著者
川森 博司
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
no.50, pp.p385-406, 1993-02

本稿は,日本と韓国の事例の比較の視点から,異類婚姻譚の類型を整理し,日本の異類婚姻譚を東アジアという視野の広がりの中で考察していくための足がかりを作ることをめざしたものである。類型の分類においては,人間と異類の婚姻が成立するか,成立しないか,ということを第一の基準とし,次に「異類聟譚」と「異類女房譚」に分けて,諸類型の記述をおこなった。婚姻が成立する類型の主なものは,異類が人間に変身して人間との結婚を成就するという形をとるもので,日本においては「田螺息子」の話型があるが,それ以外にはあまり見られない。韓国においては,異類聟譚,異類女房譚ともに,この類型のものが相当数伝承されている。一方,婚姻が成立しない類型は,異類聟譚においても,異類女房譚においても,日本の異類婚姻譚の主要な部分をなしている。日本の異類聟譚においては,人間の女が計略を用いて異類の男を殺害して,婚姻を解消する「猿聟入」や「蛇聟入・水乞型」の伝承がきわめて数多く伝えられている。この形の伝承は韓国には見られないようである。また,日本の異類女房譚では,異類の女の正体が露見したために結婚が解消される形の「鶴女房」や「蛇女房」などが幅広く伝承されている。この類型は韓国にも存在するが,日本の場合ほど顕著にはあらわれない。韓国では,婚姻が成立しない類型においても,一時的な異類との交渉の結果,非凡な能力をもった子どもが生まれる形のものが多く見られる。ただし,これらの点について比較をおこなうとき,『韓国口碑文学大系』においては,昔話と伝説を一括して収録しているのに対し,日本の昔話の資料集は,伝説と区別して,昔話を収集していることを考慮しなければならない。本稿でおこなった類型の整理は,個々の話型についての分析をおこなっていくための土台となるものであり,また,「説話を通して文化を読む」ための基礎作業である。
著者
石井 公成 森 博達 金 文京 瀬間 正之 奥野 光賢 師 茂樹 董 志翹 鄭 在永 崔 鈆植 馬 駿
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、変格漢文について研究している日本・韓国・中国の専門家たちが参加し、メールの交換や毎年開催した国際研究集会を通じて研究を推進してきた。その結果、古代の日本と韓国における変格漢文の多様なあり方が明らかになり、『日本書紀』や聖徳太子の作とされる三経義疏には、これまで報告されていた用例よりはるかに多い変格漢文の用例が見られることが知られた。これは、『日本書紀』の各部分の著者たちや三経義疏の著者を判定するうえで、きわめて有益な発見である。さらに、新羅の変格漢文についても様々な発見をすることができ、日本への影響と日本への違いを明らかにすることができた。
著者
谷川 恭雄 森 博嗣
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.4-16, 1987-05-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
44
被引用文献数
2

コンクリート施工のロボット化を初めとする新工法の開発や, 流動化コンクリート, 繊維補強コンクリート, 水中コンクリートなどの各種コンクリートの開発にともない, フレッシュコンクリートの流動性をより科学的な視点に基づいて評価することの必要性が高まってきている。本稿では, 現在フレッシュコンクリートのコンシステンシー判定法として広く利用されているスランプ試験について, レオロジー的な観点からの見直しを行うことを目的として, スランプ試験のメカニズム, スランプ試験によって測定される値の物理的意味, フレッシュコンクリートの流動シミュレーション方法, スランプ試験を拡張してレオロジー定数を推定する方法などに関する研究の現状を紹介する。
著者
森 博嗣 谷川 恭雄
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文報告集 (ISSN:09108025)
巻号頁・発行日
vol.374, pp.1-9, 1987
被引用文献数
15 2

The purpose of the present paper is to establish a simulation method of the behavior of fresh concrete at its mixing, placing, consolidating, etc. As one of the method to estimate the flow and deformation of fresh concrete, a method of visco-plastic finite element analysis is proposed, and some analytical results are shown in this paper. In the analysis, slip resistance force between boundary surface and fresh concrete can be considered, and the dynamic behavior can be analyzed by calculation of the retardation of velocity change. The results of simulations are in good agreement with those calculated by simple theoretical equations about some examples such as flowing in pipe, parallel-plates plastometer, slump test, and the adequacy of the proposed analytical method is confirmed.
著者
金森 博雄
出版者
中央公論社
雑誌
自然 (ISSN:03870014)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.42-47, 1970-05
著者
森 博 杉江 晶子
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.71-78, 2006-03-31

筆者らは,平成11年4月名古屋文理大学情報文化学部発足時から,一貫して「マルチメディア」を中心にした「情報リテラシー」教育に取り組んできたが,近年急速に進歩し,学生達の必須アイテムと化した「カメラ付き携帯電話」に着目し,それをメディアコンテンツ作成時の入力デバイスとして活用した「メディアリテラシー」教育を提案するものである.カメラ付き携帯電話は,手軽な画像入力デバイスであるだけでなく,今後は,パソコンに変わって,テレビ,ラジオなどの受信媒体,ゲームマシン,音楽や映像プレーヤーになる可能性が高いため,それで扱うファイル形式の知識やデータ入出力技術の修得は,デジタルメディア社会における必要不可欠なメディアリテラシーといえる.本稿では,カメラ付き携帯電話で撮影した動画像をとりこんでショートムービーを作成するための具体的な方法と,実際に半期15コマの演習を行う場合のシラバス案を提示した.
著者
田村 尚土 大森 博司
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.73, no.628, pp.891-897, 2008-06-30 (Released:2009-09-30)
参考文献数
9
被引用文献数
2 5

