著者
佐々木 弘子 中村 尚子 青柳 康夫 菅原 龍幸
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.90-97, 1988-02-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
29
被引用文献数
5 5

干し椎茸の水もどし加熱調理において,浸漬水温と浸漬時間におよぼす影響について検討し,次のような結果を得た. (1) 干し椎茸を25℃で水もどしを行うと,浸漬時間が長くなるに従い,タンパク態窒素量は減少し,一方,アミノ態窒素量は増加していた. (2) 遊離型のタンパク性アミノ酸は水もどしにより増加し,増加量は浸漬水温が高いほど,また浸漬時間が長いほど多かった. (3) 遊離非タンパク性アミノ酸は水もどしによる増減はみられないようである. (4) 水もどし後の加熱調理では遊離アミノ酸量の変化は殆ど見られなかった. (5) レンチニン酸は水もどしおよび加熱調理によっても減少した.
著者
宮崎 正則 国里 進三 美谷 誠一
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.9, pp.423-428, 1972
被引用文献数
1

(1) トマト果実のNO<SUB>3-</SUB>N蓄積の品種間差異を検討した。<BR>(2) 完熟果のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は'チコ'では収穫初期にのみ高く,中期,後期には低く,'Heinz 1370','ブレームスソリッドレッド'は収穫全期間を通して低く,一方'ファイアボール'と'アマチュア'はつねに高い値を維持し,明らかに品種間の差異が認められた。<BR>(3) 果実の成熟中のNO<SUB>3-</SUB>N濃度の変化は'チコ','Heinz 1370','ブレームスソリッドレッド'は緑白期から完熟期にかけて減少し,'ファイアボール','アマチュア'は緑白期から完熟期にかけて減少しないか,または減少しても未熟期の高い蓄積量のため完熟果のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は著しく高い値を示した。<BR>(4) 果実の無機物質濃度はNO<SUB>3-</SUB>N濃度の高い'ファイアボール','アマチュア'と低い'チコ','Heinz 1370','ブレームスソリットレッド'の間に有意差は認められなかった。一方NO<SUB>3-</SUB>N濃度の高い果実は低い果実に比べN, P, K含量が高く,Ca含量は低い傾向が認められた。<BR>(5) 硝酸還元酵素活性は葉身で高く,次いで葉柄,へたで高く,果実では著しく低く,しかも着色開始と同時にほとんど認められなくなった。各部位,各時期の活性から果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度の差異を説明することはできなかった。
著者
宮崎 正則 国里 進三 美谷 誠一 杉原 八郎 藪内 一雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.9, pp.429-437, 1972
被引用文献数
1

(1) トマト品種'ファイアボール'を用い,砂耕で,トマト果実のNO3-N濃度におよぼす培養液のNO<SUB>3-</SUB>N, P, K, Ca, Mg濃度の影響を検討した。<BR>(2) 一般に培養液のNO3-N濃度が増加するに伴い,あるいはCa濃度が低下するに伴い果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は増加するが,K濃度が低下するに従って果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は低下した。<BR>(3) 培養液のK濃度が極端に低濃度になると,培地のNO<SUB>3-</SUB>N濃度が高くても果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は低くなり,培養液のNO<SUB>3-</SUB>N濃度の影響はK濃度に左右される傾向が認められた。<BR>(4) 培養液にNO<SUB>3-</SUB>NとKが十分存在するときにはCa濃度を高めても果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は著しくは低下しないが,NO<SUB>3-</SUB>NあるいはKのどちらかが低濃度の場合にはCa濃度を高めることにより,果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は著しく低下した。<BR>(5) 培養液のPおよびMg濃度の影響は明らかな傾向が得られなかった。
著者
柴崎 一雄 大谷 史郎 平井 輝夫 鈴木 元吉
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.11, no.12, pp.521-530, 1964

