著者
清水 優菜
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.351-362, 2020-03-20 (Released:2020-03-30)
参考文献数
52

本研究の目的は,ベクトルの知識の構造を検討した上で,ベクトルの知識に対して達成目標とエンゲージメントが与える影響を定量的に明らかにすることであった.高校生172名を対象に,質問紙調査を行なった.その結果,ベクトルにおける定義や公式の再生する問題と,教科書の例題レベルの定型的な手続き的知識を問う問題は1因子にまとまることが明らかとなった.さらに,行動的および感情的エンゲージメントは直接的に,熟達目標と遂行接近目標はエンゲージメントを媒介して間接的に本研究におけるベクトルの知識を規定することが示された.とくに,本研究のベクトルの知識に対して,感情的エンゲージメントが大きな影響を与えることが示唆された.
著者
清水 優子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.E1061, 2007

【はじめに】<BR> 発症から約10年経過している脳卒中後の片麻痺患者の訪問リハビリテーションを担当する機会を得た。状態は安定しており、これ以上の能力を向上させることが困難と思われていた症例であり、外来リハビリの内容としては能力維持・家族指導が主であった。しかし、訪問リハビリを開始したことで能力の向上が見られたため、今回ここに報告する。<BR>【症例1】<BR> 69歳男性 平成9年発症 脳内出血左片麻痺<BR> 訪問開始時のADLはほぼ全介助。移動は車椅子介助。トイレはズボンの上げ下げに介助要し、その間立っていることが困難な状態。妻から「もっと立っていられれば」との要望あり。<BR> 訪問介入により立位保持の安定、足サポーター使用にて短距離の歩行可能となる。<BR>【症例2】<BR> 63歳男性 平成9年発症 脳内出血右片麻痺 <BR> 訪問開始時の移動は屋内車椅子自走、屋外は数mのみ4点杖・装具にて介助歩行実施。もっと長い距離を歩行したいとのNeedあり。<BR> 訪問介入により、診察通院時は院内は全て歩行にて移動可能となる。<BR>【考察】<BR> 今回これらの症例の能力向上が見られた背景には、生活に直結したNeedsに即したリハビリが提供できたこと、直面している問題に合わせた環境下で行うことで動作習得が行ないやすかったことなどが考えられる。また、発症から10年という年数に、セラピストの考えが固定化しプラトーを決めてしまっていたことも推測される。<BR> そもそもプラトーとは、心理学者であるブライアントハーターが「練習の階級説」と呼び「技術を習得する際には進歩が止まる"踊り場"があり、どんな場合にも避けて通ることはできない。しかし、この状態は一時的でありその後また伸びる可能性がある」と提唱している。プラトーが出現する原因としては、適切な学習方法の獲得の失敗→課題に対する動機づけの低下→大きな練習単位への移行の困難さ→能力の向上停滞が考えらる。<BR> そのため、セラピストがプラトーを決めてしまい能力向上のために必要な指導を行わないことで、適切な学習方法の獲得の失敗が再度起こり、悪のスパイラルの状態に陥り患者の能力を停滞させていると考えられる。<BR> 今回、訪問リハビリを開始し新たな視点を入れたことで悪のスパイラルを断ち切り、適切な環境下でリハビリを提供できたため、発症から10年たった状態でも能力の改善が見られたのではないかと推測される。<BR>【まとめ】<BR> いかなる時も患者の状態を確認し、常に向上させることを念頭に置き治療に携わる重要性を再認識した。<BR> また、普段我々が個々の状態についてプラトーと客観的に判断する基準は何なのか、いまだ曖昧なことが多い。本来、効果とその限界を明らかにすることは治療学の基本である。しかし、リハビリテーション医療では明らかにされていることは少なく、経験則で話されることが多い。これらのことを、明確にしていくことも今後に課せられた課題である。
著者
田中 正美 清水 優子
出版者
医学書院
雑誌
Brain and nerve (ISSN:18816096)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.1041-1046, 2017-09
著者
清水 優 高橋 友一
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.688-697, 2014

