著者
池田 和彦 田中 敏夫
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.9-29, 1967-03-01 (Released:2010-06-04)

The geology in this area consists of such soft rocks as mudstone, sadstone, tuff and many crashed zone that landslides and collapses of a precipice has happened so freguently. For the purpose of the prevention of these disasters we surveyed thoroughly the geology and selected the root of the double line.This new line has resulted in boring of six tunnels (l=2660m, 1570m, 11355m, 3596m, 1055m and 3025m in length). It is anticipated that these tunnels pass through the swell ing rocks and strata with confined water and gar. sThe writer mentions the correlation about the geology as above mentioned with engineering works.
著者
金折 裕司
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.118-123, 2014-08-10 (Released:2014-11-26)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1
著者
吉川 恵也 田中 敏夫 三沢 清扶
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.66-80, 1968-06-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
3

We used tentatively a Rock Tunneling Machine on the bottom drift of Konoura Tunnel in Japanese National Railways (double track railway tunnel).The purposes of the test were the evaluation of suitability of the machine against geological condition and investigation of economical advantage of machine tunneling method.Rocks in the tunnel are mudstone and tuffacious mudstone which belong to Miocene, Tertiary, and then those compressive strength are 80 to 130kg/cm2 and those seismic speeds at the site are 1.8 to 2.2km/sec.The machine (bore diameter 2.3m) was Robbins type and was being built in the Komatsu Mfg. Co. it was successful on the test excavation. The total length of the excavating by the machine were 987.6m and rates of advance were 24.6m/day at maximum and approximately 350 m/month in average.This paper describes that:(1) Relation between cutter type and rock properties.(2) Relation between advance of excavation and rock properties.(3) Deformation of ground and surface of the drift after excavation on the machine and ordinary tunneling method.
著者
山岸 宏光 中筋 章人 野崎 保 平野 吉彦 中川 渉 安田 匡 棚瀬 充史 須藤 宏 三戸 嘉之 永野 統宏 小野 雅弘 安田 幸弘 濱 康之
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.192-202, 2007-10-10
被引用文献数
1 2

平成19年7月16日午前10時13分,新潟県中越沖の深さ17kmを震源とするM6.8の地震が発生し,新潟県柏崎市,長岡市,刈羽村,長野県飯綱町で震度6強の大きなゆれを観測するとともに,各地で大きな被害が発生した.日本応用地質学会では,いち早く先発隊として野崎北陸支部副支部長が17日に現地調査を開始し,22日にはその結果を速報としてホームページ上に公開した.ついで北陸支部(山岸支部長)が主体となり,学会本部の新潟県中越地震による土砂災害研究小委員会(千木良委員長)が支援する形で,現地調査を行うことが決定し,調査団を募ったところ13名のメンバーが参集した.現地調査は,8月3日に猛暑(36℃)の中で行われ,13日にはその成果をホームページに公開した.本報告は,今回行なった現地調査の中から,地震災害の代表的現象である液状化・斜面崩壊・地すべりなどを対象に,その状況と発生メカニズムについて検討した結果を報告するものである.
著者
中原 正幸 永田 聰 高木 圭介 Anwar MAKMUR
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.349-359, 2004-02-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
18

インドネシア共和国は, 構造地質的には島弧海溝系で構成される変動帯の中にあり, 日本と同様に複雑な地質構造を有している. 応用 地質的特徴としては, 熱帯気候下での岩石の著しい風化浸食, それを覆う火山堆積物, 広く分布する石灰岩の存在である. これらの地質的特徴が示す地盤特性によって, 地盤災害, あるいは土地利用などが特徴づけられている. ここでは同国での水資源開発の調査経験から, ダム開発, 地下水開発に伴う応用地質的現状を示すとともに, 現場での技術的対応事例について示した.
著者
近藤 達敏
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.340-345, 2000-02-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
8
被引用文献数
2

トンネル工事における工事費の増大や工事期間の遅延など難航の原因となる地質事象の有無を地質調査によって的確に予想することは土木地質における重要課題の一つである. しかしながら, 事前の地質調査の予想が実際と大きく異なりトンネル工事が難航する場合が多い. 地表地質踏査を主とする土木地質調査は, 野外やボーリングあるいは調査横坑などの地質露頭の観察に基づく帰納法的手法を主とするが, わが国における地質構造の複雑さと表土層や風化層の厚い条件のために必要な精度と分解能を有する地質図の解を一義的に求ることはきわめて困難と言える. 本論においては, トンネルにおける地質調査の主たる目的がリスク要因の評価ならびに地盤物性の評価にあることを明らかにし, 地質調査の的中精度を高めることを目的とした帰納的最適化地質調査法を提案している.
著者
氏平 増之 今野 久志 牛渡 裕二
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.2-15, 2013-04-10
参考文献数
17

