著者
谷口 明子
出版者
山梨大学
雑誌
教育実践学研究 : 山梨大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:13454161)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.193-202, 2010

統計的にはいじめ発生件数が減少しているとはいえ、いじめが看過できない教育上の課題であることは変わらない。いじめ深刻化の背景にはいじめの潜在化があると言われるが、その要因のひとつに中学生のいじめ認識のゆがみがあるのではないかと考えられる。そこで、本研究においては、いじめが最も深刻である中学1、2年生を対象として、どのような行為を「いじめ」と認識しているのか、またそうした認識はいじめ経験の有無と関連があるのかどうかを質問紙調査によって検討した。結果として、衝動的暴力や遊び型のいじめ行為に対しては、それが「いじめである」という認識が低く、さらにそうした遊び型いじめに関しては、被害経験のある生徒でさえ「いじめではない」との認識があることが明らかになった。中学校におけるいじめ防止を考える際に、こうしたいじめへの認識のずれに焦点をあてた対応が望まれる。
著者
清田 忠志 谷口 明 清田 誠良 中村 安弘
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.71, no.602, pp.69-75, 2006
参考文献数
13
被引用文献数
10 5

In this study, we analyzed the difference of the air temperature in the urban area of Hiroshima among calm, sea breeze and land breeze by the observation. The summary of the results is shown below. 1) In the calm period, the air temperature in the urban area rises. However, the air temperature is slightly lower in green belt and around the river. It is caused by the influence the micro-scale climate. 2) In the sea breeze period, the air temperature of urban area lowers inversely as the distance from the coastline. In addition, the air temperature lowers around the river, since it becomes a way of the wind. It is the phenomena of the meso-scale.
著者
谷口 明展 香川 大輔 浦邉 啓太 賀嶋 直隆 永井 由佳 西村 由美
出版者
一般社団法人 日本在宅薬学会
雑誌
在宅薬学 (ISSN:2188658X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.57-61, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
12

超高齢化社会となり,認知症高齢者数も増加している.認知症患者の服薬管理は困難を要することがあり,MMSE のスコアによっては適切な服薬支援でないと服薬できないことも多くあるためMMSE を活用した薬剤師による在宅服薬支援によって服用率が改善した3 症例を報告する.症例1 では,MMSE 26点でありお薬カレンダーによる自己管理と,ヘルパーによる声掛けによる在宅服薬支援の結果,服用率が7%向上した.症例2 では,MMSE 21 点でありお薬カレンダーと家族による電話による服薬刺激,薬剤師とヘルパーによる配薬と声掛けという服薬支援により服用率が4.8%向上した.症例3 では,MMSE 23 点であり,ヘルパー協力のもとお薬カレンダー利用により服用率が2.3%向上した,薬剤師により在宅の認知症患者への服薬支援最適化のためMMSE を活用することは服用率改善に効果が期待できると考えられる.
著者
谷口 明丈
出版者
中央大学商学研究会
雑誌
商学論纂 (ISSN:02867702)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1・2, pp.171-281, 2015-09-15
著者
藤巻 裕蔵 柳川 久 谷口 明里
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.104-106, 1989

One to three Nutcrakers <i>Nucifraga caryocatactes</i> were observed in residential areas and wood islands of suburban areas in Obihiro City and its environs, central Hokkaido, from mid-October 1988 to late June 1989. Besides, Nutcrackers were recorded from Hakodate, Sapporo and Furano from October 1988 to mid-June 1989. Poor cone production of the Japanese Stone Pine <i>Pinus pumila</i> in 1988 was considered to be one of causes of their wintering at low altitudes.
著者
谷口 明丈
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.1-39, 1990-10-30 (Released:2009-11-06)
参考文献数
113

