著者
植木 博子 吉村 英哉 日山 鐘浩 望月 智之 二村 昭元 秋田 恵一
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.369-371, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
7

小胸筋腱の停止が烏口突起をこえて延長する解剖学的破格は以前から知られている.過去に我々が調査した屍体解剖実習体では小胸筋延長腱の発現率は34.6%(81肩中21肩)であり,延長腱は烏口突起を越えて関節包の方に広がっていた.今回,肩腱板断裂症例において鏡視下修復術時に小胸筋延長腱の有無を確認し形態について観察した. 対象は2012年6月から12月までに当院で鏡視下腱板修復術を施行した腱板断裂症例25例(男性13例,女性12例)であった.術中にまず烏口突起基部を同定し小胸筋延長腱の存在を確認した. 延長腱は25例中10例(40%)に認められた.烏口突起に停止せずに上面を滑動し棘上筋の方向に向かい,烏口上腕靭帯とは明瞭に区別がついた. 臨床でも延長腱の発現頻度は比較的高く,その走行および付着の形態より肩甲上腕関節機能に影響を与えることが示唆された.鏡視下手術では延長腱の存在を留意する必要があると考えられた.
著者
坂本 裕和 藤井 亮輔 光岡 裕一 坂井 友実 秋田 恵一
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.218-225, 2011 (Released:2011-12-09)
参考文献数
20

【目的】経絡経穴とその周囲構造物との位置関係を形態学的に明らかにする一環として、 下肢後面における経穴について検討した。 【方法】東京医科歯科大学解剖学実習体3体6側を使用した。 下肢後面における足の太陽膀胱経に刺鍼を施し、 その部位を中心とした局所解剖を行った。 【結果】1. 承扶・殷門は、 大腿二頭筋の表層を走行する後大腿皮神経および深層を走る坐骨神経より内側に位置した。 2.浮ゲキ・委陽は、 大腿二頭筋停止腱の内側縁に沿って総腓骨神経の走路に位置した。 3.委中・合陽・承筋・承山・飛揚・フ陽・崑崙・申脈は、 内側腓腹皮神経、 腓腹神経およびは小伏在静脈に沿って位置した。 4. 委中・合陽・承筋・承山は、 深層では脛骨神経および膝窩動脈、 後脛骨動脈に沿って位置した。 【結論】1.後大腿皮神経および坐骨神経は承扶・殷門より外側を走行する傾向が強く、 これら神経への刺鍼は承扶・殷門より外側に施す必要性が示唆された。 2. 下腿後面の腓腹神経および小伏在静脈は、 末梢に向かうにつれて経穴に沿う傾向が強くなる。 3.下腿後面の深層を走る脛骨神経への刺鍼は、 委中・合陽・承筋・承山が効果的であることが示唆された。
著者
吉村 英哉 望月 智之 宗田 大 菅谷 啓之 前田 和彦 秋田 恵一 松木 圭介 中川 照彦
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.217-219, 2007 (Released:2008-01-30)
参考文献数
10

Previous studies reported a presumably unusual bony attachment of the pectoralis minor muscle. However, less attention has been given to the insertion of the continuation to the glenohumeral joint. The purpose of this study was to evaluate the frequency of this abnormal insertion of the pectoralis minor muscle, and also to investigate the relation between this continuation and the capsule. 81 anatomic specimen shoulders from 41 cadavers were dissected. The insertion of the pectoralis minor tendon to the glenohumeral joint was carefully investigated. The pectoralis minor tendon ran beyond the coracoid process and extended to the superior portion of the glenohumeral joint in 28 out of 81 specimens (34.6%). The continuing insertion divided the coracoacrominal ligaments into two limbs. The continuation was more variable, and consisted of the whole tendon in 6, the middle part in 5, the lateral part in 15, and the medial part in 2 specimens. Furthermore, the pectoralis minor tendon inserted to the posterosuperior border of the glenoid in 6, to the greater tuberosity in 7, and both to the glenoid and the greater tuberosity in 15 specimens. The prevalence of the anomalous insertion of the pectoralis minor tendon revealed to be as high as 34.6% in the present study. This may suggest that the pectoralis minor tendon plays an important role in the stability of the glenohumeral joint.
著者
吉村 英哉 望月 智之 秋田 恵一 加藤 敦夫 山口 久美子 新井 隆三 菅谷 啓之 浜田 純一郎
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.707-710, 2011 (Released:2011-12-21)
参考文献数
18
被引用文献数
1

