著者
和達 清夫
出版者
(公社)日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.10, no.9, pp.540-551, 1932 (Released:2009-02-05)
参考文献数
6
被引用文献数
1

The velocity ratio of P and S waves is obtained by many authors to be nearly constant everywhere in the earth's crust. In the present investigatio_??_, is treated this problem by a method of tp-Tp-s diagram which gives the relation between the arrival time of P and duration of (P-S). Examining in many cases of large earthquakes of both shallow and deep origins occurred in our country, the relation is obtained to be approximately linear as is expected, especially in the cases of deep-seated earthquakes. From these investigations, the velocity ratio of P and S waves is obtained as about 1.73 in the upper part, it may be probably the so-called Mohorovicic layer, but its value seems to differ in different localities; while, in the deeper part nearly a constant value of 1.79 is obtained. Thus, using the result we are able to obtain the depth of seismic focus by a simple method, especially in case of deep-seated earthquakes.
著者
和達 清夫
出版者
(公社)日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.12, no.9, pp.496-497, 1934 (Released:2009-02-05)
参考文献数
5
著者
Masanori OIGAWA Eugenio REALINI Hiromu SEKO Toshitaka TSUDA
出版者
(公社)日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.189-205, 2014 (Released:2014-07-04)
参考文献数
24
被引用文献数
4

A simulation study was conducted to investigate the retrieval of meso-γ scale precipitable water vapor (PWV) distribution with the Quasi-Zenith Satellite System (QZSS) using output from a non-hydrostatic model (JMA NHM). The evaluation was performed on PWV values obtained by simulating three different methods: using all GPS satellites above an elevation angle higher than 10° (PWVG) (conventional Global Navigation Satellite System (GNSS) meteorology method), using only the QZSS satellite at the highest elevation (PWVQ), and using only the GPS satellite at the highest elevation (PWVHG). The three methods were compared by assuming the vertically integrated water vapor amounts of the model as true PWV. As a result, the root mean square errors of PWVG, PWVQ, and PWVHG were 2.78, 0.13, and 0.59 mm, respectively, 5 min before the rainfall. The time series of PWVHG had a large discontinuity (˜ 2 mm) when the GPS satellite with the highest elevation changed, while that of PWVQ was small because the elevation at which the highest QZSS satellites change was much higher. The standard deviation of PWVQ was smaller than those of PWVG and PWVHG, which vary significantly depending on GPS satellite geometry. When the spatial distributions of PWVG and PWVQ were compared to the meso-γ scale distribution of the reference PWV, PWVG smoothed out the PWV fluctuations, whereas PWVQ captured them well, due to the higher spatial resolution achievable using only high-elevation slant paths. These results suggest that meso-γ scale water vapor fluctuations associated with a thunderstorm can be retrieved using a dense GNSS receiver network and analyzing PWV from a single high-elevation GNSS satellite. In this study, we focus on QZSS, since this constellation would be especially promising in this context, and it would provide nearly continuous PWV observations as its highest satellite changes, contrary to using the highest satellites from multiple GNSS constellations.
著者
加藤 輝之
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.241-245, 1995-04-25
被引用文献数
12

新たな雨滴落下スキーム(box-Lagrangianスキーム)を開発した。従来のEuler型のスキームでは、雨滴の混合比qの時間変化をδq/δt=Vδq/δzから計算しているので、タイムステップΔtを雨滴の落下に対するCFL条件(VΔt/Δz<1、ここでVは雨滴の落下速度、Δzは鉛直の格子間隔)をも満足するように決定しなければならない。そこで、新しいスキームでは1鉛直格子箱にある雨滴の総量(可降水量)が完全に保存するように雨滴の落下を考え、そうすることにより雨滴の落下に対するΔtの束縛条件を取り除くことができた。すなわち、可降水量を一定のVで落下させ、Δt後の落下位置にある格子に配分する方法である。雨滴の落下に対するCFL条件から考えられる最大のタイムステップΔt_c(=Δz/V)よりも小さいΔtに対してはbox-LagrangianスキームはEuler型のスキームと一致する。さらに、ΔtをΔt_cの数倍にした場合でもbox-Lagrangianスキームは精度良く安定に雨滴の落下を計算した。数値モデルの下部の格子間隔を大気境界層を表現するために細かく取る場合、box-Lagrangianスキームは特に有効な手段となる。
著者
松山 洋 西村 照幸 佐藤 信夫
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.199-215, 1999-03-26
被引用文献数
2

