著者
横山 昭市
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.258-259, 2009-05-01 (Released:2011-08-25)
参考文献数
3
著者
森 正人 Mori Masato
出版者
日本地理学会
雑誌
地理学評論 = Geographical review of Japan (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.1-27, 2005-01-01

本稿は,「節合」という概念を手掛かりとして,1934年の弘法大師1100年御遠忌で開催された「弘法大師文化展覧会」を中心として,弘法大師が日本文化と節合され,展示を通して人々に広められる過程を追う.この展覧会は,戦時体制に協力する大阪朝日新聞と御遠忌を迎えた真言宗による「弘法大師文化宣揚会」が開催したものであった.この展示には天皇制イデオロギーを表象する国宝や重要文化財が,弘法大師にも関係するとして展示された.また展示会場は近畿圏の会館や百貨店であり,特に百貨店では都市に居住する広い階層の人々に対して,わかりやすい展示が試みられた.このような種別的な場所での諸実践を通して国民国家の維持が図られた.ただし会場を訪れた人々は,イデオロギーの中に完全に取り込まれてしまうのではなく,それを「見物」したり,娯楽としてみなしたりする可能性も胚胎していた.
著者
水谷 知生
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 = Geographical review of Japan (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.300-322, 2009-07-01
参考文献数
90

現在,九州と台湾の間の島々を示す地域名称として「南西諸島」,「琉球諸島」,「薩南諸島」などが重層的に用いられている.本稿ではこの地域の地域名称の使用,浸透の経過を政治的な背景とともに明らかにした.「南西諸島」をはじめこの地域の島々の地域名称の多くは,明治期に海軍省水路部により付与されたが,「薩南諸島」は民間で用いられ,広く使われるようになった.地域名称は教科書類によって一般に浸透し,名称の整理には教科書検定制度が役割を果たした.奄美諸島は,江戸期には,薩摩藩の直轄領でありながら対外的には琉球領として扱われたが,明治初期の日清間での琉球領有を巡る論争の際,日本政府は「琉球諸島」を沖縄諸島以南と整理し,奄美諸島を含めないこととした.一方,第二次世界大戦後,米国は軍事上の必要性から奄美諸島以南を日本本土と切り離す意図を持ってこの地域をRyukyu Islandsとした.「琉球諸島」の名称の使用には特に政治的な意図が多く働いた.