著者
藤井 良一 福西 浩 国分 征 杉浦 正久 遠山 文雄
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
no.25, pp.p113-119, 1990-01

1989年3月13日の大磁気嵐中に, EXOS-Dに搭載されたフラックスゲート磁力計により観測された沿磁力線電流(FAC)の特性について報告する。本磁気嵐は地磁気観測史上有数の磁気嵐であり, その間にEXOS-Dは午前昼間側及び夕方側で大規模なFACを観測した。午前側のFACの特性は, 1)地磁気嵐主相では, 地磁気緯度で50°から80°にも及ぶ広いFAC領域が観測された。2)FACの極性は, 低緯度から上向き, 下向きのFACの他にそれらの高緯度側に上向きの大規模FACが出現した。3)この高緯度側の上向きFAC高緯度境界に狭い緯度巾(1.5°)のペアーのFACが観測された。夕方側のFACの特性は, 1) FACの低緯度側境界はSSCの直後から低緯度側に移動しはじめるが, 高緯度側境界は即座には反応しない。2)磁気嵐の回復期には逆に高緯度境界は直ぐに反応し高緯度側に移動しはじめたが, 低緯度側境界は遅れて反応した。
著者
竹川 暢之 岩上 直幹 岡林 昌宏
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.45-55, 1999-03

我々は, 上部成層圏において酸素原子O (^3P)の測定を行うために, 共鳴蛍光法による気球搭載型O (^3P)測定器を開発した。この方法は絶対測定であり, 実験室における高精度の較正実験が要求される。我々は, 数値シミュレーション計算および室内実験を基に測定器の性能を詳細に調べた。高高度気球BT15によるO (^3P)とオゾン(O_3)の同時測定は, 1997年9月9日正午前後に宇宙科学研究所三陸大気球観測所において行われた。O_3は同じ気球に搭載された東北大の光学オゾンゾンデにより測定された。高度38-44kmにおける測定値とモデル値の比較を行ったところ, 両者は誤差の範囲内でほぼ一致していたが, [O (^3P)]/[O_3] 比の測定値の傾きとモデル計算値の傾きの間には違いが見られた。しかしながら, O (^3P)測定値の精度および確度は充分なものではなく, この傾きの違いに関して詳細な議論を行うまでには至らなかった。
著者
並木 道義 松坂 幸彦 鳥海 道彦 内田 右武 平山 昇司 小松 俊郎 本田 秀之 井筒 直樹 齋藤 芳隆 太田 茂雄 山上 隆正 廣澤 春任 松本 敏雄 兒玉 康資 本間 容博
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.25-34, 2001-02

宇宙科学研究所三陸大気球観測所では,スタティック放球方式の一種である立て上げ放球方式を用いて,数多くの大気球の放球を成功させてきた。近年,大型気球の需要が高まり,放球方法の改善と放球場の拡張が必要となっていた。1998年に我々は,新しい大型気球放球装置を用いた放球方法であるセミ・ダイナミック放球方式を開発した。この放球方式は,ガス注入後,ローラー車から気球を解放することによって一気に気球を立て上げ,気球が,観測器直上を固定している大型放球装置の直上にきたとき,大型放球装置から観測器を解放する,という手順で放球を行う。徐々に立てあげていた従来の方式と比べて,ローラーで立て上げて行くときに皮膜を傷つける心配がなくなること,放球作業の時間短縮ができることが利点である。1998年(平成10年)に,飛揚場の先端部分を20m延長し,その延長したほぼ中心部に直径 6 mの回転テーブルを備えた大型気球放球装置を製作した。本ランチャーは,回転テーブルに固定されており,放球時の風向きに合わせて旋回する事が出来る。また,ランチャーに備えた昇降装置により,地面から高さ5mまで観測装置を持ち上げることが可能である。これにより,B1000クラスの大型気球の放球が可能となった。1999年9月6日にこの大型気球放球装置を用いて,最初のテスト気球を放球することに成功し,放球方法および装置の有効性が確認された。
著者
土岐 剛史 高橋 幸弘 山田 嘉典 福西 浩 中村 卓司 TAYLOR Michal J.
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.83-91, 1998-03