レスキューロボットは,2001年9月11日に発生したWorld Trade Center (WTC) のビル倒壊現場で使用され,また2011年3月11日に東日本大震災と津波によってダメージを受けた東京電力福島第一原子力発電所 (Fukushima Daiichi Nuclear Plant: FDNP) の建屋内調査等の活動を続けている.レスキューロボットはこれからの数十年に渡って,WTCやFDNPの現場のように不安定で動的に変化する環境でもより高い性能を発揮できるように改良され続ける.レスキューロボットの重要なミッションの1つは,被災現場の変化してしまった地形や要救助者の座標などの情報を収集し人間に分かりやすい地図を生成することである.この自動地図作成機能の改善は,レスキューロボットの改良点の中で特に活発に研究開発が行われる1つであり,その改善の度合いを評価することも重要である.<BR> 著者らは,今後開発される不整地における地図作成手法の性能を評価する手法が必要となると考え,本報で不整地をモデル化した評価フィールドを用いた動作理論のグレード付けを提案し,地図作成手法の1つであるSimultaneous Localization and Mapping (SLAM) を用いた評価例を示す.
著者
嶋脇 聡 龍前 三郎 清水 優史
出版者
社団法人 日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会誌「ながれ」 (ISSN:02863154)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.280-281, 2000-08-30 (Released:2011-03-07)

The flow downstream to a contraction in a tube with bleeding flow was investigated by numerical analysis. The bleeding flow was orthogonally induced with tube axis from circumferential entrance. In the analysis, axisymmetrical and laminar flow was assumed.The calculated results were analyzed with respect to the following three parameters.· ratio Qb/Q of bleeding flow rate Qb to that of flow from contraction Q. · relative position of reattachment point of stream from the contraction and bleeding point.· ratio d/D of diameter of the contraction d to that of down stream tube D. From the results, it was clarified that all these parameters had the influence on the flow downstream to the contraction and pressure loss caused by bleeding flow. The pressure loss by bleeding flow could be lowered by decreasing of Qb/Q, setting the bleeding point far downstream to the contraction, and by increasing of d/D. Moreover, by normalizing the dimension of settings by Reynolds number in the contraction, the similarities of flow and of pressure distribution alone the tube wall were shown.
著者
森 定雄 高山 森 後藤 幸孝 永田 公俊 絹川 明男 宝崎 達也 矢部 政実 高田 かな子 杉本 剛 清水 優 長島 功 長谷川 昭 仙波 俊裕 大島 伸光 前川 敏彦 杉谷 初雄 大関 博 中橋 計治 日比 清勝 大谷 肇 中村 茂夫 杉浦 健児 田中 鍛 荻原 誠司 勝野 保夫 大久保 哲雄
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.95-101, 1996-01-05
被引用文献数
10 6

SEC専門部会傘下26測定機関でサイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の分子量の共同測定を行った.試料はポリスチレン(PS)4種類, ポリメタクリル酸メチル(PMMA)2種類である.較正曲線作成用標準試料を配布し, 試料溶液の濃度, 注入量を規定するとともに, クロマトグラムベ-スラインの引き方を統一し, 又較正曲線は3次近似とした.その結果, かけ離れた数値を棄却した場合の相対標準偏差(RSD)はPSでは数平均分子量で13.7〜15.8%, 重量平均分子量で5.0〜5.8%.PMMAではそれぞれ11.9〜13.3%, 10.9〜11.3%であった.前回のラウンド口ビンテストと比較し, RSDが改善された様子は認められなかったが, 測定条件の不備による, 大きくかけ離れたデータがなくなった意義は大きい.RSDが改善されなかった理由の一つはベースラインに引き方の統一が完全でなかったことである.異なる検出器を使用した場合, 又異なるメーカーの標準試料を用いた場合, RSDが大きくなるようである.
著者
清水 優子 牛島 廣治 北島 正章 片山 浩之 遠矢 幸伸
出版者
Japanese Society for Infection Prevention and Control
雑誌
日本環境感染学会誌 = Japanese journal of environmental infections (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.388-394, 2009-11-25
被引用文献数
3 3

ヒトノロウイルス(HuNoV)は,未だ細胞培養系が確立されていないため,各種消毒薬のHuNoVに対する有効性について十分な知見が得られていない.そこで,HuNoVに形態学的にも遺伝学的にも類似し細胞培養可能なマウスノロウイルス(MNV)を用い,塩素系およびエタノール系消毒薬の不活化効果をTissue Culture Infectious Dose 50% (TCID<sub>50</sub>)法を指標に評価した.次亜塩素酸ナトリウムおよびジクロルイソシアヌル酸ナトリウム(塩素系消毒薬)は,200 ppm, 30秒間の接触でMNVは99.998% (4.8 log<sub>10</sub>)以上不活化して検出限界以下となり,125 ppmの場合でも30秒間で99.99% (4 log<sub>10</sub>)以上の不活化が認められた.70 v/v%エタノール,0.18 w/v%クロルヘキシジングルコン酸塩含有72 v/v%エタノールおよび0.18 w/v%ベンザルコニウム塩化物含有75 v/v%エタノールは,30秒間の接触で検出限界以下までウイルス感染価を低下させた.<br>   本研究で対象とした2種類の塩素系消毒薬は,いずれも終濃度125 ppmで高いMNV不活化効果を示した.また,3種類のエタノール系消毒薬については,エタノール濃度70 v/v%以上で使用すれば,いずれも短時間でMNVの不活化が達成できることが分かった.以上の結果から,これらの市販の消毒薬はHuNoVに対しても高い不活化効果を有することが期待され,ノロウイルス感染症の発生制御および拡大防止の感染対策を目的とした環境用消毒薬として有用であると考えられる.<br>
著者
吉田光佑 清水優 吉本潤一郎 土岐茂 高村真広 岡本泰昌 山脇成人 銅谷賢治
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.4, pp.1-2, 2013-06-20

