著者
山下 民治 米田 達雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.214-221, 1989
被引用文献数
3 6

デンプンをスケトウダラすり身に対し10%添加したかまぼこの物性に及ぼすデンプンの種類や加熱条件などの影響について検討を行い,次の結果を得た. <BR>(1) かまぼこのゼリー強度が最大になる加熱温度(T<SUB>m</SUB>)は,モチゴメデンプン添加区は75℃,コメやタピオカデンプン添加区は75~80℃,モチトウモロコシデンプン添加区は80℃,アミロメイズデンプン添加区は85℃,ジャガイモやコムギ,サツマイモ,トウモロコシ,クズデンプン添加区は90℃であった. <BR>(2) 魚肉すり身に添加したデンプンの糊化開始温度は,デンプン糊の糊化開始温度に比べて8~15℃高かった. <BR>(3) それぞれのデンプンを含むかまぼこをT<SUB>m</SUB>で加熱し続けたときに起るゼリー強度低下や圧出水分率の増加は, T<SUB>m</SUB>が85~90℃にあるデンプン添加区よりも,75~80℃にあるものの方が大きかった. <BR>(4) T<SUB>m</SUB>で40分間加熱したとき,ゼリー強度が最も大きかったのは,ジャガイモ,アミロメイズ,サツマイモ,トウモロコシデンプン添加区であり,次いでクズ,コムギ,コメ,タピオカデンプン添加区の順で,モチゴメ,モチトウモロコシデンプン添加区が最も小さかった. <BR>(5) それぞれのデンプンを含むかまぼこを,加熱温度を122℃にして, F<SUB>O</SUB>=4の条件で加熱したときのデンプンの種類によるゼリー強度や軟らかさの大小の順位は,T<SUB>m</SUB>で加熱したときのそれらの物性の大小と同じ順位であった.
著者
国府田 佳弘 小宮 俊幸
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.39-42, 1976-01-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
8

加熱押出し法によって小麦粉を加工するときの基本的特性をフローテスタを用いて定量的に追求し,次の結果を得た。(1) 薄力粉は加圧力150kg/cm2のときに138℃近辺から流動を開始し, 170℃を越えると多孔質の組織を持ち始め190℃を越えると流出物は麸状となる。加圧力200kg/cm2のときは温度に伴う膨化率の上昇がこれよりも明確で, 190℃を越えると膨化率は減少する。(Fig. 3(a),(b))(2)強力粉の場合には膨化率は前二者よりも低く,膨化率の極値も現れない。(Fig. 3(c))(3) 膨化率は見かけの粘度と密接な関係があり,その両者の関係は次式によって示される。(薄力粉)(強力粉)
著者
津志田 藤二郎 鈴木 雅博 黒木 柾吉
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.611-618, 1994-09-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
35
被引用文献数
16 77

リノール酸の自動酸化物がβ-カロチンを退色させることを利用し,その退色の防止活性を指標とした抗酸化性の測定法を用いて, 43種の野菜の80%メタノール抽出液の抗酸化活性を測定し,以下の結果を得た.(1) BHAの抗酸化活性と比較し検討したところ,シュンギクやショウガ,アスパラガス等13種は, BHAが生鮮重100g当たり25mg以上含有されていることに相当する程の活性を示すことが分かった. BHA 5mg/100g以下に相当するものは,カボチャやキウリ,カブ,キャベツ等13種であった.(2) 野菜抽出液のポリフェノール含量と抗酸化性の相関性を検討したところ, 43種の野菜でr=0.7694となり,相関性があることを明らかにした.(3) 比較的抗酸化性の強い3種の野菜の抗酸化性成分をHPLCで分取し,質量分析計等で解析したところ,アスパラガスではルチン,ショウガではヘキサヒドロクルクミンとジンジェロールが同定された.一方シュンギクでは, 3, 5-ジカフェオイルキナ酸および新規のジカフェオイルキナ酸誘導体と推定される成分が得られた.
著者
三木 登 赤津 一衛
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.18, no.7, pp.303-308, 1971
被引用文献数
4

