著者
大野 剛 村松 康行
出版者
日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.239-246, 2015-09-25 (Released:2015-12-25)
参考文献数
26

Inductively coupled plasma (ICP) is characterized by high ionization efficiency for almost all elements. Recently, a triple quadrupole ICP-MS (ICP-MS/MS) has been applied to the measurements of isotope ratios for ultra-low level radioisotopes. The ICP-MS/MS features an additional quadrupole mass filter situated in front of the octopole reaction cell and quadrupole mass filter, which allows only the analyte ion to enter the cell by rejecting all the other ions. In this manuscript, we review recent studies on environmental radioactivity in Fukushima achieved by ICP-MS/MS techniques.
著者
森 治 佐伯 孝尚 白澤 洋次 加藤 秀樹 船瀬 龍 大野 剛 松本 純 中条 俊大 菊地 翔太 寺元 祐貴 矢野 創 中村 良介 松浦 周二 川口 淳一郎
出版者
一般社団法人日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.117-122, 2015-04-05

ソーラー電力セイルはソーラーセイルにより燃料を節約できるだけでなく,太陽から遠く離れた場所でも,大面積の薄膜太陽電池を利用して探査機に十分な電力を確保できる.ソーラー電力セイルで得た電力を用いて,高性能なイオンエンジンを駆動すれば,ソーラーセイルと合わせたハイブリッドな推進が可能となる.JAXA ではこのコンセプトを踏まえ,ソーラー電力セイルによる外惑星領域探査計画を提案している.本計画では,日本独自の外惑星領域探査技術を確立し,日本が太陽系探査を先導すること,および,新しい科学分野であるスペース天文学等を切り拓くことを目指している.本稿では,本計画について紹介し,初期検討結果を示す.
著者
村松 康行 松崎 浩之 大野 剛 遠山 知亜紀
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2013年度日本地球化学会第60回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.189, 2013 (Released:2013-08-31)

福島原発事故においても大量のI-131が放出されたが、もしも、初期被ばくが大きい場合は後になって甲状腺への影響が出る可能性がある。しかし、半減期が8日と短いため、事故当初の放射性ヨウ素の広がりや住民が受けた被ばく線量に関するデータは十分でない。そこで、I-131と同時に放出されたと考えられる長半減期の同位体であるI-129(半減期1,570万年)が指標になる。文科省が集めた土壌試料や我々が独自に集めた試料を用い、I-129の分析を試みた。AMSを用いたI-129の分析結果から約400箇所のI-131沈着量を推定した。今まで殆どデータがなかった福島原発から20 km圏内や南西側の地域を中心に、I-131の沈着量のマップを作成した。今回、値が加わったことで、I-131の沈着量の地域分布の特徴がより鮮明になってきた。
著者
大野 剛
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.209-217, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
32
被引用文献数
2

The accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant resulted in a substantial release of radionuclides including Iodine-131, Cesium-134, and Cesium-137 to the atmosphere, and caused significant contamination of the environment. Most parts of the eastern Japan were subjected to the radioactive contamination, especially in Fukushima Prefecture. An effective dose estimation of released 131I is important but difficult due to lack of data on the deposition of 131I. The long-lived radioiodine isotope 129I (half-life: 1.57×107 y) is one of the important radionuclides released from nuclear fuel reprocessing plants and nuclear accidents into the environment. This radionuclide has provided useful information on the behavior of radioiodines, whose half-lives are very short, in the environment. In particular, 129I has been used as a tool to reconstruct the initial distribution of 131I (half-life: 8 days) at nuclear accidents. Therefore the determination of 129I in soils in Fukushima is needed to reconstruct the distribution of 131I in the environment. In this article, I review recent studies on radioactive iodine in Fukushima.
著者
福本 学 大野 剛 山本 直樹 鈴木 正敏
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

有害獣として被災地域で殺処分された野生ニホンザル(被災サル)の解剖を行い、内部被ばく・外部被ばく両方の線量評価を伴った臓器アーカイブを構築し、他研究者へも提供する。アーカイブを用いて被災サルの全身臓器の形態・分子変化を検索し、被ばく線量・線量率との関係を明らかにする。特に甲状腺、水晶体と造血系の変化に留意する。内部被ばく線量率に応じて被災ウシで酸化ストレスが増加しているなど、今までに報告した結果を被災サルで検証し、長期持続被ばくの普遍的な放射線影響を知る。霊長類である被災サルの病理学的解析からヒト放射線防護への直接的な貢献を目指す。
著者
渡邉 誠衛 大野 剛 小林 忠彦 佐渡 高智
出版者
秋田県総合食品研究センター
巻号頁・発行日
no.18, pp.9-16, 2016 (Released:2017-04-28)

