著者
岡村 靖 北島 正大 荒川 公秀 立山 浩道 永川 正敏 後藤 哲也 倉野 彰比古 中村 正彦 丸木 陽子
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.91-102, 1979-03-01

人間の寿命は70年±10年であり, 無限の空間と久遠の宇宙実存において思惟するならば, 人間の一生は瞬時の生命に過ぎない。しかし, その間, 先天的な素因, および, 環境要因に加えて, 感情や意志, すなわち, 人間の大脳皮質, とくに, 新皮質の神経細胞の機能が, 側体のhomeostasisを司る内分泌一自律神経系に種々の影響を及ぼして疾病が発生し, また, 多様な予後を示すので, 心身相関の問題は, 疾病の発生, 経過, および, 治癒の上に極めて重要である。したがって, 疾患の発生機序について, 心理学, 内分泌学, ならびに, 自律神経学の3方面から, 系統的な研究, ならびに, 考察を行い, 疾患のとらえ方に新しい概念を導入した。そして, この概念に基づいて疾患の診断と治療を行なう意義の重要性を提起した。その具体例として, 内分泌疾患, 自律神経失調症, および, 分娩における, 心身の環境因子と精神-自律神経-内分泌系との関連について研究を行った成績を述べた。(1979年1月16日 受付)
著者
後藤 哲久 長嶋 等 吉田 優子 木曽 雅昭
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.83, pp.21-28, 1996-07-31 (Released:2009-07-31)
参考文献数
23
被引用文献数
6 17

市販録茶試料7茶種85点の8種のカテキン類とカフェインの含有量を測定した。玉露,抹茶は煎茶,玉緑茶と比較してやや多くのカフェインを含む一方総カテキン量は少なかった。同じ茶種の中では,上級茶は一般に下級茶より多くのカフェインを含み総カテキン量は低かった。個々のカテキン類の中では,エピガロカテキンガレート(EGCg)の含有量が最も多く,総カテキン量の50~60%を占め,エピガロカテキン(EGC)と合わせた量は総量の約80%であった。遊離型カテキン(EC,EGC)の含有量は,エステル型カテキン(ECg,EGCg)の,煎茶,玉緑茶では半分以下,玉露,抹茶では1/3以下であった。玉露,抹茶では多くの試料からカテキン(C)が検出されたが,それ以外の微量カテキン類はほとんど検出されなかった。ほうじ茶のカテキン類は,加熱による変化を受けるためか量的にも少なく,その組成も他の茶種と大きく異なっていた。
著者
米田 浩平 日浅 芳一 當別當 洋平 馬原 啓太郎 細川 忍 原 朋子 石橋 直子 尾崎 敬治 後藤 哲也 藤井 義幸 山下 理子
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.681-686, 2011 (Released:2012-11-07)
参考文献数
11

症例は16歳, 男性. 発熱, 倦怠感と労作時呼吸困難を訴え近医を受診し, 白血球減少を指摘され, 当院血液科へ紹介された. 精査目的に入院したが, 呼吸困難の増悪を認めたため, 循環器科へ紹介された. 心エコーでは右心系の拡大と中等度の肺高血圧を認め, 造影CTを施行したところ両側肺動脈を中心に広範囲に血栓を認め, 肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism; PTE)と診断した. 血小板数が54.5万と増加しており,(腫瘍性の)血小板増加もPTEの原因の1つである可能性が考えられた. ウロキナーゼ, ヘパリンを投与し治療を行ったが, 治療開始後にも呼吸困難は継続していた. 白血球減少については骨髄検査を行い, 20%以上の芽球を認めたため, 急性骨髄性白血病(AML with multilineage dysplasia)と診断した. 入院7日目よりIDA+Ara-Cによる寛解導入療法を開始したところ, 症状は軽快し, 心エコー上も右心負荷の改善を認めた. その後, 同種骨髄移植を行い当院血液科外来にてPTEの再発なく経過観察中であったが, 移植後の再発のため2010年3月死亡. 今回, PTEが初発症状の1つとして発症し, その治療として化学療法が奏功した若年者のAMLの1例を経験したので報告する.
著者
新国 佐幸 ウトモ ジョコ・スシロ アンタルリナ スリ・サティア ギンティング アリアナ 後藤 哲久
出版者
Japanese Society of Mycotoxicology
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.13-22, 2002-01-31
被引用文献数
3

インドネシアの醤油ケチャップおよび発酵大豆タウチョの大豆麹を採取した.収集試料6点のうち,5点からは <i>Aspergillus</i> が主要菌として分離された.収集試料からは,アフラトキシンは検出されなかったが,2株のアフラトキシン生産菌が分離された.アフラトキシン汚染防止の観点から種菌の開発を行うため,<i>Aspergillus</i> 属の優良菌株2株を選択し,さらに,紫外線照射により,それらの白色変異株を造成・取得した.白色変異株は,アフラトキシン生産菌とは,外観から容易に識別された.これらの変異株には,アフラトキシン生産性は認められず,また,これらを用いて調製した諸味のフォルモール窒素の値は,親株を用いた場合とほとんど変わらなかった.アフラトキシン生産菌の常在地では,麹菌白色変異株の種菌としての利用は有用である.
著者
後藤 哲雄 高山 健志
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.45-60, 1992-05-25
被引用文献数
10