1996年8月に実施されたSEEKキャンペーンにおいて, 地上からの高感度イメージャーによる大気波動の観測が鹿児島県内の内之浦, 山川, 大隅と信楽の計4ヵ所で実施された。キャンペーン期間中の鹿児島地方は天候に優れない日が多かったが, 8月9日から22日の間に, 内之浦, 山川, 大隅でそれぞれ, 4夜, 7夜, 1夜, 大気光イメージデータが取得された。信楽での観測は8夜であった。今回の地上からの大気光観測の主な目的は, レーダーで観測される電離圏における準周期的イレギュラリティーと大気光に見られる中性大気中の重力波の特性を, ロケットによる観測とあわせてそのメカニズムを検討解明することにある。各観測データと比較する上で, 大気光の発光高度を正確に決定することは極めて重要な課題である。我々は鹿児島の3ヵ所の観測から, 三画法を用いてOH大気光の発光高度の推定を計画した。残念ながらロケット打ち上げ時は天候に恵まれず同時観測データは得られなかったが, キャンペーン期間中内之浦と山川に設置された2台の大気光全天イメージャによる同時観測に成功した。8月19日の晩, 2台のイメージャで同時に顕著なOH大気光の波状構造を観測した。これら2地点で同時に取得された画像に, 大気波動構造の発光高度決定としては初めて, FFT及び精密な三角法を用いて解析を行った。その結果, 波状構造の発光高度は89±3kmと求められた。これはロケット観測などによる従来の結果とほぼ一致する。MFレーダーによって, この高度の数km上空で回時に強い南向きの風速シアーが観測されており, 重力波の発生原因の有力な候補と考えられる。
著者
平島 洋 奥平 清昭 中本 淳 村上 浩之 鈴木 裕武 山上 隆正 西村 純 太田 茂雄 並木 道義 宮岡 宏 佐藤 夏雄 藤井 良一 小玉 正弘
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.115-134, 1986-10

1985年7月に, 南極昭和基地の共役点であるノルウェーにおいてオーロラ観測の国際共同観測を実施した。日本側の大気球観測は, 地上から直接観測することが難しい降下電子, 自然電波および電離層電場等の時間および空間変動の観測が目的であった。気球搭載観測器としては, オーロラX線撮像装置とVLF受信機であった。日本側の気球は1985年7月2日と7月5日の2回放球した。本論文では, 7月5日に放球され, 観測されたオーロラX線現象について述べる。オーロラX線撮像装置として, 従来から用いていた無機シンチレータを1次元に配置したものと, 厚型のリチウム・ドリフト型Si(Li)半導体検出器の2次元撮像装置を用いた。解析の結果, このオーロラX線現像は, 7月6日23時25分(U. T.)頃に始まり, 数分間継続し, 約50km/minの速度で北西から南東の方向に移動していたことが明らかになった。
著者
山本 明 吉田 哲也 安楽 和明 稲葉 進 井森 正敏 上田 郁夫 音羽 真由美 折戸 周治 木村 誠宏 佐貫 智行 鈴木 純一 田中 賢一 西村 純 野崎 光昭 槇田 康博 松永 浩之 松本 浩 元木 正和 矢島 信之 山上 隆正 吉村 浩司 Golden Robert Kimbell Barbara Mitchell Jon Ormes Jonahtan Righter Donald Streitmatter Robert
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.103-119, 1996-03

