著者
橘 温 森岡 節夫 中井 滋郎
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.9-15, 1987 (Released:2007-07-05)
参考文献数
24
被引用文献数
2 4

早生ウンシュウ‘宮川早生’を, 無深耕•少肥及び深耕•施肥と, 無せん定•無摘果及びせん定•摘果の各栽培条件下で, ha 当たり1,250, 2,500, 5,000及び10,000本の4つの栽植密度で, 1967年に植え付けた. その後間伐せずに栽培を続け, 4年生時 (1969年) から19年生時(1984年) までのデータを用い, 各栽培条件下における栽植密度が, 単位面積当たりの収量に及ぼす影響を検討した. また各栽培条件が収量に及ぼす影響も比較検討した.1. いずれの栽培条件においても, 収量は初期に5,000及び10,000本/haの高密度で多かったが, やがて減少傾向に転じ, 樹齢とともに1,250及び2,500本/haの低密度で多くなった. 以上の関係は, 栽培条件によってほとんど影響を受けないようであった.2. 各樹齢において, 最高収量を示した栽植密度, すなわち収量に関する最適密度は, 4~5年生; 10,000本/ha, 6~7年生; 5,000本/ha, 8~13年生; 2,500本/ha, 及び14~19年生; 1,250本/haであり, 最適密度における4年生時から19年生時までの平均収量は68t/haであった.3. 各栽植密度が隔年結果を示し始めた時の樹齢は, 無せん定•無摘果条件において, いずれも初めて結果した翌年であった. せん定•摘果条件においては, 栽植密度の低下とともに遅れて現れた.4. 無深耕•少肥条件と深耕•施肥条件の収量を比較すると, 後者の方が年次変動は小さかったが, 両者の間にほとんど差はみられなかった.無せん定•無摘果条件とせん定•摘果条件の収量を比較すると, 前者の方が明らかに年次変動が大きく, また収量はやや多いようであった.
著者
渡辺 慶一 高橋 文次郎 白戸 一士
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.835-840, 1990 (Released:2007-07-05)
参考文献数
19
被引用文献数
9 26

キウイフルーツ (A. deliciosa) の雄性品種‘マチュア’, 雌性品種‘アボット’, ‘ブルーノ’及びマタタビ(A. polygama), サルナシ(A. arguta) を用いて体細胞染色体, 減数分裂について観察調査を行った. キウイフルーツの3品種の体細胞染色体数は2n=174であり, マタタビの2種では2n=58, サルナシの4種では2n=58, 2n=116, 2n=ca. 174と算定された.これらの染色体数から, Actinidia においてはx=29が基本数であることが認められた.サルナシにおいては, 2仁を有する2n=58, 4仁を有する2n=116と仁数は不明確であったが2n=ca. 174の2x, 4x, 6xの倍数関係が示された. 本報のマタタビは2n=58の2倍性であったが, これまでに報告された2n=116の存在を考えると両者の間には, 2xと4xの同質倍数性関係があるのかもしれない. 本研究の2n=174のキウイフルーツの3品種‘マチュア’, ‘アボット’, 及び‘ブルーノ’は体細胞核に6仁または小胞子核で3仁を有し, いずれも基本数x=29の6倍性を示している.
著者
狩野 敦 コーネリアス H.M.バン ベーブル
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.408-416, 1988
被引用文献数
1 10

温室トマトの決定論的生長モデルを1)葉の光合成モデル, 2)生長と呼吸の理論, および3)光合成が環境条件と葉中光合成産物の濃度に律速されているという仮説に基づいて開発した. モデルは Pascal 言語で記述され, トマトに対する二酸化炭素(CO<sub>2</sub>)増与の効果をシミュレートするのに用いられた. 1983年から1984年にかけてアメリカ合衆国テキサス州カレッジステーションにて行なった2回の栽培実験の結果とモデルの出力を比較した. この栽培実験のために, 著者らは3つの2×2×10mのポリエチレンチャンバーを二重ポリエチレン温室内に構築し, チャンバー内空気のCO<sub>2</sub>濃度をそれぞれ340,700, 1000ppm(容量)に制御してトマトを栽培した.<br>モデルはトマトのCO<sub>2</sub>同化速度を低めに出力したが,果実の生育量とその収量はかなり正確に予測した.このモデルを用いて, 環境条件がトマトに与える影響を予想したり, いろいろな栽培環境における温度制御法の効果を推定したりすることが可能なことがわかった.また, このモデルが温室モデルに組み込まれることにより, 温室内で栽培されたトマトの生育や収量, 暖房熱,水やCO<sub>2</sub>の必要量などを温室外環境から推定するのに役立つと思われる.
著者
加藤 公道 佐藤 良二
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.89-97, 1975 (Released:2007-07-05)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