Our previous study revealed that the most proximal portion of the subscapularis tendon extended a thin tendinous slip to the fovea capitis of the humerus, and that the coracohumeral ligament (CHL) together with the SGHL was shaped like a spiral sling, supporting the long head of biceps and attached to the tendinous slip. Little information is available, however, regarding the relationship between CHL and the insertion of subscapularis on the lesser tuberosity. To clarify the significance of CHL, we examined the morphology of CHL and the subscapularis insertion in 20 cadaveric shoulders. The anterior portion of CHL arises from the base of the coracoid process and fans out laterally and inferiorly on the subscapularis. The fibers envelop the tendinous portion of the subscapularis on either side. As a result, the ligament forms a cable-like anterior leading edge over the rotator interval. The subscapularis tendon can appear in relative anatomic position unless the arm is brought into internal rotation and relaxation is achieved. We also demonstrated that CHL was associated with opening the bicipital sheath along its medial border during shoulder elevation. The coracohumeral ligament might contribute to the stability of the subscapularis tendon and to the morphology of the bicipital groove.
著者
加茂 実武 野崎 太希 堀内 沙矢 村石 懐 秋田 恵一
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.506-511, 2021-04-26

多くの教科書の記載とは異なり,上部尿路における生理的狭窄部位は,上部尿管と尿管膀胱移行部の2カ所のみである。また,画像検査で上部尿管にはしばしば高度の屈曲が認識されることがあるが,これもまた教科書の図説には見つけることができない。実はこれらの事項には共通する解剖学的背景が存在し,その成因を正しく知ることは新たな後腹膜の概念を理解するための1つの大切な手がかりとなる。本稿は第105回北米放射線学会(RSNA2019)に投稿した教育展示(UR154–ED–X)および『Japanese Journal of Radiology』掲載のreview1)に基づいた内容である。
著者
那須 久代 秋田 恵一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.AbPI1095, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 Eisler(1912)は,前鋸筋を上部,中部,下部の3部に区分している。またGreggら(1979)は,前鋸筋の機能について,上部は肩甲骨回旋中心の形成に,中部は肩甲骨外転に,下部は肩甲骨上方回旋に作用すると述べている。本研究の目的は,前鋸筋各部における形態とその神経支配の特徴を解析し,前鋸筋を機能解剖学的に理解することにある。【方法】 本研究には東京医科歯科大学解剖実習体5体10側を用いた。解剖実習体は8%のホルマリンで固定され,50%エタノールにて保存されていた。前鋸筋各部における筋束の重なりを明らかにしたのち,本筋を支配する神経を調査し,さらにそれらの神経の筋内における分布を解析した。【説明と同意】 本研究に用いられた解剖実習体は,東京医科歯科大学献体の会の方々の生前の同意により献体された。【結果】 筋束の重なり:前鋸筋は,全例において3部に明確に分けられた。上部は複数の筋束が集合して,他部に比べて厚い筋束をなし,肩甲骨上角に停止していた。中部の筋束はほとんど重なり合わずにほぼ水平に走行して肩甲骨内側縁に停止していた。下部は2~4つの筋束が1つのシートを形成し,より下位の筋束ほど腹側に位置し,肩甲骨下角に停止していた。また下部の中でも最下の筋束は,肩甲骨下角の内側に回り込み,ときとして菱形筋に連続しているものも観察された。 前鋸筋の支配神経:前鋸筋の中部ならびに下部は,主にC5,6,7の分節から成る長胸神経の本幹からの枝によって外側面から支配されていた。前鋸筋の上部には,長胸神経からの枝に加えて,C4,5に起始した菱形筋枝からの分枝や,長胸神経の本幹とはかなり近位で分かれた独立枝も複数関与していた。これらの前鋸筋への神経の根は,ときとして中斜角筋を貫いているのが観察された。中部に分布する神経は,筋内に進入したのち,停止側へと広がっていた。一方,下部に分布する神経は,筋束の中央付近で筋内に進入し,起始と停止の両方向に向かって広がっていた。調査した10側中7側において,前鋸筋への肋間神経からの枝の分布を認めた。これには第4~9肋間神経外肋間筋枝からの単独または複数の枝が関与していた。【考察】 本研究の結果,形態学的にも,上部,中部,下部にはそれぞれの特徴があることが明らかとなった。上部は中部・下部とは異なり,菱形筋枝からの分枝や,長胸神経の本幹とは独立した枝が分布した。これらの枝が中斜角筋を貫く場合があることから,中斜角筋のスパズムによる前鋸筋への影響が示唆される。中部は,筋束の走行方向から純粋に肩甲骨を外転する部位であるといえる。下部は,筋束が肩甲骨下角の内側にまで至ることから肩甲骨上方回旋への関与が大きいことが推測される。また,神経支配のパターンが上・中・下部でそれぞれ違うことから,神経損傷による前鋸筋の機能障害を論ずるときには各部の機能を分けて理解しておく必要があると考えられる。【理学療法学研究としての意義】 前鋸筋は,これまで一様な筋として捉えられることが多かったが,今回の調査により,各部によって筋束の重なりや走行,神経支配のパターンが異なることが明らかとなった。このことから,前鋸筋の機能を考えるときには部位ごとに分けて検討する必要があることが示唆された。
著者
山口 久美子 加藤 敦夫 秋田 恵一 望月 智之
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 = Shoulder joint (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.587-589, 2010-08-04
参考文献数
4
被引用文献数
1