本論文の一連の研究では,ケーブルセンサCSをスチールワイヤ内に巻き込んだスチールワイヤ型ケーブルセンサ(SWCS)の現場適用化試験を行っている.SWCSの重量はセンサ長が長いとかなり大きくなる.緊急時の使用にはSWCSより軽量のセンサ開発が望ましい.ここでは,繊維ロープ内部にCSを巻き込んだ繊維ロープセンサ2種類(TRCS-I,II)を試作した.これらを防護ネットに一定間隔で固定する方法を想定し,2点で固定した条件下で一定の衝撃を与え,出力電圧波形の特徴,引張りひずみ下での感度変化を調べた.繊維ロープセンサはSWCSに比べ,単位長さ重量が各13%,23%と軽く,緊急時に急いで落石頻度の計測体制を整えたいような場合に有用と考えられる.本研究で明らかになった主要な点は以下のようである.(1)国道の覆道上部平坦面にSWCSを敷設して行った落石検知計測では落石により±1,500mVの出力電圧波形が得られ,同様の計測手法は,国道の通行止め,解除等の判断に役立つと考えられる.(2)SWCSより軽量なTRCS-I,IIの出力電圧波形の±ピーク値と引張りひずみの関係は,ひずみ<I>ε</I>≦2%の初期段階では出力電圧が若干増加する傾向,<I>ε</I>=2~9%でほぼ一定,<I>ε</I>>9%では漸減する傾向がある.10%付近の大きいひずみレベルまで感度を保持しており有用といえる.
著者
竹村 貴人 斉藤 奈美子 池野 順一 高橋 学
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.160-164, 2009 (Released:2013-03-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1

近年の急速な産業技術の発展に伴い, レンズやシリコンウェハなどの先端材料の精密加工の需要が非常に高まっている. そのような背景のもと, 砥石は物作り産業をはじめとする産業技術の基盤を支える重要な道具の一つであることはいうまでもない. しかしながら, 天然砥石の合砥と呼ばれる仕上げ砥は, 未だに人工的に造られた人工砥石よりも優れた研削性能を持つものもあるとされており, 現在でも日本刀や和包丁など刃物の研ぎ師が好んで使っている. ここでは, このように優れた研削性能を持つ天然砥石, とくに合砥に関する情報を人工砥石に取り入れることを目的として, 合砥の内部構造の特徴を応用地質学的な視点を交えてまとめた. その結果, 質の高いとされる合砥はサブミクロンオーダーの空隙が多く存在していることが明らかになった.
著者
稲垣 秀輝
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.196-206, 1999-10-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
10
被引用文献数
3 7

1998年9月21, 22日にかけて台風8号, 7号が本州に上陸し, 中部地方を中心として大きな風災害を引き起こした. とくに, 岐阜県七宗町では台風が通過して二, 三日後に集中豪雨が発生し, 台風で緩んだ地盤の多くの箇所で表層崩壊が発生し, それを引き金とした土流災害が起こった.ここでは, 台風による風被害が山地森林の新しい植林地に集中していたことを述べるとともに, 風倒木による地盤の緩み状況を調べ, それがその後の豪雨による表層崩壊を発生させた原因であることを示す.森林植生の違いが斜面地盤の安定性にどう関与しているのか研究成果が少なく, 不明な点が多いのが現状である. 一般的には, 保水, 土壌侵食防止効果が高く, 根系による地盤の緊縛効果, 杭効果が総合的に発揮される壮年期の混交, 複層林が有利とされている1). 今回の研究成果はこれらのことを裏付ける結果となった. 以下に調査の結果をまとめて示す.1) 調査地においては風倒木被害は植林に集中しており (40~60%の被害), 広葉樹の林では被害が少ない (1~2%の被害).2) 倒伏の被害の大きかった植生は, 基盤岩が1m以浅に位置し, 根鉢の深さが制限される地盤であった. また, 植林で間伐の行われていないところについても倒伏被害が多かった. これは間伐の行われていないところは根系の発達が悪かったためと推定される.3) 風倒木のあった植林の地盤は, 表土のNc値が2以下と緩んでいることが明らかになり, 倒伏被害のなかった広葉樹地盤ではその緩みはほとんどなかった.4) 風倒木地盤で表層崩壊が発生したのは, 地下水や表流水の集中しやすいやや沢地形の部分であった.5) 倒伏地盤の斜面崩壊は風倒木を多量に含んでいるため, 多くの土石流を発生させやすいと考えられる.
著者
後藤 繁俊 鈴木 恵三
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.143-148, 2011 (Released:2013-03-31)
参考文献数
16