1987〜1988年のFIFEの観測値と、ISLSCP Initiative I CD-ROMの入力データおよびJMA-SiBの出力を比較した。検証にはA.K.BettsとJ.H.Ballによってまとめられた領域平均値を用いた。 JMA-SiBでは、1988年の暖候期における5cm以深の土壌水分量が系統的に過少評価されている。これは1987年秋から1988年春にかけての地表面熱収支・水収支の違いによる。この期間の総降水量は観測値・モデルの入力データともに等しい。しかし、前者では降水量がほぼ土壌水分量の増加に寄与しているのに対し、JMA-SiBでは大半が蒸発散量として失われている。1988年春の土壌水分量の違いが生じる原因は、(1)冬季の混合比がモデルの入力データによって系統的に過少評価されており、JMA-SiBの蒸発散量が大気中の湿度に反映されず乾燥し続けていること、(2)この期間の総降水量の半分が、実際には土壌水分量の観測再開直前の11日間に集中して降っているのに対し、これをモデルの入力データが過少評価していること、などであると考えられる。 このように、モデルの入力データと観測値の間に違いが見られたので、GSWPでは、モデルで得られた土壌水分量と観測値だけを比較して両者の違いを議論すべきではない。FIFEの観測値をモデルの入力データとする別の検証実験が必要である。
著者
渡辺 幸一 石坂 隆 田中 浩
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.1153-1160, 1995-12-25
被引用文献数
6

大気中における過酸化物や他の微量気体(O_3,SO_2)の濃度の測定を夏から初秋にかけて、中部日本に位置する乗鞍岳の山頂付近(標高2770m)で行った。過酸化水素(H_2O_2)やオゾンは真夜中に濃度が最も高くなり、真昼に最も低くなった。深夜にH_2O_2やO_3濃度が高くなるのは上層大気の沈降によるものと考えられ、このような日変化は低地での変動とまったく逆である。また、夏の乗鞍岳では、SO_2(S(IV))をH_2SO_4(S(VI))へと酸化させる能力の指標とされている[H_2O_2]/[SO_2]の比がほとんどの期間で1より大きく、SO_2の酸化剤が十分に存在していることがわかった。すなわち、夏期においては、水滴中でのSO_2の不均質酸化が非常に速いものと考えられる。
著者
高野 功 瀬上 哲秀
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.377-391, 1993-06-25
被引用文献数
1

数値予報モデルの降水の立ち上がりを改善するため、気象庁の局地モデル(JSM)を用い、メソスケールの対流雲システムを対象として初期値をいくつか変えた実験を行った。実験では、予報解析サイクル(FAサイクル)、非断熱加熱を含むNNMI、および水蒸気の初期値化の効果を調べた。またNNMIの非断熱加熱にはモデルの物理過程の計算したものと、雨量強度の観測値から推定したものの2種類の取扱いを試みた。現業システムによる基準予報では、降水の立ち上がりは悪く、雨が降り出した後もその位置に誤差がみられた。その要因としては初期値に雲システムに関わるメソスケールの情報が適切に表現されていなかったことが考えられる。FAサイクルを適用した事例では、下層の渦度パターンに見られるように初期値が改善された。その結果、基準予報にみられた予報後半の降水域の誤差は小さくなった。モデルの物理過程を使った非断熱NNMIの結果は発散成分をほとんど変えなかった。NNMIでの非断熱加熱を調べてみると非常に弱く、それが断熱の場合とほとんど同じ結果をもたらした原因と考えられる。一方、雨量強度を用いたNNMIでは初期値に降水域に強い発散成分と上昇流が生じた。しかしこの場合も予報では非断熱加熱は弱く、こうした運動場は維持されず急速に減衰してしまった。水蒸気場の初期値化はモデルの物理過程が観測された雨量強度と整合した潜熱を放出できるための条件を満たすことを意図している。解析でのFAサイクルと雨量強度を用いたNNMI、それに水蒸気場の初期値化の3つの手法を組み合わせた事例では、予報開始直後から観測値に近い降水が予想され、初期値の効果は長時間認められた。
著者
Hong-Li REN Fei-Fei JIN Malte F. STUECKER Ruihuang XIE
出版者
(公社)日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.91, no.6, pp.835-842, 2013 (Released:2014-01-10)
参考文献数
30
被引用文献数
8 37

