著者
小畑 千晴 中島 富美子 青木 宏
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.27-34, 2020-03-10 (Released:2021-07-16)
参考文献数
4

本研究は,若者のストーカー被害の実態調査を行ったその報告である。警察庁によれば,ストーカー被害相談が増加している。特に被害者の4割が20代であるが,以前より暗数が多いことが指摘されていた。そこで,大学と警察が協力し,県内の大学生を対象にストーカー被害の実態調査を行った。その結果,7人に1人が被害にあっていることが判明した。
著者
上田 穂積
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.B1-B11, 2018-03-09 (Released:2019-02-20)
参考文献数
4

本稿は、一九六〇年代後半に新進気鋭の評論家として出発した柄谷行人のテクスト「マルクスその可能性の中心」を手引きにして村上春樹の「風の歌を聴け」を読むことによって、ふたりの関係性および同時代の言説の問題を論究した。
著者
秦 裕也 藤崎 ちえ子
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.93-100, 2018-09-09 (Released:2019-02-20)
参考文献数
4

本稿は,通級に通う不登校ぎみの小学校1 年男児のプレイセラピーの事例を通して,セラピールームでの児童の行動化への対応と課題を検討したものである。児童は発達の緩やかさから学校での劣等感を抱え,それがセラピーでの攻撃行動に表現されていたと思われる。また,セラピー経過の途中より,母親の恋人との問題が浮上し,児童の攻撃行動が学校での人間関係だけでなく,家庭の問題とも関係している可能性が考えられた。しかし,セラピストは「受容的な関わり」に捉われたあまり,攻撃行動に対して明確な枠組みで制限を加えることができなかった。そのため,なかなか攻撃行動は収まらなかったと思われる。事例を通して,限界を超えた行動に対しての明確な枠を設けることの重要性を検討した。
著者
鍛冶 博之
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.33-42, 2021-09-30 (Released:2021-10-21)
参考文献数
28

鍛冶〔2018〕では,大正期末期から昭和戦前期に出現した娯楽(レジャー)のひとつであるパチンコに注目し,パチンコが日本社会に誕生した経緯と,戦前期におけるパチンコブームの到来と停滞の動向を明らかにした。本稿はその続編であり,戦前戦中期にパチンコが普及した背景とその影響(もしくはパチンコ出現の意義)を考察することを目的とする。鍛冶〔2018〕および本稿での諸考察を通して,戦後におけるパチンコの巨大産業化と大衆レジャー化の礎が,既にそれ以前の日本社会において醸成されていたことを明確にできると思われる。
著者
鍛冶 博之
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.185-196, 2018-09-09 (Released:2019-02-20)

本稿の目的は,筆者がこれまでの研究活動で取り組んできたテーマである「パチンコホール企業改革に関する史的研究」の成果を整理しつつ,パチンコ産業研究の現状と課題を明らかにし,今後の研究活動の方向性を示すことである。本稿は,筆者自身のパチンコ産業史研究の中間報告としてのみならず,学術分野におけるパチンコ産業研究の深化の必要性を強調する役割も担う。第1 章ではパチンコホール経営の現状について数値を活用しながら概観する。第 2 章から第5 章では筆者の研究活動の成果と位置づけを試みる。第6 章では本稿での考察を踏まえて,今後の研究活動の課題と展望に言及する。
著者
吉川 友規
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.89-97, 2019-09-30 (Released:2021-01-09)
参考文献数
1

本論文は,被告人がスマートフォンのOSを改変し,ネットオークションを通じて販売したという事案に関して,商標権侵害罪(商標法78条)の成立が肯定されるかが争われた千葉地判平成29年5月18日判例時報2365号118頁を契機とした事例研究である。 本論文では,まず,Ⅱにおいて民事の商標権侵害概念について確認した上で,次に,Ⅲ.1.において民事の判例が言及し,本判決も用いている「実質的違法性」(の欠如)の概念を刑事の犯罪論ではどのように扱うべきかを述べた。そして,Ⅲ.2.において商標権侵害罪の構成要件をどのように解釈するべきかについて,商標権侵害罪の罪質を危険犯として理解するべきか,侵害犯として理解するべきかという点(Ⅲ.2.⑴)と,商標権侵害罪の実行行為をどのように理解し,スマートフォンのOSを改変して販売する本件のような事例においては,その実行行為をどのような基準によって認定するべきであるかという点(Ⅲ.2.⑵,⑶)からそれぞれ検討を行い,最終的に,本件事例における商標権侵害罪の成否について明らかにした。最後に,Ⅳにおいて,本判決の妥当性・意義について言及した。
著者
川東 美菜 藍場 元弘 戎谷 友希 河野 友晴 柳澤 幸夫 橋田 誠一
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.23-33, 2018-09-09 (Released:2019-02-20)
参考文献数
31
被引用文献数
1

