著者
安蘇谷 正彦
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.1059-1081, vii, 2005-03-30

近・現代における「神道研究」の百年を振り返ってみると、神道研究には、〔I〕神道の科学的研究と〔II〕神道学の二種類あることを提唱した。〔I〕の科学的研究には、神道の〔1〕宗教学的研究、(2)歴史学的研究、(3)民俗学的研究、(4)考古学的研究、(5)神話学的研究、(6)日本思想史学的研究などがあろう。〔II〕の神道学とは、日本の神々信仰の言葉化や理論化を目標にしながら、神道を研究することと規定したい。次にこれらの研究分野ごとに、主要な研究業績を紹介し、各分野の先駆的研究者の研究目的などを中心に述べる。終わりに神道の宗教学的研究者の主要な業績を紹介し、とくに先駆的研究家・加藤玄智の神道論と戦後もっともよく読まれた村上重良著『国家神道』の主張を取り上げた。神道研究者が即ち神道学者と言えないと論じている。
著者
阪井 清美 谷 正彦 松浦 周二
出版者
The Laser Society of Japan
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.515-521, 1998-07-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

This paper describes the terahertz electromagnetic pulses emitted when femtosecond laser pulses irradiate quantum wells, bulk semiconductors, and photoconductive antennas fabricated on low-temperature-grown GaAs substrates. The continuous-wave (CW) terahertz electromagnetic radiation emitted when these photoconductive antennas are excited by two single-frequency CW semiconductor lasers is also described, as are the applications of the resultant terahertz wave in fields such as imaging and spectroscopy.
著者
新谷 正彦
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.138-145,165, 1990-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
48
被引用文献数
1 2

The purpose of this paper is to survey estimation of production function, cost function, and profit function of Japanese agriculture since 1980.I expected that in the study of measurement of agricultural production function there would be many papers which chose the translog type as a functional form because of its superior properties. However, my classification of the papers by functional form shows an entirely different figure. I classify the papers into five subjects; namely assessment of agricultural policy, economles of scale and enlargement of scale, technological progress and productivity (including the total factor productivity, which is abbreviated to TFP), equilibrium of factor input, and other aspects. The numbers of these subjects are, respectively, one, six, twelve, fifteen, and three. We can easily see that the papers evaluating policy are very few.Desirable nonparametric estimation methods of TFP have recently developed, but few authors have tried it. I estimate TFP of Japanese rice production by means of a nonparametric method and the result shows the slow or negative growth of TFP since 1975. I think that the major reason of this stagnation has been the acreage allotment program, “Gentan Seisaku”, since 1969.There are many issues can be handled by the applied production analysis, especially by the utilization of production and cost functions. As an example, the discover of the stagnation of TFP mentioned above gives us fruitful information to evaluate the acreage allotment program. I hope that many researchers will evaluate agricultural policies and investigate structural changesof Japanese agriculture by using production and cost functions.
著者
阪井 清美 谷 正彦
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.149-155, 2001-02-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
54
被引用文献数
7

光波と電波の境界にある技術的に立ち遅れたテラヘルツ帯(100GHz~10THz)を開拓するために,最新のレーザー技術や半導体および高温超伝導体の新技術を使って,新しい電磁波技術を発展させた.すなわち(a)フェムト秒光パルスが超高速の光スイッチ,半導体表面,量子井戸,高温超伝導デバイス等を励起して生じる,テラヘルツ電磁波パルスの発生,(b)2本の連続波(CW)レーザービームの光混合による,周波数可変のテラヘルツ電磁波の発生について述べるとともに,応用例も示した.
著者
武田 三男 谷 正彦
出版者
信州大学
雑誌
特定領域研究(B)
巻号頁・発行日
1998

バンドギャップ中に現れる不純物モードはそのQ値が極めて高く、これを利用すればレーザー光に匹敵する単色性が得られることが期待される。本研究では、共通ギャップが存在しかつ不純物の制御が比較的容易な積層型エアーロッド単純立方格子および積層型エアーロッド三角格子に着目した。このフォトニック格子中に光混合型発振器もしくは非線形光学結晶を組み込み、その発振周波数を不純物モードに一致させることにより、高効率の単色性の高い発振が可能である。具体的には、フォトニック結晶を共振器として用い、その中に電磁波発振源を埋め込んだテラヘルツ領域における高効率の単色光発振器を設計試作するものである。本研究は、フォトニック結晶中において電磁波の群速度異常により非線形光学効果や光伝導スイッチ素子における光-電磁波エネルギー変換効率が増強することに着目し、テラヘルツ帯の高効率発振機器を開発するものである。本研究は主に、(1)テラヘルツ時間領域分光法によるフォトニック結晶中の電磁波分散関係の決定、(2)フェムト秒レーザーパルス光によるテラヘルツパルス電磁波の発生、および、(3)CWレーザー光による差周波光混合テラヘルツCW電磁波の発生実験の研究で構成されている。得られた主な研究成果は、(1)テラヘルツ時間領域分光による電磁波分散関係の決定及び局在モードの確認、(2)非線形光学効果によるテラヘルツパルス電磁波発生による不純物モードの励起、(3)連続波差周波光混合によるフォトニック結晶共振器中の不純物モードの励起と増強効果の確認、(4)テラヘルツ領域ダイヤモンド格子フォトニック結晶の作製と評価、(5)二次元エアーロッド格子中の線欠陥モードの波数ベクトル依存性とその磁場強度空間の解析、(6)マイクロ波帯フォトニック結晶(周期性マイクロストリップライン)の作製と評価、(7)単純立方格子における不純物モードの理論解析(FDTD法)である。
著者
藤澤 秀樹 千見寺 徹 水谷 正彦 土屋 信 橘川 征夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.7, pp.1928-1931, 1990-07-01
被引用文献数
6

症例は44歳.主訴は右下腹部の腫瘤と疼痛.来院時体温38.0℃,白血球15,300,CRP6(+).腫瘤は7×7cm,平滑,弾性軟で可動性はなかった.同部に圧痛とブルンベルグ徴候を認めた.虫垂炎による腫瘤形成と診断し,抗生剤の使用により症状は改善した.画像診断,内視鏡検査でも虫垂炎による腫瘤形成との考えと矛盾はなかった.虫垂切除をおこなった.虫垂は5.5cm,根部を除きほぼ全体に硬く腫大し,割面では壁の著明な肥厚を認めた.組織学的には固有筋層より漿膜下層にかけて子宮内膜腺および間質の増生と漿膜下脂肪織内に巣状の出血と強い炎症性細胞浸潤を認めた.一方粘膜面は比較的正常であった.手術後の病歴再聴取により,右下腹部痛にて発症したこと,嘔気,嘔吐がなかったこと,発症が生理時にほぼ一致していたことなど,虫垂子宮内膜症を示唆する症状を得た.子宮内膜症は増加しているといわれ,虫垂炎の診断にあたっても,常に本症も念頭におく必要があると考えられた.