During the late 1970s, the El Niño-Southern Oscillation (ENSO) experienced a notable regime change, manifested by a change in amplitude, dominant ENSO period, and sea surface temperature anomaly (SSTA) propagation characteristics. The present study shows that these features of the ENSO regime change are associated with property changes of the canonical ENSO, i.e., cold-tongue (CT) type ENSO. Another signature of the ENSO regime change is manifested in the frequent occurrence of a warm-pool (WP) type ENSO that accompanies SSTAs centered over the central Pacific near the WP edge and exhibits characteristics differing from those of the CT ENSO. The distinct manifestations of the two types of ENSO detected in this ENSO regime change are clearly identifiable with the removal of the strong background decadal signal. Since the late 1970s, the WP ENSO has featured a weak eastward (westward) propagation of the SSTA center in the developing (decaying) phase, which makes no net contribution to the observed eastward propagation, and a 2-3 yr period compared to the 4-5 yr period of the CT ENSO. Observations strongly suggest that the WP and CT ENSO are independent quasi-biennial and quasi-quadrennial modes, respectively, of the tropical Pacific climate variability. Our observations also suggest that these two ENSO modes have coexisted actively since the late 1970s when either El Niño or La Niña can be separated into the two types.
著者
二宮 洸三
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.141-157, 2000-04-25
参考文献数
29
被引用文献数
7

1991年7月1〜10日に揚子江流域を中心とする東アジアに豪雨をもたらした梅雨前線の大規模およびメソ-α-規模の様相と、その維持に寄与する周辺循環系の作用を解析した。この期間、大平洋亜熱帯高気圧の西方伸張に伴って、梅雨前線は著しく強化された。前線帯下層における水蒸気流束の収束は、大平洋高気圧の北西縁で極大となり、特に南北収束が大きい。これに対し、南シナ海の高気圧圏内では大きな東西収束と南北発散が見られる。前線帯の大きな潜熱放出による熱源は、同時的に前線帯の鉛直循環の維持に寄与する。梅雨前線帯下層の相当温位のシンクは相当温位傾度を弱めるが、大規模場の合流収束場の移流過程は相当温位傾度を強め、両者がほぼ均衡して強い相当温位傾度を維持する。また、対流活動は前線帯の鉛直不安定を解消するが、3次元的デファレンシャルアドベクションは鉛直不安定を増加させ、両者がほぼ均衡し豪雨域で湿潤中立に近い成層を維持する。梅雨前線帯下層の強い収束とその南側の強い発散は、大平洋高気圧西北縁の大きな曲率を持つ流れの加速度に対応する強い非地衡風によってもたらされ、多降水域と寡降水域の著しいコントラストを生じる。この期間、〜50N、〜110Eに切離低気圧があり、その後面では中高緯度から擾乱が南下し梅雨前線に接近して、梅雨前線帯の対流活動を活発化した。〜30Nゾーンの90-100Eでは積雲対流の日変化が大きいが、〜105E以東では東進するメソ-α-規模雲システムが顕著である。それらは下層の低気圧性循環を伴い豪雨域で強化され、梅雨前線の中立に近い湿潤安定層の傾圧ゾーンを東進しつつ小低気圧に発達する。
著者
高野 功
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.673-694, 1996-10-25

寒候期に日本の南岸では中部山岳の影響によるシアーラインと、それに関係した下層のメソ雲システムがしばしば発生する。こうした雲システムのうち、低気圧の発生を伴う顕著な発達が見られた1991年10月14日の事例について、JSMを基にした高分解能モデルによる数値シミュレーションを行った。シミュレーションの結果の解析から、このじょう乱の発生発達過程は次のようにまとめられる。雲域の発生初期には、下層の北風が中部山岳を迂回して吹いていた。中部山岳の両側での強い北風に対し、山岳の風下では風は弱く台風によってもたらされた高相当温位の気塊が滞留していた。南岸域では徐々に東風が強まったが、この東風は雲システムを西に移動させ、また中部山岳の西端から伸びる北西-南東走向の正渦度を持つシアーラインを強化した。このシアーラインの北東側ではバンド状の降水域が予想されたのに対し、南西側は山の斜面を下降した乾燥した気塊が占めた。初期値から18時間後にはシアーライン上に浅いメソ低気圧が発生したが、低気圧性の循環とほぼ地衡風バランスにある。その後下層の低気圧は南岸沿いに進んできた中層のトラフと結合して更に発達し、総観規模の低気圧となった。シミュレーションの結果から、このじょう乱の発生初期には山岳の影響が大きく、発達期には中層のトラフとの結合が寄与したことが示された。
著者
渡辺 幸一 永尾 一平 田中 浩
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.393-398, 1996-06-25
被引用文献数
1

