著者
佐藤 創 鳥田 宏行 真坂 一彦 今 博計 澁谷 正人
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.307-312, 2009-10-01
被引用文献数
1 7

2004年台風18号により風倒被害を受けた,北海道美唄市内の防風保安林の風倒要因を解析した。この台風による最大風速は21m/sであった。調査を行った防風林はヨーロッパトウヒ,カラマツ,シラカンバ,ヤチダモ人工林である。防風林に21箇所の方形区を設定し,各個体の胸高直径と「根返り」,「幹折れ」,「無被害」別の被害状況を記録した。また,深さ別の土壌の硬さを簡易貫入試験機により測定した。さらに,樹種別に風倒被害の異なる要因を知るために,幹を側方に引き,根返りを発生させる際の最大抵抗モーメントを測定した。数量化2類による解析の結果,カラマツが最も被害を受けやすく,次いでヨーロッパトウヒ,シラカンバ,ヤチダモの順に風倒被害を受けにくくなった。胸高直径は30cmをピークに被害を受けやすかった。被害の種類については,カラマツとシラカンバは根返りしやすく,ヨーロッパトウヒは幹折れしやすかった。土壌の硬さは被害にあまり影響していなかった。根返り抵抗モーメントはヤチダモ>シラカンバ≒カラマツ≒ヨーロッパトウヒとなり,樹高や葉量の違いとともに,樹種別の風倒被害の違いを引き起こす要因となっていると考えられた。
著者
山口 信一 矢島 崇 渋谷 正人 高橋 邦秀
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.94-100, 1997
参考文献数
20
被引用文献数
4

高密度に生息するエゾシカの菜食と踏圧によりほぼ無植被となった林床の潜在的な植生の回復力を検討するために,北海道洞爺湖の中島において,当年生実生の消失過程とその要因,および散布種子と埋土種子の量と種構成を調査した。当年生実生は,調査開始から20日経過時点でおよそ70〜90%が消失し,50日経過時点ではすべての調査区でほぼ90%の実生が消失した。消失要因は80%以上がシカの採食によるものであった。散布種子数は調査区によってばらつき,1995年には238〜5,820粒/m^2,1996年は21〜394粒/m^2であり,種数は1995年で11〜22種,'96年で7〜19種であった。また,活性埋土種子数も調査区によって幅があり,50〜2,700粒/m^2が抽出されて,種数は8〜20種であった。散布種子,埋土種子ともに,木本種が多くを占めていた。埋土種子数と種数および活性種子率は調査地により異なっていたが,シカの影響を排除した囲い区と放置区の比較では明らかな差は認められず,シカによる踏圧や林地の撹乱などは埋土種子の生残には大きく影響していないと考えられた。実生の消失過程および散布・埋土種子量からみて,高い採食圧のもとで植生の回復は困難ではあるが,潜在的な回復の可能性は維持されているものと考えられた。
著者
菊谷 正人
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

企業結合の先進国である英・米の会計基準および国際会計基準(IAS)または国際財務報告基準(IFRS)を検討するとともに、わが国の会計基準(「企業結合に係る会計基準」と「企業会計基準第22号 : 企業結合に関する会計基準」)との国際比較を行うことによって、企業結合会計基準の国際的収斂を確認することができた。企業結合会計として「パーチェス法」が強制適用されることになったが、のれんの会計処理として国際的には「減損テスト法」が基準化され、わが国では「20年以内規則的償却法」が基準化された。「フレッシュ・スタート法」は論議されるに止まり、制度化されるには至っていない。
著者
川村 昌嗣 谷 正人
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.97, pp.90-95, 1999-12-17
被引用文献数
2

人間ドッグ受診者のうち75g経口血糖負荷検査を施行された362名において,負荷後の尿糖と血糖の関係を検討した。腎臓における尿糖排泄には閾値が存在しており,理論的には同時測定した尿糖と血糖の関係よりは尿糖測定血糖値と直前の血糖値のうち高値血糖と尿糖との関係がより事実を反映していると考えられ,血糖値は160mg/dL以下で尿糖異常が検出される頻度はきわめて低いと考えられた。耐糖能異常のスクリーニング検査としては空腹時血糖検査よりも随時の尿糖,血糖の検査を行い,異常者に対しては更にHBA1cまたはFRAの測定を加えるより,OGTTを施行する方が望ましいが,保険の審査の場においてはOGTTの施行困難である。また,長時間絶食後の採血により,普段の血糖値よりも極端に低下させている場合も少なくなく,このような場合にはFRAやHBA1cの測定が有用である。