著者
奥住 秀之 國分 充 平田 正吾 田中 敦士 葉石 光一 北島 善夫
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.62-67, 2009 (Released:2009-06-01)
参考文献数
15
被引用文献数
3 2

This study was conducted to investigate the factors of one foot balancing and beam-walking in persons with intellectual disabilities (ID). There were 181 subjects with ID (male, 126; female, 55; 14 persons with autism; 22 with Down's Syndrome (DS)). One foot balancing was measured with eyes open and with eyes closed. In the beam-walking test, the subjects were asked to walk on five types of beam 3 meters in length. A stepwise multiple regression analysis was used to analyze the results. The dependent variables were the one foot balancing score (sec) with eyes open and with eyes closed and the beam-walking score (from 0 to 5), and the independents were sex, age, height (cm), weight (kg), IQ, presence/absence of autism, and presence/absence of DS. The results were as follows: (1) The one foot balancing with eyes open only related to IQ. Persons with a higher IQ showed a higher score in all the three balance tests than those with a lower IQ. The one foot balancing with eyes closed correlated with IQ and presence/absence of autism. Autistic subjects stood longer than persons with other IDs. The beam walking correlated with IQ, presence/absence of autism, and presence/absence of DS. Autistic subjects attained a higher score than subjects with other IDs, and DS subjects had lower scores. These characteristics of balance in subjects with ID are discussed in terms of executive function, motor dysfunction, and compensatory strategies.
著者
田中 敦
出版者
国際基督教大学キリスト教と文化研究所
雑誌
人文科学研究 (キリスト教と文化) = Humanities: Christianity and Culture (ISSN:00733938)
巻号頁・発行日
no.40, pp.1-29, 2009-03-31

人間に固有なものという課題は「人間の本質」とか「人間性」として理解できるが、それは任意の視点から人間独自の特性を分析し、解明するということ以上の何かを意味している。そうした問題をここでは事実性についての問いとして捉えたいと考える。 そのような場合、解明されるべき人間性は、現代においてどのようになっているかが問題となる。このように考えると、それは今日神に関する解明を目指すのと同じような困難さを孕んでいるように思われる。それが、「神は死んだ。ならば人間性は死んでいないのか?」という題が意味していることである。 ニーチェの言葉「神は死んだ」は、それが語られた当時とは比較にならないほど、今日その衝撃力を失っている。しかし、神はその概念からしても、更に神との関わりに立つ人間にとっても死に得ない存在である。そしてニーチェはまさにそのことを「神は死んだ」と述べた断片の中で明瞭に描き出している。更に、この断片が書かれたのとほぼ同時期に『このようにツァラトゥストラは語った』第一部が書かれたが、その冒頭で、ツァラトゥストラが市場の群集に超人の必要を説く場面は、そのまま死んだ神を探し回る狂った人の場面と同じである。このことはニーチェにとって「神が死んだ」ということは、同時に人間が人間としてはもはや生きていけないこと、人間であること(Menschlichkeit)、人間性も喪失されていることを雄弁に語っているのである。「すべての神々は死んだ。いまやわれわれは、超人が生きんことを欲する」のである。 ニーチェにとって神の死は、したがって人間性の死滅は、単なる一つの可能な解釈ではなく、西洋の歴史を貫く出来事、その意味で避け難い問題として事実性の問題であったといえる。更にニーチェにとってこの問題の解決、欠乏している人間性を到来させるという課題も、言葉による解明という問題ではなく、ここでいう「事実性の問題」として理解されるべきものであった。しかしニーチェ自身はこの事実性の問いの解決を目差す中で、その問いを通常の問いから区別することなく追及しているように思われる。それは答えを求める問いであって、問いを問いとして存在せしめることをしていないのである。神の死の巨大な喪失を、その死が齎したニヒリズムを克服することがどうしても求められねばならないのである。 ところで、ハイデッガーの『ヒューマニズムについての書簡』は、ボーフレの質問「どのようにして『ヒューマニズム』という語にその意味を与え返すか」に答える形で書かれているが、そこでハイデッガーは真正面からこの問いに答えていない。その意味は、何らかの語にその意味を回復させるということは、知的な解明ではない事実性の問いに対しては不十分、不用意であるということであろう。フッサールが語の意味の回復可能性を直観に求めるのに対して、ハイデッガーはそれを存在にあるいは事象との出会いに求めている。事実性の問題は予め「何かとして」意味が既に何かが与えられていることを出発点にとることになる。 しかし、問題は死あるいは喪失という事態である。どのようにすれば「不在の」「喪失された」事象と出会いえるのかという問いである。まさにこの問題こそ、存在忘却という事態の只中で、改めて存在の意味を問うことを敢行したハイデッガーの哲学的探究がなしたことである。つまり、ハイデッガーはまさにそうした事態を形而上学との関係において「克服」ではなく「耐え抜き」と捉えているが、そうした問題こそ、事実性の問いが要求する問いの問い方であるだろう。
著者
鈴木 和博 Suzuki Kazuhiro 中村 俊夫 Nakamura Toshio 加藤 丈典 Kato Takenori Takenori 池田 晃子 Ikeda Akiko 後藤 晶子 Goto Akiko 小田 寛貴 Oda Hirotaka 南 雅代 Minami Masayo 上久保 寛 Kamikubo Hiroshi 梶塚 泉 Kajizuka Izumi 足立 香織 Adachi Kaori 壺井 基裕 Tsuboi Motohiro 常磐 哲也 Tokiwa Tetsuya 太田 友子 Oota Tomoko 西田 真砂美 Nishida Masami 江坂 直子 Esaka Naoko 田中 敦子 Tanaka Atsuko 森 忍 Mori Shinobu ダンクリー ダニエル Dunkley Daniel J. クシャク モニカ Kusiak Monika A. 鈴木 里子 Suzuki Satoko 丹生 越子 Niu Etsuko 中崎 峰子 Nakazaki Mineko 仙田 量子 Senda Ryoko 金川 和世 Kanagawa Kazuyo 熊沢 裕代 Kumazawa Hiroyo
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.19, pp.26-38, 2008-03