白肉桃 (大久保および白鳳) を10°C, 15°C, 20°C, 25°C, 30°Cの各温度で追熟し, 呼吸量, エチレン排出量, 硬度, はく皮性, 糖分, 食味などを調査して, モモの追熟生理を検討した.1. 大久保の20°Cでは, 25°Cよりエチレン排出量が速く増加してピークも高く, 呼吸量もピークに早く達し, はく皮も早く可能になつたが, 軟化は25°Cもほぼ同様に進んだ. 20°C, 25°Cでは, 呼吸のピークの2~3日後にエチレン排出量がピークに達し, その後急速に減少した. 呼吸のピーク時の熟度は20°Cが適熟, 25°Cは過熟であつた.2. 白鳳では1日後のエチレン排出量が大久保より多く, 軟化は速く進んだ. 25°Cでは, 20°Cより呼吸量が早くピークに達し, 軟化も速く進んだが, エチレン排出量は20°Cもほぼ同様に増加した.3. 10°C, 15°Cでは, 呼吸量, エチレン排出量がゆるやかに増加し, 軟化は穏やかに進み, はく皮性の進行もかなり遅れた. 大久保の10°C, 15°Cではエチレン排出量, 軟化, はく皮性が25°Cとほぼ同じ状態まで達したが, 10°Cではフレーバーが劣つた. 大久保の15°Cでは, 呼吸のピーク時からエチレン排出量が減少するまでの期間が, 25°Cと異なり長かつた. 適熟に達するまでの追熟期間は, 25°Cと比べて, 10°Cでは約3倍, 15°Cは約2倍であつた.4. 30°Cではエチレン排出量が抑制されて, 減少する傾向が認められた. 呼吸量の増加はほとんど認められなかつたが, 軟化は白鳳では25°Cと同様に速く, 大久保では2~3日後まで25°Cよりやや遅れたが, その後は速く進んだ.5. 30°Cでは還元糖は漸増した. 水溶性ペクチン含量は軟化の進行とともに増加し, 硬度と密接に関連した.6. 以上の結果から, 追熟温度は果肉の色, エチレン排出量, 軟化の速さなどに影響を及ぼし, エチレンは呼吸の climacteric, 軟化, はく皮性の進行などを促進した. 呼吸量, エチレン排出量, 軟化, はく皮性などは追熟中相互に関連しながら進んだが, これらの相互関係は品種, 追熟温度により影響を受けることが認められた.
著者
塚越 覚 丸尾 達 伊東 正 扶蘇 秀樹 岡部 勝美
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.1022-1026, 1999-09-15
被引用文献数
1 2

NFT毛管水耕システムを用いたホウレンソウ(Spinacia oleracea L.品種'ジョーカー'および'オリオン')栽培において, 収穫前にNO_3-Nのみの補給停止(実験1 : 夏作), または全肥料成分の補給停止(実験2 : 秋作)が, 生育, 可食部の硝酸含量, 廃液の無機成分濃度に及ぼす影響を検討した.実験1 : 収穫6日前からのNO_3-Nの補給停止で, 可食部の硝酸含量は2, 199 ppm, 廃液のNO_3-N濃度は1.0 me・liter^<-1>と, 食品・廃液の許容基準を満たすことができた.NO_3-N以外の成分は初期濃度と同じか, それ以上に廃液中に残存した.実験2 : 2&acd;6日前からの追肥停止で, 廃液のNO_3-N濃度は0.7 me・liter^<-1>以下, 可食部の硝酸含量は2, 870 ppm以下となり, 食品・廃液の許容基準を満たすことができた.さらに, 他の主要無機成分についても, 残存濃度を低減できた.しかし, 6日前からの追肥停止では, 地上部生体重が低下した.以上より, 夏作で収穫予定日の6日前, 秋作では2&acd;4日前から, 肥料成分を含まない水を補給する方法が, 可食部の硝酸濃度の低いホウレンソウの生産と, 廃液中の主要無機成分含量の低減に有効と考えられた.
著者
太田 弘一 森岡 公一 山本 幸男
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.125-132, 1991 (Released:2008-05-15)
参考文献数
20
被引用文献数
23 35