小笠原諸島母島において大気中のH_2O_2濃度やO_3濃度を1995年4月及び7月の2度にわたり測定した. 4月においては, 小笠原諸島が大陸性気団に覆われた時にO_3やH_2O_2が高濃度となった. 7月のO_3濃度は4月より低かったが, H_2O_2濃度の平均値は4月より高かった. これは, 日射量の違いによるものと考えられる. 過酸化水素濃度は通常, 日中に高く夜間に低くなったが, 相対湿度が比較的低い時には, H_2O_2濃度が夜間に増加する現象がしばしば観測された. 夜間におけるH_2O_2濃度の減少は相対湿度に強く依存していた. 海洋大気中では夜間におけるH_2O_2の消失は不均質過程 (heterogeneous process) によるものである. この消失割合 (loss rate) は, 0.3〜6.5×10^<-5> s^<-1>程度で, 相対湿度が高くなると大きくなることがわかった. このような過程は海洋大気中におけるHO_x濃度に重要な影響を与えているものと考えられる.
著者
川村 隆一
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.1009-1027, 1998-12-25
参考文献数
30
被引用文献数
16

1973年から1995年までのNCEP/NCAR再解析データを用いて、夏季アジアモンスーンとENSOとの相互作用を調べた。インド亜大陸上の20°Nを境とした、対流圏上層(200-500hPa)の夏季平均層厚偏差の南北傾度で定義されるモンスーン・インデックスとモンスーンに先立つ春季のNino-3地域のSST偏差との相関はかなり高い。これはENSOに伴うSST forcingの変化が間接的に夏季アジアモンスーンに影響を与えていることを示唆する。エルニーニョ現象によるウォーカー循環の弱化は、冬季から春季にかけての熱帯インド洋北部・海洋大陸上の積雲対流活動を抑制する。春季におけるこの熱帯対流活動の弱化から、赤道から離れた対流加熱に対するロスビー型応答により、チベット高原西方に低気圧性循環が生じる。誘引された低気圧性循環は陸域の降水量増加、土壌水分の増加をもたらし、インド亜大陸北西の中央アジア地域の地表面温度を減少させる方向に作用する。一方、モンスーンのオンセット前の春季後半に、熱帯インド洋では、下層の北東風偏差の卓越と雲量減少に関係した、海表面の熱フラックスやwind forcingに対する海洋の力学的応答の変化により、SSTの高温偏差が形成される。陸域と海域にみられるこれら異なる二つの物理プロセスは共に、海陸間の熱的コントラスト(あるいは対流圏気温の南北傾度)を弱める方向に作用し、夏季アジアモンスーンの弱化をもたらす。モンスーンが強い年は全く逆のシナリオになる。このようなプロセスで、夏季モンスーンがそのモンスーン前期に一旦弱く(強く)なると、熱帯インド洋SSTの高温(低温)偏差はさらに発達する。本研究で提案されたメカニズムは、モンスーンの強弱年が分類された1970年代後半から1990年代前半までの時期において有効である。この時期Nino-3地域のSST偏差は、先行する冬季から夏季にかけて異常に持続する傾向にあり、冬季に卓越するENSOと夏季モンスーン偏差をつなぐブリッジとして働いていた。しかしながら、モンスーンとENSOのカップリングの如何にかかわらず、ウオーカー循環の強弱と関連した春季の熱帯インド洋に卓越する外向き長波放射量偏差と下層風偏差は、夏季アジアモンスーンの予測可能性の観点から、依然として重要な因子であることも確かである。
著者
Youmin TANG Bin YU
出版者
(公社)日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.867-881, 2008 (Released:2009-01-29)
参考文献数
44
被引用文献数
4 10

