著者
後藤 明 板垣 雄三 松原 正毅 佐々木 高明 板垣 雄三
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

1.平成3年度調査研究実施計画にもとづき、学術調査の対象国をアメリカ合衆国にしぼり、同国の地域研究機関の研究実績面、組織・行政面の情報集積・解析・評価をおこなった。2.研究実施のための計画作業わが国における新しい「地域研究」の組織上の、また研究方法上の推進体制に関して国立民族博物館においておこなっている調査研究の作業の進行と密接に連携しつつ、本研究組織としては、欧米諸国における「地域研究」の歴史と現状に関する事前サ-ヴェイをさらに深化させるべく集中的討議をおこなうとともに、この学術調査の実施上の重点目標の確点、調査項目の調整、調査対象機関の選定、それとの連絡態勢の確立、調査対象機関における協力者との事前の協議など、計画の具体化をすすめた。3.研究遂行のための現地調査実施の概要1)現地調査のための派遣者(2名)研究分担者 板垣雄三(東京大学名誉教授)研究協力者 竹下典行(文部省学術国際局研究機関課課長補佐)2)現地調査のための派遣期間:平成3年11月5日〜16日(12日間)3)おもな訪問機関および応接者ワシントンDC(1)ジョ-ジタウン大学現代アラブ研究センタ-/イブラヒ-ム・イブラヒ-ム所長およびマイケル・ハドソン教授(2)ジョ-ジ・ワシントン大学政治学部/バ-ナ-ド・ライク教授(前学部長)(3)中東研究所/ロバ-ト・キ-リ-理事長(4)スミソニアン研究機構ウイルソン・センタ-/ロバ-ト・リトワク国際研究部長(5)アメリカン大学国際学部(SIS)/ルイス・グッドマン学部長およびシェリフ・マルディン教授マサチュウセッツ州ボストン(6)マサチュウセッツ工科大学アガカ-ン計画/バ-ブロ・エック部長(7)ハ-バ-ド大学中東研究センタ-/ウイリアム・グレアム所長(8)ハ-バ-ド大学国際開発研究所/大木正光研究員(前外務省中近東二課長)ニュ-ヨ-ク市(9)社会調査研究所/ジャネット・アブ-ルグド教授およびエリック・ホブズボ-ム教授(10)コロンビア大学中東研究所/グレゴリ-・ゴ-ズ3世助教授(11)社会科学研究所(SSRC)/メアリ-・マクドナルド事務局員4.観察結果および収集された情報資料にもとづく研究作業本研究組織としては、調査実施から得られた知見を整理・分析・評価する作業をすすめつつ、調査研究のつぎの段階の準備にとりくんでいる。本年度の調査にかぎっていえば、アメリカ合衆国においては、世界諸地域の地域研究がしばしば政策形成・実施のための応用研究に引き寄せられ基礎研究としての系統性と持続性に欠ける結果となってきたことへの反省が全般的につよく生じており、教育の次元からの再建・再編への動きが看取される。わが国における総合的な地域研究の組織化への志向は、そこで大きな関心を呼んでいる。
著者
田中 聰 佐藤 源 曽田 益弘 小松原 正吉 河本 知二
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.521-527, 1978

肝海綿状血管腫の3症例を経験し,それぞれ異なる摘除術式によって治癒せしめた.症例はすべて女性で,年齢は47歳, 47歳, 42歳であり,第1例は胆嚢水腫の診断のもとに手術されたが,第2例は腹腔鏡検査での腫瘤表面の性状から,第3例は肝動脈造影での造影剤のボタン雪状のpoolingから,術前に本症と診断されたものであった.その肉眼的増殖型はそれぞれ限局性被包型,多発性びまん型,部分的被包型で,第1例では腫瘤摘出術,第2例では左葉外側区域切除術,第3例では拡大右葉切除術(右葉および左葉内側区域切除術)をおこない, 270g, 890g, 3450gの腫瘤を摘除した.第1, 2例は腫瘤の圧迫によると思われる右季肋部痛,心窩部痛を主訴としたが,第3例の腫瘤は成熟胎児大であって.術前には下大静脈狭窄による両下肢浮腫,腹水の貯留,蛋白尿があり,ネフローゼとして加療されていた.また腫瘤内血液凝固に起因すると思われる血中FDP値の上昇があった.しかし腫瘤はほぼ被包化され,その約1/4周のみで肝実質に移行しており,結果的にはこの部での肝部分切除によって充分に摘除し得るものであった.肝海綿状血管腫は血管奇型とされているが,圧迫症状以外にも破裂による腹腔内出血, Kasabach-Merritt症候群,腫瘤内血液凝固にもとづくconsumption coagulopathy,貧血,うっ血性心不全,門脈圧亢進症状などを合併することが報告されているので,原則として外科的摘除を必要とするが,本症には有茎性肝外増殖型,限局被包型,不完全被包型,びまん性増殖型等,増殖形態に多様性があることが報告されている点を考慮し,必要最小限の侵襲にとどめるべく,術式の選択に慎重でなければならない.なお,ビリグラフィンによるcontrast enhancementを応用したCTスキャンは,肝嚢腫との鑑別上有用であった.
著者
松方翔吾 寺澤洋子 松原正樹 北原鉄朗
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-99, no.39, pp.1-5, 2013-05-04