【背景】食後高血糖改善を目的に,食後の運動が推奨されている。しかし,高齢や運動機能に問題があり積極的に運動を行えない人が多く存在する。そこで我々は,電気刺激療法による筋肉運動に着目し,食後の血糖値およびインス リン分泌の抑制効果について検討を行った。【方法】対象者は健常な女子学生9 名(年齢:20.8±1.3 歳,BMI:22.5 ± 3.2 kg / m 2)。それぞれ,安静,20 分間電気刺激(EMS)および20 分間トレッドミルによる歩行運動(TM)を行い,75 g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)後の血糖値とインスリン分泌を検討した。【結果】血糖値は,安静時と比較し,EMSおよびTMで同程度の低下傾向がみられた。インスリン分泌量も同様に,EMSはTMと同程度またはそれ以上の低下傾向を示した。【結論】EMSはTMと同じような食後血糖値およびインスリン分泌の抑制効果が確認できた。 EMSはTMよりも簡便かつ低い運動強度で実施できるため,十分な運動が行えない対象者への適用が期待される。
著者
山田 健代 森脇 智秋
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.35-41, 2021-03-31 (Released:2021-07-19)
参考文献数
30

本研究では妊娠期の「疲労感」に着目した。妊婦の疲労感は妊娠中のマイナートラブルの一つとして見過ごされ,医学的には問題がないとされることが多い。健康でより快適な妊娠期を過ごすため,「疲労感」に着目しその実態を把握するために文献検討を行った。医学中央雑誌Web版を用い,妊婦の疲労感に関する21文献を分析した。妊婦の90%以上が全妊娠期間を通して疲労感を感じていた。妊婦の疲労感の原因は妊娠に起因するものと考えられることが多く,ほとんどの妊婦が疲労感を感じながら妊娠期を過ごしていた。妊婦の疲労感に関連する身体的,社会環境要因については多くの研究がなされていた。今後の課題として,妊婦の疲労感と心理的要因との関連を明らかにしていくことの必要性が示唆された。
著者
土中 幸宏
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.67-76, 2021-09-30 (Released:2021-10-21)
参考文献数
16

人々が美術館,博物館に集うのはなぜか。美術品を鑑賞することの魅力は何なのか。徳島県は大塚国際美術館という日本最大の常設展示スペースを有する陶版名画美術館を有しており,西洋美術史の代表名画の数多くを原寸大の陶板で展示し,毎年,多くの鑑賞者が県内外から訪れている。そうした作品の持つパワーとは何か。絵画を見ることで生じる心理的効果とはどのようなものか。太古から音楽,絵画,舞踏等人々が織り成す芸術・芸能は,鑑賞して楽しむだけではなく,精神の解放あるいは魂の救済に機能してきた側面がある。現代においても,心理療法の枠組みで芸術療法は重要な位置を占めていると言える。本研究では,芸術と心理療法との関わりを歴史に沿って概観した上で,絵画鑑賞が人の思考に及ぼす影響を検証するための調査を実施した。その結果,絵画を媒介にすることで思考内容のイメージが広がり,過去のエピソード記憶の想起が円滑になることが示唆された。
著者
佐藤 理沙 松村 豊大
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.97-106, 2017

<p>人口減少を食い止めるために徳島県が策定した「vs東京『とくしま回帰』総合戦略」政策を参照し<b>,</b>人口減少問題は私たち世代の若い世代が解決すべき問題であるという視点を持った。徳島県は全国に先駆け<b>,</b>「人口減少・超高齢社会」の到来が現実のものになると予想されている。人口が減少すると労働力人口が減少し<b>,</b>経済成長・経済活力が減退したり<b>,</b>次世代を担う世代の減少により<b>,</b>伝統行事や文化の継承が次第に困難になることなど<b>,</b>様々な問題を引き起こす。今まで人口減少問題とはどこか他人事のように思っていたが<b>,</b>身近な問題に感じ<b>,</b>若い世代が結婚・子育てをするためにはどのような政策を求めているのか<b>,</b>また<b>,</b>何が必要なのかを「若者目線」から分析した。特に<b>,</b>県の政策の実現性を考察し<b>,</b>出産することができる若い世代の女性の意見を重要視し<b>,</b>政策に反映させることが重要であると主張する。</p>
著者
藤崎 ちえ子
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.1-8, 2018

