著者
大谷 正人 Otani Masato
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.107-113, 2005

レナード・バーンスタインは20世紀にアメリカが生んだ大指揮者兼作曲家として、世界中で活躍し、多くの人々から愛された。バーンスタインにとって、1970年代の後半を中心とした危機的状況は重要な意味を持つと考えられる。作曲家として後世に残るようなシリアスな名曲を作曲したいという思いのため、1969年にニューヨーク・フィルハーモニックの指揮者を辞任したが、その後に作曲した大曲はいずれも期待したような評価は得られず、熱狂的な歓迎の得られる指揮活動を中心にせざるを得なかった。また1976年から1年近くバーンスタインは、妻のフェリシアと別居し男性の愛人と暮らしていたが、その別居中に発症したと思われる肺癌のため、1978年フェリシアは死去した。その悔恨の思いはバーンスタインの生涯続き、その後の音楽活動にも影響を及ぼした。特に演奏面での変化は著名で、遅い曲でバーンスタインのとるテンポは時々極端に遅くなっていった。
著者
菅谷 正人
出版者
東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学研究系人間環境学専攻
巻号頁・発行日
2010-03-24

報告番号: ; 学位授与年月日: 2010-03-24 ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士(環境学) ; 学位記番号: 修創域第3504号 ; 研究科・専攻: 新領域創成科学研究科人間環境学専攻
著者
長谷 正人
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

山田太一のさまざまな作品を映像作品として見直し、さらに山田太一氏本人や関係者へのインタビューも行って、70年代から80年代にかけての日本のテレビドラマがどのようにしてポストモダン的なイメージ社会を準備し、そしていかにそれを「後衛」の視点から批判したかを明らかにした。
著者
槇谷 正人
出版者
摂南大学
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営学部論集 (ISSN:13402617)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-16, 2012-09

本稿の目的は、正規雇用と非正規雇用の協働によるマネジメントが、相互の業務の成果と働きがいにつながることを論ずることである。この分野に関わる研究は、多様性管理の理論として、経済学的アプローチ(Lezear, 1999)と社会学的アプローチ(Richard et al, 2002)に2 分されて研究が進められてきた。しかしいずれのアプローチも、正規と非正規の相互作用を考察対象としたものではないため、現場で起きている課題について必ずしも明らかではない。そこで、雇用形態の多様化に起因する現代企業のマネジメント上の課題を、組織論的アプローチによって考察した。教育・学習支援業における組織であるS社東京支店を事例として、2006 年度4 月から2008 年度3月の2 年間にわたる参与調査と、2008 年から2011 年にはマネジャーと正規メンバーへの聞き取り調査を実施した。その結果、正規と非正規の協働によるマネジメントは、マネジャーが主体となって、業務分析と業務標準化、分業と協業態勢の可視化を基盤にした活動によって促進されることが明らかになった。
著者
谷 正人
出版者
神戸学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、かつて徒弟制の中で実践されてきたイラン音楽の教育観や知識観が、五線譜や練習曲を用いる近代教育的観点の導入によって如何に変容したのかを考察したものである。従来イランでは音楽は口頭で伝承されてきた。しかし『タール教本』(1921)のような教則本の登場によって、それまでのただひたすら師匠の模倣に専念するなかか自ら問いを立て学ぶというような徒弟制的教育に、より具体的で体系的な指導という近代教育的な知識の伝授段階をもたらされたことを指摘した。
著者
菊谷 正人
出版者
法政大学イノベーション・マネジメント研究センター
雑誌
イノベーション・マネジメント (ISSN:13492233)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.47-84, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
31

1988年12月に消費税法によって公布され、1989年4月に施行された消費税は、油・酒類・タバコを除く広範な物品・サービスの供給に課される間接税である。わが国おける消費税は、製造・流通過程の各段階で課税され、かつ、その製品の最終消費者に担税させる附加価値税(VAT)でもある。VATとは、事業者が販売時に課税され、税務当局に売上税額を報告するが、事業者自身の購入品に支払う仕入税額を取り戻すことができる多段階一般消費税である。わが国では、消費税導入時から仕入税額控除の方法として会計帳簿に基づいて帳簿方式が採用されてきた。2023年10月1日には当該税額控除の方法は、インボイスに基づいて仕入税額を売上税額から控除するインボイス方式に変更される。インボイスは、課税事業者が他の課税事業者に課税物品を供給する際に交付する必要がある。本稿では、帳簿方式とインボイス方式における特徴と問題点が比較的に検討される。
著者
菊谷 正人
出版者
法政大学イノベーション・マネジメント研究センター
雑誌
イノベーション・マネジメント (ISSN:13492233)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.1-22, 2022-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
37