本研究は,トランペット演奏時の口唇周囲の筋活動を解析することを目的とする.口唇周囲の筋肉は口の形(アンブシュア)を一定に保つために深く関わっており,アンブシュアを保つことはトランペットを上手に演奏するために必要とされている.従来研究では,音の高さや強さ,楽器習熟度の観点からトランペット演奏時の口唇周囲の筋活動を解析していたが,プレイヤーの演奏可能な音域や他楽器の演奏経験を考慮していなかった.そこで我々は,それらの問題を解決するために,口唇周囲の筋活動(上唇の口輪筋,下唇の口輪筋,口角下制筋,口角挙筋)を表面筋電図を用いて解析した.その結果,次のことが分かった.(1)低い音より高い音を演奏中の方が筋活動が活発になるが,その度合いは演奏者の演奏可能な音域によって変化する.(2)初心者は上唇より下唇の筋活動の方が活発であり,熟達者はその違いはない.そして,トランペットと同様に唇を震わせて演奏する金管楽器の奏者は,初心者と同じような筋活動を示す.
著者
松原 正樹 狩野 直哉 寺澤 洋子 平賀 瑠美
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.1331-1340, 2016-05-15

日常生活のなかで,音楽を長時間積極的に楽しむ聴覚障害者は多い.彼らの音楽スキルが向上することで,より自信を持って音楽を深く楽しめるようになり,ひいては社会生活の改善につながる.また,音楽を通じて,複雑に重畳された音の選択的な聴取のスキルが向上し,環境音や日常生活の混合音の選択的な音聴取能力が向上することも期待される.本研究では,聴覚障害者の音聴取能力向上トレーニングを目的としたタッピングゲームの開発を行い,音楽聴取時に視覚手がかりの有無によってリズム認知能力の短期的学習効果があることを検証した.実験では,聴力レベル76dB以上の聴覚障害者6名を対象に視覚手がかりの有無やボーカルの有無,難易度を条件としたタッピング課題を行い,タッピング課題の成績をもとにリズム認知能力の短期的学習効果を確かめた.その結果,視覚手がかりがある条件のみ短期的学習効果が統計的に有意に現われた.また,実験参加者へのアンケートやインタビューでは視覚手がかりのあるトレーニングが有益であるという評価を得た.客観的評価および主観的評価の両方で,このシステムが音楽聴取能力の向上に寄与することが示唆された.
著者
松方翔吾 寺澤洋子 松原正樹 北原鉄朗
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.39, pp.1-5, 2013-05-04