オウトウハダニTetranychus viennensis Zacherには, 周気管の形状と雄成虫の体色, 産卵習性を異にする系統が存在する。これらは種内変異と考えられているが, 詳細には検討されていない。本研究では, 複雑な周気管を持ちバラ科樹木に寄生するリンゴとサクラ系統, および単純な周気管を持ちブナ科樹木に寄生するミズナラ系統が同一種であるかまたは別種であるかを明らかにする目的で, 寄主範囲, 増殖率, 生殖和合性およびエステラーゼザイモグラムを調査した。リンゴとサクラ系統の寄主範囲は非常によく類似していたが, ミズナラ系統とは明らかに異なっていた。ミズナラ系統の内的自然増加率はリンゴ系統と類似した値を示したが, サクラ系統の値よりは低く, ブナ科とバラ科寄生系統間の差は不鮮明であった。系統内交配およびリンゴとサクラ系統間の交配では雌雄の子孫が出現し, 和合性を示したが, バラ科に寄生する2系統とミズナラ系統の交配では雄の子孫のみが出現し, 生殖的な隔離が見られた。エステラーゼアイソザイムのバンドは, 3系統に共通する1本(E7)を含む8本が検出された。リンゴとサクラ系統では, サクラ系統に特異的な1本(E1)を除き, 共通する3本のバンドを示したが, ミズナラ系統はこれらと異なる3本のバンドを出現した。以上の結果から, バラ科に寄生するリンゴとサクラ系統は同一種であるが, ブナ科に寄生するミズナラ系統は明らかに別種であると結論された。
著者
平田 雅之 柳澤 琢史 松下 光次郎 Shayne Morris 神谷 之康 鈴木 隆文 吉田 毅 佐藤 文博 齋藤 洋一 貴島 晴彦 後藤 哲 影山 悠 川人 光男 吉峰 俊樹
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.541-549, 2012-07-20

ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)は脳信号から運動意図・内容を読み取って外部機器を制御する技術である.われわれは脳表電極を用いたBMIにより,筋萎縮性側索硬化症等の重症身体障害者に対する機能再建を目指して研究開発を行っている.これまでにγ帯域活動を用いた連続的な解読制御手法により,ロボットアームのリアルタイム制御システムを開発し,脳表電極留置患者による物体の把握・把握解除に成功した.感染リスク回避のためにはワイヤレス体内埋込化が必須であり,ワイヤレス埋込装置のプロトタイプを開発した.今後は,重症の筋萎縮性側索硬化症を対象として,有線・ワイヤレス埋込の2段階での臨床試験を経て実用化を目指す.
著者
平井 邦彦 後藤 哲男 森田 守 渡邉 誠介 澤田 雅浩
出版者
長岡造形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本年度はこれまで新潟県南魚沼郡で行ってきたさまざまな調査研究の集大成として、より広範な施設に関するバリアフリー状況調査を実施するとともに、その簡便な改善策の実証的研究を当該地域において実施した。具体的には、バリアフリー状況調査で抽出した観光・レジャー施設を複数抽出し、その施設のより詳細な調査を実施するとともに、簡便な設備で状況が改善可能な場合にはそのような対策を施した。また実際に障害者や高齢者が訪問した場合の障害に対してのシミュレーションを実施した上で、南魚沼郡全域にわたる一日観光ルートを設定し、そのルートを利用した実地調査を行った。調査に際しては、抽出した施設からの協力を受けるとともに、塩沢町社会福祉協議会の支援を受け、実際に車椅子を利用されている方をモニターとして4名の方にご参加いただき、利用時の問題点や対策の有効性についてユーザー側からの情報を提供してもらうことができた。ハートビル法が成立したものの、一定規模以下の施設ではバリアフリー改修が不必要なことも多く、またそれらの施設はそのような設備改修の余裕を有していない場合が多いが、今回の調査で事前に行った対策は費用、手間両面からも大変扱いやすいレベルのものであり、その効果を実際に施設管理者が目にすることで、障害者受け入れの精神的障壁を取り除くことができるようになることも調査の中で明らかとなった。手近なところの工夫によって今後国内で増加する高齢者・障害者を積極的に受け入れることができるようになることが実証的に明らかにされるとともに、この知見を地域内で共有することでより広範かつ綿密な「もてなし」が実現する可能性が示唆されたといえる。
著者
後藤 哲雄
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.125-127, 2008-11-25
著者
後藤 哲雄
出版者
日本植物防疫協会
雑誌
植物防疫 (ISSN:00374091)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.261-265, 2010-04
被引用文献数
1
著者
後藤 哲雄 穐澤 崇 渡邊 匡彦 土屋 明子 嶋崎 明香
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.93-103, 2005-11-25
被引用文献数
1 25

ミヤコカブリダニ(ミヤコ)の個体数は, 1990年以降に日本各地で急激に増加し, 関東以西の慣行防除果樹園ではそれまでの優占種であったケナガカブリダニ(ケナガ)と置き換わってきている.一方, 北日本への分布の拡大傾向は小さい.このような種の置換と分布拡大の要因を明らかにする一環として, 本報告ではミヤコの休眠性の有無と2種の耐寒性を報告する.ミヤコは, 短日条件と長日条件の産卵前期間が同じであり, 休眠性はなかった.2種間およびケナガの休眠と非休眠個体間の過冷却点(supercooling point)に有意差はなく, -21.9〜-23.3℃であった.ケナガ・休眠雌は, -5℃で7日以上生存した(>50%)が, ミヤコとケナガ・非休眠雌は5日以内に70〜85%が死亡した.このことからミヤコの北進が遅いのは耐寒性がわずかに弱いことも一因であると考えられた.一方, いずれの種においても生残した雌は20℃長日条件下で2個体を除いて産卵し, 産下卵の大半がふ化した.従って, 低温ストレスは産卵数やふ化率への影響が少なく, ミヤコも冬季の低温条件下で生き残ることができる地域では, 定着が可能であると考えられた.