我々は、清酒の品質保持と様々な要因との関係を検討している。本報では、ビン内の気相と熟成との関連を検討した結果、清酒への二酸化炭素置換または窒素置換が、貯蔵中のオフフレーバーの発生抑制効果があることが分かった。また、ビンの色と熟成との関連を検討した結果、遮光環境下においても水色のビンにオフフレーバー(硫化物臭、脂肪酸臭等)が強く発生し、銅と高い正の相関があり、添加試験でも再現性が確認できた。
著者
渡辺 誠衛 大野 剛 田口 隆信
出版者
秋田県総合食品研究所
雑誌
秋田県総合食品研究所報告 (ISSN:13453491)
巻号頁・発行日
no.9, pp.20-26, 2007
被引用文献数
4

「色は琥珀色、香りは果実・花様で、さわやかな酸味のファッショナブルでリーズナブルな日本酒」をコンセプトに、アルコール4?5%の新タイプの清酒の開発を目的とした。果実・花様の香りはρフルオロフェニルアラニン(FPA)耐性株からβフェネチルアルコール・酢酸βフェネチル高生産株を分離し、ほのかなバラ様の香りを付与した。さらに、その酵母からレプリカ法により、アルコール感受性酵母から低アルコール生成酵母を分離した。さわやかな酸味は、清酒製造場から分離した優良乳酸菌を利用し、琥珀色は85℃で処理した焙煎麹を用いた。また、トランスグルコシターゼ酵素を用いることにより、非発酵性オリゴ糖の含有量を高め、味にふくらみを付与することができた。試作品は、ほぼ目標の成分と酒質となり、新しいタイプの清酒の1つの製造方法として提示することができた。
著者
田口 隆信 高橋 仁 渡辺 誠衛 大野 剛 宮崎 敏夫 伊藤 英晃
出版者
The Society of Materials Engineering for Resources of JAPAN
雑誌
素材物性学雑誌 (ISSN:09199853)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.48-52, 2011 (Released:2012-08-01)
参考文献数
6
被引用文献数
1

We studied the effect of fermented sake (moromi)solutions and sake cake extracts on the growth of cancer cells. The long fermented moromi solutions inhibited the growth of cancer cells. On SDS/PAGE (sodium dodecyl sulfate/polyacrylamide gel electrophoresis), we found that decreasing of 52-kDa and 28-kDa protein bands in long fermented solutions. The 28-kDa protein may play an important role in the inhibition of cancer cell growth by fermented sake solutions.
著者
佐藤 翔一 柵木 彩花 大野 剛 深海 雄介
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>炭酸塩鉱物はどの時代にも地球表層環境に普遍的に存在し、元素・同位体組成が沈殿時の海洋環境を反映することから、海洋古環境情報復元のための試料として広く用いられている。近年、新たに環境情報を復元する指標として炭酸塩鉱物中の二族元素の同位体分別が注目されている。また、固相―液相間で同位体変動が起こる主な要因として、天然の炭酸カルシウムにおけるカルサイトとアラゴナイトといったような結晶系の違い、液相のpH、結晶成長速度の3つが挙げられる。これらの指標から海水組成、二酸化炭素吸収量、風化速度といった古環境情報を復元することができる。そこで本研究では、炭酸カルシウムにおけるこれら3つの指標を制御する無機沈殿実験法を開発し、研究例が限られている各結晶構造における模擬海水-炭酸カルシウム間でのストロンチウム同位体分別の大きさとpH、沈殿速度との関係性について調べることを目的とした。</p>
著者
中口 裕二 大野 剛 荒木 不次男 丸山 雅人
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.778-783, 2013-07-20 (Released:2013-07-23)
参考文献数
11
被引用文献数
1

