著者
篠原 稔和
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.606-617, 1999-12-01

「情報」と「デザイン」を総合的に捉える新しい分野である「情報デザイン」が注目を集めている。本稿では,情報デザインの概要を捉えると共に,今まさに情報デザインが求められている分野について解説する。また,情報デザインの具体的な適用例として,Webサイトのデザイン/構築における「情報アーキテクチャ」,「Webサイトエンジニアリング」,「ユーザビリティ」といった実践手法と,情報デザインをWebデザインに展開する上で指針となる「Webデザインガイドライン」を紹介する。最後に,情報デザインに必要なスキルを考察するとともに,情報関係者の果たす新しい役割について論じる。
著者
平山 亮
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.307-311, 2006-07-01
被引用文献数
1

ISO規格およびJIS規格として標準化されている情報検索プロトコルZ39.50,図書館相互貸借プロトコルILL,電子的文書交換プロトコルGEDIについて概観する。続いて,次世代の情報検索プロトコルとして米国議会図書館の標準化グループで検討が進むSRW, SRU, CQLについて解説する。また,SRWの拡張機能として策定されたXML化画像検索プロトコルについて解説する。書誌だけでなく,資料そのものも電子化して,インターネットを通じて世界中に公開されるワールドライブラリー時代において,プロトコル標準化の果たす役割が大きいことを論じる。
著者
上岡 真紀子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.278-284, 2008-06-01
被引用文献数
1

本稿は,大学図書館における評価活動の事例として,慶應義塾大学の利用者調査ワーキング・グループの活動を紹介するとともに,2007年度に実施した学習支援の方向性を探るための大学1,2年生に対するフォーカス・グループ・インタビューについて報告する。データの分析は,質的データを分析する手法であるグラウンデッド・セオリー・アプローチによって行った。その結果,「場としての図書館」と「学習支援」の2つのカテゴリと,(1)一人で勉強するための場所,(2)一緒に勉強するための場所,(3)安全で快適な空間,(4)飲食,(5)図書館サービス全般,(6)学習に必要なモノ,(7)読むための資料,(8)図書館のウェブサイト,(9)欲しい情報,(10)情報リテラシー教育,(11)人的支援の11のサブカテゴリが抽出された。
著者
光富 健一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.816-823, 1993-09-01
被引用文献数
1

主題情報の組織化のために,私たちはNDC,DDC,LCのような分類法を使っている。また事後対応づけ索引としてさまざまなシソーラスが使われている。しかし,これらの分類表と統制語彙集を構築する理念には一貫性がなく,機械検索に対応する必要かつ十分な情報組織化の道具であるとは決して言い難い。この論文では,情報組織化のためにファセット理論が如何に重要であるかを,BC2を例として記述する。BC2はファセット理論によって構築されたシステマチックな分類表であるが,その表はシソーラス構築の基盤としても応用されることを暗に示唆する。
著者
杉山 智章
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.248-253, 2008-05-01

Amazonが提供するAPIであるAmazon Webサービスは,アソシエイト・プログラムと組み合わせて利用できる。図書館などのWebサイトは,これらを自館のリソースとマッシュアップすることにより,新たなサービスを創出する可能性を持っている。本稿では,その基本技術となる図書表紙画像の表示の仕方について述べる。Webサーバに実装するためのPHPスクリプトをオープンソースで作成し,その解説を行う。また,Amazonの商品コードのASINとISBNとの関係について,ISBN-13とISBN-10の併存の状況を取り上げる。そのことによる,プログラム作成上での変換方法や問題点についてもPHP関数を作成し解説する。
著者
紙谷 五月 野中 雄司 杉田 茂樹
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.610-614, 2008-12-01

An institutional repository does not have its own power to attract large users, but commends user navigations to external service providers. Academics are assumed to be the primary users of institutional repository. Therefore, to gain their access, it is important to make the repository contents discoverable and accessible within their day-to-day research behavior. We have implemented "AIRway" system which is designed to be yet another knowledgebase for link-resolvers. This paper describes its functions and the usage.
著者
林 和弘 門條 司
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.94-99, 2002-02-01
被引用文献数
5