<p>本研究の目的は<b>,</b>小学校の校長・教頭(副校長)と一般教師のバーンアウト傾向とエゴグラム自我状態による性格 傾向との関係を調査することで<b>,</b>バーンアウト対策に活かすことである。エゴグラムの結果<b>,</b>FC値は校長<b>,</b>一般教師の順に低く<b>,</b>AC値は教頭<b>,</b>一般教師の順に高かった。バーンアウト因子は「情緒的消耗感」と「達成感の後退」の全体において校長・教頭が一般教師より高かった。さらに校長ではCP<b>,</b>NPはバーンアウトの値との負の相関<b>,</b>校長と教頭ではACは正の相関がみられ<b>,</b>性格傾向とバーンアウトの相関関係は職位によって異なることがわかった。し たがって<b>,</b>性格傾向によるバーンアウト対策は<b>,</b>職位を考慮して立てて行く必要があると思われる。</p>
著者
小板 清文
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.21-33, 2019

<p>本稿は,公的な犯罪統計を用いながら,非行少年のうち,受刑者にまで至っている者の比率を調べることで,少年非行と成人犯罪との連続性について調べた。また,年齢犯罪曲線(age-crime curve)に関する国内外の研究をまとめた上で,最新の犯罪発達理論(developmental and life-course criminology),生物社会学的犯罪学(biosocial criminology)の研究動向,脳科学の知見についても把握した。年齢犯罪曲線に関する研究は,ヒトの発達や社会的な成熟とも深く関連している興味深い研究分野であり,社会的な逸脱行動の理解やそれへの対応を考える上で,総合的・学際的な分析・検討の視点を必要とする,重要な研究分野と考えられる。</p>
著者
黒澤 良輔
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.113-122, 2017-09-09 (Released:2018-04-18)
参考文献数
15

アメリカ精神医学会による「精神疾患の分類と診断の手引き(DSM-5)」によっていくつかの診断基準が変更され,「広汎性発達障害」は「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」となった。 本研究は,大学生における自閉症スペクトラム(Autism Spectrum:以下ASという),大学生活における支援ニーズ及びエンプロイアビリティ(雇用されうる能力)の関係について分析しようとするものである。 約200名の大学生に対して,AS質問紙,支援ニーズ質問紙,エンプロイアビリティ質問紙を実施し,得られたデータを因子分析及びクラスタ分析によって分析した。 その結果,(1)AS特性の高い者は,大学生活において困難を感じやすい,(2)AS特性の高い者は,エンプロイアビリティが低い,(3)AS尺度得点,及びエンプロイアビリティ尺度得点の組み合わせによって学生を5グループに分けることができ,AS特性が高くエンプロイアビリティが低い者は全体の約8%であることが認められた。
著者
安田 幸子 上田 伊佐子 森田 敏子
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.15-28, 2018

<p>本研究の目的は<b>,</b>高等学校5 年一貫校専攻科で学ぶ看護学生の看護倫理に関する思考の特徴を見出し倫理教育への課題を明らかにすることである。5 年一貫校専攻科の看護学生を対象に①宗教上の理由からの輸血の拒否<b>,</b>②出生前診断による選択的人工妊娠中絶<b>,</b>③脳死者からの臓器移植<b>,</b>など6 状況を設定し<b>,</b>倫理上の諸問題の思考の特徴を見出す質問紙調査を行った。学生の価値基盤は倫理原則であったが<b>,</b>倫理的根拠ではなく自己の感情による判断の可能性があり多角的な思考ができていなかった。さらに<b>,</b>10 名を対象とした半構造的面接を行い<b>,</b>倫理的問題と認知した要因として<b>,</b>【倫理的問題の認知の基盤】<b>,</b>【認知の仕方】<b>,</b>【感情】の3 カテゴリーが形成された。学生は看護観<b>,</b>学習内容との比較<b>,</b>患者の言動<b>,</b>患者の立場の想像から倫理的問題を捉え解釈し思考していたことから<b>,</b>倫理教育に関する課題は倫理に関する知識の確実な獲得と看護観の深化<b>,</b>感受性豊かな学生に育成することが示唆された。</p>
著者
宮澤 友輔 梅原 麻子 平島 由絵 林 しの 塩田 洋 橋田 誠一
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
no.77, pp.19-28, 2009-03