Umi is located along the Kamimura River within the Kamiyahagi area of southeastern Ena City, Gifu Prefecture. The name 'Umi' means sea or large lake; however, there are no lakes in the mountainous Kamiyahagi area. The Tokai Gou (torrential rain) flood of September 11-12, 2000 destroyed embankments along the river, and exposed sedimentary layers that are typical of a lacustrine depositional setting. This confirms the existence of a paleo-lake from which the name Umi originated. The ^<14>C ages, ranging from 280±37 to 345±25 BP, appear to be contemporaneous with Tensho Earthquake that occurred in central Japan on January 18, 1586.
著者
田中 敦子
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.136, no.11, pp.127-133, 2020-11-30 (Released:2020-11-28)
参考文献数
37

In this review, the status quo of social acceptance of CCS is discussed in relation with international efforts to establish understanding on CCS. The author analyzed suspended 43 CCS project cases out of total 133 cases, and identified major impacting factors: economic reasons, legislative reasons, political reasons and social protests were 50%, 25%, 10% and 12% respectively. All of these impacting factors are within the range of social acceptance considerations, and could be solved by stakeholder engagement efforts. The author reviewed ISO/TC265 CCS standards which encourages to establish preferable social acceptance on CCS project by way of stakeholder engagement process and risk communication process. The author summarized recommendations from CCS stakeholder engagement process. Then, the author surveyed reports on public perceptions on CCS and CCS outreach works. Finally, the author researched literally succeeded and failed cases in of social acceptance gaining among communities in vicinity of CCS site and discussed the issue.
著者
田中 敦
出版者
新潟国際情報大学国際学部
雑誌
新潟国際情報大学国際学部紀要 = NUIS journal of intenational studies (ISSN:21895864)
巻号頁・発行日
no.4, pp.131-143, 2019-04

本論では、案内表示に用いられるピクトグラムを記号と捉え、その解釈を認知という動的なプロセスの中で分析することを試みる。 まず、ピクトグラムが、約定性とともに類像性によって対象を指示する記号原理を有することを明らかにし、そのことが原理的に多義的な解釈を許容することを確認する。ただし、案内表示は情報伝達を機能として有するものであり、本来、解釈の多義性は許容されない。 そこで本論では、認知という観点を導入し、認知領域とコンテクストの関与によって、多義性が限定されるプロセスを分析する。具体的には、「空間ドメイン」と「行為ドメイン」という認知領域の区別により、同一のピクトグラムから異なる解釈が導かれることを確認したうえで、案内表示が設置される環境がコンテクストとなり、認知領域の設定を促すことを指摘する。
著者
高梨 郁子 斎藤謙一 加瀬 隆明 田中 敦
雑誌
情報処理学会研究報告高度交通システム(ITS)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.116(2007-ITS-031), pp.17-23, 2007-11-21

