著者
新庄 正宜 岩田 敏 佐藤 吉壮 秋田 博伸 砂川 慶介
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.86, no.5, pp.582-591, 2012-09-20 (Released:2013-04-25)
参考文献数
17
被引用文献数
11 14

2009 年1 月から2010 年12 月までの2 年間に全国95 施設から小児細菌性髄炎314 症例(男児186,女児124,性別未報告4 例)が報告された.年齢別では0 歳児が51.2%(161/314)と半数を占めた.原因菌として,Haemophilus influenzae(1 カ月~5 歳)が53.2%(167/314)と最も多く,次いでStreptococcus pneumoniae (1 カ月~12 歳)が24.2%(76/314),Streptococcus agalactiae(4 カ月以下のみ),Escherichia coli(3 カ月以下のみ)と続いた.耐性菌の率は,H. influenzae で50.1%(78/153),S. pneumoniae で63.0%(46/73)であった.初期治療薬は,4 カ月未満ではampicillin(ABPC)+セフェム系薬ならびにカルバペネム系薬+その他のβ ラクタム系薬の2 剤を併用した症例が77.8%(42/54)と多く,4 カ月以降ではカルバペネム系薬+その他のβ ラクタム系薬の併用が76.4%(198/259)を占めた.最終治療薬としては,H. influenzae でcefotaxime(CTX)もしくはceftriaxone(CTRX),S. pneumoniae でカルバペネム系薬の単剤が最も多かった.致死率は2.0%(6/305)であった.インフルエンザ菌b 型ワクチン(以下,Hib ワクチン)を接種したのは 5 名のみで,いずれもH. influenzae 髄膜炎以外の髄膜炎を発症した.7 価肺炎球菌結合型ワクチン(以下, PCV7)の接種者はいなかった.Hib ワクチン,PCV7 の普及していない現時点では,小児細菌性髄膜炎の特徴に,ここ数年間大きな変化はなかった.
著者
砂川 慶介 生方 公子 千葉 菜穂子 長谷川 恵子 野々山 勝人 岩田 敏 秋田 博伸 佐藤 吉壮
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.187-197, 2008-05-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
19
被引用文献数
11 10

2005年1月から2006年12月迄の2年間に96施設から小児細菌性髄膜炎246症例 (男児138, 女児108) が報告された.年齢別では28日以下が25例, 1カ月~12カ月が114例, 1歳以上は107例であった.原因菌はH.influenzaeが136例と最も多く, 次いでS.pneumoniae 48例, streptococcus agalactiae (GBS) 19例, Escherichia coli6例の順で, GBS, E.coliは低年齢での発症が多く, H.influenzaeは多くは4カ月~5歳に分布していた.S.pneumoniaeは3カ月~12歳に分布していた.H.influenzae, S.pneumoniaeともに耐性化が進み, H.influenzaeは2003年に70.4%, S.pneumoniaeは2004年に83.0%と耐性株が高い割合を占めていたが, 今回の調査では, H.influenzaeは2005年65.2%, 2006年59.3%, S.pneumoniaeは2005年71%, 2006年69.3%と若干減少の方向を示した.細菌性髄膜炎の初期治療に使用した抗菌薬の種類は, 4カ月未満では, 従来の標準的治療法とされているAmpicillin+セフェムならびにカルバペネム+β-lactamの2剤を併用した症例が多く, H.influenzaeやS.pneumoniaeが原因細菌として多くなる4カ月以降に関しては, 耐性菌を考慮したカルバペネム+セフェムの併用が増加し, ampicillin+セフェムをはるかに上回る使用頻度であった.
著者
秋田 博伸
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1203-1215, 1982-12-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
17
被引用文献数
12 1