市販トマト製品中のトマトパルプの状態と粒度分布を調べ,次にホモジナイザー,ミキサーおよび超音波を使いトマトパルプを破壊し粒度分布を変えて,粒度分布の違いが色に及ぼす影響について調べた。その結果,<BR>(1) 市販のトマトケチャップ,トマトジュース中のトマトパルプの粒度分布に著しい差を認めた。粒度の大きいものではトマト細胞が残っており,lycopeneは顆粒状に存在していたが,粒度の細かいものではトマト細胞が破壊されlycopeneは細胞外に細かく分散していた。<BR>(2) パルプ量が0.5%~1.0%のトマトジュースにおいてはパルプ量と色との関係は定量的であった。<BR>(3) 漿液の色はトマト製品の色にあまり影響を与えておらず,パルプの色の影響が強かった。<BR>(4) 粒度が細かくなると色は肉眼的にも測色値においても悪くなつた。すなわちつやのある赤色から白っぽい赤色へと変わった。その原因はパルプの破砕とlycopeneの分散の結果反射条件が異なったためと考察した。<BR>(5) 細胞内外にあるlycopeneの安全性について考察を試みた。
著者
城代 進
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.15, no.8, pp.335-340, 1968-08-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
8
被引用文献数
3

木酢液から燻煙香料の抽出を目的として研究し,次の結果を得た。(1) 木酢液から燻煙香料の抽出条件を検討し,抽出溶剤の選択と樹種別および製法別木酢液の抽出物について,各燻香,収率,成分組成を比較した。(2) ガスクロマトグラフィーにより木酢液の溶剤抽出物中のフェノール類,有機酸類およびカルボニル化合物の各成分を同定した。(3) 燻香に関与する成分を推定した。(4) 木酢液は燻煙香料の重要な原料であることを確認した。
著者
川村 淳 竹尾 忠一
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.463-467, 1989-06-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
14
被引用文献数
8 31

茶葉より抽出したカテキン遊離型画分〔(-)-エピカテキン, (-)-エピガロカテキン〕である粗カテキンA分画(CF-Aと略),エステル型画分〔(-)-エピカテキンガレート,(-)-エピガロカテキンガレート〕である粗カテキンB分画(CF-Bと略),それらの混合物であるCF-mix,および(-)-エピガロカテキンガレート(EGCg)のS. mutansに対する抗菌作用について試験し,グルコン酸クロルヘキシジンの抗菌作用と比較した.またう蝕予防剤としての利用を前提としたいくつかの試験を行ない,次の結果を得た. (1) 生育阻害最低濃度はCF-Aで400~100μg/ml,CF-Bで100~50μg/ml,CF-mixで200~100μg/ml, EGCgで100-50μg/ml,およびグルコン酸クロルヘキシジンで1.6μg/ml以下であった.(2) 殺菌効果の検定では初菌数3.3×107にCF-Bを(31)川村・竹尾:茶葉カテキンの抗菌作用4675.0×103, 1.0×104μg/mlずつの添加で5.5×105, 3.6×104, 1.0×102にそれぞれ減少し, グルコン酸クロルヘキシジンでは初菌数3.3×107に2.0×103μg/ml添加で3.0×10 3に減少した.(3) カテキンの抗菌作用におよぼす歯磨剤主要成分の影響はラウリル硫酸ナトリウムおよびD-ソルビトーでは影響はみられず,安息香酸ナトリウムは僅かに相乗作用がみられた.
著者
伊藤 安 三浦 弘之 石田 義夫 加藤 光雄 安部 竜郎 宮崎 昌久
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.191-194, 1964-05-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
7

