著者
高橋 久美子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.59-67, 2003

性意識のなかでもとくにセックス観に注目し, 父親と母親のセックス観が性教育に及ぼす影響について検討した.分析の対象は中学生の子どもをもつ188組の父親と母親である.主要な分析結果は以下のとおりである.<BR>取り上げた5項目のセックス観の全てにおいて, 父親に比べて母親は否定的で禁欲的な考え方をもっていた.父親と母親の意識の差は, とくに快楽の肯定と男性による女性の道具視の項目で大きかった.母親では, 禁欲の必要性の項目が快楽の肯定や女性の道具視の項目との間で関連が認められた.<BR>父親と母親のいずれも, 性に関する会話への抵抗感をもつ者が半数いた.子どもとテレビ視聴時のラブシーン場面において平静という者は予想外に多く, 母親でも半数いた.<BR>父親と母親のいずれも, 性教育の内容として取り上げた10項目のうち, 家庭で必要と思う項目と学校で必要と思う項目はほぼ同数の5項目であった.しかし, 家庭で必要と思う項目と学校で必要と思う項目の内容は対照的であった.家庭で実際になされた項目は少なく, 2~3項目でしかなかった.<BR>父親と母親のいずれも, 家庭での性教育の必要性の意識と性教育の実践とは関連が認められた.性教育の実践に対し, 父親では性に関する会話抵抗感は直接に関連し, 母親では家庭での性教育の必要性の意識を通して関連していた.さらに, セックス観のなかでも禁欲の必要性の意識と性に関する会話抵抗感との問で関連が認められた.
著者
中西 真一 藤原 純一 加賀谷 結華 高橋 久美子 澤邉 淳 三浦 勉 粕谷 孝光 福岡 岳美 小野 剛
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.233-237, 2014 (Released:2014-09-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1

目的 : 大腿静脈カテーテル留置時に上行腰静脈へ迷入すると, 後腹膜血腫等の合併症を引き起こす可能性がある. しかし, カテーテルの迷入についてはあまり認識されていない.方法 : 2011年4月から2013年3月の間に当院で大腿静脈カテーテルを留置した患者107名を対象とし後ろ向きに検討した.結果 : 上行腰静脈への迷入は11/110回 (10.0%) で認め, 左側で5/34回 (14.7%) , 右側で6/76回 (7.9%) だった. 位置確認の腹部レントゲン検査で, カテーテルが側方へ変位している場合, 頭側に急峻に立ち上がる場合に迷入の可能性があった.結論 : カテーテル迷入は稀では無く, 迷入が疑われれば積極的に腹部CT, 側面レントゲン等の追加の検査が必要である.
著者
高橋 久仁子
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

マスメディア等からの食情報が原因と推察される健康被害事例について学会誌等に発表された論文を収集・分析するとともに医療関係者(医師、看護師、検査技師、管理栄養士等)および食生活指導者を対象に聞き取り調査を実施した。その結果、特定のテレビ番組に起因する健康被害と、メディア等を介して人口に膾炙した食情報を原因とする健康被害とが混在することが判明した。論文発表に至る事例はごく少数にとどまることが確認された。
著者
立石 毅 梅林 芳弘 高橋 久恵 大塚 藤男
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.268-271, 1995-04-01 (Released:2011-07-20)
参考文献数
12

症例1は1歳の男児。生後1週に左下腿に紅色の皮疹が出現し, 同部位に小水疱形成を繰り返していた。症例2は5ヵ月の女児。生後3ヵ月に右胸部に水疱形成を繰り返す皮疹が出現。いずれもダリエー徴候陽性。組織学的に真皮内に肥満細胞の増殖を認め, 単発性肥満細胞症と診断した。局所ステロイド剤外用にて水疱形成は抑制された。筑波大学皮膚科における1976年10月より1993年7月までの外来初診患者数47849人に対して, 肥満細胞症患者は10人で0.02%にあたる。単発性肥満細胞症はその中で2例(0.002%)のみであった。
著者
高橋 久光
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.179-188, 2016-03-15

化学肥料や農薬を多投し,農業機械を駆使した近代化農業は飛躍的な生産性の向上とともに食料の増産をもたらしてきたが,その反面では地下水の汚染,塩類の集積,生態系の喪失等の環境負荷を招くこととなった。このため,有機物を代替投入する低投入・持続型農業への関心が世界的に高まっており,中でも有機農業は持続可能な農業の一つの形態として注目されている。我が国において,農薬の危険性が認識され始めた1970年代初めから,有機農業が脚光を浴びるようになり,現在では,アレルギー体質者の増加や,O-157,ダイオキシン,さらにはBSE等,食の安全性への不安増大を背景に有機農産物の需要が拡大している。ここでは,色々な有機質肥料と化学肥料とを比較し,それらが野菜の生育および品質に及ぼす影響,並びに土壌の理化学性について調査・実験し,有機質肥料が化学肥料の代替になるかを検討した。
著者
高橋 久美 山本 毅雄
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.23, pp.17-23, 1993-03-16