Coracohumeral ligament (CHL) is situated in the gap between the supraspinatus and the subscapuralis. There are only a few studies concerning the CHL after Clark and Harryman II (1992) in spite of the important role that fills the rotator interval. In this study, we dissected six shoulders of three cadavers to observe the spatial distribution of the CHL in detail. Four shoulders of two cadavers were processed to analyze the attachment of the rotator cuff and the capsule histologically. For the histological analyses, whole parts of the CHL were removed emblock, and serial sections were made from proximal to distal. In gross anatomy, the CHL attached to the proximal lateral surface of the coracoid process in its most proximal part. It filled the rotator interval between the supraspinatus and the subscapularis. Most distal part of the CHL extended to both the superior and inferior surfaces of supraspinatus, and both the anterior and posterior surfaces of subscapularis. In the rotator interval, CHL connected to the superior glenohumeral ligament (SGHL). There was no clear border between the CHL and the SGHL in either gross anatomy or histologically. Histologically, the CHL contained only fine loose slack collagen fibers without any dense fiber that is normally observed in a ligament. With flexion and the extension, the CHL were stretched to pull the rotator interval. From these observations, the CHL seems to work with the SGHL for the stability of the long head of the biceps during shoulder movement.
著者
坂本 裕和 藤井 亮輔 光岡 裕一 坂井 友実 秋田 恵一
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.197-208, 2010 (Released:2010-08-10)
参考文献数
30