We developed highly sensitive enzyme immunoassay for insulin that allowed the measurementof insulin in urine and dried blood on filter paper. As a result of having comparedurinary insulin with blood insulin after OGTT, serum insulin levels by dried blood on filterpaper at 60 minutes were significantly correlated with total urinary insulin value during120 minutes (p<0.01).Subsequently we compared an insulin level in the morning urine from three groups ofnon-diabetic non-obese subjects, non-diabetic obese subjects and the diabetic patients,respectively. The total insulin value in urine of the non-diabetic obese subjects was significantlyhigher than both of non-diabetic non-obese subjects and the diabetic patients(p<0.05). On the other hand, by the correction with the urinary creatinine, the increasethat was more significant than non-diabetic non-obese subjects was found in both of nondiabeticobese subjects and the diabetic patients (p<0.01).From these results, urinary insulin in the morning is a good marker for the risk of diabetesmellitus and may be effective in determining which patients need exercise guidanceand nutritional education.
著者
小川 フェネリーひとみ 上田 伊佐子 森田 敏子
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.73-82, 2017-09-09 (Released:2018-04-18)
参考文献数
24

本論は,文献に示された「よい看護師」が身に付けているものは何かを明らかにし,徳の倫理に着目した考察を加えることにより,看護基礎教育における倫理教育への示唆を得ることを目的とした。医学中央雑誌Web版で1983年~2017年2月において「よい看護師」のキーワードで検索すると,原著論文9編が抽出された。調査対象は看護師3件,看護学生2件,患者や遺族2件,看護教員1件,教科書の内容変遷1件であった。「よい看護師」が身に付けている倫理の視点として【体験の自省】,【行為と判断の倫理原則】,【徳の倫理】,【公共の善】が形成された。日本で看護教育が始まって以来,教科書には,人としての特質と専門職としての特質,徳の倫理が記されていた。「よい看護師」の育成には,徳の倫理を基礎とした専門職としての知識・技術・態度の育成と倫理原則の育成の重要性が示唆された。
著者
清本 奈々恵 松村 豊大
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.161-180, 2017-09-09 (Released:2018-04-18)

本論文では,平成18年徳島市中心市街地活性化基本計画が,なぜ効果のない計画であるかを,総務省(2004)「中心市街地の活性化に関する行政評価・監視結果に基づく報告書」と経済産業省産業構造審議会中心市街地活性化部会(2013)の「中心市街地の再活性化に向けて(提言)」により評価・検討する。その検討結果や足立(2011)の中心市街地の衰退や商店街などのシャッター通り化の再生に必要な六つの要素を基に,徳島市の計画を評価・検討した結果や街の現状・ニーズの把握を基に,徳島市や地域住民はどうすべきかを,徳島市の特性を活かした中心市街地活性化政策を提言した。特に,徳島市中心市街地活性化基本計画が効果のない計画であるのは,現状や地域住民等のニーズの把握が不十分であるために,目標の設定や事業の選定の不適切が原因であると主張する。
著者
岡林 春雄
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.109-116, 2018-09-09 (Released:2019-02-20)
参考文献数
22

平成30 年度に心理学では,国家資格の養成制度がスタートする。そのような中で,心理学教育をあらためて考える必要が出てきた。科学としての心理学の歴史,そして,これまでに心理学に起こった資格制度の絡む混乱を検討することによって,心理学教育にあたっては,①応用型の学力観をもち,学習者に向き合い,人間教育を忘れずに行うこと,②心理学理論が出てくる背景を方法論とともに理解し,自分の都合での勝手な解釈・判断を排除すること,③学習者の主体性を重視し,学習者が成長するきっかけを与える教育をすること,④大学前教育(高校教育等)で心理学を行う場合,心理作用のメカニズムに言及し,学習者の人間関係のさらなる向上を目指す教育が必要である,といったことが提起された。
著者
長弘 千恵 小笹 美子 仲野 宏子 橋本 文子 森脇 智秋 古川 薫 外間 知香子
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.63-70, 2018

<p>子ども虐待の相談件数は2016 年度12 万件と年々増加し<b>,</b>虐待による死亡数も改善しない状況である。行政保健師は<b>,</b>地域内の全妊婦に関わり妊娠届時から長期的視野に立って早期発見・早期対応することが可能な職種である。妊娠届出と母子健康手帳の交付は子育て支援のスタートであり<b>,</b>これらに携わる保健師の支援について今までの研究で明らかになった活動内容を活用して支援の方向性を検討することを目的で文献検討を行った。方法は<b>,</b>保健師が行った妊婦に対する子ども虐待予防や早期対応に関わる子育て支援についてデータベースを用いて検索し<b>,</b>妊娠届出からの支援活動に関する21 文献を検討した。結果は<b>,</b>妊娠届出の時点で要支援家庭であるか否かのふるい分けが可能であり<b>,</b>妊婦の背景を踏まえた早期対応で虐待予防が可能であることが示唆された。今後の課題として<b>,</b>妊娠届出時の情報内容と情報活用法と多機関多職種との細かな連携の必要が示唆された。</p>