著者
林 寛将 笹谷 拓也 成末 義哲 川原 圭博
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.315-316, 2019-02-28

電池やモータを搭載したパーソナルモビリティは優れた走行性やその手軽さから流行の兆しを見せ,公道での走行が許可された地域ではシェアリングサービスが台頭している.しかしこれらは充電の煩わしさや電池容量の小ささなどの問題を抱えており,走行中の充電を可能にする無線電力伝送技術はこれらの問題の解決する糸口として期待されている.大電力を伝送できることで知られる磁界共振結合方式の無線電力伝送はシステム設計の際に設置方法や設置コスト,運用コスト,電波法などの制約を考慮する必要があるが,パーソナルモビリティへの給電に関してはこれらの指標が無いのが現状である.そこで本稿では電動キックボードへの給電を例とし,既存の道路に後から設置する無線電力伝送システムについて,送電器コイルの大きさの違いによって生じる,コストや効率などの間のトレードオフに関する検討を行った.
著者
小金澤 碩城 井上 博喜 笹谷 孝英
出版者
農業技術研究機構近畿中国四国農業研究センター
雑誌
近畿中国四国農業研究センター研究報告 (ISSN:13471244)
巻号頁・発行日
no.4, pp.39-59, 2005-03
被引用文献数
1

海砂で栽培した10科36種の供試植物にOlpidium brassicae sensu latoおよびその類似菌の単遊走子嚢分離8株を接種し,一定期間後に放出される遊走子数を計測し,かつ根内の遊走子嚢と休眠胞子を観察することにより,寄生性を調査した。O. virulentusの分離株WOms-3は最も広い寄主範囲を示した。ついでLE-4,WT-1,TAK-1,F-1分離株の順であった。また,それぞれの分離株は異なる宿主特異性を有していた。これに対し,O. brassicaeの分離株CBG-3,YR-2とOlpidium sp.の分離株DKN-1の寄生範囲は比較的狭く,かつ類似していた。いずれの分離株も多くの植物の根に侵入可能で,感染が認められなかったのは4例のみであった。いずれの分離株もマクワウリ,スイカ,ササゲ,ダイズ,ナスとオクラでは増殖可能であった。いずれの分離株もセルリーと線虫抑止作物のクロタラリア,マリーゴールド,エンバクでは増殖しないかあるいは増殖量は少なかった。
著者
笹谷 めぐみ 徐 衍賓 本田 浩章 濱崎 幹也 楠 洋一郎 渡邊 敦光 増田 雄司 神谷 研二
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.44, 2011

放射線の重大な生物影響の1つに発がんがある。広島長崎の原爆被ばく者の疫学研究から、放射線が発がんリスクを増加させることが明らかにされているが、100mSv以下の低線量域においては有意な増加は得られていない。放射線発がんの分子機構の解明は、発がんのリスク評価につながると考えられているが、放射線照射後の細胞内で誘発された損傷がどのように発がんに結びつくかは明らかではない。我々は、放射線発がんの分子機構を解明するために、実験動物モデルを用いてより単純化した系での解析を行うことを試みた。実験動物モデルとして、修復機構の1つである損傷乗り越えDNA合成に着目し、その中で中心的な役割を担うRev1を過剰発現するマウスを作成し、発がん実験を行った。また、ヒト家族性大腸ポリポーシスのモデルマウスであるAPC<SUP>Min/+</SUP>マウスを用いて掛け合わせを行った。研究の先行している化学発がん実験結果や、放射線分割照射により誘発された胸腺リンパ腫を用いた解析から、がん抑制遺伝子であるikaros領域の欠失および、それに伴うikarosスプライシングバリアントの出現が放射線分割照射における特徴的な損傷として検出された。損傷乗り越えDNA合成機構の異常は、このikarosスプライシングバリアントの出現頻度に寄与していると示唆される結果を得ている。また、損傷乗り越え合成機構の異常は、APC<SUP>Min/+</SUP>マウスモデル系における自然発生腸管腺腫を有意に増加させる結果が得られ、損傷乗り越えDNA合成機構がゲノムの安定性を維持するために機能していることが明らかになった。今回はこれらの結果について報告したい。
著者
武田 笹谷
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構 都城工業高等専門学校
雑誌
都城工業高等専門学校研究報告
巻号頁・発行日
vol.2017, no.51, pp.58-61, 2017

