーニングの施行率には地域差があり, 特に仙台市以外の地域では満足できるレベルに達してはおらず, 難聴児の発見の遅れに伴う, 療育開始の遅れが問題となる症例が散見された。また, 新生児聴覚スクリーニング後の家族への心理的サポートについても改善の必要性があるように思われた。これらの問題を解決するためには医療, 療育, 行政の連携が大切であり, 耳鼻咽喉科医師の主導のもと, 緊密に連携をとるよう努力していくのが望ましいと考えられた。
著者
長谷川 純 川瀬 哲明 菊地 俊晶 小林 俊光
出版者
医学書院
雑誌
耳鼻咽喉科・頭頸部外科 (ISSN:09143491)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.905-909, 2005-11-20

Ⅰ.はじめに 後天性中耳真珠腫の発症機序は単一ではない。過去には,種々の成因に関する学説が呈示されてきた。内陥説1~4),基底細胞乳頭状増殖説5),穿孔説6)などがその代表である。このなかでは内陥説が広く支持されるに至っているが,内陥から真珠腫が形成されるためには,表皮ならびに皮下組織の増殖・分化にかかわる各種サイトカインの関与が必要と考えられている7,8)。 鼓膜内陥の原因としては,耳管機能不全が想定しやすく,過去にも多くの耳管閉塞実験が行われた9,10)。一方,本庄(1987)11)は,陥凹型真珠腫では耳管の通気圧は正常かむしろ低いものが多く,耳管の器質的狭窄はないことを指摘した。また,多くの症例が陰圧を能動的に解除できることから,Bluestone(1978)12)のいう機能的閉塞も少ないことを述べた。森山(2004)13)は後天性真珠腫の耳管機能について,音響法では正常型が約半数と最も多かったが,健常者に比較すると狭窄型が多かったとしている。 真珠腫の成因説として発想を転換したものに,1970年代後半にMagnusonら14)が提唱した鼻すすり説がある。耳管閉鎖障害(耳管開放症)患者では,嚥下やあくびの際に耳管が開放状態となると,耳閉感や自声強聴などの不快感が生じる。このときに「鼻をすする」ことにより中耳腔の陰圧化に続いて「耳管のロック」が起こり,不快感が取り除かれる(図1)。このとき,鼓室内陰圧は時に1,000mmH2Oにも達し,これが鼓膜の内陥やポケット形成を引き起こし,真珠腫を発症する基盤となるとの考えである。 筆者らもこの説に注目し調査を行ってきた。その結果,真珠腫症例全体の約25%にMagnusonの説を裏付ける鼻すすり癖が認められ15),上鼓室陥凹例でも20%に鼻すすり癖を認めた。もちろん,鼻すすり説以外にも真珠腫の成因は複数存在する可能性があるものの,鼻すすり癖は真珠腫の重要な成因の1つであると考えられる。 本稿では,後天性真珠腫の耳管機能について耳管閉鎖障害の観点を中心として述べ,鼻すすり癖を有する真珠腫(以下,「鼻すすり真珠腫」)の取り扱いおよび治療について述べる。
著者
小倉 正樹 川瀬 哲明 鈴木 陽一 曽根 敏夫 高坂 知節
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.259, pp.23-28, 1999-08-26
被引用文献数
1

左右差の無い聴力閾値正常者に対しランダム化最尤適応法を用いて単耳および両耳ピッチ比較実験を施行した。この結果から単耳・両耳の周波数弁別閾、両耳の等ピッチ周波数の差を求めた。個人差はあるが全例で4kHz以上の高周波域において周波数弁別閾は増大傾向を示した。等ピッチ周波数の左右差は4例中2例で高周波域での増大を示した。これらの結果は、高周波域では周波数情報として場所情報が卓越するという説に合致するものと考えられた。
著者
小林 俊光 川瀬 哲明 吉田 尚弘 大島 猛史 和田 仁 鈴木 陽一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

耳管開放症の疫学研究を行った。とくに慢性腎不全に伴う腎透析患者における耳管開放症の発症の実態を調査した。その結果、腎透析を行った147人中13人(8.8%)が透析後に耳管開放症を発症したことが透析病院での検診結果で判明した(Kawase T, et al.:参考文献)。腎透析と耳管開放症の関係を示した世界で初めての報告である。耳管開放症の画像診断を検討した。その結果、座位で行うCTが有用で臨床応用可能であることを示した。また、バルサルバ法の負荷によって、診断精度が向上することを示し、臨床的な重症度ともよく相関することを示した(Kikuchi T, et al.:参考文献)。耳管開放症・耳管閉鎖障害に影響する因子としての聴力の影響を検討した。その結果、耳管開放症の症状は難聴があると、軽減つることが判明した。例えば、鼓膜穿孔、耳硬化症、真珠腫などのために伝音難聴があると、経耳管的に中耳に伝達され知覚される自声が低く知覚されるために、耳管開放症の症状が軽減する。しかし、一度、手術などの治療によって、聴力が改善すると、知覚される自声が大きくなり、不快な症状が自覚されることとなる。このような病態を潜在性(隠蔽性)耳管開放症と新しく提唱した。中耳真珠腫においても、以上のメカニズムが働いているかどうかを、真珠腫新鮮例171例において検証した。真珠腫の中には約30%の鼻すすり型耳管開放症が含まれているが、鼻すすり(+)群と鼻すすり(-)群の聴力の比較を行ったところ、鼻すすり(+)群が有意に聴力は良好であった。また、術後に鼻すすりを継続した群は鼻すすりを停止した群よりも有意に聴力が良好であった。つまり、鼻すすり癖の停止、継続には、聴力が影響すること、そしてそれは自声強聴を知覚する度合いの違いによるものと解釈された(Hasegawa J, et al.:参考文献)。