超伝導マグネット・スペクトロメーターを用いた宇宙粒子線観測・気球実験(Balloon Borne Experiment with a Superconducting Magnetic Rigidity Spectrometer)は,宇宙起源反粒子探索及び宇宙粒子線の精密観測を目的とする日米・国際共同実験として推進されている[1-7]。NASAおよび宇宙科学研究所を相互の代表機関とし,東京大学,高エネルギー物理学研究所,神戸大学,ニューメキシコ州立大学が研究に参加している。日本側グループがスペクトロメーター本体を準備し,アメリカ側グループが気球の飛翔,制御を担当している。この実験計画は,1980年代にNASAを中心に検討されたASTROMAG計画の準備研究に於て,ソレノイド型超伝導マグネット・スペクトロメーターの構想を提案し,基礎開発を行なった事から,その第一段階となる気球実験としてスタートした[8-9]。この実験協力が1987年にスタートして以来6年の準備期間を経て,1993年に第一回の気球飛翔実験に成功した。1994年には第二回,1995年には第三回・気球飛翔実験に成功した。実験は,北磁極に近いカナダ北部のマニトバ州リンレークからアルバーター州ピースリバーにかけて実施され,合計約50時間の科学観測に成功し,実験機器も無事回収されている。これまでにBESS93の気球飛翔実験についてデータ解析を完了し,運動エネルギー500MeV以下の運動エネルギー領域で,反陽子を4イベント検出した[10-12]。この結果は,低エネルギー領域(<500MeV)での初めての明確な宇宙線反陽子の観測として評価を受けている。BESS93&acd;95の総合的なデータ解析からは,途中経過として,運動エネルギー<1.2GeVに於て,合計&acd;50イベントの反陽子候補を検出している。また反ヘリウムの探索については,1993年&acd;1995年のデータを合わせ,従来の観測よりも一桁高い感度での存在上限値(反ヘリウム/ヘリウム比=8×10^<-6>,@95%CL)を得ている[13-15]。実験は,結果が現われ始めた段階であるが,経過と現状を報告する。
著者
斎藤 芳隆 山上 隆正 松坂 幸彦 並木 道義 鳥海 道彦 横田 力男 広沢 春任 松島 清穂
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.1-10, 2003-03

宇宙科学研究所気球部門では,1991年以来,10kg程度の観測器をより高高度に到達させる気球を開発してきた.1999年からは,厚み3.4μmの気球用ポリエチレンフィルムを用いた気球を製作し飛翔実験を重ね,順次気球の大型化を進めてきた.本年,2002年5月23日に体積60,000m^3の気球を製作し,飛翔実験を行った.気球は正常に上昇し,高度53.0kmという気球到達最高高度の世界記録を実に30年ぶりに塗り変えることに成功した.
著者
林 紀幸 東 照久 吉田 裕二 岡山 房雄
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.315-323, 1986-10

M-3S型ロケットは1号機から4号機まで順次, MS-T 4たんせい4号, ASTRO-Aひのとり, ASTRO-Bてんま, そしてEXOS-Cおおぞらをそれぞれの目標軌道に投入したミュー型第4世代のロケットであるが, これらの尾翼および尾翼筒はミューロケットシリーズでは14号機から17号機にあたる。各号機共設計, 製造から打上げに結び付く各オペレーション作業までを行なってきているが, ここではM-3S-1号機から同4号機までの尾翼および尾翼筒について全般の報告をのべる。
著者
雨宮 宏 小山 孝一郎
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.25-33, 1990-03

本報告は1988年1月25日11時に内の浦から打ち上げられたK-9M-81号ロケットにより観測された電離層正イオン密度および熱的電子のエネルギー分布に関する。今回の測定では真空封じファラデーカップを使用し特に電子の高エネルギー尾部の測定に重点を置いた。正イオン電流は90kmから, 熱的電子の高エネルギー尾部は170km以上の高度で観測出来た。正イオン飽和電流と電子温度計のデータから求めたプラズマ密度を従来の冬の同じ時刻のデータと比較した。F層では比較的再現性の良い密度分布が得られたが, E層は従来のデータより多少くい違いを示した。
著者
小山 孝一郎 雨宮 宏 Piel A. Thiemann H.
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.3-23, 1990-03

高度100km&acd;120km付近において電子温度を中性ガス温度より高くする熱電子の加熱機構を探るため1988年1月25日, 1月26日日本標準時間午前11時にK-9M-81号機及びS-310-18号機がそれぞれ発射された。太陽電波束は1月25日, 26日はそれぞれ94.9,93.5で太陽黒点数は33及び44であった。K-9M-81号機において得られた電子温度は高度100kmではほぼ中性ガス温度を示し, S-310-18号機においては高電子温度層が見られ, 層中の最大電子温度は700Kであった。両者の違いはSq電流系の目玉からの距離によるものと考えられる。
著者
平島 洋 山上 隆正 宮岡 宏 奥平 清昭 小玉 正弘
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.113-128, 1989-12