前弧海盆に堆積したストーム堆積物主体の宮崎層群の砂岩と泥岩において, 最近の地質年代学的な研究成果を基に各部層の代表的な絶対年代を検討し, 続成作用の進行度に関係の深い岩石の一軸圧縮強度との相関図を作成した. その結果, 新しい佐土原層(3.7Ma)においては, 砂岩より泥岩の方が大きい強度を示すものの, 生目層相当層(4.5Ma)より古い地層では両者の関係が逆転して泥岩より砂岩の強度の方が大きいことが判明した. さらに, 砂岩は泥岩より強度増加率が高いため, 時代が古くなるほど砂岩と泥岩の強度差は拡大することが判明した. また, 今回求まった宮崎層群の砂岩と泥岩における絶対年代と一軸圧縮強度の相関図から, その地点に分布する宮崎層群の絶対年代(部層名)に基づいた適切な設計強度の設定が可能になると考えられる.
著者
大野 博之 小島 圭二
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.295-302, 1988-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
17

For modeling groundwater flow and mechanical responses of fractured rock mass, to grasp the characteristics of fractures is essentially needed. Recently, the concept of fractal has been applied by some researchers to describe the fracture system. In this study, the authors report a statistical approach made to check the adaptability of the concept of fractal to the fracture system.The lengths of fracture-traces, apperently seen on the surface of rock mass, were measured by sketching and utilizing data of linearment analysis, while the widths of fracture-traces recognized on geological logs and maps were guaged. The measured data of fracture-traces were statistically processed to determine the distribution functions in large and small scales, then, cumulative-frequency curves were examined.Although log-normal distributions were commonly observed for any measured scales, detailed discussion on scale effect in measurement led us that the measurement error and loss of information became larger as the size of fracture-trace became smaller or larger relative to average value of the resolution of human eyes and the objective scales. Removing such effects, the distribution of measured data within a scale was deviated from log-normal, but was correlated approximately by power distribution, indicating that the fracturetraces possibly distribute obeying so-called “Fractal distribution”. The authors prospect that this fact might be useful for estimating reasonably the distribution and the characteristic factors of fractures of any scale from the measurements at available scales.
著者
Shuichiro YOKOTA Akira IWAMATSU
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
Journal of the Japan Society of Engineering Geology (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.193-201, 1998-06-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
17

鹿児島湾に面して急崖をなす竜ヶ水地区では豪雨時に崩壊や土石流が頻発している. これまで漠然としていた急崖構成層の分布形態や水理特性について, 台地上からのボーリング調査結果を中心に地表踏査や電気探査の資料をも併せて検討した.その結果, 火山岩類, 火砕岩類と堆積岩類の急崖での正確な分布形態が把握でき, 層状をなす各岩層はボーリング・コア状態から透水層と難透水層に識別できた. それらは急崖に対して受け盤に近い地質構造をなすこと, 透水層と難透水層は交互に重なっていること, 顕著な断層は存在しないこと等が明らかになった. これらは, ボーリング時の孔内水位の低下過程や電気探査による比抵抗分布によっても裏付けられる.このような地質構造に基づけば, 台地面への降雨水の大半は急崖側とは違った方向に流下すると推定され, これは急崖河谷での流水の少なさとも対応している. ただし, 透水層部分では, 強雨時には地下水位の上昇に伴い, 崩壊・土石流の誘因となる急崖側への湧水も可能性がある.
著者
小島 圭二 大塚 康範 大野 博之 軽部 文雄 土屋 彰義 徳永 朋祥
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.126-139, 2009 (Released:2013-03-31)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

