- 著者
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安永 和央
石井 秀宗
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.3, pp.296-309, 2012 (Released:2013-02-08)
- 参考文献数
- 37
- 被引用文献数
-
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本研究では, 国語読解テストにおける設問の問い方を操作し, 設問設定の違いが受検者の能力評価にどのような影響を及ぼすかを比較検討した。具体的には, 1)一文抜き出し問題に対して, 多枝選択式問題と記述式問題を設定し, 2)会話文中の空所の形及び数を操作し, また, 図の空所の関係を表す「=」の有無を操作し, 3)空所前における単語の説明の有無を操作したものを中学3年生703名に実施した。項目分析の結果, 1)では, 設問形式は評価に影響を及ぼさないことがわかった。2)では, 図に空所の関係性を提示しない場合, 空所の形は同一にしない方が, 得点率及び識別力の値を高くすることがわかった。また, 空所の形が異なる場合, あるいは, 空所の形が同一で空所数が少ない場合, 図に空所の関係性を提示しないことが, 前者では得点率を高くし, 後者では識別力の値を高くすることがわかった。さらに, 空所の数が多く, 形が同一に表記されているなど, テキストが複雑な構成となる場合には, 図に関係性を示す「=」を添えることが, 受検者にとって正答を導く手がかりとなる可能性が示された。3)では, 性別及び群別の検討において, 低群と高群で性差が確認された。これらの結果から, わずかな設問の操作によって受検者の回答傾向に変化が生じることが示された。このことは, 設問などテストの構造的性質について実証的検討を行うことの意義を示している。