ファレノプシスは近年生産の伸びが大きい花卉であり, その好適な栽培条件の設定のために研究が進められている. ファレノプシスの花序は低温条件によって誘導されることが知られており (17), 山上げ栽培や人工低温処理を行うことによって, 早期出荷が行われている. また, 温度処理の際の, 株の充実状態や光•変温条件などの環境要因も花序形成に影響することが知られている (3,8, 12,14, 17,18, 19).一方, ファレノプシスはCAM (Crassulacean acid metabolism) 植物として知られている (1,7). CAM植物は夜間に吸収したCO2を有機酸の形にして細胞の液胞中に蓄積し, 昼間にそれを分解して, 光エネルギーを利用してでんぷん合成を行うという特徴的な光合成を行う. この夜間と昼間を通した, CO2吸収からでんぷん合成に至る過程をCAM型光合成と呼ぶ (13, 14).典型的なCAM型光合成のCO2吸収の日周変動パターンは, 夜間の高い吸収 (phase I), それに続く光が当たった直後の高い吸収 (phase II) とその後の急激な減少およびCO2吸収がほとんど見られない期間 (phase III), そして, 夕方に再び低い吸収が見られる (phase IV), という四つの相に分けられる (13). そして, この過程を通して, 夜間に気孔を開き, 蒸散の多い昼間には気孔を閉じているために, CAM植物は強い乾燥耐性を獲得している (6).CAM植物には, 生育条件によってC3型光合成とCAM型光合成との間で変動が見られるfacultative-CAM plantと, 生育条件にかかわらずCAM型光合成を行うobligate-CAM plantがある (13). さらに,いずれのCAM植物も, 水分, 昼夜温, 光強度, 日長などの環境条件や葉齢, 窒素栄養条件によってCAM型光合成が影響を受けることが知られている (6, 11,13, 14).したがって, ファレノプシスのCAM型光合成も, これらの要因によって変動し, それが生育および花序形成になんらかの影響を及ぼすことが考えられる.本研究は, 上述の要因のうちで生育と密接に関連した外的要因の水分, 温度, 光の3条件および内的要因の葉齢と花序形成の有無に視点を当て, それらによってファレノプシスのCAM型光合成がどのような影響を受けるかを明らかにし, ファレノプシスの好適な栽培条件設定のための基礎的知見を得ることを目的として行った.
著者
仙頭 照康
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.246-254, 1971 (Released:2007-07-05)
参考文献数
5
被引用文献数
1

ユスラヤシ, シュロチクヤシ, シュロおよびトウジュロについて発芽機構, 最適発芽条件を知るために, 1966~1970年実験を行なつた。1. ユスラヤシ種子の内果皮は薄く, 繊維がある。胚乳は種皮に似た組織が入り込んでいるため均質でない。発芽型は隣接•小舌状である。シュロチクヤシ種子は周囲に深い折目のある5条の縦みぞがあり, 胚乳は均質である。発芽型は隣接•小舌状である。シュロおよびトウジュロ種子にはコルク組織があつて, 胚乳に接している。発芽型は遠距離•管状である。2. 発芽率の最高はユスラヤシ40%, シュロチクヤシ60%前後, シュロおよびトウジュロはいずれも90%前後であつた。3. 適温での発芽日数はもつとも早いものが, ユスラヤシで18日, シュロチクヤシで14日, シュロは30日で, トウジュロはシュロより2~3日長かつた。4. は種用土別の発芽はユスラヤシでは高温でバーミキュライト区, 川砂区がよく, シュロチクヤシでは粘質壌土区がややよかつた。シュロではいずれのは種用土でも大差なかつたが, トウジュロでは粘質壌土区の発芽率が高かつた。5. シュロ種子の生存能力は室温貯蔵で17か月, 冷蔵 (3~5°C) で42か月であつた。
著者
石水 毅 乗岡 茂巳 中西 テツ 崎山 文夫
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.35-38, 1998-01-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
14
被引用文献数
4 5