食品を凍結あるいは凍結乾燥した場合の挙動を明らかにする目的で,本報ではまずモデル食品をつくり,凍結温度の検討を行なった。モデル食品は合成スポンジ(ソフラン)を担体として,ブドウ糖,食塩およびゼラチンの単独または,これらの2成分,3成分混合水溶液を含ませたものを用いて,溶液のままで外部から冷却(静的凍結)したものを対照としながら,自己凍結した場合の凍結温度に及ぼす以上の各成分の影響を検討した。
著者
南場 毅 竹内 徳男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.534-541, 1981-10-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
16

酢酸発酵における天然栄養源の促進効果と酵母エキス中の有効成分の分画と各分画の促進効果を解析した。(1) 試験した天然栄養源では酵母エキス,麹エキスの促進効果が高く,特に酵母エキスは他の栄養源ではみられない促進性を示し,その効果は有効成分の優れたバランスに基づくと考えられた。(2) 酵母エキスの塩基性区分,中性区分,酸性区分はいずれも促進効果を示し,特に酸性区分と塩基性区分との併用によって顕著な促進効果がみられた。(3) 酵母エキスは酒粕,白しょうゆと比較してアミノ酸,とくにアラニン,リジン,グルタミン酸,セリンの含量が多かった。有機酸も同様に,乳酸,ピログルタミン酸,コハク酸の含量が多かった。グリセロール含量は酒粕,白しょうゆとほぼ同じであった。また無機成分として多量のリン,カリウムが検出された。(4) 酵母エキス中の有効成分相当量の既知化合物を基本培地に添加すると,誘導期の短縮と生酸が増大し,酵母エキスと同様な効果が認められた。
著者
下田 満哉 佐々木 仁 塚本 祐二 土肥 由長 亀田 弥 箴島 豊
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.26-33, 1989-01-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
4
被引用文献数
3 1

匂い用語のキャラクタリゼーションの明確化と食品の基本的な匂い特性を明らかにすることを目的として, 53種類の食品の匂いと44個の匂い用語との反応パターン行列を作成して,数量化理論第3類とクラスター分析により解析を行なった. (1) 専門家パネルは, 44個の食品の匂い用語を, A:価値のある, B:ボディ, C:焦げ臭・乾燥, D:価値のない, E:生臭い, F:悪臭, G:力量感のある, H:活動的な, I:スパイス, J:フレッシュ, K:乳・油脂系, L:獣肉の12個の匂いグループ(食品の基本的な匂い特性)に分けることができた. (2) 素人パネルは「価値のある」と「活動的な」匂いグループを区別することができなかった.しかしながら,44語中35個の用語が専門家パネルの結果と同じグループに属した.
著者
山下 市二 田村 太郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.22-25, 1973
被引用文献数
2

揮発性と不揮発性の有機酸を同時にGCで分析する目的から,これらの有機酸1-ブチルエステルの標準化合物11種類を試料として用い,分離に適したカラム充てん剤の検索を行なった。その結果,20% Sil. DC 550,Diasolid L, 60~80メッシュ,3mm I.D.×1mステンレスカラムが適当であった。<BR>有機酸の混合水溶液をアンモニア水で有機酸アンモニウム塩にし,減圧乾固したのち,1-ブチルエステル化して20% Sil. DC 550によりGCで分析した。酢酸と酒石酸は定量にあたって問題を残したが,ほかの有機酸の分離は可能であった。<BR>なお,エステル化の最適条件およびエステル化率についてはこの次に報告したい。
著者
畑江 敬子 大沼 葉子 島田 淳子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.505-510, 1990
被引用文献数
9 5

サケ鼻軟骨を薄切りにし, 4%酢酸水溶液に168時間まで浸漬し,物理的,化学的変化を調べ,以下の結果を得た.<BR>(1) サケ鼻軟骨は酢酸処理により,生臭さがなくなり,軟らかくもろくなり,食品として好ましいテクスチャーとなるが,浸漬時間は24時間程度が適当であった.<BR>(2) 軟化はテクスチュロメータによる硬さ,圧縮に要するエネルギーおよび保水性の測定によっても確かめられ,浸漬初期に変化が大きかった.<BR>(3) 軟骨のpHは比較的短時間のうちに浸漬液のpHに近づき, 168時間後には軟骨のpHは浸漬液のpH(pH3.10)に等しくなった.<BR>(4) 水分,粗タンパク質はほとんど変化せず,糖質と灰分の減少が著しかった.<BR>(5) 糖質と灰分の主成分であるムコ多糖とカルシウムは著しく減少し, 168時間後には未処理の1/2以下となった.
著者
渡辺 敦夫 太田 義雄 木村 尚史 梅田 圭司 木村 進
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.260-265, 1979-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
16
被引用文献数
4 11