Using the Hilbert Singular Value Decomposition (HSVD) and the Nonlinear Canonical Correlation Analysis (NLCCA), we analyzed the statistical relationship of MJO (Madden-Julian Oscillation) and ENSO (El Niño and Southern Oscillation). It was found that while a linear analysis produced no significant relationship between MJO and ENSO, a low-order nonlinear analysis based on the quadratic function of HSVD led to statistically significant lagged correlations. When their nonlinear relationship was further extracted by the NLCCA, stronger correlation was obtained, with the maximum correlation coefficient appearing while the MJO signals preceding the ENSO signals by around 2 months and 5.6 months respectively. The time lags producing the maximum correlation are respectively consistent with the characteristic time of MJO influencing ENSO dominated by two physical processes: the equatorial Kelvin waves and air-sea feedback. Corresponding to the two different physical processes, ENSO shows different features of development. In the former scenario, the westerly winds in the western Pacific excite the equatorial Kelvin waves which propagate eastward and deepen the thermocline in the eastern Pacific, resulting in the sea surface warming at the far eastern Pacific near the coast. In the latter scenario, the westerly anomalies in the western Pacific precede the development of El Niño through bringing surface warm water into the central and eastern Pacific, thus the sea surface warming occurs across the whole eastern Pacific ocean.
著者
藤部 文昭
出版者
(公社)日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.923-929, 1987 (Released:2007-10-19)
参考文献数
15
被引用文献数
1 28

1961~1985年の地上気象観測資料を使って,東京の都心における気温その他の気象要素の平日と週末の差を調べ,以下の結果を得た。(1) 日曜口(祝日等を含む)の気温は平日よりも低い。気温差は昼間に大きく,昼間の気温差は25年間の平均で約0.2°Cである。(2)気温差は時代とともに増大しており,近年は土曜日の夜にも低温が現れる。(3)気温差は年間を通じて認められるが,値は季節•天気•風速によって多少異なる。(4)日曜日の昼間は気圧が平日よりも0.05mb程度高い。このことから昼間の気温低下は数百 m 上空まで及んでいることが分かる。夜間は気圧差は検出されず,気温低下は地上付近だけに限られると思われる。(5)他の二,三の気象要素にも平日と日曜日の差が認められる。なお,曜日や日付けによる平日同士の気温差は認められない。
著者
穂積 邦彦 孫野 長治
出版者
(公社)日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.522-533, 1984 (Released:2007-10-19)
参考文献数
8
被引用文献数
4 27

冬の季節風時に日本海中部に発生する収束帯にともなう帯状雲を,日本航空の定期便から写真撮影することにより観測し,その構造を三角測量方法で解析した。山陰地方のレーダー写真や日降雪量の分布も考慮して,収束雲帯の南西側の端に高い雲堤の列があり,これが山陰地方に局地的な大雪をもたらすことがわかったまた収束雲帯の発生機構を議論し,その立体構造のモデルが提案された。
著者
Masato MORI Masahide KIMOTO Masayoshi ISHII Satoru YOKOI Takashi MOCHIZUKI Yoshimitsu CHIKAMOTO Masahiro WATANABE Toru NOZAWA Hiroaki TATEBE Takashi T. SAKAMOTO Yoshiki KOMURO Yukiko IMADA Hiroshi KOYAMA
出版者
(公社)日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.91, no.4, pp.431-452, 2013 (Released:2013-09-06)
参考文献数
54
被引用文献数
5 14

In line with the experimental design for near-term climate prediction toward the Fifth Assessment Report of the Intergovernmental Panel on Climate Change, we perform ensembles of initialized decadal hindcast and near-future projection using three versions of the coupled atmosphere-ocean model MIROC. In the present study, we explore interannual and multiyear predictability of tropical cyclone (TC) activity in the western North Pacific (WNP) using the initialized hindcasts and examine global warming impacts on TC activity in the near-future on the basis of near-future projections up to 2035. The hindcasts of year-to-year variation in TC number capture the observed values reasonably well. Moreover, interannual variability of TC genesis and occurrence frequency associated with the El Niño Southern Oscillation are found to be predictable, mainly through better prediction of sea surface temperature (SST) and large-scale vorticity anomalies in the lower troposphere. These results indicate that the models can reproduce the major basic mechanisms that link TC genesis with large-scale circulation. Skillful prediction of TC number is likely difficult on multiyear timescales, at least based on our hindcasts, but through initializations, the three-year-mean hindcasts from 1998 onward reasonably capture observed major characteristics of TC activity associated with Pacific climate shift during the late 1990s. Near-future projections (2016-2035) suggest significant reductions (approximately 14%) in TC number, particularly over the western part of the WNP, even under scenarios in which projected global warming is less prominent than that at the end of this century. This reduction is likely due to the suppression of large-scale lower tropospheric vorticity and relative humidity and the enhancement of vertical wind shear. The projected SST exhibits a more pronounced warming over the eastern tropical Pacific than over the western region and accompanies the weakening of Walker circulation via redistribution of tropical convection activity, which appears to be responsible for the change in the large-scale fields in the WNP.
著者
青梨 和正
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.393-406, 1993-06-25
被引用文献数
1