日本化学会の定期刊行物の状況を紹介すると共に, 1993年の全文SGML化から1999年の有料公開までを含めた電子ジャーナル化ならびにJ-STAGEへの搭載までの経緯を解説する。一方これまでの構造化文書の運用における問題点の考察を加え, 一つの解決策としてTeX-3B2システムを紹介する。更に構造化文書の運用における潜在的な難しさを構造化エントロピーの概念を用いて解説し, 電子ジャーナルサービスの裏側に隠されているコスト要因を指摘すると共に, 健全なビジネスモデルを持つ電子ジャーナルサービスの難しさについて考察する。
著者
樫村 雅章
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.378-383, 2006-08-01

文化財としての価値の高い貴重書からデジタル画像を得る際には,資料の安全を最も重視して使用機器や方法を検討すべきである。デジタルファクシミリ用画像の入力では,ページ面への機器の接触を伴わない,カメラを用いたワンショット撮影で画像を得る方法が望ましく,1冊で数百ページ分に及ぶ作業の効率の面でも有利である。今回は,ワンショット撮影による2つの方法,すなわち,フィルムを用いた間接的な方法とデジタルカメラによる直接的な方法を,比較しながら概説する。また,貴重書のデジタル画像入力のために開発された専用装置の例を紹介する。
著者
土屋 俊
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.68-72, 2002-02-01

1990年代末における電子ジャーナルの急激な普及は, 21世紀の学術コミュニケーションの世界の変貌を予兆する画期的な出来事であったが, 日本の関係諸方面における対応はその動きに遅れた。この状況を, 19世紀以来の近代的学術コミュニケーションの展開および20世紀後半の情報通信技術の発達とのふたつの流れのなかで位置づけたのちに, 2000年から2001年における日本における対応状況を紹介して, 今後の展望・課題を述べる。
著者
宮入 暢子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.92-98, 2024-03-01 (Released:2024-03-01)

社会のデジタルトランスフォーメーションが進む現在,デジタルアイデンティティの必要性が国際的に重要な議論となっている。自己主権型や分散型といった新しいアプローチによるデジタルアイデンティティのフレームワークは,社会経済基盤だけでなく,学術コミュニケーションのエコシステムにも影響を与えようとしている。本稿では,新しいデジタルアイデンティティの基本概念について先行モデルとの比較とともに概観し,研究者識別子が新たなモデルを採用することにより得られるメリットについて検討する。
著者
小山 孝一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.17-22, 2010-01-01 (Released:2017-04-25)
参考文献数
3

放送番組はその時代で最新の媒体を使ってきており,テレビ番組のアーカイブも放送された媒体に合わせて保存されてきた。テレビにおけるアーカイブの歴史は短いが,番組媒体の種類はフイルムから磁気のビデオテープ,ディスク等,いろいろな媒体で保存されてきた。放送形態の変更があると,古い素材を新しい媒体へ変換しなければならず,この作業は繰り返されている。2000年からは徐々にデジタル化が進み,デジタルアーカイブの導入により,保存される番組もファイル化され,社内のLocal Area Network(LAN)を利用して保存された番組の検索,閲覧ができるようになった。
著者
伊藤 健雄
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.22-27, 2024-01-01 (Released:2024-01-01)

日本にリサーチ・アドミニストレーター(University Research Administrator: URA)と呼ばれる新しい高度専門人材が大学等の研究機関に配置されて以来,彼らは組織の経営企画支援や研究者の研究推進支援,産学連携のコーディネーション等の役割を担ってきた。最近では,URAは研究者としての学術的専門知識や特殊な経験やスキルを活かして,学術領域(知)の融合や研究環境の高度化から次世代人材育成等まで対応し,エビデンスや理論に基づく施策の提言や検証ができる人材として進化しており,複雑な社会課題解決やイノベーションの創出におけるキーパーソンとして期待されている。
著者
須藤 健次郎
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.12, pp.559-565, 2023-12-01 (Released:2023-12-01)

発明通信社は創業以来70余年にわたり企業や特許事務所へ,特許情報やデータベース,特許調査など様々なサービスを提供している。その中のうち,特許検索データベースのHYPAT-i2は検索・表示・出力などの機能以外に検索結果の分析や検索用のキーワードを提案する機能を備えている。これらの機能は検索結果を集計して検索集合の傾向がどのようなものかを表示するだけではなく,利用者がこれから行う検索の方向性を確認するツールとしても有効である。本稿では簡単ではあるが実例を用いてこれらの分析機能の使い方の説明と本年4月にリリースしたHYPAT-DUのAI解析を利用したAI-SDIの紹介をする。