【目的】骨盤内臓の疾患に対する重要な治療点としての八リョウ穴と骨盤神経叢の構成および臓側枝との位置関係を検討した。 【方法】東京医科歯科大学大学院臨床解剖学分野所蔵の実習体5体を使用し、 実体顕微鏡下で、 骨盤神経叢の構成および臓側枝の分岐形態と八リョウ穴との位置関係を精査した。 【結果】1. 骨盤神経叢を構成する交感神経成分の下腹神経は第2および第3腰内臓神経が恒常的に参加する上下腹神経叢から起こり、 骨盤神経叢の後上角に入る。 副交感神経成分の骨盤内臓神経は第2~第4仙骨神経前枝から起始し、 骨盤神経叢の後下角に入る。 陰部神経および肛門挙筋神経とは共通幹を形成する傾向が強い。 2. 骨盤神経叢から起こり骨盤内臓に分布する臓側枝は均一に起始するのではなく、 I~IV群に分かれる傾向が強い。 特に、 III群は排尿・性機能に深い関わりを持つ。 【結論】1. 八リョウ穴への刺鍼では、 骨盤内臓神経が恒常的に起こる第3および第4仙骨神経前枝に直接刺激が可能である中リョウ (BL33) および下リョウ (BL34) が骨盤内臓の機能に影響を及ぼすことが示唆される。 2. 八リョウ穴への深鍼では、 刺入鍼は直腸の側縁に達するため正中方向への刺鍼には注意を要する。
著者
郡 拓也 東條 正典 藤井 亮輔 野口 栄太郎 坂本 裕和 秋田 恵一
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.811-818, 2010 (Released:2011-05-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1 3

【目的】WHOにより標準経穴部位(361穴, 2006)の合意が成され、 それに伴って秩辺の取穴場所の変更が行われた。 新旧両秩辺とその周囲構造物との位置関係および腰痛に対する治療部位としての坐骨神経への刺鍼点について検討した。 【方法】東京医科歯科大学解剖学実習体3体6側を使用した。 殿部および大腿後面における太陽膀胱経に、 WHOの取穴方法に従って刺鍼を施し、 その部位を中心とした局所解剖を行った。 【結果】1.新秩辺(WHO, 2006)は、 後大腿皮神経、 下殿神経・動脈、 坐骨神経が出現する梨状筋下孔の近傍に位置した。 2.旧秩辺は上殿神経・動脈が出現する梨状筋上孔の近傍に位置した。 3.殿部および大腿後面での坐骨神経への刺鍼部位として、 (1)坐骨神経形成根部、 (2)梨状筋下孔、 (3)仙尾連結と大転子を結ぶ線上の外側1/3点、 (4)坐骨結節と大転子を結ぶ線上の中点、 (5)承扶の約1cm外側の地点、 (6)殷門の外側、 大腿二頭筋筋腹の内側半部、 が挙げられた。 【結論】1. 新旧両秩辺とも殿部および大腿後面にとって重要な神経・血管の近傍に位置し、 種々の病的症状に対する有効な刺鍼部位と考えられる。 2. 殿部および大腿後面での坐骨神経に対する刺鍼部位として、 走行経路より6カ所が示唆された。
著者
坂本 裕和 藤井 亮輔 光岡 裕一 坂井 友実 秋田 恵一
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.218-225, 2011-08-01
参考文献数
20

【目的】経絡経穴とその周囲構造物との位置関係を形態学的に明らかにする一環として、 下肢後面における経穴について検討した。 <BR>【方法】東京医科歯科大学解剖学実習体3体6側を使用した。 下肢後面における足の太陽膀胱経に刺鍼を施し、 その部位を中心とした局所解剖を行った。 <BR>【結果】1. 承扶・殷門は、 大腿二頭筋の表層を走行する後大腿皮神経および深層を走る坐骨神経より内側に位置した。 <BR>2.浮ゲキ・委陽は、 大腿二頭筋停止腱の内側縁に沿って総腓骨神経の走路に位置した。 <BR>3.委中・合陽・承筋・承山・飛揚・フ陽・崑崙・申脈は、 内側腓腹皮神経、 腓腹神経およびは小伏在静脈に沿って位置した。 <BR>4. 委中・合陽・承筋・承山は、 深層では脛骨神経および膝窩動脈、 後脛骨動脈に沿って位置した。 <BR>【結論】1.後大腿皮神経および坐骨神経は承扶・殷門より外側を走行する傾向が強く、 これら神経への刺鍼は承扶・殷門より外側に施す必要性が示唆された。 <BR>2. 下腿後面の腓腹神経および小伏在静脈は、 末梢に向かうにつれて経穴に沿う傾向が強くなる。 <BR>3.下腿後面の深層を走る脛骨神経への刺鍼は、 委中・合陽・承筋・承山が効果的であることが示唆された。
著者
松木 圭介 菅谷 啓之 前田 和彦 森石 丈二 望月 智之 秋田 恵一
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.213-215, 2007
被引用文献数
7