温州ミカン果汁を逆浸透法により濃縮する間に生ずる膜面付着物について分析を行ない,付着成分は主として,ペクチンおよびセルロースようの不溶性成分であることを確認した。そこで,ペクチンおよびセルロースからなるモデル液を使用し,付着層による水透過に対する抵抗の成長速度について検討を加えた。セルロース懸濁液では水透過速度の減少はまったくなかったが,ペクチン溶液においては急速な水透過速度の低下が見られた。しかし,ペクチンを塩化カルシウムで不溶化することにより水透過速度の低下を減少させることができた。従って,ペクチンが水透過に対する抵抗形成の主要成分であることがわかった。膜面付着ペクチンの分子量分布についてゲル濾過法を用い検討を加え,逆浸透濃縮中に膜面に付着するペクチンは高分子ペクチンが主体であることを確認した。
著者
河端 俊治 赤築 秀憲
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.241-248, 1972
被引用文献数
1

(1) DEVIKにより MAILLARD反応において N-NAの生成の可能性が指摘されたので,これの追試を行なうとともに,MAILLARD反応条件とN-NAの生成の可能性についても検討し,この反応においては,N-NAの生成されないことを明らかにした。<BR>(2) 今回のN-NAの定性および定量法は,TLCおよびGLCで行なったが,さらに一部の材料につきGLC-MSによる確認も併用した。<BR>(3) N-NAはpyrazine誘導体とGLC, TLCあるいはポーラログラフィーの還元波で似た挙動を示すので,DEVIKがMAILLARD反応でN-NAを検出したというのは(ポーラログラフィーの還元波のみで同定)pyra-zineまたはその誘導体とN-NAを誤認したものと思われる。<BR>(4) 市販のしょう油,みそ,パン,コーヒー,についてN-NAの検査を行なったが全く検出されなかった。
著者
牧 充子 岡部 芳江 鈴木 静子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.239-243, 1975

白ソースは冷凍による品質劣化が著しい,その冷凍による影響については,粘度,チクソトロピー,離水量,官能検査などにより差異を検討した。<BR>(1) 白ソースの-25℃~-28℃で1週間の冷凍により,上記の各項について品質の著しい劣化が認められた。<BR>(2) レシチン,カラゲーナン,混合添加物(レシチン,アルギン酸ナトリウム,カラゲーナン各等量混合)などの0.1%添加した場合,冷凍白ソースの品質劣化防止には効果が認められないが,アルギン酸ナトリウムでは多少の効果が認められた。
著者
辻 昭二郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.61-65, 1984-02-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
20
被引用文献数
7 5

食感の変化を機器によるバラメーターで表現することを検討した。測定にはテンシプレッサーを使用した。(1) そばとうどんの食感の基本的な違いも両者のfract.特性の差として示せる。(2) 測定や解析が簡便で再現性のよいパラメーターとして,新たにfract. indexを導入して検討した。(3) Fract. indexはそばのfract.特性および“のび”にともなう食感の変化を数字的に表現するのに極めて有用であった。(4) Fract. indexの値で0.74近辺がそばの食感として最適なfract.であり,これよりある程度高くなるとうどんに類似し,逆にこれよりある程度低くなると“のび”たそばの食感に類似するものと考えられる。(5) そばの放置にともなうテクスチャーの変化においてadhesivenessの変化がかなり大きく,これも“のび”にともなう食感の変化と大きく関係している。
著者
梶田 武俊 千田 貢
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.259-265, 1969-06-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
19

