著者
野口 大介
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.659-662, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
22

研究題材を豊富に提供してくれる造網性のクモを野外で観察したところ,クモの脱皮,網の形態,占座,および捕食に関して研究の題材になるかもしれない事例を見出した.図鑑や文献にはない生態を見出すことができた一方で,きちんとした研究へと深めていくには,さまざまな工夫が必要になるであろうとも感じられた.
著者
手塚 浩介 中原 久志 大津 春輝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.257-258, 2020

<p>本研究では,高校生の持つ情報モラルに対する意識及びSNSの利用状況や意識,アカウントの捉え方等に関して探索的に調査を行った.調査の結果,情報モラルの意識に関しては学年間(1年生・二年生)や男女間で差異は見られなかった.しかし,一年生と二年生でSNSアカウントの非公開設定の認知や動画系SNSの利用時間に差があること,男女間でSNSでの投稿内容や公開範囲の意識に差があることなどが明らかとなり,情報リテラシー教育における示唆が得られた.</p>
著者
坂場 潔 木村 登次
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 19 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.281-282, 1995 (Released:2018-05-16)
参考文献数
3

コンピュータをはじめとする情報処理学習においては情報処理での活動や課題及び学習目標を有効に達成する目的で、学習者の基礎能力特性を適切に把握し、学習者にとって必要な能力を適宜発達させながらの学習を進める必要がある。本研究は情報処理基礎能力の抽出と平行し、基礎能力上の学習者特性を解明しようとするものである。今回は、基礎能力上での男女差を分析し、その結果、演算力や図及びパターンや数値データを用いての理解力では女子の方が優れており、数論理や論理文での論理的な推論力では男子の方が優位であるというような結論が得られた。また、これらの能力間での関連性に関する男女の相違を実証することで、学習者特性としてのプロフィールの構成を試みた。
著者
片岡 啓
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 37 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.96-99, 2013-09-06 (Released:2018-05-16)

旧制中学校における,立体幾何と投影図法を融合させた円錐断面の探究教材に学び,電卓の簡単な利用によって,高校程度の数学で厚紙から円錐の切断模型を作製する。
著者
小野寺 翔汰
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.403-406, 2020

<p>近年,動物園ならびに水族館は生物多様性保全や環境問題などに関する科学教育へ有用な施設として,研究者の間で注目されつつある.しかし一方で動物園・水族館への社会的な関心の高まりには欠けるものがあり,生涯教育的な啓蒙には至っていないのが現状である.本研究では,一般市民への動物園・水族館に対する関心惹起の手段としてサブカルチャー作品を用いることを提案し,その一例としてメディアミックス作品「けものフレンズ」を取り上げ,アンケート調査により本作品が動物園・水族館ならびに科学教育へ与える効果を評価した.その結果,「けものフレンズ」が動物園・水族館への来園館頻度・リピーター率・園館の役割に対する理解度に寄与していることが分かり,サブカルチャー作品による動物園・水族館への関心惹起が十分可能であることが示された.</p>
著者
加納 安彦
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 42 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.337-340, 2018 (Released:2019-06-14)
参考文献数
3

「健康食品」の利用頻度は非常に高い反面、健康の増進や疾患の予防を謳いながら実体 のない食品は多く、その宣伝・広告も身の回りにあふれている。これらは、医療関係者 にも少なからず影響しているのではないかと考えられる。そこで、市民と医療従事者をともに対象にして、健康食品の摂取や疑似科学の浸透程度について調査した。一般市民同様に医療従事者も高い割合で健康食品を摂取していたが、その一方で許認可に関する規則について正しい知識は普及していない。疑似科学的な宣伝は広く浸透しており、一部の内容では一般市民の認識と医療従事者の認識に大きな違いは見られなかった。
著者
近藤 恵介
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 38 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.331-332, 2014-09-13 (Released:2018-05-16)

数学が苦手な学生のやり直し学習に着目し,従来の数学とは視点を変えた,「ビジネス数学」の「5つの力」の向上をめざす講義を行い,学生の数学に対する苦手意識の改善,および,数的リテラシーの向上をめざした。その結果,多くの学生の数的リテラシーの改善が見られた。
著者
河野 俊哉
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.42-43, 2013