Abstract Bullying has become a serious problem at many schools across the nation. We looked at two bullying cases at a college in Kyushu in order to evaluate the procedure taken to urge the bullies to reflect their behavior and help them return to their classes smoothly after suspension. The students were guided to keep a reflection diary every day and to write an essay about the book assigned to them. In Case A,the former half of the diary showed that the student gradually understood that he should not have bullied anyone. On the other hand,in the latter half,reference bullying significantly decreased,while anxiety stemmed from suspension increased. In Case B,the student was able to reflect his behavior smoothly,due to appropriate guidance of teachers related. The study of the two cases brought us to key points of approaching bullying case. We hope this study will lead to more effective rehabilitation program with shorter suspension period. Keywords [Bullying,Student counseling]
著者
笹谷 勇太 中村 拓人 塚本 彰 糸川 秀人 丸箸 兆延
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第26回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.70, 2010 (Released:2010-11-02)

【はじめに】腓骨筋腱脱臼は、足関節背屈および外反が強制された場合に受傷するとされる。今回、足関節外反となるダイナミックアライメント(以下、DA)の改善を図るとともに、足関節外反となる要因にも着目して理学療法(以下、PT)を実施したため、考察を加えて報告する。【症例紹介】16歳女性。バレーボール歴7年。ポジションはセッター。2009年12月初旬、トスをあげようとしゃがみ込み、右足関節外反位にて伸びあがろうと底屈した際に腓骨筋腱脱臼を受傷。2010年2月9日にDas de法を施行。術後3週でギプスカットし、エバーステップ装着にて全荷重を開始。その後、競技復帰を目的に週1回の外来PTを開始。既往歴として、両足関節内反捻挫の反復がある。【PT初期評価】立位時、両側ともに踵骨回内位。スクワッティングテストでは、両脚ともに踵骨回内が起こり、Knee inが出現。振り向きテストでは、踵骨保持が困難であり、外側荷重に不安感を訴えた。【PT経過】術後5週からclosed kinetic chainでの運動を開始し、足関節だけでなく複合関節の連動による足関節内外反の制御を目指した。まず意識下において足関節内外反を制御したDAでのステップ動作などから開始し、動作の習得とともに、ジャンプやボールを用いての実際の競技動作に近い練習へと進めた。また、足関節内外反を制御するためのテーピング指導も行い、術後20週で競技に復帰した。【考察】本症例が受傷に至った要因として、内反捻挫の反復により外側支持機構のひとつである腓骨筋支帯の脆弱化があったこと、足部外側不安定性から踵骨回内位での競技動作であったことが考えられた。競技復帰のためには、回内位でのDAを修正する必要があったが、過度の矯正は内反捻挫を惹起する可能性があった。よってPT実施上、足関節内外反を制御したDAを獲得させることが再発・二次的障害予防のために必要であったと考えられた。
著者
笹谷 孝英 野津 祐三 小金澤 碩城
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.24-33, 1998-02-25
参考文献数
38
被引用文献数
3

日本の異なる地域および植物から分離したインゲンマメ黄斑モザイクウイルス(BYMV)28分離株について, 判別植物の反応と血清反応を比較した。BYMVはインゲン15品種の反応で4つのPathotypeに分けることができた。Pathotype Iはインゲン品種の本金時のみに全身感染を示し, 他の品種には局部感染であった。Pathotype IIは本金時, ケンタッキーワンダーおよび他4品種に全身感染を示し, Pathotype IIIは本金時, ケンタッキーワンダー, マスターピースおよび他4品種に全身感染を示し, Pathotype IVは今回用いた15品種すべてに全身感染を示した。Pathotype II に属するBYMVはソラマメにおいて他のPathotypeに属すものより高い種子伝染性を示した。BYMVあるいはクローバ葉脈黄化ウイルス(ClYVV)に対する16種のモノクローナル抗体(MAb)を用いたTAS-ELISAで, BYMV28分離株には血清学的差異が観察され, 病原性とある程度一致したが, ポリクローナル抗体を用いたDAS-ELISAでは, 分離株間での顕著な差異は観察されなかった。MAb-1F3はPathotype I, II, IIIとClYVVの1株と反応した。MAb-2C4はPathotype IIのみと反応し, MAb-5F2は今回用いたBYMVとClYVVすべての株と反応した。MAb-2B4, -2C5, -3F9, -3F11, -4G8および-4H9はPathotype IIとIIIのすべてと, Pathotype IとIVの一部の株と反応した。MAb-1A2と-2H8はPathotype IIIとClYVV2分離株と強く反応した。以上より, 日本のBYMVは病原性および血清学的に変異に富んでおり, 4つのPathotypeに分かれることが明らかとなった。
著者
笹谷 康之 遠藤 毅 小柳 武和
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.141-146, 1987