国際課税の主要な課題が国際的二重課税と国際的租税回避から国際的二重非課税にシフトした結果として、現在、「税源浸食と利益移転」(BEPS)が世界的に大きな政治・社会問題となっている。OECDは、多国籍企業のグローバル化と経済の電子化による国際的二重非課税に起因するBEPSに対処するために2015年10月に「BEPS最終報告書」を公表し、11月のG20財務大臣会議で採択されている。その後、OECDは経済のデジタル化から生じる税制上の課題に対処するために、「BEPSに関するOECD/G20包摂的枠組」(「BEPS包摂的枠組」)を2016年に設置し、BEPSに対する解決策の基礎を形成する可能性のある2つの柱の青写真に関する報告書を2020年10月に公表した。「第1の柱」は、すべての管轄地域間で公平な競争条件を確保し、課税権のより公平かつ効率的な配分を実現するために、事業利益に適用される課税根拠と利益配分に焦点を当てる。「第2の柱」では、国際的に営業している大規模事業者が少なくとも最低レベルの税金を支払うことを保証するために、最低法人税率の全世界的導入が提案されている。本稿では、「BEPS包摂的枠組」によって2020年10月に承認されたBEPSに関する2つの柱の青写真に関する報告書(「第1の柱」と「第2の柱」)のうち、「第2の柱」の内容・特徴および2021年10月のG20最終合意を解析した上で、国際課税の課題(BEPS)が理論的に探究される。
著者
大谷 正人 オオタニ マサト OTANI Masato
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学 (ISSN:03899241)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.1-10, 2004-03-31

ベートーヴェン、スメタナ、フォーレという3人の大作曲家(3人とも名演奏家でもあった)における聴覚障害の創造への影響を検討した。ベートーヴェンの場合、聴覚障害は名ピアニストとして社交界での寵児でもあった青年期に発症したこともあり、遺書を書くほどの衝撃をもたらしたが、その不屈の精神により、主題の徹底的展開によるソナタ形式の完成をもたらした。スメタナの場合、オペラの指揮者としても活躍していた最盛期に急激に発症し、わずか4ヶ月で完全に聴力を失ったこと、その後には器質性精神障害を伴ったことから、最も悲劇的な様相を呈したが、同時に「わが祖国」や「わが生涯より」のような自伝的な不滅の傑作をもたらした。フォーレの場合、初老期における発症で進行も徐々であったため、その影響は表面的にはまだ穏やかで、声部の中音域化やポリフォニー化などをもたらした。3人に共通しているのは、音楽の深化、凝集化、内省化であった。
著者
岩崎 ちひろ 渋谷 正人 石橋 聡 高橋 正義
出版者
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター 森林圏ステーション
雑誌
北海道大学演習林研究報告 (ISSN:13470981)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.21-30, 2015-03

カラマツ人工林の長伐期施業に必要な条件を検討するため、北海道十勝地方の54~80 年生のカラマ ツ人工林20 林分で林相の特徴を把握した。また、長伐期化する林分に重要な風害抵抗性に着目し、耐風 性の指標としてよく用いられる形状比と樹冠長率を検討した。その結果、密度や蓄積、収量比数が小さく、疎仕立て状の林分が多かった。平均形状比は68~90、平均樹冠長率は.42~ 0.62 であった。既存研究で風害抵抗性が高いカラマツ人工林は、平均形状比が70 未満、平均樹冠長率が0.45 以上とされているが、本研究の結果では、樹冠長率は既往の値と一致した が、形状比は一致しなかった。このことから、樹冠長率は風害抵抗性を指標する樹形要素として汎用性が高い可能性があると考えられ、その場合平均樹冠長率が0.45 以上であることが カラマツの長伐期林に必要な条件と仮定された。そこで、この仮定に基づいて平均樹冠長率0.45 以上を維持する密度管理方法を検討した。その結果、Ⅰ等地では、収量比数を25 年生 時に0.8 以下、30 年生以上では0.6 未満で管理する必要があり、また林齢にともなって、さらに収量比数を小さく疎な状態に維持しなければならないことが明らかとなった。
著者
小川 博司 石田 佐恵子 長谷 正人 川崎 賢一 河原 和枝 遠藤 知巳 岡田 朋之
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