In this article, we present a physical characterization of the agility™ (Elekta). agility™ is composed of 160 interdigitating multileaf collimators (MLCs) with a width of 5 mm at the isocenter. The physical characterizations that include leaf position accuracy, leakage, field penumbra and the tongue-and-groove (T&G) effect were evaluated using well-commissioned 4, 6 and 10-MV photon beams. The leaf position accuracy was within 0.5 mm for all gantry angles and each MLC. The leakage was 0.44% on average and reached 0.47% at 10 MV: remarkably low due to a new design with tilted leaves. However, the T&G effect occurred due to tilt. It was approximately 20.8% on average and reached 22.3% at 6 MV. The penumbra width increased up to 8.5 mm at a field size of 20×20 cm at 4 MV. High position designed MLCs create a wider penumbra but show lower leakage and large head clearance. Head clearance is an important factor in stereotactic radiotherapy with multiple non-coplanar beams.
著者
大野 剛 村松 康行
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

福島第一原子力発電所の事故により多量の放射性物質が放出された。この事故により放出された放射性元素にはゲルマニウム半導体検出器で測定することが困難な長半減期放射性同位体も含まれている。この中でもヨウ素129(半減期1570万年)はヨウ素131の汚染実態を把握するために重要な同位体である。これまでヨウ素129の測定には、加速器質量分析法(AMS)が用いられてきた。しかし、試料前処理および分析に時間が掛かるため、多量の試料分析には不向きな点がある。そこで本研究では、迅速分析が可能な誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を用いて、福島汚染土壌中のヨウ素129測定法の開発を行った。
著者
大野 剛
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.376-384, 1971-05-01

抗腫瘍剤は抗腫瘍効果が同じであつても, 腫瘍細胞に対する作用機序は必らずしも同じではない. 抗腫瘍剤Bleomycinの腫瘍細胞に対する作用機序を解明し, 抗腫瘍効果を確めるため, HeLa細胞にBleomycinを種々の濃度で作用させ, 異数性変化, 細胞分裂の変化, 異常染色体の発現について染色体学的立場より検討を加え, 以下の結果を得た. なお, 細胞分裂の変化, 異常染色体の発現については後日発表したい. (1)HeLa細胞の染色体数モードは低3倍域(58〜65個)にある. (2)HeLa細胞の染色体数は28〜30時間毎に同じ様な細胞分布を示し, モードは一定の周期で変動する. (3)高濃度(10〜100μg/ml)のBleomycinは2倍体よりも3倍体, 高倍体に強く作用する. (4)低濃度(0.1〜1.0μg/ml)のBleomycinは3倍体に阻止作用を示すが, 効果発現には, 時間を要した.
著者
鎌田 とし子 鎌田 哲宏 大野 剛志 栗田 克実 羽原 美奈子 高波 澄子 信木 晴雄 佐々木 悟 豊島 琴恵 嶋崎 東子 松浦 智和 松岡 昌則 北島 滋 山下 由紀夫 中澤 香織 石川 紀子 菅原 千鶴子
出版者
旭川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、北海道北部地域にある集落を3か所(北海道中川郡音威子府村、増毛郡増毛町、上川郡東川町)選び、①限界集落、②維持集落、③再生・発展集落とし、3者の比較を行うことで、集落の限界化が進行する社会的要因を探求する実態調査を行った。その結果、人口流出を阻止する要因は5万円程度の雇用機会であり、最低生活を維持できる自給経済と、無償の相互援助関係の存在であった。生産性の高い農地は、借り手と買い手がいるため、農業企業が出現し、周辺地域に雇用市場が発生した。また、子育て支援策と団地造成で人口流入が進むことが明らかになった。
著者
大野 剛 村松 康行 三浦 吉則 織田 和優 稲川 直也 小川 宏 山崎 敦子 小林 智之 二階堂 英行 佐藤 睦人 加藤 義明
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.68, 2011 (Released:2011-09-01)

福島第一原子力発電所から放出された放射性セシウム及びヨウ素の土壌深部への移行実態を明らかにすることは、放射性物質の農作物への移行を調べる上で重要である。本研究では、土壌特性の異なる水田、畑地、果樹園、森林において放射性セシウム及びヨウ素の深度分布を調べた。すべての試料において表層から6cmまでに90%以上の放射性セシウムが存在していることが分かった。畑、果樹園、森林の表層試料(0-2cm)には試料間に大きなばらつきは見られなかったが、水田試料には10倍以上の違いが見られた。また深部への移行は畑試料で大きく、水田試料で小さい傾向が見られた。これは畑土壌に比べ水田土壌の透水性が低いため土壌表面で水平方向の移動が大きくなったことを反映したものと考えられる。