著者
古屋 聖児 横山 英二 熊本 悦明 塚本 泰司
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.15-24, 1983 (Released:2010-07-23)
参考文献数
18

正常対照群7例と神経因性膀胱患者20例を対象として, 球海綿体反射の伝導時間を測定した. この伝導時間は, 陰茎または陰核, および後部尿道を電気刺激した後, 肛門括約筋が収縮する迄の潜時として計算される.1. 正常対照群における伝導時間は, 陰茎または陰核を電気刺激したばあいは32-45msec (平均38.1msec), 後部尿道を刺激したばあいは60-84msec (平均71.1msec) であつた. 従つて, 前者のばあい50msec以上, 後者のばあい90msec以上の伝導時間は異常と考えられる.2. 核上型神経因性膀胱患者12例の伝導時間は, 正常対照群と差を認めなかつた. しかし, 核型神経因性膀胱患者1例および末梢型神経因性膀胱患者6例では, 球海綿体反射の伝導時間に延長が認められた.3. 球海綿体反射の伝導時間の測定は, 客観的, 定量的な臨床検査法として, 神経因性膀胱のタイプや障害部位の診断に有用であると考えられる.
著者
内田 豊昭 足立 功一 青 輝昭 藤野 淡人 横山 英二 小俣 二也 吉沢 一彦 黒川 純 門脇 和臣 庄司 清 真下 節夫 遠藤 忠雄 小柴 健
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.890-896, 1993-05-20
被引用文献数
4 6

1971年8月から1991年7月までの20年間に北里大学病院泌尿器科において経験した経尿道的手術は3,215例であった.その内訳は,前立腺肥大症2,008例,膀胱腫瘍692例,前立腺癌258例,膀胱頸部硬化症167例,尿道狭窄38例,慢性前立腺炎20例,他の泌尿器疾患32例という順であった.このうち下部尿路通過障害を主訴としてTURPを施行した前立腺肥大症2,008例と前立腺癌258例の計2,266例について臨床統計的に検討した.2,266例の年齢は44歳から96歳(平均70.1歳)で,切除時間は最短9分から最長245分(平均73.0分)切除量は最小1gから最大177g(平均27.0g),使用灌流液量は最小4Lから92L(平均25.0L)であった.術後の膀胱カテーテルの留置日数は3日間から44聞間(平均4.1日間),入院日数は最短10日間から最長81日間(平均12.1日間),術中・術後合併症は合計308例(13.6%),輸血症例は305例(13.5%),死亡例は1例(0.04%)に認められた.それぞれの項目につき,疾患別,切除量別,切除時間別に検討したところ,疾患別では前立腺肥大症群が切除量,切除時間,灌流液量,術後カテーテル留置期問,合併症率が高く,前立腺癌群に入院期間と輸血例が多く認められた.また切除時間,切除量が増大するにつれ各項目とも比例増大した.
著者
横山 英信
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
アルテス リベラレス (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
no.96, pp.93-113, 2015-06

日本の政権は,2009年8月の総選挙でそれまでの自民党・公明党連立政権から民主党・社民党・国民新党連立政権(10年5月に社民党は連立離脱)へ交代したが,12年12月の総選挙の結果,民主党政権から自公連立政権(=安倍政権)へ再び交代した。そして,この政権再交代の下で,日本農政の動向も変化している。 民主党連立政権の農政の中軸に位置づけられた「農業者戸別所得補償制度」(以下,戸別所得補償制度)は,以前の自公政権の下で07年度から開始された,農業生産に係る価格・所得補填の対象を一部の大規模経営体に限定する「品目横断的経営安定対策」(08年度から「水田・畑作経営所得安定対策」と改称)とは異なって,全農業者を対象とする価格・所得補填措置であった。09年8月の総選挙で民主党が大勝した一因も,その際の選挙公約として打ち出した戸別所得補償制度が多くの農業者の支持を得たことにあった。 この戸別所得補償制度に対して,当時野党であった自民党は「バラマキ政策」と批判しており,それゆえ,政権再交代後の農政に戸別所得補償制度を否定する色合いが見られるのは半ば当然であるが,それは以前の自公政権下の農政にそのまま戻ったものではない。 すなわち,価格・所得政策を見るならば,それは品目横断的経営安定対策に単純に復帰したわけではなく,以前とは異なった特徴を持つものになってきた。加えて注目すべきは,政権再交代後の農政には,戦後農政の基底をなしてきた米政策・農地政策の基本的枠組みを根底から再編しようとする方向が明確に打ち出されていることである。 このような農政再編は,現在,農林水産省が13年12月に公表した「4つの改革」をベースに据えて進められている。その帰趨は今後の日本農業・農村の動向に大きな影響を与えることになろう。 以上に鑑みて,本稿は,政権再交代後の農政再編の内容とその基本的な性格を,近年における日本農政の展開動向を踏まえて明らかにすることを課題とする1)。
著者
横山 英信
出版者
日本農業経済学会
雑誌
農業経済研究 (ISSN:03873234)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.113-128, 2005-12-25 (Released:2014-10-31)
参考文献数
8