10km のオーダーの細部空間構造をもったオーロラ X 線像が, 二次元 X 線像観測装置によって1985年7月6日に北極域オーロラ帯のL=5.2の地点で観測された。同時に活発なオーロラが, 南極昭和基地付近の地磁気共役な位置に出現した。局所的な高エネルギー電子降下が, 沿磁力線電場の効果を定量的に評価することによって調べられた。捕捉電子が沿磁力線電場によって加速されることにより高エネルギー電子降下が十分に起ることが示唆される。
著者
林 友直 横山 幸嗣 井上 浩三郎 橋本 正之 河端 征彦 大西 晃 大島 勉 加藤 輝雄 瀬尾 基治 日高 正規
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.141-171, 1991-06

M-3SII型ロケットでは, M-3S型と異なり, 新たに装備されたサブブースタSB-735の性能計測等のために, サブブースタにテレメータ送信機を搭載した。また, サブブースタの分離状況を画像伝送するため第2段計器部に画像伝送用テレメータ送信機を搭載し, さらに3号機では新たに開発された第3段モータの性能計測のために, 第3段計器部を設けてテレメータ送信機を搭載する等の大幅なシステム変更がなされている。搭載テレメータ送信機で新規に開発されたのは, 画像伝送用テレメータ送信機で, M-3SII型ロケットの試験機であるST-735ロケットで予備試験を行い, 地上追尾系を含めて総合的に性能の確認を行ったのち, M-3SII型1号機から本格的に搭載された。地上系では, 第2段モータの燃焼ガスが通信回線に大きな障害をもたらす等の問題が生じ, 2号機から高利得の18mパラボラアンテナを使用し, 従来の高利得16素子アンテナに対する冗長系を構成した。また, 第3段目の機体振動計測データ等を伝送していた900MHz帯テレメータは3号機から送信周波数がS帯へ変更されたのに伴い, 地上受信アンテナとしてはこれまで使用していた3mφパラボラアンテナをやめ衛星追跡用10mφパラボラアンテナを使用する事となった。データ処理系では, 計算機によるデータ処理が本格化し, 姿勢制御系, 計測系, テレメータ系のデータ処理のほか, 従来のACOSやRS系へのデータ伝送に加えM管制室へもデータ伝送が出来るようになった。コマンド系では, 1&acd;2号機は従来と同様であるが, 3号機から第1段の制御項目等を増やす必要からトーン周波数を増し, コマンド項目を3項目から6項目にし, さらに操作上の安全性を向上させた。集中電源は, 充電効率や管理の点等から見直しをはかり, 従来M-3S型で用いられていた酸化銀亜鉛蓄電池に替わりニッケルカドミウム蓄電池が使用されるようになった。
著者
斎藤 芳隆 江澤 元 釜江 常好 窪 秀利 鈴木 清詞 関本 裕太郎 高橋 忠幸 田中 光明 平山 昌治 松崎 恵一 矢島 信之 山上 隆正 秋山 弘光 郡司 修一 田村 忠久 能町 正治 宮崎 聡 村上 浩之 森 国城 山崎 典子 EDBERG Tim
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.71-88, 1995-03

硬X線/γ線検出器Welcome-1 (mk2)の気球実験における方位角制御のために, リアクションホイールとよじれ戻しモーターを用いた制御方法による方位角制御システムを構築した。制御に用いた部品のパラメーターの評価, 地上, および上空でのパフォーマンスについて報告する。
著者
長野 勇 木村 磐根 岡田 敏美 山本 正幸 橋本 弘蔵 鶴田 浩一郎 川口 正芳 杉森 明志
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.77-91, 1991-03