肉質を軟化せしめる目的で,屠殺前の老廃ホルスタイン牛(体重約370kg)にパパインを静脈注射(1,500単位)し,屠殺解体後の肉質について対照区と比較したところ,官能試験の結果からは軟化効果のあることわかった。またその裏付けとして行なった理化学的分析の結果からも,パパイン注射が肉質に好ましい結果を与えることが明らかとなった。

1 0 0 0 OA 魚肉の鮮度

著者
岡田 稔
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.31, no.9, pp.617-618, 1984-09-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
1
著者
菅野 彰重 高松 晴樹 高野 伸子 秋本 隆司
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.105-110, 1982-02-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
29
被引用文献数
1 9

納豆製造工程におけるオリゴ糖の変化をガスクロマトグラフィーにより分析した。同時に粘性多糖レバンと大豆多糖のうち,溶液中では納豆菌のアミラーゼによって容易に分解されるデンプンについても検討した。その結果,浸漬,蒸煮によって,大豆オリゴ糖の一部が失なわれ,デンプンも減少した。発酵においては,発芽後6時間でシュクロースは約1/7に,ラフィノース,スタキオースは約1/3に減少し,早期にオリゴ糖は分解されることが示された。この時大豆オリゴ糖の部分分解によって生じると考えられる,メリビオース,マンニノトリオース,グルコース,フルクトースが遊離し,メリビオース,マンニノトリオースの分解は緩慢であったが,グルコースとフルクトースは速やかに減少した。レバンは大豆オリゴの分解に伴って増加し,デンプンは発酵中にまったく減少しなかった。
著者
菅原 悦子 伊東 哲雄 米倉 裕一 櫻井 米吉 小田切 敏 SUGAWARA Etsuko ITO Tetsuo YONEKURA Yuichi SAKURAI Yonekichi ODAGIRI Satoshi
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.p520-523, 1990-07
被引用文献数
1

Bacillus natto was cultured in the chemically defined liquid medium which contain various amino acids as nitrogen source, and effects of amino acids on the formation of pyrazines were examined. The amino acids which are related to glutamic acid on metabolism, L-glutamic acid, L-aspartic acid, L-arginine and L-proline, promoted the best growth. Yields of pyrazines produced in the culture broth were not always parallel to cell growth. In the case of L-serine, L-aspartic acid, L-alanine and ammonium citrate, whole pyrazines were yielded about 10mg/l and above, and mostly consisted of tetramethylpyrazine. Pyrazines which have a characteristic side chain corresponding to the amino acid present in the medium were not detected.各種アミノ酸を添加した合成培地で納豆菌を培養し,ピラジン化合物の生成量を比較検討し,ピラジン化合物生成に対する納豆菌の役割について考察した.(1) 各種アミノ酸を添加した合成培地での納豆菌の増殖は代謝上, L-グルタミン酸と関連の深いアミノ酸(L-グルタミン酸, L-アスパラギン酸, L-アルギニン, L-プロリン)で良好であった.(2) 培養液からのピラジン化合物の抽出方法として,加熱条件の有無を考慮して, LIKENS-NICKERSON型連続蒸留抽出装置を用いる方法とPorapak Q吸着剤を用いる方法を比較したが,連続蒸留抽出法でピラジン化合物が二次的に生成している可能性は薄かった.(3) 納豆菌の増殖の良否とピラジン化合物の生成量には相関はみられず, L-セリン, L-アスパラギン酸, L-アラニン,クエン酸ニアンモニウムで, 10mg/l前後,あるいはそれ以上のピラジン化合物を検出し,その大半はテトラメチルピラジンであった,(4) 各種アミノ酸の特徴的な側鎖をもつピラジン化合物は確認できなかったので,この化合物はアミノ酸から直接生合成されず,より簡単な中間体をへて生成される可能性が高い.(5) 納豆菌が関与するピラジン化合物生成はその前駆体を多量に生成することによる可能性は高いが,最終段階まで酵素的に進むことも考えられ,さらに検討が必要である.
著者
原 征彦 石上 正
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.p996-999, 1989-12
被引用文献数
17