日本域スペクトルモデルにレーダーアメダス雨量解析データを導入する初期値化手法を開発した。本研究の初期値化手法は、Takano and Segami(1992)と同様な、降水過程を含むノーマルモードイニシャリゼーションの前に、Physical Initializationによって初期値の熱力学場及び力学場を較正し、較正された初期値から計算したモデル降水強度が実測降水強度と等しくなるようにするものである。この初期値化手法による降水情報導入の降水予報へのインパクトを、梅雨前線上の擾乱の事例(1990年6月30日)に対する予報実験によって調べた。その結果は以下のとおりである:1)降水初期値化は、降水予報のスピンアップエラー、位置ずれ誤差ともに改善した。2)降水域の位置ずれの改善は熱力学場の較正による相対湿度の改変が寄与する。ただし、モデル降水域で実測の降水域でない領域では、熱力学場の較正は、相対湿度を経験的に決めたしきい値まで下げるというprimitiveな方法をとっている。3)力学場の較正は、初期の上昇流場の決定に寄与し、予報早期の降水強度の改善をする。4)Takano and Segami(1992)は、降水過程を含むノーマルモードイニシャリゼーションが非断熱加熱が弱いために初期の発散場を余り変えないと指摘しているが、本研究ではこのノーマルモードイニシャリゼーション自体は、強いモデル降水域でも初期場の鉛直速度をほとんど変えない。降水過程を含むノーマルモードイニシャリゼーションは降水に伴う発散場を保持することで、断熱的なノーマルモードイニシャリゼーションが与える、降水域の立ち上がりの遅さをを減らしている。
著者
島津 好男
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.437-445, 1998-06-25
参考文献数
7
被引用文献数
3

通常レーダー網のデータを使って、成熟期から衰弱初期段階にあった日本周辺の16個の台風における、降水システムの大きさ・形・位置・寿命・動きを明らかにした。これらの特徴に基づき、中緯度前線帯から離れた台風における降水システムを、内側レインシールド・外側レインシールド・内側レインバンド・外側レインバンド・眼の壁雲に分類した。一方、中緯度前線帯に近づきつつある台風の北側にできるデルタ型の降水システムの存在を示し、これをデルタ型レインシールドと名付けた。
著者
Wu Chun-Chieh Bender Morris A. Kurihara Yoshio
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.777-788, 2000-12-25
参考文献数
15
被引用文献数
1

GFDLにおいて開発されたハリケーンモデルをAVN及びNOGAPS全球解析のそれぞれと結合して、台風予報システムGFDSとGFDNがつくられた。GFDSシステムは、1995(1996)年に16(24)個の台風について、125(178)例の予報実験を行い、台風経路の予報で非常に良い成績を示した。12、24、36、48及び72時間後の予報位置の平均誤差は、1995(1996)年の場合、95(108)、146(178)、193(227)、249(280)及び465(480)kmである。CLIPER予報と比べると、約30%の精度向上となった。平均誤差と同時に誤差の標準偏差も減少したが, これは、低緯度では進路が北に偏る傾向があるものの、GFDSの予報精度と信頼度の高さを示すものである。一方、台風強度の予報は満足出来るものではなく、大西洋における誤差と同様に、弱い(強い)台風を実際よりも強く(弱く)予報し過ぎる傾向がみられた。1996年には二組の予報システム(GFDSとGFDN)で同時に予報が行われたので、二組の台風位置予報を比較した。台風の予報位置の誤差は、距離については両者は大体同程度であったが、それぞれの予報位置には、異なった方向に系統的に偏る傾向(系統的偏差、場所に依存する)が認められた。その結果、二つの予報の平均をとると、それぞれの予報にくらべて予報誤差が10%減少した。予報の向上は、それぞれの予報を系統的偏差で修正する補足実験でも認められた。系統的偏差は定常ではないが、それを熱帯低気圧の予報精度向上に役立てることができるかもしれない。