本研究は,トランペット演奏時の口唇周囲の筋活動を解析することを目的とする.口唇周囲の筋肉は口の形(アンブシュア)を一定に保つために深く関わっており,アンブシュアを保つことはトランペットを上手に演奏するために必要とされている.従来研究では,音の高さや強さ,楽器習熟度の観点からトランペット演奏時の口唇周囲の筋活動を解析していたが,プレイヤーの演奏可能な音域や他楽器の演奏経験を考慮していなかった.そこで我々は,それらの問題を解決するために,口唇周囲の筋活動(上唇の口輪筋,下唇の口輪筋,口角下制筋,口角挙筋)を表面筋電図を用いて解析した.その結果,次のことが分かった.(1)低い音より高い音を演奏中の方が筋活動が活発になるが,その度合いは演奏者の演奏可能な音域によって変化する.(2)初心者は上唇より下唇の筋活動の方が活発であり,熟達者はその違いはない.そして,トランペットと同様に唇を震わせて演奏する金管楽器の奏者は,初心者と同じような筋活動を示す.In this paper, we investigated the relationship between the muscle activities around the lips and the sounds of playing the trumpet. While one is playing the trumpet, it is important but also difficult to keep an embouchure. Previous studies have investigated the difference between muscle activities for register and proficiency, but these studies have not considered the player's playable register and the influence of experience playing other instruments. Thus, in this study we aimed to solve these problems by examining the surface electromyograms (EMGs) around the lips: the orbicularis oris superioris, orbicularis oris inferioris, depressor anguli oris, and levator anguli oris. As a result, we found that (1) muscle activity is greater in the high register than the low register, but muscle activities in the high register are not significantly greater than those in the low register for the wide range of the playable register in the fixed register (FR); and (2) a novice trumpeter has greater muscle activity in the upper lip than in the lower lip, while an expert shows no difference. The muscle activity is the same as for the novice player when a non-trumpet brass player plays the trumpet.
著者
松原 正樹 岡本 紘幸 佐野 智久 鈴木宏哉 延澤 志保 斎藤 博昭
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.2937-2948, 2009-12-15

オーケストラなど大編成用に作曲された楽曲のスコア(総譜)は,パート数の多さから判読性に欠け,異なるパート間の関連性を把握するには音楽構造を理解する必要があり,楽譜(パート譜)を読むことができてもスコアを読むことができない演奏者が多いという問題点がある.そこで本稿では,異なるパートの似た役割を持つフレーズをクラスタリングし,各クラスタに異なる色を割り当てて楽譜上に着色する手法と,音楽を再生しながら色付け楽譜を見ることで異なるパート間の関連性を把握しやすくするインタフェースを提案する.提案手法では,合奏において重視すべき,リズム,響き,メロディ,和声を考慮した4つの特徴量を用いてパート間の距離を定義し,k-meansアルゴリズムを利用してクラスタリングを行うことで色付け楽譜の生成を実現している.また提案するインタフェースにおいて,ユーザは操作の繰返しにより,スコアリーディングを熟達させることができ,楽曲の構造について考えて聴くようになった.実験結果より異なるパート間の関連性を把握する色付け楽譜の生成が可能であることを示し,スコアリーディング支援を実現できることを示した.
著者
松原正勝著
出版者
渓水社
巻号頁・発行日
1982
著者
狩野直哉 松原正樹 寺澤洋子 平賀瑠美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.4, pp.1-7, 2014-08-18

聴覚障害者にとって,日常生活における複雑な音情景の中から,必要な音を選択して認識し理解することは困難である.そういった音聴取能力を向上させることは聴覚障害者の手助けになり,QOL の向上につながる.我々は,聴覚障害者の音聴取能力向上トレーニングを目的としたタッピングゲームの開発を行った.タッピングゲームは,聴覚トレーニングに音楽とゲームの要素を取り入れたものであり,音聴取能力向上効果のみならず,聴覚障害者が意欲的に継続できることを意図している.タッピングゲームは二度,聴覚障害学生にプレイしてもらい,ディスカッションを行った.本稿では,タッピングゲームの開発とディスカッションの様子について報告する.
著者
田阪 茂樹 松原 正也 田口 彰一 長田 和雄 山内 恭
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.31-38, 2011-01-31

第46次南極地域観測隊において,高感度ラドン検出器を南極観測船「しらせ」に設置し,2004年12月3日〜2005年3月19日まで南極海洋上大気中の^<222>Rn濃度を連続観測した.フリーマントルから昭和基地沖合まで(往路)の15日間,昭和基地沖合からシドニーまで(復路)の38日間を解析した.濃度の平均値は往路が39mBq/m^3,復路が48mBq/m^3であった.日平均した濃度と風速には相関があり,風速が5m/secの場合濃度は32mBq/m^3,13m/secに増加すると62mBq/m^3となった.寒冷前線に伴うラドン濃度増大現象(ラドニックストーム)時の濃度は,往路の事例では70mBq/m^3,復路の事例では114mBq/m^3であった.海洋からの放出量が風速の2乗に比例する条件を与えた全球移流拡散モデルを使ってラドン濃度を計算し,観測された風速依存性の検証を行った.
著者
松原 正樹 遠山 紀子 斎藤 博昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.19, pp.79-84, 2006-02-23
参考文献数
10
被引用文献数
3