The purpose of this study was to examine the anatomy of the infraspinatus including the orientation of muscle fibers and the insertion to the greater tuberosity. Ninety-three shoulders from 52 cadavers were minutely dissected. After resection of the acromion and removal of the coracohumeral ligament, the infraspinatus muscle was carefully investigated macroscopically. After the orientation of muscle fibers was confirmed, the muscle was peeled from the proximal part to the distal part and the insertion of the infraspinatus tendon was examined. In 4 shoulders, muscle fibers were completely removed in water and the direction and insertion of the tendon were examined. The infraspinatus muscle originated both from the inferior surface of the spine of the scapula and the infraspinatus fossa, and inserted to the greater tuberosity. The muscle fibers originated from the spine were running dorsally and horizontally to the greater tuberosity. On the other hand, the fibers from the fossa were running ventrally and diagonally to the greater tuberosity. These fibers were merged at the insertion. The infraspinatus tendon had vast insertion to the greater tuberosity, and the most anterior part of the tendon was inserted to the most anterior portion of the greater tuberosity, bordering on the most anterior part of the supraspinatus tendon. The supraspinatus tendon is regarded as the most affected tendon in rotator cuff tears. However, the results of this study suggested that the infraspinatus tendon could be involved in the majority of rotator cuff tears. The infraspinatus may act not only in external rotation but also in abduction, because the infraspinatus tendon was inserted to the most anterior part of the greater tuberosity.
著者
五十嵐 絵美 浜田 純一郎 秋田 恵一 魚水 麻里
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.A0007, 2007

【目的】前鋸筋を支配する長胸神経が麻痺し、翼状肩甲骨が生じる事がよく知られている。またこの筋に機能不全が生じると、肩甲骨周囲の痛みや違和感、挙上困難を訴える患者がいる。この研究の目的は、長胸神経を構成する頸椎神経根と長胸神経の走行、前鋸筋の上部・中部・下部筋束の神経支配と形態を調査し、長胸神経麻痺のメカニズムと前鋸筋の機能解剖を明らかにすることである。<BR><BR>【対象と方法】解剖学実習用屍体5体10肩(男性3体、女性2体、平均年齢82.4歳)を対象とした。前鋸筋の上部筋束は、第1, 2肋骨から起始し肩甲骨上角(以下上角)に停止する部位、中部筋束は2, 3肋骨から起始し肩甲骨内側縁に停止する部位、下部筋束は第4肋骨以下に起始し肩甲骨下角(以下下角)に停止する部位とした.長胸神経の走行を頸椎神経根レベルから追跡し、中斜角筋貫通の有無とその末梢の神経走行、各筋束の頸椎神経根支配を調査した。さらに各筋束の機能的役割を構造と走行方向から評価した。<BR><BR>【結果】長胸神経は,第5頸椎神経根(以下C5), C6, 7で構成される例が8肩、C4, 5, 6, 7が2肩であった。C5は6肩で中斜角筋を貫通していた。C7が中斜角筋を貫通する例はなかった。上部筋束の複数神経支配は10肩中8肩であり、C5単独支配は2肩のみであった。中・下部筋束はC6, 7神経根支配が8肩であった。上部筋束は前方へ、中部筋束は前側方へ、下部筋束は下部になるに従い前下方に走行していた。肩甲骨を除くと、前鋸筋は菱形筋、肩甲挙筋と一体になっていた。<BR><BR>【考察】C5が中斜角筋を貫通する頻度は60%で、同部が神経障害部位になりやすい。この結果から、急性外傷やスポーツにより中斜角筋貫通部で神経麻痺になり、翼状肩甲骨が生じる可能性が示唆された。上部筋束はC5を中心に複数神経支配が多く、前鋸筋の機能上中心的役割を担っている。各筋束の形態と走行から、上部筋束は肩甲骨の回旋中心を形成し、中部筋束は肩甲骨を外転させ、下部筋束は下角を上方回旋、外転させる機能を有している。非外傷性や軽微な外傷で神経麻痺を伴わない前鋸筋機能不全に陥る症例がある。これらの症例では肩甲骨が下垂・外転している場合が多い。この病態は菱形筋、肩甲挙筋が伸張され、一方前鋸筋は短縮し機能できない状態に陥り、僧帽筋で肩甲骨上方回旋を代償していると推測された。<BR><BR>【まとめ】前鋸筋は主にC5, 6, 7で支配されるが例外的にC4も関与する。C5神経根は60%で中斜角筋を貫通していた。複数神経支配下にある上部筋束は前鋸筋の機能上中心的役割を担っている。上部筋束は肩甲骨の回旋中心を形成し、中部筋束は肩甲骨を外転させ、下部筋束は下角を上方回旋、外転させる機能を有している。
著者
植木 博子 吉村 英哉 日山 鐘浩 望月 智之 二村 昭元 秋田 恵一
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.369-371, 2014