The aim of this paper is to investigate the political conditions for increasing the domestic wheat production in the years ahead, through an analysis of the development of Japan's postwar wheat policy and the trends in the supply, demand and production of wheat in Japan, focusing on the changes in planted acreage and the amount of production, and the matching of demand and production. There have been two wheat policies in postwar times; the 'main policy,' which considers the supply, demand and production of wheat as a subject to be treated directly, and the 'policy of reducing rice production,' which deals with the production of wheat by regarding wheat as an alternative crop. The supply, demand and production of wheat in the postwar period has been greatly influenced by the 'main policy' and the 'policy of reducing rice production.' It has developed in response to political and economic changes. Analysis of these influences shows that the following conditions are required to increase domestic wheat production under the present 'main policy,' which has changed from an indirect system controlled by the government to a private distribution system. First, it is essential to establish a standard price unit for Funds to Keep the Management of Wheat Production Stable (bakusaku-keiei-antei-shikin) and Grants to Promote the Improvement of Quality (hinshitsu-kaizen-shorei-gaku), which will mean that the average producers' price for all wheat brands will be able to make up for the average production cost for paddy field production in all prefectures except Hokkaido. Secondly, on the premise that the first condition has been achieved, price differentials should be applied to each wheat brand, based on the quality of the wheat, the dealing price and the state of the mismatch. Effective boundary measures should be set up to guarantee domestic wheat production.
著者
横山 英二
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.125, no.3, pp.277-285, 2005 (Released:2005-06-01)
参考文献数
5
被引用文献数
4 2

A control system which improves playability of optical disk drives is proposed. The system estimates the state variables such as a sensor-less disturbance observer and feeds them back to the controller. This approach improved control performance toward the defects on the optical disk by the feedback control of the estimated velocity. Furthermore, the influence of an acceleration disturbance to act on the drive and the influence of acceleration caused by physical distortion of the optical disk are suppressed by the feedback control of the estimated disturbance. It is proved that, by applying this control system to the tracking servo system of CD players, the control errors against the acceleration disturbance and the radial run-out of the disk were eliminated and that, as a result, abnormal sound skips never occurred on the defective disks. This control system is one of the key technology toward the realization of the high density optical disk drives.
著者
折津 政江 横山 英世 野崎 貞彦 村上 正人 桂 戴作
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.595-602, 1999-12-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
14

心療内科受診者を対象に, ストレス耐性度チェックリスト(STCL)を施行した.信頼性分析のほか, 因子分析で得られた結果を第1報で報告した健常群で得られた結果と比較検討し, さらに判別分析を行った.平均得点は健常群より有意に低く, 判別分析では, 判別率77.8%で異なる群として有意に分けられた.因子分析では, 「明朗・積極性」「対人寛容性」「自己不確実性」「自己本位」「過緊張」の5因子が抽出された.ストレス耐性をストレッサーに対し, 調和的かつ適正に認知・評価し対処する機能と考えると, STCLはストレス耐性度をある程度推測することができるものと思われたが, より正確に測定するために, 追加すべき要因のほか, 対象の見直しやストレッサーやストレス反応との関連などの検討を重ねることが必要であろうと考えられた.
著者
池森 豊 太田 正史 梅田 浩二 ペラルタ ロバート 黒木 雅彦 横山 英明 児玉 義勝
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.365-367, 1996-04-25

2種類の鶏卵黄抗体を用いて消化管における動態試験を行った. ヒドロキシメチルセルロースフタレート(HPMCP)抗体粉末(HAP)とコントロール抗体粉末(CAP)を子牛に経口的に投与し, ELISA法により抗体活性を測定したところ, 投与後2時間目には, CAPおよびHAP投与牛の第4胃における抗体価はそれぞれ128倍と256倍であったが, 4時間目には, 2倍および64倍に低下した. これらの結果から, HPMCPを含む抗体粉末は胃液に対してより抵抗性があり, 小腸でより確実に作用する可能性が示唆された.
著者
折津 政江 横山 英世 野崎 貞彦 村上 正人 桂 戴作
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.595-602, 1999-12-01
参考文献数
14
被引用文献数
1