パターン・マッチング技術を利用する新しい図書館システムを提案した。図書を適当なサイズ(例えば100?200冊)のブロックに分け、背表紙にカラーコードのラベルを張ってこのブロックへの所属を表す。ブロックは同一の書架にまとめて置くが、ブロックの書庫内での配置、ブロック内での各図書の配置は任意である。ワークステーションによって制御されるビデオカメラで各書架の画像を得、カラーラベルと前もって作成してある画像目録を用いて、システムは常時、各図書の位置を把握している。利用者の検索に対して、書庫内での所属ブロックの位置が知らせるばかりでなく、書架に設置してある位置マーカがグループ内での求める位置を指示する。A new library system using pattern matching technology is proposed. Books in the library are classified into blocks of 100-200 each. A color-coded label on the back of a book specifies the block it belongs to. The arrangment of blocks in the library as well as that of books in a block can be arbitrary. Video cameras controlled by workstations monitor all the shelves. The image of each book is obtained and matched with the "image catalog" to identify the book. The system thus knows the position of each book in the library. The user may be directed to the book by a marker light attached to the shelf.
著者
高橋 久 石井 富夫 田辺 和子 池田 平介 山本 勝義
出版者
Japanese Dermatological Association
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.7, 1975

サリチル酸は経皮吸収率の良い物質として早くからその尿中排泄を指標として経皮吸収の研究に使用せられて来た.その吸収は角層を変性せしめるためとも,経毛嚢的とも言われるが,未だ解明され七いない. 今回ブタの皮膚に 14C 標識サリチル酸を貼布し,液体 scintillation counter と autoradiography によりその皮膚内分布を検討した結果,この物質は経毛嚢的に吸収され易いことが明らかとなった.著者等の一人高橋はかつてサリチル酸等の諸物質と毛髪との親和性について報告し,サリチル酸も相当高度に毛髪と親和性のあることを確認したが,今回のサリチル酸の経毛嚢吸収は,こうした本物質と毛髪との親和性によるものか,或は本物質が毛嚢内の皮脂に溶解するためにおこるものかは今後の検討にまたねばならない.
著者
高橋 久子
出版者
臨川書店
雑誌
国語国文 (ISSN:09107509)
巻号頁・発行日
vol.84, no.9, pp.46-57, 2015-09
著者
高橋 久光 セナン キャロル ハフフェイカ レイ C
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.22-27, 1993-03-01

培養液中の異なるZn濃度および遮光がトマトの生育, 窒素含有量および硝酸還元酵素の活性に及ぼす影響について検討した.Znの欠乏は, 草丈の伸長を抑制した.葉部の全窒素含有量はZn欠乏区, 微量区および標準区でほとんど差異が認められず, その傾向は茎部, 根部においても同様であった.しかし, 葉部の全窒素含有量に占める水溶性窒素含有量は, Zn欠乏区で高かった.葉部の硝酸還元酵素の活性は, 標準区で高く, Zn微量および欠乏区で低かった.その傾向は茎部および根部でも同様であった.なお, 根部の硝酸還元酵素の活性は, 葉部や茎部と比較して, 低かった.Zn欠乏作物の遮光実験下での植物体各部位の生体重および乾物重は, 各生育期間とも無遮光区で最も大きい値を示した.Zn欠乏作物の遮光実験下での葉部の硝酸還元酵素の活性は, 遮光によって低下し, 無遮光区で最も高く, 70%遮光区で最も低かった.根部の硝酸還元酵素の活性は, 4月12日と4月19日には無遮光区で高かったが, 他の部位と比較して, 全処理区ともその活性は低かった.
著者
高橋 久一郎
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典學研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.45-55, 1989-03-15