AAおよびEAの分解に及ぼす(Fe3+イオンの)影響について検討し,次のごとき結果を得た。(1) AAまたはEA水溶液にFe3+を溶かしたHCl溶液を触媒液として加え,これにO2をふき込みながら反応させると,EAはAAよりも分解が速く,反応20分後に約76%の差を生じ,この差には再現性のあることを認めた。(2) AAまたはEAのFe3+イオンによる触媒酸化は,反応液のpHによって強弱があり,pHが低下するに従って分解はすみやかとなり,触媒活性は大となる。しかし触媒なしでは,たとえ反応液のpHが低下しても分解はほとんど進行しないことを認めた。(3) 共存する塩類が,AAまたはEAの分解に及ぼす影響について検討したところ,イオン濃度が高くなると,AA, EAとも幾分分解は阻害された。(4) AAまたはEAの濃度変化と残存率との関係をみたところ,両酸とも高濃度となるに従って,残存率もわずかに増加する傾向がみられた。なお,混合割合と残存率との間には,一定の濃度範囲内では直線的関係が成立することを認めた。これらの結果よりみて,この分解差を利用して,ある範囲内でAAとEAの同時定量が可能と考えられる。
著者
沢村 正義 楠瀬 博三
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.26, no.11, pp.503-507, 1979
被引用文献数
2 1

ユズ,ナオシチ,ムカクユ,オオユ,ベニユ,ユコウ,スダチ,ダイダイ,スミカン,キヨオカダイダイ,トコス,ウジュキツ,タチバナの13種類の酸用カンキツ及びウンシュウについて有機酸,糖,ペクチン,アスコルビン酸の分析を行った。<BR>(1) 搾汁率はトコス,ムカクユ,ユコウで30%以上あり,一方,ユズ,スミカン,ウジュキツでは20%前後と低かった。<BR>(2) 有機酸分析の結果,9~15個のピークが検出された。主要な酸であるクエン酸とリンゴ酸を始め,乳酸,酢酸,ギ酸,ピルビン酸,フマール酸,t-アコニット酸の存在が認められた。クエン酸とリンゴ酸を合せた濃度はほとんど酸用カンキツで4~6%に達した。<BR>(3) 糖酸比の逆数は酸用カンキツの特徴を明瞭にし,ウンシュウ1.0に対して,ムカクユ,ユズ,スダチ,オオユが20以上,キヨオカダイダイ,ダイダイ,ユコウ,ナオシチ,トコス,スミカンが10~20であった。<BR>(4) アスコルビン酸含量は,酸用カンキツでは40mg%以上のものが多く,とくにオオユ,キヨオカダイダイ,トコスで高かった。
著者
越後 多嘉志 竹中 哲夫 市村 真
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.223-227, 1974-05-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
16
被引用文献数
1

蜂蜜の品質に関する一連研究として,蜂蜜中の酵素の安定性を調べた。(1) 酵素液中にはアミラーゼ,グルコースオキシダーゼ,α-グルコシダーゼが存在し,ゲルろ過法によってそれらの活性区分を明らかにした。(2) 酵素液中の上記各酵素の作用最適条件を第1表に示した。またpH安定性試験から蜂蜜のpH(約3.8)附近ではどの酵素も不安定であった。(3) 酵素液あるいは蜂蜜中でのアミラーゼは,加熱に対して比較的安定であり,グルコースオキシダーゼは最も不安定であった。酵素液を冷温(3℃)貯蔵すると活性低下をほとんど認めないが,室温(20℃)貯蔵では低下を認め,この場合アミラーゼの低下度合が少なく,グルコースオキシダーゼが最も大きかった。(4) 密封したガラス瓶に蜂蜜を7か月間室温(20~28℃)貯蔵した結果,酵素活性の損失度合はアミラーゼが最も少なく,α-グルコシダーゼとグルコースオキシダーゼはともにアミラーゼよりも2倍ぐらい多かつた。
著者
辻 澄子 中村 優美子 外海 泰秀 柴田 正 内堀 伸健 川田 誠 小林 建夫 鈴木 宏 室井 順子 鈴木 由記子 兼田 登 鈴木 英樹 宮本 文夫 伊藤 誉志男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.111-123, 1990
被引用文献数
2 6