本稿では,近年国内において多様化するピアノ学習者のうち,ピアノ初級者を対象にした独習支援システムを提案する.従来の独習支援システムは,一回毎の演奏について評価を行い,ユーザは間違えた箇所を認識し,演奏の評価を得ることができた.しかし,初級者は,間違えた箇所を認識することが出来ても,なぜ間違えたのか,今後どのように練習してよいか,といった練習方針を自分自身で判断するのは困難であり,初心者はなかなか技術の上達を見込めないという問題点があった.そこで本提案システムでは,個人の演奏履歴の分析と,目標楽曲に適した練習用楽曲の提示により,学習者に適切な練習を示唆することを目指す.楽曲の特徴量を楽曲中における鍵盤間距離の等しい音列の出現頻度とし,演奏履歴との類似度を計算することによって練習用楽曲を提示する.目標楽曲集をブルグミュラー「25 の練習曲」,練習用楽曲集をバイエル「ピアノ教則本」としてシステムを実装し,実験を行った結果,一部の目標楽曲に対して人間のピアノ教授者と同等の示唆を示した.We present a computer-assisted leaning system for piano novice. The system calculates the distance between keys, estimates the performance and suggests adequate etudes. Using "Twenty-Five Easy and Progressive Studies for Pianoforte" by Burgmuller, as target music, and "Piano Textbook" by Beyer, as etudes, the system suggests appropriate etudes just like piano tutors.
著者
佐藤 次高 加藤 博 私市 正年 小松 久男 羽田 正 岡部 篤行 後藤 明 松原 正毅 村井 吉敬 竹下 政孝
出版者
東京大学
雑誌
創成的基礎研究費
巻号頁・発行日
1997

1.中東、中央アジア、中国、東南アジア、南アジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカを対象に、イスラームの諸問題を政治、経済、思想、歴史、地理など広範な分野にわたって検討し、近現代の政治運動、知識人の社会的役割、聖者崇拝など、将来の重要研究課題を明らかにした。2.和文と英文のホームページを開設し、研究情報を迅速に公開したことにより、日本のイスラーム研究の活性化と国際化を実現することができた。研究の成果は、和文(全8巻)および英文(全12巻)の研究叢書として刊行される。なお、英文叢書については、すでに3巻を刊行している。3.アラビア文字資料のデータベース化を推進し、本プロジェクトが開発した方式により、全国共同利用の体制を整えた。これにより、国内に所在するアラビア語、ペルシア語などの文献検索をインターネット上で簡便に行うことが可能となった。4.各種の研究会、現地調査、外国人研究者を交えたワークショップ、国際会議に助手・大学院生を招き、次世代の研究を担う若手研究者を育成した。とりわけ国際シンポジウムに多数の大学院生が参加したことは、海外の研究者からも高い評価を受けた。5.韓国、エジプト、トルコ、モロッコ、フランスなどから若手研究者を招聘し(期間は1〜2年)、共同研究を実施するとともに、国際交流の進展に努めた。6.東洋文庫、国立民族学博物館地域研究企画交流センターなどの研究拠点に、イスラーム地域に関する多様な史資料を収集し、今後の研究の展開に必要な基盤を整備した。
著者
興戸 律子 村瀬 康一郎 加藤 直樹 益子 典文 松原 正也
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.21, pp.240-241, 2005-08-20

平成16年度から国立大学は「国立大学法人」となり, 教育研究活動情報を整備し大学内外に対して発信することが求められるようになった. そのような情報の収集と管理のために, 今回教員の教育・研究における活動実績を蓄積管理するための情報システムを構築した. このシステムの特徴は, 教員自身が便利な道具箱として日常的にシステムを利用するメリットを感得でき, 複数人がデータベースの情報を共同利用するための「権限付与」, 「マイリスト」, 実績の入力を代理が行うための「代行入力」の処理機能が備わっていることである. この「権限付与」「代行入力」「マイリスト」機能は, 複数人がデータベースの情報を共有するために必須である機能と考えるものであり, 今回これらの機能について報告する.