- 著者
-
濱口 佳和
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.2, pp.248-264, 2017 (Released:2017-09-29)
- 参考文献数
- 54
- 被引用文献数
-
5
本研究は自記式能動的・反応的攻撃性尺度(大学生用: SPRAS-U)を作成し, 因子構造, 信頼性, 妥当性を検討するとともに, 身体的攻撃, 言語的攻撃, 関係性攻撃との関連を明らかにすることが目的とされた。SPRAS-U原版は, 能動的攻撃性として他者支配欲求, 攻撃有能感, 攻撃肯定評価, 欲求固執, 反応的攻撃性として, 易怒性, 怒り持続性, 怒り強度, 報復意図, 外責的認知の合計9下位尺度, 合計75項目から構成された。1短大・5大学の学生616名(男子294名, 女子322名)から妥当性検討の尺度が異なる2種類の質問紙に対する回答を得た。因子分析の結果, 想定された9因子が得られ, α係数による信頼性は7下位尺度で.70以上の値を示し, 概ね使用可能な範囲にあった。反応的攻撃性の下位尺度の殆どがBAQの敵意や怒り喚起・持続性尺度, FASの報復心と中程度以上の正の有意相関が見られ, 能動的攻撃性の各下位尺度は一次性サイコパシー尺度やFASの支配性と中程度の正の有意相関を, 共感性とは負の有意相関を示し, 併存的妥当性が実証された。重回帰分析の結果, 身体的攻撃は主に反応的攻撃性と, 言語的攻撃は主に能動的攻撃性と, 関係性攻撃は能動的・反応的両攻撃性の下位尺度と有意な関連を示した。