We can find that 47 of the 63 largest manufacturing firms in 1909 were formed by consolidation from 1882 to 1904. Consolidation played a decisive role in the process of the emergence of modern large corporations.In this article I divide these cases of consolidation into four types according to three criteria : (1) pattern of strategic evolution ; (2) percentage effect of the standard firm on the market or economy of scale and speed ; and (3) incentive to diversification. To type A-1 belong the cases where first horizontal consolidation of single-unit-firms took place because the high percentage effect brought about severe competition and then vertical integration evolved, and no incentive to diversification existed. In type A-2 the percentage effect was low and other conditions were similar to those in type A-1. In type B-1 one firm began vertical integration and a few firms followed it, and then the severe competition between them led to horizontal consolidation. There, the percentage effect was high because vertically integrated firms became standard, and incentive to diversification was little. In type B-2 incentive to diversification was an important factor that led to consolidation, and other conditions were similar to those in type B-1.These four types express the dynamism of American industry in this period. The cases in type A-1 were in the main stream where the progress in technology itself gave birth to overproduction. In type B-1 where the technological condition was similar to type A-1, innovations made pioneers develop new strategies (vertical integration). The cases in type A-2 show the move to consolidation in the low-technology industries. The cases in type B-2, though only a few, imply the emergence of new type of industries where product-innovation is of significance.After consolidation most of the large corporations in every type began to pursue the strategy of growth through diversification which was still of narrow range in most cases.
著者
大内田 昭信 谷口 明美 河内 泰英 前田 泰宏 樫原 昭裕 大前 重男
出版者
The Japanese Society of Toxicology
雑誌
The Journal of Toxicological Sciences (ISSN:03881350)
巻号頁・発行日
vol.19, no.SupplementII, pp.263-280, 1994-10-15 (Released:2008-02-21)
参考文献数
17

TAZ/PIPCの安全性試験の一環として, tazobactam(TAZ), piperacillin(PIPC)およびそれらの配合剤(TAZ/PIPC)について変異原性の有無を検討するために, 細菌を用いた復帰突然変異試験, 培養細胞を用いた染色体異常試験およびICR雄マウスを用いた小核試験を実施した。1. TAZ, PIPCおよびTAZ/PIPCの復帰突然変異試験ではS. typhimurium TA100, TA98, TA1535, TA1537, およびE. coli WP2uvrAを用いて, 抗菌作用が認められる用量を最高に以下公比2~2.5で減じた7段階の用量で実施した。TAZ, PIPCおよびTAZ/PIPCは代謝活性化の有無にかかわらず, いずれの菌株も溶媒対照群と比較して復帰変異コロニー数の用量に依存した明らかな増加は認められなかった。2. TAZ, PIPCおよびTAZ/PIPCの染色体異常試験では培養細胞CHLを用い, 直接法および代謝活性化法の両法において10mMを最高に以下公比2で減じた3~4用量の処理群について染色体標本を観察した。TAZ, PIPCおよびTAZ/PIPCは直接法および代謝活性化法のいずれにおいても染色体の構造異常あるいは数的異常の出現頻度は0~3.0%で, 溶媒対照群と差がなかった。3. TAZおよびTAZ/PIPCの小核試験では625, 1250, 2500, 5000 mg/kgの投与用量で, PIPCでは625, 1250, 2500 mg/kgの投与用量で実施した。TAZ, PIPCおよびTAZ/PIPCにおけるMNPCEの出現率はそれぞれ0.02~0.17%, 0.02~0.1%および0.03~0.07%であり, 用量依存性はみられなかった。また, 背景データを用いた判定法でも陰性であった。4. 上記の結果より, TAZ, PIPCおよびTAZ/PIPCには変異原性は認められなかった。
著者
谷口 明日香 丸山 里菜 京極 奈美 渡辺 裕子 飯村(久松) 裕子 長尾 慶子 小林 理恵
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.157, 2017 (Released:2017-07-08)

