- 著者
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大野 剛
- 出版者
- 社団法人日本産科婦人科学会
- 雑誌
- 日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, no.5, pp.376-384, 1971-05-01
抗腫瘍剤は抗腫瘍効果が同じであつても, 腫瘍細胞に対する作用機序は必らずしも同じではない. 抗腫瘍剤Bleomycinの腫瘍細胞に対する作用機序を解明し, 抗腫瘍効果を確めるため, HeLa細胞にBleomycinを種々の濃度で作用させ, 異数性変化, 細胞分裂の変化, 異常染色体の発現について染色体学的立場より検討を加え, 以下の結果を得た. なお, 細胞分裂の変化, 異常染色体の発現については後日発表したい. (1)HeLa細胞の染色体数モードは低3倍域(58〜65個)にある. (2)HeLa細胞の染色体数は28〜30時間毎に同じ様な細胞分布を示し, モードは一定の周期で変動する. (3)高濃度(10〜100μg/ml)のBleomycinは2倍体よりも3倍体, 高倍体に強く作用する. (4)低濃度(0.1〜1.0μg/ml)のBleomycinは3倍体に阻止作用を示すが, 効果発現には, 時間を要した.