小胸筋腱の停止が烏口突起をこえて延長する解剖学的破格は以前から知られている.過去に我々が調査した屍体解剖実習体では小胸筋延長腱の発現率は34.6%(81肩中21肩)であり,延長腱は烏口突起を越えて関節包の方に広がっていた.今回,肩腱板断裂症例において鏡視下修復術時に小胸筋延長腱の有無を確認し形態について観察した.<BR> 対象は2012年6月から12月までに当院で鏡視下腱板修復術を施行した腱板断裂症例25例(男性13例,女性12例)であった.術中にまず烏口突起基部を同定し小胸筋延長腱の存在を確認した.<BR> 延長腱は25例中10例(40%)に認められた.烏口突起に停止せずに上面を滑動し棘上筋の方向に向かい,烏口上腕靭帯とは明瞭に区別がついた.<BR> 臨床でも延長腱の発現頻度は比較的高く,その走行および付着の形態より肩甲上腕関節機能に影響を与えることが示唆された.鏡視下手術では延長腱の存在を留意する必要があると考えられた.
著者
郡 拓也 東條 正典 藤井 亮輔 野口 栄太郎 坂本 裕和 秋田 恵一
出版者
The Japan Society of Acupuncture and Moxibustion
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.811-818, 2010-11-01
参考文献数
14
被引用文献数
1 3

【目的】WHOにより標準経穴部位(361穴, 2006)の合意が成され、 それに伴って秩辺の取穴場所の変更が行われた。 新旧両秩辺とその周囲構造物との位置関係および腰痛に対する治療部位としての坐骨神経への刺鍼点について検討した。 <BR>【方法】東京医科歯科大学解剖学実習体3体6側を使用した。 殿部および大腿後面における太陽膀胱経に、 WHOの取穴方法に従って刺鍼を施し、 その部位を中心とした局所解剖を行った。 <BR>【結果】1.新秩辺(WHO, 2006)は、 後大腿皮神経、 下殿神経・動脈、 坐骨神経が出現する梨状筋下孔の近傍に位置した。 <BR>2.旧秩辺は上殿神経・動脈が出現する梨状筋上孔の近傍に位置した。 <BR>3.殿部および大腿後面での坐骨神経への刺鍼部位として、 (1)坐骨神経形成根部、 (2)梨状筋下孔、 (3)仙尾連結と大転子を結ぶ線上の外側1/3点、 (4)坐骨結節と大転子を結ぶ線上の中点、 (5)承扶の約1cm外側の地点、 (6)殷門の外側、 大腿二頭筋筋腹の内側半部、 が挙げられた。 <BR>【結論】1. 新旧両秩辺とも殿部および大腿後面にとって重要な神経・血管の近傍に位置し、 種々の病的症状に対する有効な刺鍼部位と考えられる。 <BR>2. 殿部および大腿後面での坐骨神経に対する刺鍼部位として、 走行経路より6カ所が示唆された。
著者
陣崎 雅弘 秋田 大宇 橋本 正弘 山田 稔 山田 祥岳 稲本 陽子 秋田 恵一 大竹 義人
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