ニホンナシの優れた栽培品種の一つである'豊水'のS遺伝子型は, 長年の交配実験によっても決定されていない.ニホンナシ花柱由来の7種類のS遺伝子産物(S1-RNaseからS7-RNase)を二次元電気泳動により分離・同定する系をすでに確立したので, この系を用いて'豊水'のS遺伝子型の決定を試みた.花柱タンパク質抽出液を一次元目が非平衡等電点電気泳動(NEPHGE), 二次元目がSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)からなる二次元電気泳動に供したところ, S3a, S3b, S5a, S5b-RNase(aとbは糖鎖の不均一性により分離したと考えられている)と同じ位置にそれぞれタンパク質スポットが検出された.これらのタンパク質をPVDF膜に電気転写し, 気相シーケンサーにより分析したところ, 4種類のタンパク質のN末端アミノ酸配列はすべて同じ(YDYFQFTQQY)で, S3-およびS5-RNaseのN末端アミノ酸配列と一致した(S3-RNaseとS5-RNaseのN末端アミノ酸配列は同じである).以上の結果より, '豊水'のS遺伝子型はS3S5であると推測した.
著者
高田 峰雄
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.357-362, 1967 (Released:2007-07-05)
参考文献数
21
被引用文献数
3 1

1. カキとトマトの果実について, 生育ならびに成熟と関連させて, 呼吸量の変化を調べた。2. 植物体上における果実の呼吸量とみなされる採取24時間後の呼吸量を生育段階的にみると, トマトではきわめて典型的な climacteric を示したが, カキではかならずしも明らかでなかつた。3. カキ, トマトともにすべての生育段階の果実において, 採取後に呼吸の上昇が見られた。4. カキ, トマトともに若い果実においても採取後に成熟様現象が起こり, その時に呼吸のピークが現われた。しかし, 成熟様現象の進行速度および呼吸曲線の様相においては, 両者の間に大きな差異が見られた。5. カキの開花後約2か月までの若い果実では採取後にヘタの脱落現象が見られたが, 生育がさらに進んだ果実では見られなかつた。この現象は種子の有無とは直接関係がないように思われた。
著者
小山 佳彦 宇田 明
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.203-209, 1994
被引用文献数
11 20

ステージIVで収穫したつぼみ切りカーネーションの開花環境について, 淡桃色の'ノラ'および赤色の'コーラル'を供試して, 温度, 照度, 開花液のショ糖濃度が開花後の品質に及ぼす影響について検討した.<BR>1.温度を20°, 25°, 30°Cで実験したところ, 温度が高くなるにつれて開花所要日数は短くなり, 品質保持期間が増加したが, 茎の基部に発現した褐変障害も大きくなった. しかし, 開花所要日数と品質保持期間を合計した採花後からの日数に一定の傾向はなかった. 花色は20°, 25°Cで自然の花色に近くなったが,30°CではL値の増加とa, b値の減少がみられ, 淡い花色になった.<BR>2.照度を0.2,1,2,3klx連続照明で実験したところ, 花茎, 品質保持期間などには影響しなかったが, 花色に影響があらわれ, 'ノラ'が0.2~1klxの低照度で, 'コーラル'が2~3klxの高照度で自然の花色に近くなった.<BR>3.開花液のショ糖濃度が高くなるにつれて花径および品質保持期間が増大したが, 7%以上で葉とがく筒裂片先端部にしおれがみられた. また, ショ糖濃度が高くなると, L値が減少し, a, b値が増加し, 濃い花色になったが, 品種本来の花色に最も近かったのは, 3%区であった.<BR>4.以上のことより, つぼみ切りカーネーションを開花させるための最適環境は, 花色を中心に考えると,温度は20°~25°C, 照度は淡桃色系品種'ノラ'は0.2~1klx, 赤色系品種の'コーラル'は2~3klx, 開花液のショ糖濃度は3%であった.
著者
緒方 邦安 岩田 隆 茶珍 和雄
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.143-148, 1959-09-30 (Released:2008-12-19)
参考文献数
11
被引用文献数
2