古代には、神奈備山と呼ばれ神が宿るとされた信仰対象の山が存在した。全山が樹林におおわれ、笠型の端正な山容を持った山で、集落近くに位置する。その山体や、山を望む場所には、祭祀場、神社が設けられていた。本研究では、この神奈備山の分布、スケール、地形形態を明らかにするとともに、山を祀っていた祭祀遺跡・神社の地形占地・景観的特徴を考察した。その結果、次のようなことがわかった。<BR>(1)、神奈備山は、東北から九州北部まで広く全国に分布する。<BR>(2)、神奈備山を祀る神社・祭紀遣跡は、山頂、山腹、山麓と、山を望み山から引きをとった平地の4カ所に立地している。<BR>(3)、神奈備山は、おおむね比高400m以下の小さな山である。<BR>(4)、神奈備山を祀る神社・祭遺跡は、山を眺望しやすい仰角14°以下の平地と、山との一体感の得やすい仰角10°~30°の山麓に多く立地する。<BR>(5)、神奈備山の景観は平地からは端正な山に見えるが、その地形は、孤立丘、山地端部の端山、山地端部の尾根、等高線が比較的入りくんだ小山塊の4タイブに分類できる。<BR>以上の性質を持つ神奈備山は、日本人の原風景の一つでありまだまだ全国に埋もれていると考えられる。しかし、大都市近郊の神奈備山の中には、開発によって破壊された例もある。古代人が育んできた精神性の強い文化遺産として、神社、祭紀遺跡ともども、神奈備山の景観保全を進めていく必要がある。
著者
三輪田 吾郎 高井 伸雄 清水 学 笹谷 努 前田 宜浩 山本 明夫
出版者
北海道大学大学院理学研究院自然史科学部門(地球物理学)
雑誌
北海道大学地球物理学研究報告 (ISSN:04393503)
巻号頁・発行日
no.73, pp.195-205, 2010-03

Nonlinear site response was observed at TKCH 07 in Toyokoro and HKD 109 in Urakawa during the mainshock(Mj 8.0)and the largest aftershock(Mj 7.1)of the 2003 Tokachi-oki Earthqua ke. At TKCH 07, peak ground acceleration(PGA)was smaller than PGA at the other strong motion station in Toyokoro. At HKD 109, the accelerogram shows a characteristic spiky waveform. Due to this spiky wave, large PGA was observed compared to the other stations in Urakawa, although PGA at HKD 109 was smaller than PGA at JMA Urakawa station during the main shock and smaller aftershocks.
著者
前田 宜浩 高井 伸雄 笹谷 努
出版者
北海道大学大学院理学研究院自然史科学部門(地球物理学)
雑誌
北海道大学地球物理学研究報告 (ISSN:04393503)
巻号頁・発行日
no.73, pp.217-227, 2010-03
被引用文献数
1

The largest aftershock(Mw 7.3)of the 2003 Tokachi-oki earthquake(Mw 8.3)generates larger peak ground acceleration(PGA)values than the main shock in the western side of the epicenters despite their magnitude difference. We study the features of strong ground motions from the largest aftershock in detail using PGA values. Spatial distribution maps of PGA ratio between the largest aftershock and adjacent earthquake shows obvious azimuth dependency compared with the other earthquake pairs occurring around Japan. Attenuation relationship of the largest aftershock shows a large azimuth-dependent scattering at distances from 200 to 300 km compared with three smaller earthquakes occurring around the largest aftershock. Because this large scattering appears only in the largest aftershock, we conclude that the azimuth dependency is a peculiar feature of the largest aftershock. Fourier spectral ratios between the largest aftershock and adjacent earthquake at several stations show azimuth dependency at higher frequencies than 1 Hz, which is consistent with the azimuth dependency of PGA values. The azimuth dependency in high-frequency range cannot be explained simply by the source and path effects, and therefore, we make a hypothesis that the azimuth dependency is an apparent one generated by two earthquakes occurring simultaneously at different regions. Synthetic PGA distributions generated by two simultaneous events calculated by the empirical attenuation relationship are in agreement with the observed PGA distribution of the largest aftershock.
著者
笹谷 努
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.67-76, 1973
被引用文献数
1

A particular type of phase designated as the P<sub>2</sub>-phase is found in the P wave train around 9 seconds after the first arrival of the earthquake off east coast of Aomori prefecture of March 29, 1965. In the previous paper, the P<sub>2</sub>-phase has been interpreted as the stopping phase from the analysis of the motion direction of this phase. In the present paper, the P<sub>2</sub>-phase is re-examined in the wave form of the theoretical displacement of P wave from a fault near the earth's surface, because the unreasonable interpretation for the fault length and the rupture velocity has been given. The examination shows that the P<sub>2</sub>-phase concerned does not consist of the stopping phase, but of reflected sP phase, and that the wave form of direct P wave from a fault with a fault length greater than its depth may be disturbed by the reflected waves.<br>The seismic moment and the apparent stress for the present earthquake are estimated to be 3.20&times;10<sup>25</sup>dyne-cm and 5 bars, respectively.