抗生剤抗与による副現象は現在まだ避け難いものとして多くの問題も残しているが, その内, 腸内細菌叢の変動は臨床上よく遭遇するものである. 著者はこの変動を検討する為にIsolator内で, 同一飼料にて飼育した無菌マウスを使用し, 腸内細菌叢の主要構成菌, Gram陽性, 陰性, 嫌気性のうち4種を選択し, 下記の如く, 単一, 2種, 4種感染マウスを作成し, 従来Gram陰性菌に対して用いられたABPC, GMと現在, 尚開発の盛んなCephem系薬剤を筋肉内へ投与した時の腸内細菌叢の変動を検討した.(1) E.coli単一感染マウス(2) Ecoli, Lacto.2種感染マウス(3) E.coli, St.faecalis, Lacto, Bac.4種感染マウスその結果, 胆汁排泄の少ないといわれるGM, CETの投与例では, 菌の減少は認めなかった.ABPC投与例では単一感染マウスでE.coliに対するABPcのMlc値の上昇を投与2日目より全例に認め菌数の変動は認めなかったが, 2種, 4種感染マウスではMIC値の上昇は認めず, E.coli, Lacto.で菌数減少を認めた.CEZ投与例ではE.coliの著明な減少を認めたが, Bacは著明に減少する例と, 軽度減少する例とを認めた.St.faecalisの減少は認めなかった.CMZ, LMOX, CMX投与では, 投与3日目よりE.coli, Bac.の著明な減少を認め, CMX投与例ではLacto.も同時に著明に減少した.St.faecalisは菌の減少を認めなかった.以上の結果, 胆汁排泄が良く, 広域スペクトルを有する抗生剤を筋肉内投与すると, 感受性菌の減少, 耐性菌の残存という菌交代を惹起させる傾向を認めた.
著者
藤井 良知 阿部 敏明 田島 剛 寺嶋 周 目黒 英典 森 淳夫 佐藤 肇 新納 憲司 砂川 慶介 横田 隆夫 秋田 博伸 岩田 敏 佐藤 吉壮 豊永 義清 石原 俊秀 佐野 友昭 中村 弘典 岩井 直一 中村 はるひ 宮津 光伸 渡辺 祐美 久野 邦義 神谷 齊 北村 賢司 庵原 俊昭 桜井 實 東 英一 伊藤 正寛 三河 春樹 久保田 優 百井 亨 細井 進 中戸 秀和 西村 忠史 杉田 久美子 青木 繁幸 高木 道生 小林 陽之助 東野 博彦 木野 稔 小林 裕 春田 恒和 黒木 茂一 大倉 完悦 岡田 隆滋 古川 正強 黒田 泰弘 武田 英二 伊藤 道徳 松田 博 石川 純一 貴田 嘉一 村瀬 光春 倉繁 隆信 森田 秀雄 森澤 豊 浜田 文彦 辻 芳郎 横尾 哲也 林 克敏 冨増 邦夫 木戸 利彦 上原 豊 森 淳子 森 剛一 内田 哲也 大塚 祐一 本廣 孝 半田 祥一 山田 秀二 沖 眞一郎 吉永 陽一郎 荒巻 雅史 織田 慶子 阪田 保隆 加藤 裕久 山下 文雄 今井 昌一 鈴木 和重 岡林 小由理 金子 真也 市川 光太郎 曽田 浩子 清水 透子 長田 陽一 木葉 万里江 石橋 紳作 高橋 耕一 杉山 安見児 三宅 巧 荒木 久昭 垣迫 三夫 前野 泰樹 下飛田 毅 高岸 智也 松隈 義則 平田 知滋 田中 信夫 永山 清高 安岡 盟 林 真夫 天本 正乃 津村 直幹 小野 栄一郎 神薗 慎太郎 中嶋 英輔 永光 信一郎 野正 貴予 松尾 勇作 樋口 恵美 長井 健祐 末吉 圭子 橋本 信男 弓削 健 久保田 薫 川上 晃 渡辺 順子 藤澤 卓爾 西山 亨 岩永 理香子 牛島 高介 山川 良一 山村 純一 富永 薫 臺 俊一 安藤 寛 久田 直樹 藤本 保 元山 浩貴 丸岡 隆之 伊達 是志 杉村 徹 西依 淳 朝木野 由紀 山田 克彦 是松 聖悟 早川 広史 佐々木 宏和 木村 光一 山田 孝
雑誌
The Japanese journal of antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.921-941, 1995-07-01
被引用文献数
19