1. The present study was carried out to confirm the effect of gamma radiation on the inhibition of sprouting of onions during the storage and to investigate the physiological changes following the treatment. Onion bulbs were irradiated with the doses of 3000, 7000, and 12000 r. soon after the harvest (June 28) and at the presprouting period when the dormancy ends, i.e., Sept. 20. 2. The sprouting of onion bulbs was completely inhibited even at the dose as low as 3000 r., and the storage period of treated bulbs was eventually prolonged so long as 4-5 months over ordinary storage period. 3. Inner buds of onion bulbs which were inhibited the sprouting by the irradiation were browned and dead, but the injured parts did not extend to the outside of the buds. In the bulbs which had been irradiated on September 20, the browned parts were somewhat larger than that of the bulbs treated soon after the harvest. It means that the elongation and/or differentiation of the inner buds might have occured during the period, so the irradiation in theearly stages (during the rest period) would be preferable for practical use. 4. The oxygen uptake in the disk part (bottom part) of the bulbs was not directly influenced by the gamma radiation, while, when the control bulbs had increased the respiratory activity after the presprouting period, the increase of respiration in the treated bulbs was remarkably suppressed. 5. Also the contents of sugar and ascorbic acid in the bulbs were not immediately affected by any dose of radiation used in this study. However, when the non-reducing sugar content in the untreated bulbs was gradually decreasing after the bulbs had commenced sprouting, the contents in the treated bulbs were not affected for any change. 6. The characteristic flavor of onion bulbs did not appneciably alter by the irradiation. 7. No significant differences of the concentra-tions of growth promoting and inhibiting substances in the inner buds were found to exist between the irradiated bulbs and the untreated ones.
著者
渋谷 俊夫 徳田 綾也子 寺倉 涼子 清水(丸雄) かほり 杉脇 秀美 北宅 善昭 清田 信
出版者
園芸学会
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.139-143, 2007-04
被引用文献数
4 13

台木用カボチャ (<i>Cucurbita moschata</i> Duch.) 挿し穂を用いて,低気温貯蔵中におけるボトムヒート処理(BH 処理)温度と処理期間が,貯蔵後の発根および成長に及ぼす影響を調べた.BH 処理温度27–32℃において,挿し木後の発根が最も促進された.挿し木後の根部生体重は,BH 処理期間 0 から24時間までは,処理期間が長くなるにしたがって直線的に大きくなった.BH 処理期間26時間では処理中の挿し穂に発根はみられなかったが,BH 処理期間30時間以上で発根がみられた.挿し木による根への損傷による根の生育遅延を避けるために BH 処理は発根直前で終了することが望ましいと考えられることから,最適 BH 処理時間は26–30時間と判断された.接ぎ木苗生産における BH 処理の実用性を検討するために,BH 処理と無処理のカボチャ台木挿し穂にキュウリ (<i>Cucumis sativus</i> L.) 穂木を接ぎ木し,それらを挿し木して育成した.BH 処理条件は気温 9℃,処理温度30℃,処理時間24時間とした.全生体重および根部生体重は挿し木 6 日後において,BH 処理した挿し穂から得られた接ぎ木植物では,処理しなかったもののそれぞれ1.3倍および4.0倍となった.BH 処理による台木挿し穂の発根促進効果は,接ぎ木後さらに 7 日間低温貯蔵しても維持された.<br>
著者
小山 佳彦 宇田 明
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.211-217, 1994
被引用文献数
4 4

母の日の数日前に高品質のカーネーションを出荷するために, つぼみ段階で採花した品種'コーラル'の貯蔵性, STS処理, 開花室, 市販開花液について検討した.<BR>1.品種'コーラル'の貯蔵限界は, 開花所要日数を考慮すると, 12週間であった.<BR>2.5月上旬の温室内平均温度は約20°Cで, 1°Cで4週間貯蔵したつぼみ切り切り花の開花環境条件に適しており, 切り花の花色は自然開花のものに近くなった.<BR>3.貯蔵後のSTS処理 (1mM, 2時間) は, 開花後の品質保持期間を向上させた.<BR>4.貯蔵後のSTSの処理と開花室としての温室および市販開花液の利用により, 高需要期である母の日の数日前に高品質の切り花が得られた.
著者
金 国光 内藤 俊栄 松井 鋳一郎
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.496-502, 2004-09-15
参考文献数
19
被引用文献数
1

来歴や親子関係の不明な品種・系統を含むCaleya walkeriana、C.nobilior、C.loddigesiiおよびそれらの交配種、計25品種・系統について類縁関係および花色の異なる品種間の識別マーカーを明らかにするためRAPD分析を行った。8種の12および10塩基プライマーにより176本の多型バンドが100-2000bp範囲で検出された。その中で65本のRAPDマーカーを用いてクラスター分析を行った結果、C.walkeriana(2交配種を含む)、C.nobiliorおよびC.loddigesiiは3つの大きなクラスターに分離し、C.nobiliorをC.walkerianaと形態的、生態的に別種とするBriegerら(1981)の分類を支持する結果が得られた。これまでC.nobiliorあるいはC.loddigesiiとの交配種と考えられていたC.walkeriana var.alba 'Pendenive'はC.walkerianaアルバ品種と同一のクラスターに分類された。さらに、異なる花色を持つC.walkeriana品種はプライマー1種を用いたRAPD分析で識別された。
著者
遠山 柾雄
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.229-236, 1974
被引用文献数
2 2

