著者
鍵 直樹 柳 宇 池田 耕一 西村 直也 吉野 博 小畑 美知夫 齋藤 秀樹 齋藤 敬子 鎌倉 良太
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.137, pp.39-46, 2008-08-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
15
被引用文献数
4

本研究では医療施設における室内空気環境の維持管理のあり方について検討することを目的とし,本報では16病院において冬期と夏期の不特定多数の人が使用する外来待合室,特定建築物と同様の形態の事務室および病室について,建築物衛生法による空気環境法定測定に準じた空気質の基礎的な実態調査を行った。結果としては,冬期における各部屋の低湿度であり,外来待合および事務室など在室者の多い場所では二酸化炭素濃度が建築物衛生法の環境衛生基準を超過していた。低湿度については加湿器の停止,加湿能力の不足,室内温度が設計温度より高く設定されていることなどが考えられ,また二酸化炭素濃度の超過については,換気能力に対して在室者数が多いためであった。適切に運用するためには,空気環境について定期的に監視することが有効であると考えられる。
著者
齋藤 敬之
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.130, no.2, pp.37-57, 2021 (Released:2022-02-20)

1990年代初頭からドイツ歴史学の中で活況を見せる歴史犯罪研究は、中近世における傷害や殺人などの暴力をはじめとする犯罪の社会史を論じている。その系譜は、ドイツ社会史研究の盛り上がりや、人類学にも接近した「新しい文化史」の台頭といった、1970年代以降の歴史学の趨勢に位置づけられる。G・シュヴェアホフやM・ディンゲス、J・アイバッハといった研究者は、犯罪社会学の概念やP・ブルデューの名誉や男性性に関する見方を積極的に摂取することで、N・エリアスの文明化論でしばしばネガティヴに描写されてきた前近代の暴力を文化史的に捉え直した。すなわち、とくに男性間での名誉をめぐる揉め事に、中傷や挑発の言動に端を発して最終的に身体的な実力行使に至るというエスカレートの規則性や儀礼化を見出すことで、感情や攻撃欲の無制限の発露、非文明的な行為としての暴力像を退けた。こうした理解はその後の研究に受け継がれつつも、P・シュスターやP・ヴェットマン=ユングブルートらは暴力と名誉の関係をより緩やかに捉えており、さらに近世の決闘の諸相を検討したU・ルートヴィヒや19-20世紀ベルンにおける暴力犯罪を分析したM・コティエーは男性の名誉と結びついた暴力を一種のゲーム、つまり自己目的化したコミュニケーション形態と理解することで、暴力の感情的次元を改めて視野に収めている。 本稿での整理から導かれる今後の課題として、18世紀フランクフルトの犯罪を分析したアイバッハの研究を決闘研究や感情史研究と接続させ、19世紀まで射程に入れて暴力の形態や行動様式、認識の変化をたどるとともに、名誉を守る必要性と暴力による負傷や命の危険との間に葛藤を抱いていたのかといった点を問うことが有意義である。このような暴力の社会的位置づけの検討を通じて、「端境期(ザッテルツァイト)」と呼ばれる18世紀から19世紀の時代的特質の解明にも貢献できると思われる。
著者
齋藤 敬弘 花山 寛之 大谷 聡 土屋 貴男 伊東 藤男 三浦 純一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.2329-2333, 2015 (Released:2016-03-31)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

鼠径ヘルニアのまれな1亜型であるinterparietal herniaを腹腔鏡下に診断・治療した1例を経験したので報告する.症例は65歳の男性.吐き気,嘔吐の訴えで来院し腸閉塞の診断で入院となった.造影CTにて,拡張した小腸が右下腹壁動静脈の外側から内側へ向かい,精巣動静脈・臍動脈を背側に圧排していた.内ヘルニアや異常索状物による絞扼性イレウスを疑い手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内を観察すると血性腹水・小腸の発赤を認めたが,既に嵌頓は解除していた.内鼠径輪の内側にヘルニア嚢が存在し小腸が嵌頓したと診断した.TAPP(transabdominal preperitoneal repair)法にて腹膜前腔を剥離すると,ヘルニア嚢は腹膜と横筋筋膜との間に存在し,interparietal herniaと診断した.ヘルニア嚢を切除し腹膜前腔にmeshを留置した.
著者
石原 金由 齋藤 敬 宮田 洋
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.362-365, 1982-03-10 (Released:2010-07-16)
参考文献数
10
被引用文献数
26 18

The Kwansei Gakuin Sleepiness Scale (KSS) is a self-rating scale which is developed after the Stanford Sleepiness Scale (SSS) and using Thurstone's method of equal-appearing intervals. The present study investigated whether the KSS correlates with vigilance task performance, fatigue test and oral temperature, and whether circadian variation of the KSS ratings is demonstrated during 40 hours sleep deprivation. Six student subjects employed in this study were given performance test, self-ratings and temperature measurement at every 3 hour for 3 days. On Day-2, sleep deprivation was carried out to all subjects. The results showed that mean KSS ratings highly correlated with correct detection rates on the vigilance task, fatigue test and oral temperature, and that the change of KSS ratings demonstrated not only the effect of sleep deprivation but also the circadian variation in sleepiness.
著者
齋藤 敬 榊原 大祐 草間 裕介
出版者
日本沙漠学会
雑誌
沙漠研究 (ISSN:09176985)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.33-38, 2018 (Released:2018-06-25)
参考文献数
9

我々は鳥獣被害対策に向け,動物に対しコミュニケーションを行う棲み分けロボットの開発を行っている.開発中の多脚歩行ロボット「しろやぎ」は機械的リンク機構の積極活用によって,低コスト化可能なシンプルさと強度の高さを実現している.直近はクマ対策に適用可能な新型機の設計に向け,鳥獣被害対策に向けた外装と威嚇用伸縮機構を追加し,動物に提示する試験を行っており,本稿において現在までの取り組みの概略を述べる.
著者
小林 秀嗣 内野 滋彦 遠藤 新大 岩井 健一 齋藤 敬太 讃井 將満 瀧浪 將典
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.609-615, 2012

【目的】急性肺傷害に対するシベレスタット投与は,欧米での研究で長期予後の悪化が示された。当施設は2007年より使用を原則中止し,今回この治療方針の変更が敗血症性急性肺傷害の予後に影響していないかを検証した。【方法】2007年1月前後21カ月間に,敗血症性急性肺傷害の診断で24時間以内に人工呼吸を要した成人ICU症例を前期群64例,後期群36例で比較した。【結果】両群の患者背景に差はなかった。シベレスタットは前期群54例(84.4%),後期群4例(11.1%)に使用された。28日ventilator free days,ICU滞在および入院期間,院内死亡率に有意差はなかったが,人工呼吸期間は後期群で有意に短かった。院内死亡率に対する多変量解析では,前期群に比べ後期群のodds ratioが0.269(<I>P</I>=0.028)であった。【結論】シベレスタット使用中止で敗血症性急性肺傷害の予後は悪化しなかった。