著者
青木 健一 木村 亮介 川崎 廣吉 若野 友一郎 小林 豊
出版者
明治大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

新学術領域研究「交替劇」は、ネアンデルタールの絶滅およびヒトによる置換(交替劇)を両者の文化水準の違いによって説明する(学習仮説)ことを目的とした。社会が到達する文化水準は、文化進化のあり方に依存する。このため、領域傘下の我が計画研究班では、文化進化の決定要因およびこれを支える学習戦略の進化に関する理論研究を行った。得られた多くの成果は、査読付の国際学術雑誌や著書に発表済みであり、国際的にも文化進化および学習戦略進化の研究に大きく貢献している。また、ネアンデルタールとヒトの学習戦略に違いがあるならば、両者の認知に関わる遺伝子にも違いが認められるはずとの立場から、分子人類学的な研究も少し行った。
著者
青木 健 アオキ タケシ Takeshi AOKI
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.22, pp.69-76, 2022-03-31

本稿は、仏教がイラン高原西部まで及んでいたか否かを論じる試論である。仏教がイラン高原東部(現在のアフガニスタン)まで及んでいたことは、今更論じるまでも無い。この延長線上に、先行研究の一部は、ナウバハールの地名の普及、ゴータマ伝説の普及、イラン・イスラーム神秘主義の思想構造などを根拠として、仏教はイラン高原西部まで到達していたと結論している。しかし、この所説は、未だ定説にはなっていない。 そんな中、筆者は、ペルシア湾岸にある二つの石窟遺跡に注目した。チェヘル・ハーネ石窟とガルアテ・ヘイダリー石窟である。両者は、陸のシルクロードの沿線には無く、イラン高原東部で栄えた仏教遺跡と結び付けて論じるのは無理筋と感じられる。その代わり、ペルシア湾岸からスリランカを結ぶ海のシルクロードの要衝に位置しているので、今後は、インド洋に於ける仏教伝播の一齣として研究する必要があるのではないだろうか。
著者
青木 健
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.653-674, 2007

ゾロアスター教研究の資料には、六-一〇世紀に執筆された内部資料であるパフラヴィー語文献と、その他の言語による外部資料がある。外部資料の研究としては、ギリシア語・ラテン語、シリア語、アルメニア語、漢文、近世ヨーロッパ諸語などの資料ごとに纏まったコーパスがあるものの、アラビア語資料を用いた本格的な研究は依然としてなされていない。本論文は、アラビア語資料を完全に網羅した訳ではないが、ある程度の資料に当たって、アラビア語資料によるゾロアスター教研究の方向性を示した試論である。暫定的な結論として、サーサーン王朝時代のペルシア帝国領内のゾロアスター教は一枚岩ではなく、各地方ごとのゾロアスター教が存在したこと、パフラヴィー語文献は、そのうちのイラン高原南部のゾロアスター教を代表するに過ぎないこと、メソポタミアやイラン高原東部のゾロアスター教の実態は、却ってアラビア語資料から類推できることが判明した。
著者
青木 健
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.837-860, 2009

本論文は、現在までのザラスシュトラ研究の回顧から出発する。近年の研究によって、ザラスシュトラ観には、時代と共に変遷があることが明らかにされた。特に、一〇〜一三世紀に、ザラスシュトラ観が転回したことが確認されている。だが、この時期はゾロアスター教の内在的な文献を欠き、シリア語・アラビア語文献に頼って研究を進めなくてはならない。而して、二〇世紀半ば以降、この時期のイスマーイール派ペルシア学派文献の校訂出版が相次いだ。そこで、本論文ではナサフィー・ラーズィー論争に関するアラビア語テキストを主に、ザラスシュトラ観が「神官から預言者へ」変わる過程を検証する。最後に、ラーズィーがシリア教会に倣ってザラスシュトラをセム的一神教の異端と位置付けようとしたのに対し、ナサフィーは彼をセム的一神教の預言者と捉えようとして論争した経緯を明らかにする。結局、後者がイスラーム世界での共通認識になってゆくのである。
著者
柴田 大輔 河合 望 中町 信孝 津本 英利 長谷川 修一 青木 健 有松 唯 上野 雅由樹 久米 正吾 嶋田 英晴 下釜 和也 鈴木 恵美 高井 啓介 伊達 聖伸 辻 明日香 亀谷 学 渡井 葉子
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2012-06-28