培地の砂の粒径組成とキュウリの初期生育との関係を調べるために, 九州大学ファイトトロンの25°C照度10,000ルックス人工照明室を供試して実験を行なつた. さらに, ファイロンハウス下での結果と比較検討した.<br>1. 8, 12, 16および24時間の各日長区の中では16時間日長下で粗砂大および細砂区の間の地上部重, 地下部重はともにもつとも差が大きかつた.<br>2. 細砂区に対する粗砂小, 中および大の各粒径区の比率は茎長, 葉面積, 地上部重および地下部重の各形質ともほぼ同様の指数値をしめした. すなわち, 各形質とも細砂区を100とした指数で表わすと, 粗砂小80~90, 粗砂中40~50. 粗砂大35~40であつた.<br>3. 粗砂大に粗砂小および細砂を重量比で20%ずつ増量混合した場合のキュウリの初期生育はファイトトロンとファイロンハウスの両環境条件下ともに傾向は等しく, 粗砂小の場合40%, 細砂の場合20%以上の混合比で地上部乾物重の増加はみられなくなつた.
著者
松本 美枝子
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.206-214, 1988
被引用文献数
2

富山県等においてハクサイの主脈や葉脈に多数のゴマ状の黒色斑点の発生が認められた. この症状はゴマ症と呼ばれ, 発生の激しい場合は市場価格が著しく低下する. しかしゴマ症発生とその防止に関する報告は少ない.<br>本報告ではまずハクサイ生育中のゴマ症発生の特徴を調査し, さらに発生部位とその周辺を形態学及び組織化学的に観察した.<br>1. &lsquo;ひばり&rsquo;や&lsquo;耐病60日&rsquo;に認められるゴマ症の発生は, その現象から2タイプに分けられた. タイプ1は未成葉で発生し, 初期生育が異常促進されることと密接な関係があった. タイプ2は成葉で発生し, 結球重に対する外葉重の割合の低下が関係していた.<br>2. 形態学的には, 斑点発生に先だち, まず細胞内顆粒の肥大が認められ, その後細胞壁が褐変した. この細胞壁の褐変は, 細胞内顆粒や核の肥大と共にさらに拡大し, 周辺には原形質分離細胞が認められた.<br>3. 組織化学的には, 斑点発生部位にクロロゲン酸の存在とポリフェノールオキシダーゼの活性が認められ,その周辺にポリフェノールの存在とパーオキシダーゼの反応が認められた.<br>4. 褐変細胞の顆粒周辺に亜硝酸の分布が認められ, 細胞内顆粒の肥大が認められる部分と一致した.
著者
安谷屋 信一
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.361-367, 1991 (Released:2008-05-15)
参考文献数
11
被引用文献数
3

ミョウガ (2n=55) は結実のまれな栄養繁殖性作物である. 本研究では, 本種の交雑育種を促進する目的で,結実に及ぼす受粉時季および相対湿度の影響を16時間日長条件下で検討した.1987年春季には, 交配した190小花のうち, 4子房に5粒の種子を得たのみであった. 一方, 1988年冬季の交配では, 184小花に受粉し, 26子房から84粒の種子が得られた. さらに1989年の春季には自然湿度区およひ加湿区を設け, 結実に及ぼす相対湿度の影響を調査した. 自然湿度区においては, 45小花に受粉したが,種子は得られなかった. しかし, 加湿区においては,121小花に受粉し, 23子房から73粒の種子が得られた.1988年および1989年にそれぞれ得た73および69粒の種子から摘出した胚を, ショ糖30g/1iterを含むMS培地上で培養し, 106の植物体を育成した. これらの自殖1代植物のうち, 67個体の染色体数は2n=46から2n=60の範囲に分布した. さらにこれらの自殖1代植物には著しい形態的変異が観察された.
著者
小野崎 隆 山口 隆 姫野 正己 池田 広
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.546-550, 1999-05-15
参考文献数
10
被引用文献数
8 19