東京湾沿岸の地域開発/自然の人工改変の変遷の50年を振り返り, この人工改変に地質工学がどのように対応してきたか,基盤の科学・技術である地球科学と地盤工学の論理と知見を取り込み, どのように地質工学の論理体系を作り上げてきたのかを示した. すなわち, 地盤図を地盤地質図にするための論理の転換を行ったこと, ナチュラルアナログの論理を用いて地盤物性を求める手法を示したこと, 地層への物性の組み込みや地盤物性の劣化の論理を展開してきたことなどを, 事例を挙げて示した. これまでの50年の成果を踏まえ, 今後は, 自然の現象論・地盤の物性論・方法論の3つの基本論理とそれらを統合した地質工学を発展させていくことが重要である. 具体的には, シークェンスやナチュラルアナログの論理や手法の展開, また, 地層への4次元物性組み込みの論理の展開, すなわち地盤スケールの物性を求めること, 広域かつ長期の時系列データから自然の地盤特性を評価すること, そして人工改変の自然への影響を予測するために, 自然現象の変化を, 広域かつ同時に把握するツールの開発などがある.
著者
藤井 幸泰 渡辺 邦夫 村上 和哉
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.258-264, 2007-12-10
被引用文献数
4

古シルクロードに位置するタジキスタン共和国アジナ・テパ仏教遺跡の修復・保存活動が,ユネスコ文化遺産保存日本信託基金によって行われている.2006年の活動の一環として,遺跡の修復・保存を目的とした現況の記録作業が行われた.記録作業には写真測量技術を適用し,倒壊の危惧される六つの壁の三次元可視化と,遺跡の地形図作成が行われた.その結果,写真測量技術が現況の記録および修復プランの計画に大変有効であることが明らかとなった.壁の三次元可視化は,断面線などから浸食の状況を把握し,倒壊の危険性の客観的判断に利用できる.また精度の高い地形図は,修復プランの計画や,今後の経過報告として利用される予定である.
著者
佐川 厚志 相山 光太郎 金折 裕司 田中 竹延
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.78-93, 2008-06-10 (Released:2011-11-04)
参考文献数
30
被引用文献数
3 5 4

徳佐-地福断層北東部と迫田-生雲断層中部の性状および活動性を明らかにする目的で, 地形判読, 断層露頭調査, トレンチおよびボーリング調査を実施した. 徳佐-地福断層北東部のトレンチ調査に基づくと, 断層の最新活動時期は10,800~3,400年前となる. 既存のトレンチ調査での14C年代値を再検討した結果, 断層全域 (長さ約35km) が6,300~5,200年前に同時に活動した可能性が出てきた. 一方, 1997年山口県北部の地震 (Mj6.6) の震央から南西約10kmで実施した迫田-生雲断層中部のトレンチ調査により, 断層の最新活動時期は14,500~8,500年前と見積もられた.これらの最新活動時期と既存の研究からのデータを組み合わせると, 迫田-生雲断層から徳佐-地福断層を経て, その南西に隣接する大原湖-弥畝山西断層系を構成する木戸山西方断層へと, 断層活動がマイグレーションする傾向が認められた.
著者
原口 強 中田 高 島崎 邦彦 今泉 俊文 小島 圭二 石丸 恒存
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.306-314, 1998-08-10 (Released:2010-03-25)
参考文献数
3
被引用文献数
6 13

未固結堆積物を定方位で連続的に採取する方法として独自に考案・開発した地層抜き取り装置と, 建設現場ですでに確立している鋼矢板打ち込み工法を組み合わせた定方位連続地層採取方法を提唱する. 本方法の原理は, 2つに分割したサンプラーを2段階に分けて地層中に差し込んで地盤中で閉合した断面を完成させ, それを同時に地盤から引き抜くことにより, その間に挟まれた地層を定方位で採取する方法である.本方法は, 活断層調査の現状における様々な問題点を克服するために開発されたもので, 2つの事例 (糸魚川-静岡構造線活断層系・神城断層と東京都旧江戸川) を示す. 糸魚川-静岡構造線活断層系・神城断層では幅35cm, 厚さ12cm, 深さ約11mの連続する定方位地層断面を2本採取し, 急傾斜する地層を切る小断層がとらえられた. 東京都旧江戸川では水深5mの川底から深さ約9mにわたって完新世の軟弱な未固結堆積層を幅30cmの地層断面として採取し, 縦ずれ量約25cmの連続する正断層状の地割れを含む地層断面を採取した. これらの採取結果から本方法が, 軟弱な未固結堆積物の定方位連続地層採取方法として広範に有効であることが明らかとなった.