うつ病の診断及び治療等において従来の経験に頼った手法ではなく、機能的核磁気共鳴 (fMRI) 技術を用いる研究が盛んに行われている。本研究では、言語流暢性課題におけるうつ病患者の fMRI データを対象に、L1 正則化付きロジスティック回帰を用いることで、より精度の高い客観的診断および関わりのある脳領域の特定を行った。
著者
森 定雄 西村 泰彦 高山 森 後藤 幸孝 永田 公俊 絹川 明男 宝崎 達也 矢部 政実 清田 光晴 高田 かな子 森 佳代 杉本 剛 葛谷 孝史 清水 優 長島 功 長谷川 昭 仙波 俊裕 大島 伸光 前川 敏彦 中野 治夫 杉谷 初雄 太田 恵理子 大関 博 加々美 菜穂美 上山 明美 中橋 計治 日比 清勝 佐々木 圭子 大谷 肇 石田 康行 中村 茂夫 杉浦 健児 福井 明美 田中 鍛 江尻 優子 荻原 誠司
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.497-504, 1995-06-05
被引用文献数
9 9

サイズ排除クロマトグラフィーによる分子量測定において, 異なる測定機関における分子量測定値がどれくらい異なるかを知る目的で, 傘下26測定機関で共同測定を行った.試料はポリスチレン(PS)3種, ポリメタクリル酸メチル(PMMA)2種で, 被検試料の測定条件と較正曲線作成条件は各測定機関で用いている要領で行った.その結果, 各測定機関での相対標準偏差は1〜3%と良好であったが、26測定機関による全平均値の相対標準偏差は13〜32%となった.測定データを吟味し, 望ましい測定条件からかけ離れているデータを除外した場合, PSのRSDは数平均分子量で13.6〜15.5%, 重量平均分子量で6.0〜9.4%となり.又PMMAではそれぞれ14.3〜16.0%, 7.8〜12.2%であった.
著者
森 定雄 高山 森 後藤 幸孝 永田 公俊 絹川 明男 宝崎 達也 矢部 政実 高田 かな子 清水 優 大島 伸光 杉谷 初雄 大関 博 中橋 計治 日比 清勝 中村 茂夫 杉浦 健児 田中 鍛 荻原 誠司
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.447-453, 1996-05-05
被引用文献数
7 2

較正曲線作成用標準試料の相違が平均分子量計算値にどのような影響を与えるかを比較し検討した.ここではポリスチレン(PS)試料の重量平均分子量(M_w)で, 示差屈折計で得られた値のみについて比較した.較正曲線作成に同一供給会社の標準試料を用いた場合(9測定機関)の第1回ラウンドロビンテスト(RR-1)(分子)と第2回テスト(RR-2)(分母)のM_wの比は平均値で1.03〜1.04となった.このうち最も大きい比は1.17,最も小さい比は0.95であった.高分子領域の標準試料濃度を低くし, 1溶液中の標準試料混合数は3〜4点とし, 同じけた数の分子量領域では標準試料使用数は少なくとも2点用い, 適切なカラム組み合わせのもとで測定することによりこの比は1.01〜1.03とすることができた.較正曲線作成用標準試料の供給元が異なっても, 測定点を通るスムーズな直線ないし三次式が求められる限り, 試料の分子量測定値に大きな差が認められないことが分かった.いいかえると, 同一標準試料を用いても, 測定点をスムーズに通らない較正曲線では分子量測定値に大きな差が認められた.比較検討の結果, 不適切なデータを除いたRR-1とRR-2の全平均値のRSDは約3.9%となり, このときの三つのPS試料のM_wは次のようになった.PS-1 3.98×10^5,PS-2 2.40×10^5,PS-3 1.66×10^5.これらの数値は標準試料の供給元の相違によらず, 現時点における適切な測定条件を考慮して得ることができる平均分子量値とRSDであると結論付けられる.