農産物39種類195試料,水産物23種類115試料及び畜産物8種類40試料の生鮮食品合計70種類350試料並びに農産加工品58種類331試料,水産加工品38種類323試料,畜産加工品19種類147試料,菓子類18種類90試料,嗜好飲料31種類250試料,油脂・砂糖・調味料など15種類75試料及び調理加工食品11種類55試料の加工食品合計180種類1271試料中のH<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>を酸素電極法により測定した. <BR>生鮮食品70種類中,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>を含有していない食品は56種類であり,平均値として1mg/kg未満のものが9種類であり,1mg/kg以上のものはピーナッッ(乾)(3.3mg/kg),カレイ(1.7mg/kg),ホタテ貝(4.0mg/kg),ホタルイカ(3.4mg/kg),及びカニ(1.2mg/kg)の5種類であった. <BR>一方,加工食品188種類中,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>を含有していない食品は47種類であり,平均値として1mg/kg未満が82種類,1~5mg/kgの範囲の食品が41種類であり,5mg/kg(以下単位省略)以上の食品としては甘らっきょう(5.7),干ししいたけ(7.4),いかなご佃煮(9.1),焼のり(8.9),ひとえぐさ佃煮(7.8),乾燥ひじき(8,5),玉露(葉)(6.7),煎茶(葉)(6.2),玄米茶(葉)(6.4),番茶(葉)(6.4),ほうじ茶(葉)(30.4),紅茶(葉)(18.0),ウーロン茶(葉)(35.3),麦茶(45.0),コーヒーいり豆(140.3),インスタントコーヒー粉末(368.5),ココア(62.8),こいくちしょうゆ(7.6)の18種類であった.茶類及びコーヒー類は飲用状態ではいずれも5mg/kg以下となった. <BR>調理による食品中のH2O2含有量に対する影響について,加熱調理では,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>量の増加傾向が,水もどし調理では,干ししいたけ以外はH2O2量の減少傾向が示された. <BR>従って,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>含有量は調理方法により大きく変化することが判明した. <BR>更に,干ししいたけのように,水もどしすることにより,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>量が増加傾向を示し,ばらっきも大きいことから,しいたけ成分からのH<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>生成の可能性が示唆された.
著者
伊奈 和夫 池野 直 中林 敏郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.12, no.7, pp.288-291, 1965
被引用文献数
1

生カキおよびオイスターソースの呈味成分について検討を行なった結果,<BR>(1) 生カキとオイスターソースの呈味成分は,コハク酸とグルタミン酸が主体でこれにグリシンと推定される物質ならびに微量の5'-リボタイドが補助的に影響している。<BR>(2) 生カキでは美味といわれる冬期にこれらの呈味成分が多い。<BR>(3) これらの呈味成分はソース製造中にほとんどそこなわれない。<BR>(4) 生カキをpH 3で自己消化させると呈味成分がもっとも増加し,酵素消化との併用はソースの製造に有効な手段と思われる。
著者
徳岡 敬子 森 理三郎 一色 賢司
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.68-71, 1992-01-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
11
被引用文献数
3 4

AITを主成分とするカラシ抽出物製剤が,糖濃度の高い食品から分離された5菌株の酵母の生育に対してどのような影響を及ぼすかをAw 0.97~0.86で検討し,次の結果を得た.いずれの菌株も,含気包装ではAw0.86あるいは0.89まで生育したのに対し,カラシ抽出物製剤封入包装では全てのAwにおいて生育が完全に阻止された.ヘッドスペース中のAIT濃度は封入後24~48時間で平衡に達し,そのときの濃度は2μg/mlであった.これらの酵母に対するAITの最小生育阻止濃度は3~15ng/mlで,かなり低い濃度で酵母の生育が抑えられることが明らかになった.