近年、現代メディアを取り巻く文化は、世界的な広がりを見せ、急速に変化している。だが、日本においては、その文化の具体的なありようや展開、日常生活に及ぼす影響などは十分に明らかになってはいない。本研究は、「クイズ形式の文化とその歴史的な変化から見る現代生活の諸相」に焦点を当て、メディア社会における文化のありようを明らかにしようとしたものである。本研究の目的は大きく分けて3つある。第1に、歴史社会学的観点からクイズ形式の文化が社会の中にどのように出現し、広がっていったかを明らかにすることである。第2に、歴史的な観点から描き出されたクイズ番組の変遷、クイズ文化の浸透に並行して、人々の日常生活における知識や情報のあり方の変化を明らかにすることである。第3に、アメリカ文化の強い影響を受けて導入されたクイズ形式の文化が、当初の輸入物の文化のありようを越えて、日本文化の一部として定着する際に、どのような形で加工され、「日本文化」化されたのか、明らかにすることである。具体的な作業としては、ラジオ時代のクイズ番組、テレビ時代のクイズ番組のデータを収集しデータベース化するとともに、クイズ番組関係者からのヒヤリングを行った。それらと並行して、アメリカ合衆国における「クイズショー・スキャンダル」についての検討、日本のクイズ文化について専門家からのヒヤリングなど、クイズ文化の歴史をどのように見るかの検討を積み重ねた。ここから、「高度情報社会」と呼ばれる現代の日常生活における知識や情報のおかれた意味について明らかにする、さまざまな知見が得られた。
著者
小向 愛 斎藤 秀之 渋谷 正人 小池 孝良
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.126, 2015

広葉樹の花成は花成ホルモンをコードする遺伝子(<i>FT</i>)が葉で発現することで誘導される。しかし開花年の不規則な広葉樹における<i>FT</i></i>遺伝子発現の年変動については、その発現制御が日長等の即時的な環境シグナルでは説明できず、過去の環境刺激がゲノムに記録され、遺伝子に対してエピジェネティックに発現制御していると考えられた。本報告では、ブナの<i>FT</i>遺伝子の塩基配列の特徴を調べ、DNAメチル化の潜在的な可能性を検討した。またDNAメチル化率を調べ、<i>FT</i>遺伝子のDNAメチル化を介したエピジェネティック制御の可能性を検討した。ブナの<i>FT</i>遺伝子のTATA配列はシトシン塩基を含まず、RNAポリメラーゼ結合におけるDNAメチル化の制御はないと考えられた。日長誘導型の転写因子(CO)の結合が推定されるcis配列は、連年開花型のポプラ、オレンジ、リンゴ、ブドウ、ユーカリに比べてブナでは数多くのシトシンを含んだ。よってブナの<i>FT</i>遺伝子は連年開花型の樹種に比べてDNAメチル化による発現制御の可能性が潜在的に大きいと考えられ、ブナの花成周期の不規性と関連が示唆された。発表ではDNAメチル化率についても報告する予定である。
著者
安原 正也 丸井 敦尚 布施谷 正人 石井 武政
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.719-727, 1991
被引用文献数
6

The Tsukuba Upland, about 390 km<sup>2</sup> in area, is one of the diluvial uplands commonly found in the Kanto Plain (Fig. 1). The upland is composed of the Younger Kanto Loam (about 3m thick at most), the Joso Formation, and the Kioroshi Formation in descending order. In the upper part of the Joso Formation is a less-permeable clay/silt layer called the Joso Clay (Fig. 2). The present study aims at clarifying the physical properties of the Joso Clay, which are important from the hydrological point of view.<br> The Joso Clay was sampled at 19 points on the Tsukuba Upland for determination of its physical properties (_??_ in Fig. 1). The Younger Kanto Loam and the sands, situated above and below the Joso Clay, respectively, were also sampled for a comparison of physical properties. In addition, some data on physical properties of the Joso Clay were obtained from the literature (0 in Fig. 1).<br> Saturated hydraulic conductivities of the Joso Clay proved to be extremely low, ranging from 8.29&times;10<sup>-6</sup> to 5.30&times;10<sup>-9</sup>cm/sec with an average value of 1.39&times;10<sup>-6</sup>cm/sec (Table 1). The Joso Clay presented a remarkable contrast in saturated hydraulic conductivity to both the overlying Younger Kanto Loam and the underlying sands, showing differences of two to three and three to five orders of magnitude, respectively (Fig. 3).<br> The porosity of the Joso Clay was between 54% and 77%. The Joso Clay showed a high degree of variability in thickness, from 15 to 400cm (Fig. 4). No macropores or non-capillary pores with the pore diameters larger than 3.8&times;10<sup>-2</sup>mm were found in the Joso Clay (Fig. 5), indicating that almost all the water in the Joso Clay moves very sluggishly.<br> Based on the results of this study, vertical subsurface water movement in surface parts of the Tsukuba Upland is assumed to be substantially restricted due to the presence of the Joso Clay.