Present paper proposes a supporting system for structural design of steel frame structures by using multi-objective genetic algorithm. Most of steel structures are composed of the standardized members produced at the factory. In order to take such situation into the process of structural optimization, the structural optimization scheme through the usage of genetic algorithm which can easily deal with discrete variables is presented. Furthermore, multi-objective optimal design method to obtain the Pareto solutions considering both structure's safety and its economy by using multi-objective genetic algorithm is proposed. Through the numerical examples, present design system is shown to be useful for designers as a valuable proposal tool especially in the beginning stage of the structural design.
著者
高橋 基信 小森 博司
出版者
日経BP社
雑誌
日経Windows 2000 (ISSN:13452835)
巻号頁・発行日
no.47, pp.121-128, 2001-02

小森 博司コンパックコンピュータカスタマーサービス統括本部第2 カスタマーサポート本部CAL(クライアント・アクセス・ライセンス)が不要なので,Windows 98マシンをファイル・サーバーとして利用しています。現在は各共有フォルダごとにパスワードを付けていますが,パスワードの入力が面倒でユーザーに不評です。何か方法はないのでしょうか。
著者
森 博輝 長嶺 拓夫 堀崎 大 佐藤 勇一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.855, pp.17-00241-17-00241, 2017 (Released:2017-11-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1

A long flexible shaft such as a lance tube in a soot blower or a drill string in a rotary drilling system exhibits friction-induced vibration resulting in a whirling motion. This paper investigates the whirling motion of a long flexible shaft induced by frictional force and examines the effect of an intermediate support position on the whirling motion. The experimental apparatus investigated has a vertical shaft which rotates at a constant speed by means of an electric motor mounted at the top of the shaft. At the bottom end of the shaft is located a rubber ring so that frictional force acts on the tip of the shaft when the shaft is deflected. Comparing experimental and calculated results we clarify the vibration characteristics, such as whirling frequencies and amplitudes, at various rotational speeds and show the effective position of an intermediate support to suppress shaft vibration.
著者
森 博嗣 谷川 恭雄
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.32, no.12, pp.30-40, 1994-12-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
74
被引用文献数
5

フレッシュコンクリートの流動解析技術に関する研究は, ポンプ圧送性に関する一部の理論的研究を除けば, 最近10年間に行われたものがほとんどであり, 特に, 型枠内流動などを対象とした数値解析技術は, 国外では例を見ない。フレッシュコンクリートの流動現象は, 力学的に取り扱うことが非常に困難であったため, その定量的な解明は遅れていたが, 各種の数値解析手法の開発によって, しだいに明らかになりつつある。最近では高流動コンクリート, 高強度コンクリートなどをはじめとする新しいタイプのコンクリートが出現し, 施工の合理化や省労力化を実現する上で, フレッシュコンクリートの流動解析技術に対する期待が増している。しかし, フレッシュコンクリートの流動挙動や施工性を解析的に的確に予測することはむずかしい課題であり, この分野の研究者は数多くの問題に直面しているのが現状である。本稿では, フレッシュコンクリートの流動解析技術開発の最前線における課題を中心に, この研究分野における今後の展望を概説する。
著者
西森 博紀 岡本 竜 柏原 昭博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.453, pp.253-258, 2011-02-25
被引用文献数
1

プレゼンテーション・リハーサルは,発表終了後,レビュアからの指摘をもとに質の高い議論を行い,発表内容の改善に役立つ有効な知見を得ることが重要である.しかし,議論フェーズでは,議論を行う上での準備や進行,結果の記録に関する問題などにより,議論内容の理解や議論結果の記録に不備が生じている.その結果,リハーサル終了後の改善作業が不十分に終わる場合が多い.そこで,本研究では発表全体の構成を示すプレゼンテーション構造を軸とし,議論フェーズにおける問題を解決するための支援方法を検討する.本報告では,支援環境の機能,構成の提案とプロトタイプシステムの開発について述べる.
著者
大場 啓介 長嶺 拓夫 森 博輝 佐藤 勇一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
pp.14-00593, (Released:2015-02-24)
参考文献数
8

This paper describes the investigations of the characteristic about the sound generation of a nose flute experimentally. The nose flute is attached to the upper part of a container. If air is passed to a nose flute, sound will occur. The volume of a container is changed and the generated sound is measured. The natural frequencies of an experimental device are calculated and we confirm that it is in agreement with frequency of sound generated in experiment. We show that nose flute is a unique musical instrument with the point that a nose flute has only an edge part and uses people's mouth for a resonance body part. The frequencies of resonance sound can be calculated from the capacity in a mouth, the thickness and the area of an opening of a nose flute. When people play a nose flute, it is thought that only the first mode of vibration is used.