Many scholars emphasize the importance of prohairesis in Aristotle's Ethics as a key concept in explaining human action However, its precise nature remains obscure In this paper I will attempt to explicate Aristotle's answer to a fundamental question concerning prohairesis-viz "How should we individuate prohaireton?", and then locate it in the practical syllogism This task is of importance, since we cannot understand Aristotle's views on action as energeia without understanding his conception of action as chosen for its own sake As a preliminary, in section I I defend and develop constituent-innterpretation of ta pros to telos A clue to the solution of this dispute is the fact that the bodily movement performed pros to telos must be an action in itself It must be telos in a sense, otherwise the relation of telos and ta pros to telos would be external Aristotle may be a consequentialist in a broad sense, but not a utilitarian (As a corollary of this point I suggest that we cannot use description of bodily movement as a tool of action mdividuation ) In section II I propose my interpretation of prohairesis by examining Cooper's excellent explanation of deliberation My contentions are as follows 1)We cannot accept his assertion that to kath' hekaston means not the individual, but the atomon eidos We do not deliberate on individuals, as Aristotle says, but use recognition of individuals as premisses of deliberation 2) We should admit that the deliberation ends at prohairesis to perform an act of some suitably specific type Prohairesis is not mere desire, but a unity of desire and belief, which is caused, via deliberation, by having a wish and some appropriate beliefs as to circumstances, but it is not an action We identify (future) action as such not by rinding a uniquely applicable description, but by specifying its type Future action cannot be referred to. 3) We must think that the conclusion of the practical syllogism is an action It seems to me that Cooper's and Mele's argument are not convincing 4) Prohaireton is the major premiss of the practical syllogism Aristotle's examples of the major premisses, however, are not always prohaireton Some of them do not fully specify the types of action to be performed 5) Therefore we must distinguish between the practical syllogism, conceived as including deliberative process, and the so-called "practical" syllogism, which has only two premisses As for human action, the latter is the last step leading to action, and in animal movement it is the only step In section III I criticize and modify Nussbaum's anankastic model of so-called practical syllogism 1) As Nussbaum says, misfire of action is explained either by not wanting G or by not believing it necessary to do A But the hypothetical necessity of A-ing is not relevant to the necessity for action, since if an agent does not want G, he will never do A, even if he believes it necessary for G We should take a parallel with the theoretical syllogism more seriously If one does not believe in premisses because of their falsity, one will not assert (phanai) the conclusion, even if one recognizes it as validly reasoned An action is performed only when both premisses are actualized, as akrates illustrates it negatively Aristotle's contention in asserting the necessity of action lies in the rejection of the third element, e g will, to explain action 2) As to a chosen act, the anankastic model should be modified As argued above, prohairesis is a unity of desire and belief Nonetheless, it is not an action, but a desire I suggest the following modification pN [{wanting G & believing (A for G)} and (believing now & here to A)→acting A] Akrates has both premisses, but he does not use his major premiss he does not stay in prohairesis (Elsewhere I argued for this unorthodox interpretation of akrasia) My arguments in this paper are rather sketchy and need elaboration Nevertheless, I should say that the present paper has taken a step in the right direction toward understanding action as enevgeia
著者
高橋 久子
出版者
梅光学院大学
雑誌
日本文学研究 (ISSN:02862948)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.161-173, 1993-11-01
著者
足達 太郎 鳥海 航 大川原 亜耶 高橋 久光
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.259-263, 2008-12 (Released:2011-07-26)

キャベツ畑に、ハーブ類のカモミール(カミツレ)およびキンレンカ(ノウゼンハレン)をそれぞれ混作した区と、キャベツを単作して化学合成殺虫剤を施用した区および施用しない区をもうけ、キャベツの主要害虫であるダイコンアブラムシ・モンシロチョウ・コナガの個体数変動と捕食寄生性天敵による寄生率を比較した。試験の結果、各害虫ともそれぞれの個体数がほぼピークとなる時期に、処理区間で個体群密度に有意な差がみられた。ダイコンアブラムシは、カモミール混作区における個体群密度がキンレンカ混作区やキャベツ単作/殺虫剤無施用区または施用区よりも高かった。モンシロチョウの幼虫個体数は、キャベツ単作/殺虫剤無施用区>キンレンカ混作区>カモミール混作区>キャベツ単作/殺虫剤施用区の順に多かった。また、モンシロチョウの卵数は、両ハーブの混作区における値がキャベツ単作区(殺虫剤施用および無施用)における値よりも多かった。コナガは、キャベツ単作/殺虫剤施用区およびカモミール混作区で幼虫の個体数が多かった。いっぽう、モンシロチョウの幼虫におけるアオムシコマユバチの寄生率は、キャベツの生育中期において、キンレンカ混作区およびキャベツ単作/殺虫剤無施用区で最も高かった。これに対し、コナガ幼虫におけるコナガコマユバチの寄生率は、処理区間で有意な差は認められなかった。