現在の西アジア諸国において戦争・政争を引き起こす重要なファクターとしてイスラームの政教問題が挙げられる。西アジア政教問題の重要性は万人が認めるところだが、一方でこの問題は単なる現代情勢の一端として表層的に扱われ、しかも紋切り型の説明で片付けられることも多い。本研究は、文明が発祥した古代からイスラーム政権が欧米列強と対峙する近現代にいたる長い歴史を射程に入れ、政教問題がたどった錯綜した系譜の解明を目指した。ユダヤ・キリスト教社会、紋切り型の説明を作ってきた近現代西欧のオリエント学者たちが西アジアに向けた「眼差し」も批判的に検討したうえで、西アジア政教問題に関する新しい見取り図の提示を目指した。
著者
齊藤 桂子 氏家 隼人 蒔苗 剛 櫻井 真梨子 松本 弘紀 青木 健史 宮田 泰子 三笠 祐介 藤井 雅 丸谷 由里子 田中 光郎
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.482-487, 2016-11-25 (Released:2017-11-25)
参考文献数
11
被引用文献数
4

本学歯科医療センター小児歯科外来では,歯科治療の際に特別な対応が必要な心身障害児や不協力児に対して,その患者の治療に対する協力状態により全身麻酔下での歯科治療を選択している。平成21 年1 月から平成27 年12 月までの7 年間に当科を受診し,全身麻酔下での歯科治療を行った症例を対象として実態調査を行い,平成元年の当科の調査結果と比較検討した。1 .症例数と年齢分布:82 名(男性53 名,女性29 名)の患者を対象に,のべ87 回行われた。処置平均年齢は12 歳5 か月であり,過去の報告と同程度であった。2 .患者の内訳:対象患者の51%が障害児・障害者であり,その多くは精神遅滞であり,過去の報告と同様であった。3 .処置内容と処置歯数:1 症例当たりの平均処置歯数は乳歯10.5 歯,永久歯7.6 歯であり,コンポジットレジン充填が乳歯6.8 歯,永久歯5.6 歯で最も多く,過去の報告と同様の傾向を認めた。4 .処置時間:平均処置時間は2 時間13 分であり,過去の報告より処置時間は短縮していた。5 .本県のような面積の広い地域においては,とくに地域の開業医と大学の連携が重要であると考えられた。
著者
青木 健次 Kenji AOKI
出版者
甲南大学カウンセリングセンター学生相談室
雑誌
甲南大学学生相談室紀要 = Bulletin of Konan Student Counseling Room
巻号頁・発行日
no.27, pp.23-35, 2020-02-29

This paper is a summary of my personal experience gathered in my student counseling activities in the last 40 years. Thinking and looking back, it is interesting to realize how various things are interconnected and deeply interwoven. The roles that are required in these activities and the applicable techniques are never the same. Someone who is in his/her 30's might not be able to play the same role and use the same technique as someone who is in his/her 50's. Although there are certain limitations, as counselors are meeting young students, gathering plenty of stories and updating one's knowledge about the presence and future is essential.
著者
米田 和夫 長谷川 円 青木 健司 渡部 一夫
出版者
Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.211-216, 2001-09-30 (Released:2010-06-22)
参考文献数
16

Three cultivars of Odontoglossum Intergeneric hybrid orchid, Velano (Odontioda Marie Noel‘Velano’), Polka (Odontonia Moliere‘Polka’) and Rubis (Odontioda Picasso‘Rubis’) were studied to ameliorate the development of leaf burn occurred after transplanting. The symptom, started at the tip of a leaf and spread to the petiole, began to appear 4-6 weeks after they were potted from the flasks in which they had been cultured. The leaf eventually abscised. The leaf burn did not occur in new leaves in Velano and Polka, but it did occur in Rubis. The severity of symptom differed among cultivars and it reduced significantly in the case where the plants were kept in high humidity for 80 d after they were potted from the flasks, but the high humidity did not retard the growth of plants. The leaves with leaf burn tended to contain higher Ca than those without leaf burn. There was, however, no significant difference in the concentrations of N, P, K and Mg between normal leaves and those with the leaf burn. The tip-burn in a high humidity environment can be avoided by using suitable cultivars.