EXOS-D衛星は1989年2月21日に打ち上げられ, その後伸展物の展開, 高圧電源の投入を経て, 観測態勢に入った。VLF装置によるプラズマ波動の観測は, 一部他の搭載機器との電磁干渉が見られるが, 概ね良質のデータが取得されており, PFX装置で観測されたオメガ信号及びホイスラ空電のk及びPoynting vectorの解析に成功している。また, WB受信機やMCA装置により, オーロラに関連したHissやfunnel typeのエミションのスペクトラムが観測されている。この様に, 概ね良質な波動データを取得できたのは, 次のようなEMI対策によるところが大きい。すなわち第1次噛み合わせにおいて, 全てのサブシステムを衛星に組み込んだ後に各サブシステムからの放射磁界雑音特性を測定し(システム全体により構成されるループからの放射も含む), その雑音強度がVLF班の測定対象としている波動のレベル(磁界センサーが検出できる最小レベルを基準にすることが望ましいが)を越えている場合, そのサブシステムについてEMI対策をお願いした。改修後, 単体によるEMI測定を行なった。更に, 第2次噛み合わせにおいて, 組み上げ後再度EMIテストを行なった。このようにして, 各サブシステムのPIのご協力により, 放射磁界干渉雑音強度を減少させることが出来た。しかし, 一部の搭載機器においては, その改修によるシステム全体に与える影響を避けるため, そして改修にかかる時間的制約のもとで, 干渉を減らす為の装置の改修を諦めざるを得なかった。本報告では, EXOS-Dの干渉試験を通して得られたいくつかのEMI対策方法や資料について述べる。また, 打ち上げ後の軌道上におけるVLF装置と他サブシステムとの干渉結果についても述べる。そして, これらの経験を通して作成された1992年打ち上げ予定の科学衛星(GEOTAIL)に於けるEMC規制値についても触れる。
著者
中川 貴雄
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.133-141, 1991-03

赤外線観測による星形成領域の最近の研究について, 概説を行う。太陽程度の質量を持つ星は, 分子雲中の高密度コア内で生まれる。高密度コアは乱流によっては支えられてはおらず, 10^5年程度の自由落下時間でつぶれて, 星を形成する。こうして形成された星は, 最初はダスト雲に包まれているために, 可視光ではみることができないが, 進化が進むにつれてダストが晴れ上がり, 可視光で見ることができるようになる。これらの若い星には, ディスク上の濃い雲が付随している。このディスクの存在は, 近赤外域での偏光観測や, 赤外域でのエネルギー分布などから要請される。IRASによって観測された若い星のエネルギー分布の変化は, ディスクをもった星のシステムが, 周りのダストを吹き飛ばしながら進化していくと考えれば説明することができる。中心星の周りのディスクは, 惑星系の形成に決定的な影響があるはずである。次世代の観測装置により, このディスクの直接的観測が可能になるであろう。
著者
斎藤 尚生
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.69-87, 1986-09

太陽光球面(γ=1 R_<&ofcir;>)には複雑な磁場が分布している。しかし太陽風がRADIALに吹き出す仮想的な球面(いわゆる流源面, γ=2.6 R_<&ofcir;>)まで離れると, 磁場分布は極めて双極子的になり, しかも流源面上では磁極が11年毎に「回転」反転することが実証された。流源面上でのこの系統的な変化の原因は, 勿論光球面磁場の大局的分布にあり, 特に回帰性地磁気嵐の現われる活動下降期には, 光球面緯度に, 観測し易い巨大斑磁場となって現われ, これが磁軸を傾けていることが分った(GBMR MODEL, GBMR=GIANT BIPOLAR MAGNETIC REGION)。さて今これらの関係を惑星磁場の成因に適用してみると, 流源面は惑星表面, 光球面は核表面に置き換えることができる。磁場が相対的に大きい水星, 地球, 木星, 土星の4惑星に対して, 水星の火山分布, 地球の低緯度HOT SPOT, 木星の大赤班が, 磁場の傾きに対して巨大斑磁場に対応する関係が見出された。従って太陽に関するGBMR MODELは, 少なくとも一部の天体の磁軸を傾けている原因を広く説明し得る可能性が生じてきた。