これまでのCTは患者さんが仰向けに寝た臥位の静止撮影で、器質的疾患の定量・定性評価を担ってきた。それにより、生命予後の改善に貢献してきたが、動態である機能の定量・定性評価はほとんどできていなかった。現在は、超高齢化社会であり、生命予後と同時に健康長寿であることもとても重要である。我々は、立位や座位での4次元画像が可能なCT(立位/座位CT)を開発した。これを用いて、健康長寿に必須である嚥下機能・排尿機能・歩行機能を健常人および患者さんにおいて3次元・4次元的に解明し、機能障害の機序と重症度分類、機能改善の指標になる所見を明らかにしていきたい。
著者
堤 真大 二村 昭元 秋田 恵一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.I-146_2, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに、目的】近年、股関節外側部痛の潜在的原因として中殿筋腱断裂が着目されているが、その腱成分の形態学的特徴に関する報告はあまりみられない。一般に、筋骨格系の障害は、付着幅が周囲よりも狭い、といったような一様でない構造、すなわち不均一な構造に起因することが示唆されている。中殿筋腱の断裂においても、腱内の不均一な構造が関与しているのではないかと考えられる。本研究の目的は、中殿筋停止腱の3次元的構造を明らかにすることである。【方法】本学解剖学実習体15体25側を使用し、肉眼解剖学的(21側)・組織学的(4側)手法を用いて解析した。全標本でマイクロCT (SMX-100CT、島津製作所)を用い、3次元立体構築像で大転子の骨形態を観察した。肉眼解剖学的解析を行った21側中10側では、中殿筋腱を大転子から切離した後、マイクロCTで再び撮像・3次元再構成し、厚みの分布をImageJを用いて解析した。組織学的解析ではMasson trichrome染色を行った。【結果】中殿筋腱は、筋束が起始する腸骨の面により後部・前外側部の2部より構成されており、大転子へ停止していた。後部は厚く、長い腱により構成され、扇形のように一か所へ集中する形態で、大転子の後上面の狭い領域に集束して停止していた。前外側部は薄く、短い腱により構成され、後下方へ走行し、大転子の外側面に停止していた。中殿筋腱の厚みの分布を解析すると、厚みのある領域が前外側部に比して後部で広がっていた。それぞれの領域の厚みの平均値は後部が1.7±0.4mm、前外側部が1.4±0.4mmであった。厚みの最大値は、後部が8.0±1.8mm、前外側部が5.3±1.2mmであった。また、後部と前外側部の間の領域に、周囲に比して薄い領域が観察された。組織学的解析では、後部・前外側部が共に線維軟骨を介して大転子へ停止している様子が観察された。【考察】中殿筋腱は、後部・前外側部の2部より構成され、それらは腸骨と大転子の面によって区別された。後部は前外側部に比して厚く、その間の領域は周囲に比して薄かった。以上より、中殿筋腱内には不均一な構造が存在すると考えれられた。中殿筋腱の断裂好発部位に関しては、様々な報告があるものの、後方に比して前方に断裂が多いという点では一致している。これらは、本研究における前外側部に相当すると考えられる。後下方へ一様に走行する前外側部は、一カ所へ集束する後部に比して様々な方向からの応力には弱い可能性がある。また、厚みという点からも、前外側部の方が後部より脆弱である可能性がある。さらに、後部と前外側部の間の領域が薄いため、断裂が前外側部の範囲を超えて後部に至ることは稀であると思われるのも断裂が前外側に多い理由の一つと想定される。以上の形態学的特徴から、前外側部が中殿筋腱断裂と密接に関与する可能性が示唆される。【結論】中殿筋腱内には不均一な構造が存在し、それらは中殿筋腱断裂に関与する可能性が示唆された。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は、本学の倫理審査委員会の承認を得た(M2018-044)。また、「ヘルシンキ宣言」および「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を遵守し、日本解剖学会が定めた「解剖体を用いた研究についての考え方と実施に関するガイドライン」に従い、実施した。
著者
浜田 純一郎 秋田 恵一
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.629-632, 2007 (Released:2008-01-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