【目的】近年、雑穀粉の健康機能性に注目が集まっているが、これらはグルテンを形成しないため、調理への利用用途は限定的である。しかし、小麦粉のグルテン形成を抑制しながら揚げ加熱する天ぷら衣には利用の可能性が高い。そこで、小麦粉以外に天ぷら衣として利用例がみられる主穀のうるち米粉・もち米粉と共に、雑穀の大麦粉・ソバ粉・ハトムギ粉を用いた天ぷら衣の力学特性並びに外観及び吸油量とから客観的に嗜好性を評価した。【方法】各穀物粉15 gに、小麦粉の粘度と同程度となるよう加水し、バッターを調製した。これを直径30㎜×高さ10㎜のシリコンカップに2.0mLずつ分注し180±5℃に熱したキャノーラ油600 mLにカップごと投入して140秒間揚げ加熱した。各揚げ衣は1分放冷後、重量、表面色(L*, a*, b*値)、破断強度を測定した。また、各揚げ衣5 gに付着した油を石油エーテルで抽出後、40℃で蒸留して吸油量を測定比較した。【結果】揚げ衣の圧縮初期の応力及び微分値を比較すると、その硬さはうるち米粉・ハトムギ粉>大麦粉>ソバ粉となり、うるち米粉、ハトムギ粉、ソバ粉は小麦粉に比べて吸油量が少なかった。雑穀粉の揚げ衣の色は、主穀粉に比べて暗褐色であったが、特にソバ粉では濃い灰褐色を呈していた。天ぷら衣は淡黄色でもろく軽い仕上がりが望ましいことから、雑穀の大麦粉及びハトムギ粉は天ぷらの衣として小麦粉と代替えできる可能性が高い。
著者
谷口 明子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.427-438, 2005-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
42

本研究の目的は, ひとつの病院内学級における教育実践を詳細に検討することから, 入院児に対してどのような教育的援助が提供されているのかを明らかにし, 教育実践の特徴カテゴリーを抽出することである。先行研究の少ない分野において有効とされる質的研究法を採用し, 参与観察エピソード及び半構造化面接逐語録をグラウンデッド・セオリー法に則って分析した。分析は概念化からカテゴリー生成, さらに現場教師からのコメントや更なるデータ収集を経て最終的な教育の特徴モデルの生成まで5段階で行われた。結果として, 病院内学級における教育実践が, 通常の教育の枠を超えて, 〈特別支援教育/ 普通校/小規模校/保育/家庭/医療/ソーシャルワーク〉という多様な援助実践の特徴を併せ持っていることが見出された。本研究は, ひとつの病院内学級におけるデータに基づく仮説生成型探索的研究ではあるが, 提示された特徴モデルにより, 従来, 他の特別支援教育と比較してとらえどころがないとされていた病院内学級における教育実践の特徴を捉える新たな視点を提供することができた。
著者
藤田 道郎 大内 詠子 越智 直子 張替 康隆 保田 大治 谷口 明子 長谷川 大輔
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.13-19, 2012-12-19 (Released:2012-12-19)
参考文献数
6

犬の四肢軟部組織肉腫14症例に対して術後低分割放射線治療を行い、治療成績や放射線障害について回顧的研究を行った。再発率は7.1%、放射線障害は85.7%で何らかの障害が認められたが、現在まで重篤な障害は認められず、再発に対する影響もなかった。一、二および三年生存率はそれぞれ100、92.9および66.7%あった。また一、二および三年腫瘍コントロール率はそれぞれ85.7、71.4、57.1%であった。以上のことから、犬の四肢の軟部組織肉腫に対する術後低分割放射線治療は従来の根治目的の放射線治療スケジュールと比較して治療効果に大きな差はなく、麻酔のリスクや動物への負担、オーナーへの負担を軽減する上で有用な照射方法の1つと考えられた。
著者
谷口 明子
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.283-291, 2004-11-30
被引用文献数
2

入院児への学校教育導入の推進に伴い、入院児の心理理解の必要性が高まっている。本研究の目的は、病弱教育における子ども理解の一環として、入院児の不安の構造と類型を明らかにすることである。入院という状況下の不安を測定する42項目から成る質問紙を作成し、小学校4年生から高校3年生までの157名の入院児を対象に調査を施行した。その結果、入院児の不安が「将来への不安」「孤独感」「治療恐怖」「入院生活不適応感」「とり残される焦り」の5つの下位構造を有し、さらに入院児が3つの不安の類型に分かれることが明らかになった。性差、入院回数、入院期間、罹病期間、発達段階の子どもの属性と不安の構造との関連を検討した結果、女子のほうがより強い「不安」と「孤独感」をもち、発達段階が高いほうが「将来への不安」「入院生活不適応感」をより多く抱いていることが示され、指導にあたって留意すべき点も示唆された。