観光振興が国の重要な施策の一つとなっており,観光客への情報提供の高度化による移動支援を図ることが求められている.地理に不案内な観光客を観光施設,店舗等の屋内を含む様々な場所へ案内するためには,特殊なデバイスに依存しない案内手段が必要である.そこで我々は現在屋内で利用されている代表的な案内方式について分析を行い,課題を解決するための手法について検討を行った.今回検討した方式では歩行者が進行方向を変える可能性のある交差点等に案内端末を設置するとともに,その設置場所と向きの情報を特定することで,観光地,商店街,地下街,駅,空港などにおける歩行者の案内を可能にする.
著者
大原 利眞 森野 悠 田中 敦
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.292-299, 2011-08
被引用文献数
3

平成23年3月11日の東日本大震災によって発生した,東京電力福島第一原子力発電所の事故によって,大量の放射性物質が大気中に放出された.放出された放射性物質は,福島県だけでなく,東北南部や関東地方を含む広い範囲で,土壌,水道水,牧草,農産物,畜産物,上下水道汚泥など様々な環境汚染を引き起こしている.また,将来的に,半減期の長い137Csなどによる長期の環境影響が懸念される.本稿では,これまでに公表された放射性物質の放出量や測定結果に係る各種資料,及び,大気シミュレーション結果に基づき,福島原発から放出された放射性物質の大気中の挙動に関する知見を整理する.福島原発から4月初めまでに大気中に放出された131Iと137Csの総量は,それぞれ1.5×1017Bqと1.5×1016Bq程度と推計され,特に3月15日午前中の2号機からの放出が多かったと考えられている.放射性物質の大気への放出によって,茨城県北部で測定された空間線量には3つの大きなピーク(3月15日,16日,21日のいずれも午前中)が認められる.これらのピークは,放射性プルームが北風によって南に運ばれたことと,このプルームが降水帯に遭遇して放射性物質が地表面に湿性沈着したことによって説明できる.また,筑波での測定結果は,放射性核種の構成比が時間的に大きく変化すること,131Iのほとんどはガス状であるが一部は微小粒子として存在しているのに対し放射性セシウム(134Csと137Cs)は数ミクロンの粒子として存在していることを示す.大気シミュレーションによって計算された131Iと137Csの沈着量の空間分布によると,放射性物質の影響は福島県以外に,宮城県や山形県,関東地方,中部地方東部など広域に及んでいる.また,時間的には,空間線量のピークが認められた3月15日〜16日と3月21日以降の数日の2期間で集中している.更に,3月に放出された131Iの35%,137Csの27%がモデル領域内に沈着したこと,131I沈着量のほとんどは乾性沈着したのに対して137Csは湿性沈着が支配的であること,放出された131Iと137Csのうち南東北と関東の1都10県に沈着した割合はどちらも13%程度であり,131Iは福島県,茨城県,栃木県,137Csは福島県,宮城県,群馬県,栃木県などで沈着量が多いことなどが示された.
著者
田中 敦 Atsushi Tanaka
雑誌
経済学論究 (ISSN:02868032)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.161-177, 1994-10-31
著者
田仲 未来 小田切 岳士 森 浩平 田中 敦士
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education
巻号頁・発行日
vol.4, pp.54-66, 2018

本研究では、視覚障害特別支援学校の教員が現場で必要とされる専門性について明らかにするために、教員が必要と認識している教育や研修内容について、自由記述内容からカテゴリー化して整理することを目的とした。盲学校赴任前に必要な知識・技能や、県内の大学(専門機関)に教育研修を求める内容等について、視覚障害特別支援学校の教員を対象にアンケート調査を行った。 その結果、教員が必要とされる専門性について、「指導方法・実践・補助教材・教具」や「心理・生理・病理」、「点字・歩行」や「情報機器」といったカテゴリーに分けられ、今後求められる教育研修の在り方について課題を整理した。
著者
小田切 岳士 森 浩平 田中 敦士
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education
巻号頁・発行日
vol.3, pp.65-76, 2017