心療内科受診者を対象に, ストレス耐性度チェックリスト(STCL)を施行した.信頼性分析のほか, 因子分析で得られた結果を第1報で報告した健常群で得られた結果と比較検討し, さらに判別分析を行った.平均得点は健常群より有意に低く, 判別分析では, 判別率77.8%で異なる群として有意に分けられた.因子分析では, 「明朗・積極性」「対人寛容性」「自己不確実性」「自己本位」「過緊張」の5因子が抽出された.ストレス耐性をストレッサーに対し, 調和的かつ適正に認知・評価し対処する機能と考えると, STCLはストレス耐性度をある程度推測することができるものと思われたが, より正確に測定するために, 追加すべき要因のほか, 対象の見直しやストレッサーやストレス反応との関連などの検討を重ねることが必要であろうと考えられた.
著者
横山 英 曽田 三郎 楠瀬 正明
出版者
広島大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

1.本研究課題に関する内外の論文・著書の調査・収集につとめると共に, 問題点の整理を行った.2.新聞類・政書類・地方志類を広く検索して史料の収集につとめ, それを基礎にした研究の一部は別記の如く発表し, または発表を予定している.3.外務省外交史料館所蔵の中国近代地方自治関係文書の目録の整理を完了し, 『外務省外交史料館所蔵諮議局・省議会関係史料目録』の書名で印刷・公表し, 内外の関係方面へ配布した.
著者
照井 哲 原野 悟 武田 文 三宅 健夫 横山 英世
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

研究目的 現在わが国では、急激な高齢化社会を迎え疾病構造からみても生活習慣に係わる病気が死因の大部分を占めている。厚生省の打ち出した生活習慣病の予防対策の一環として、簡易医療機器による自己検診を普及させることで、健康に対する意識を向上させ、さらに行動変容に結びつくよう本研究を行った。研究対象 企業や保健所の健康教室受診対象者に対し血圧計、血糖計、歩数計、体温計など簡易医療機器を貸与し自己測定を行わせ結果を解析した。また老人保健法並びに学校保健法の健康診断の結果を費用便益法で解析して、自己健康診断との比較を行った。結果及び考察 平成7年度に行った自己検診(血圧・検尿・体温・歩数)や平成8年度に行った自己血糖測定の結果を集計し、性別・年齢階級別に解析を行った。この結果健康に意識を持つ集団においては頻回に自己測定を行っており、特に不安の多い60歳以上の対象者が関心が強い。さらに質問票の集計から成人病健康診断結果並びにその後の事後措置結果を踏まえて、自己健康診断による健康に関する意識の変容が行動変容に結び付きいていることが示された。さらに糖尿病患者における自己血糖測定においては、血糖の改善のみならず脂質や肝機能、尿酸などの最終的に生体情報値の改善に結び付いていることが示され、個々人の生活全般に自己検診が良い結果を呈したことが明らかになった。また、学校保健法及び老人保健法の健康診断の費用と自己健康診断の費用との比較検討を行い、自己健康診断の費用便益が示された。結語 わが国の疾病構造において中心をなす成人病は、日々の生活習慣に由来するところが大きい。自分の健康は自分で作るという習慣の形成がこれら疾病の一次予防上最も重要であり、この自己検診による行動変容は成人病対策上極めて有用と考えられ今後の普及が望まれる。
著者
青 輝昭 内田 豊昭 横山 英二 向井 伸哉 宋 成浩 西村 清志 藤野 淡人 小柴 健
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1404-1410, 1993-08-20
被引用文献数
2 1

膀胱全摘出術後の尿路再建術としてMainz pouch techniqueの変法で尿禁制を保つappendix stomaの手術を10例に施行した.10例中8例は完全に尿禁制を保つことができ,容易に自己導尿を習得できたが,2例はストーマの狭窄のためカテーテル留置を要した.術後観察期間は3〜24ヵ月(平均14.7ヵ月),pouch容量は350〜900ml(平均565ml)であった.1日3〜7回(平均4.4〜5.4回)の自己導尿で,患者の満足も十分得ることができた.Appendix stomaは術式も比較的容易で,手術時間も短時間ですみ,ステープルも不必要であり,ニップルの滑脱の危険もなく,カテーテル挿入も簡単であることから,従来の方法に比して極めて有用な尿路再建術であり,術後のQOLにも十分貢献できる術式であると考えられた.