Pseudomonas caryophylliにより発生するカーネーション萎ちょう細菌病は, 夏の高温期に多発する立ち枯れ性の土壌伝染病害であり, 日本でのカーネーション栽培上最も重要で問題となっている病害であるが, その抵抗性育種は国際的に未着手の状態である.このため, 抵抗性育種素材の選抜と抵抗性品種の育成が, 緊急の課題となっている.本報では, カーネーション277品種の萎ちょう細菌病に対する抵抗性を, 浸根接種法による検定により評価した.接種から91日後の発病率によって, 抵抗性を極強(発病率 : 0%), 強(発病率 : 0<&acd;≦20%), 中(発病率 : 20<&acd;≦40%), 弱(発病率 : 40<&acd;≦70%), 極弱(発病率 : 70<&acd;≦100%)の5つに分類した.検定試験の結果, 供試品種のほとんどはり病性で, 207品種(全体の74.7%)は抵抗性が極弱に分類された.萎ちょう細菌病に対する抵抗性が強(発病率 : 0<&acd;≦20%)の品種は, 'ウィコ', 'ノクト', 'サンドローサ'の3品種のみであった.
著者
畠 修一 鷲見 順教 大井 美知男
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.197-202, 2002-03-15
被引用文献数
1 11

南オーストラリア海岸由来ポシドニア(Posidonia australis Hook. F.)乾燥粉末および抽出物は根こぶ病菌(Plasmodiophora brassicae)胞子の発芽を促進した.この乾燥粉末および抽出物は, おそらく発芽促進作用に基づいて, ハクサイにおける根こぶの形成を抑制し, 根こぶ病の予防に有効であることを示唆した.
著者
杉山 直儀
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.70-92, 1938

1. 日本石油株式會社のCマシン油 A スピンドル油, Bスピンドル油,白スピンドル油, ダイナモ油, ライトダイナモ油, 80號, 120號, 140號, 170號潤滑油に就て大麥幼植物, 及び果樹の葉に塗布した結果, 白スピンドル油を除く他の總ての油は何れも著しい藥害を惹起し, 植物に對して甚だ有害な事を認めた。白スピンドル油による藥害は比較的輕微である。流動パラフィンは全く藥害を起さない。<br>2. 油乳劑として撒布する場合は油を塗布する場合に比して藥害は一般に輕微であるが, 1%乳劑として撒布してもCマシン油, Aスピンドル油, Bスピンドル油は夏期梨に對して尚藥害を惹起す。<br>3. Bスピンドル油と白スピンドル油の粘度の最も低い2種の油を除く他の油は總て撒布後或は塗布後長く葉中に油が殘溜するのが認められる。此は植物の生理的障碍と關聯して重要な現象と思はれる。<br>4. 硫酸にて油を洗滌すると精製の程度が高くなるに從つて藥害は少くなる。Aスピンドル油, Bスピンドル油, Cマシン油共約6割の發煙硫酸を加へて洗滌した場合には油を直接葉に塗布しても藥害はなくなる。1%乳劑として撒布する場合には梨では濃硫酸3割を加へて洗滌した程度で藥害は見られない。<br>5. 硫酸洗滌を行なつてもCマシン油, Aスピンドル油を原料とした油は葉中に長く殘溜する事に變りはない。<br>6. 硫酸洗滌により精製の度を増すに從つて油の色は次第に淡色になり比重及び粘度は減ずる。<br>7. 上記3種の油を硫酸洗滌した際には油が可なり多量に失はれる。<br>8. 硫酸洗滌の際生ずるタール分を水酸化石灰で中和して得た液は藥害を示さない。色は血赤色で表面張力低く乳化力がある。<br>9. 油乳劑を撒布すると植物の蒸散作用は其直後から急減する。最初の減少率は此の實驗に用ひた油の範圍内では油の種類による差は認められない。其後蒸散作用は次第に正常に囘復するが粘度の高い油を撒布したもの, 或は藥害を生じたものでは囘復は遲れる。<br>10. 油の葉からの消失する早さは揮發度の大きなもの程早く, 此性質は油の生理的障碍作用と重大な關係のある事が指摘され, 從つて油の物理的性質の中粘度と併せて揮發度を測定する必要がある。<br>11. 市販の機械油には蒸溜温度のきはめて廣いものがあり, 此等に就ては更に區劃分溜によつて蒸溜温度の狹い範圍の區分に分けて研究を進める事が植物に對する生理的障碍を研究する上に有效な手段と思はれる。