「教職員のための障害学生修学支援ガイド」(日本学生支援機構,2015)では、障害のある大学進学希望者や学内の障害のある学生に対し、大学等全体としての受入れ姿勢・方針を示すことが重要とされている。希望を申し出にくい消極的な環境を放置したまま、ただ本人からの支援申請を待つことは、合理的配慮の不提供につながるといっても過言ではない(松田,2016)が、現在それぞれの国公立大学において障害学生支援規程等の方針がどの程度公表されているかといった状況はこれまでに明らかとされていない。そこで本研究では、障害のある大学進学希望者や学内の障害のある学生が比較的情報を入手しやすいと考えられる、ホームページ上での公開状況や公開内容について閲覧・調査を行った。その結果、国立大学88大学のうち、障害学生支援に関する基本方針を大学ホームページ上に公開していた大学数は24校(27.3%)に留まった。また、内容については「目的」、「定義」、「機会の確保」等の20カテゴリに分類された。
著者
森 浩平 陳 麗婷 小田切 岳士 橋本 実夕 田中 敦士
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education
巻号頁・発行日
vol.3, pp.25-37, 2017

現在の聴覚障害教育は、医療の発展を背景に障害の重度・多様化が進み、幼児児童生徒の実態も大きく変化している。また、聾学校に勤務する教員としての役割に加え、小・中学校等の教員への支援や通常学級等に在籍する幼児児童生徒に対する指導・支援といったセンター的機能も果たさなければならず、研修や研究等による幅広く高い専門性の習得が求められている。そこで本研究は、A県内の聾学校教員に質問紙調査を行い、聴覚障害教育に関する専門性の実態を明らかにし、今後必要な教育や研修等のあり方について検討することを目的とした。今回の調査により、聴覚障害教育に関する専門性について、年齢や経験で身につくだけではなく、免許保有の有無が興味・関心や能力特性の把握、理解力に即した指導等の専門性に関連があることが示唆された。
著者
韓 昌完 矢野 夏樹 小原 愛子 權 偕珍 太田 麻美子 田中 敦士
出版者
一般社団法人 Asian Society of Human Services
雑誌
トータルリハビリテーションリサーチ
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-14, 2017

IN-Child Record was developed as a tool to diagnose children who need inclusive education. Therefore, this study aimed to verify the reliability and construct validity of IN-Child Record. IN-Child Record using 1,059 children (elementary school: 594 children, junior high school: 465 children) collected in Okinawa Prefecture between February and March 2017. Survey data were collected in cross-sectional study. The reliability of IN-Child Record was verified via the internal consistency method; the coefficient of Cronbach's α were over 0.7. The construct validity of IN-Child Record was also verified via the path analysis using structural equation modeling (SEM). IN-Child Record is valid based on its goodness-of-fit values obtained using the SEM. These results scale that IN-Child Record has high reliability and construct validity.
著者
小田切 岳士 森 浩平 田中 敦士
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education (ISSN:21899185)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.65-76, 2017 (Released:2018-02-13)
参考文献数
9

「教職員のための障害学生修学支援ガイド」(日本学生支援機構,2015)では、障害のある大学進学希望者や学内の障害のある学生に対し、大学等全体としての受入れ姿勢・方針を示すことが重要とされている。希望を申し出にくい消極的な環境を放置したまま、ただ本人からの支援申請を待つことは、合理的配慮の不提供につながるといっても過言ではない(松田,2016)が、現在それぞれの国公立大学において障害学生支援規程等の方針がどの程度公表されているかといった状況はこれまでに明らかとされていない。そこで本研究では、障害のある大学進学希望者や学内の障害のある学生が比較的情報を入手しやすいと考えられる、ホームページ上での公開状況や公開内容について閲覧・調査を行った。その結果、国立大学88大学のうち、障害学生支援に関する基本方針を大学ホームページ上に公開していた大学数は24校(27.3%)に留まった。また、内容については「目的」、「定義」、「機会の確保」等の20カテゴリに分類された。
著者
荒井 克俊 田中 敦 楠 忠夫 鈴木 亮
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.585-591, 1994-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
23

シマドジョウ四倍体種族, 二倍体種族, およびドジョウ間の雑種のPGM, IDHP-2, LDH-1, AAT-1遺伝子座におけるアロザイム発現を調べ, 雑種性と倍数性を検討した。その結果, シマドジョウ四倍体種族と他二者との種族間, 属間交雑の子孫は, 三倍体に特有な異型接合遺伝子型を示し, 三倍体雑種であることが判った。一方, シマドジョウ二倍体種族とドジョウとの属間交雑子孫は二倍体型の異型接合遺伝子型を示し, 二倍体雑種であることが判明した。