To clarify the anatomy of the long thoracic nerve (LTN) and functional anatomy of 3 parts of the serratus anterior muscle (SA) from innervations and the shape of each fiber. We collected the 10 shoulders of 5 cadavers (3 males and 2 females,average age 82,4 years old). The upper, middle, and lower parts of SA were classified according to the Eisler's definition. We observed which components from C4, C5, C6, and C7 innervated each part of the SA. The upper part was mainly innervated by C5 fiber and also C4, C6, or C7 fibers connected to the parts in 8 of 10 shoulders. The long thoracic nerve consisted of C6 and 7 fibers innervated middle and lower parts. The cross section area of the upper part was wider than those of other parts, and the upper part ran in the direction of the anterior compared to that of the middle part. The upper part of SA may be worked as the center of the scapula in an up and downward rotation. Degenerative change or sprain of cervical spine and direct trauma to the medial scalenus muscle may have caused damage of LTN and then dysfunction of the SA.
著者
前田 和彦 菅谷 啓之 新井 隆三 森石 丈二 望月 智之 吉村 英哉 松木 圭介 秋田 恵一
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.209-211, 2007
被引用文献数
5

It is generally believed that the supraspinatus tendon plays an important role in the shoulder function. However, precise anatomy of the supraspinatus tendon has not been well described. The purpose of this study was to investigate the anatomy of the supraspinatus tendon. 57 cadavers (103 shoulders) were used for this study. The clavicle and humerus were cut off at their proximal parts. After resection of the acromion, the coracohumeral ligament was carefully removed. In some specimens, the infraspinatus was completely removed from the humerus to observe the overlapping portion of the supraspinatus and infraspinatus. The supraspinatus muscle and its origin were carefully investigated macroscopically. In 4 shoulders, muscle fibers were completely removed to examine the direction and insertion of the supraspinatus tendon in detail. The supraspinatus muscle fibers originated from the spine of the scapula and the supraspinatus fossa, and they were running toward and attached to the thickest tendinous portion, which was located at the anterior part of the supraspinatus muscle. This tendinous portion was strongly attached to the most anterior portion of the greater tuberosity adjacent to the bicipital groove or at the lesser tuberosity (21.3%). Another part of the supraspinatus, which was located posteriorly, was attached to the greater tuberosity adjacent to the articular cartilage as a thin membrane. The insertion of the supraspinatus tendon revealed to be the most anterior portion of the greater tuberosity and the lesser tuberosity. These results suggested that the supraspinatus tendon worked more efficiently as an abductor of the shoulder joint with the arm externally rotated than internal rotation.
著者
吉村 英哉 望月 智之 宗田 大 菅谷 啓之 前田 和彦 秋田 恵一 松木 圭介 中川 照彦
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.217-219, 2007

Previous studies reported a presumably unusual bony attachment of the pectoralis minor muscle. However, less attention has been given to the insertion of the continuation to the glenohumeral joint. The purpose of this study was to evaluate the frequency of this abnormal insertion of the pectoralis minor muscle, and also to investigate the relation between this continuation and the capsule. 81 anatomic specimen shoulders from 41 cadavers were dissected. The insertion of the pectoralis minor tendon to the glenohumeral joint was carefully investigated. The pectoralis minor tendon ran beyond the coracoid process and extended to the superior portion of the glenohumeral joint in 28 out of 81 specimens (34.6%). The continuing insertion divided the coracoacrominal ligaments into two limbs. The continuation was more variable, and consisted of the whole tendon in 6, the middle part in 5, the lateral part in 15, and the medial part in 2 specimens. Furthermore, the pectoralis minor tendon inserted to the posterosuperior border of the glenoid in 6, to the greater tuberosity in 7, and both to the glenoid and the greater tuberosity in 15 specimens. The prevalence of the anomalous insertion of the pectoralis minor tendon revealed to be as high as 34.6% in the present study. This may suggest that the pectoralis minor tendon plays an important role in the stability of the glenohumeral joint.