2010年度の発表「科学リテラシーの観点から「科学教育と科学史」を再考する」においては,『21世紀科学』をはじめとする近年の英米の代表的な教科書を検討し,従来型の「体系重視」から,「文脈・脈絡(コンテクスト)重視」への移行を指摘した.また、それ自体は英米の事例をもとに書かれていたため,日本独自の教科書やカリキュラム開発の必要性を主張した.その後東日本大震災を経験した日本は,本当の意味での科学への「信頼の危機」を経験し,現在では,とりわけ放射線教育において新たなる教材の試みが求められている.本発表では,福島視察と科学史の知見を活用した新たなる放射線教育の事例を提示するが,そのことにより科学史,STS,そして科学コミュニケーションを包含する「科学論」の知見が重要な役回りを果たすことを中等教育と高等教育,それぞれの事例を通して明らかにする.
著者
金森 千春
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.209-212, 2020

<p>本研究は,COVID-19による臨時休業下の2020年3-6月の4ヶ月間のオンライン授業の実践や使用した様々なツールを総括し,その特徴と効果をまとめる.また,学習者アンケートをもとに検証する.その結果から学習者の学びと確かな学力を保証するオンライン授業のあり方を提言する.</p>
著者
齊藤 智樹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.235-238, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
5

本研究では,1)STEM教育における教育研究の成立を期し,一般科学の本質からの類推により,STEM教育の教授と学習の基礎理論を綿密化すること,2)NGSS が提案する3D ラーニングモデルにおいて,領域横断的な概念と科学とエンジニアリングの体験的・経験的活動がいかに関係づけられているかについて把握することを目的とし,次世代科学スタンダードにおける関連する記述を分析した.結果,示された関係はいわゆる「プロセススキルズ」と呼ばれている技能の行使によって関係づけられていることが示唆された.
著者
東原 貴志 佐藤 ゆかり 永井 克行
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.617-618, 2020

<p>新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の拡大防止のために実施された小中学校の臨時休校や博物館等の社会教育施設の臨時休業の結果,子どもたちに対する科学教育の機会の喪失が社会問題となっている。そのため,上越科学館では子どもたちが大人と一緒に自宅で科学遊びや工作を楽しむことを目的として,「おうちでサイエンス」と題した科学実験の動画配信を2020 年5 月から行っている。これらの動画を教員養成系大学の学部生に視聴させた結果,自宅で科学遊びや工作を行う内容について評価する意見が多く,科学教育に寄与するのではないかと考えられた。</p>
著者
原口 るみ 大貫 麻美 土井 美香子 寺井 千重子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.499-500, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
5

It is important to develop the qualities and abilities to be able to make a conscious effort to maintain and promote one's health from early childhood. In that sense, "milk" was chosen as a theme that combines the two aspects of food education and life science education. A "RIKADOKU (science reading)" program for children using picture books was designed corresponding to the evaluation index of "RIKADOKU" program created in the previous research based on The BSCS 5E Instructional Model by Bybee (2006). By using the picture books correspond to each stage of The BSCS 5E Instructional Model, it is expected that the children are able to recall their experience, and to acquire the new words for expressing their thoughts.
著者
出口 明子 関口 有人 大久保 達弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.416-417, 2015

<p>筆者らは里山林の植生遷移,及びその管理や利活用についての理解支援を目的とした環境学習教材として,栃木県内の里山林を舞台にしたすごろくゲームを開発した.本稿では開発したゲームの概要を解説するとともに,大学生及び大学院生を対象とした予備的評価の結果を報告する.</p>
著者
出口 明子 関口 有人 川島 芳昭 大久保 達弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.475-476, 2017

<p>筆者らは里山林の植生遷移,及びその管理や利活用についての理解支援を目的とした環境学習教材として,栃木県内の里山林を舞台にしたすごろくゲームを開発しており,そのデジタル化に着手している。本稿では開発したデジタルゲーム教材の概要を解説するとともに,大学生を対象とした実験的評価の結果を報告する。</p>
著者
出口 明子 川島 芳昭 大久保 達弘 相沢 尭和
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.626-627, 2019

<p>筆者らは環境学習のためのデジタルゲーム教材として,里山の植生遷移及びその管理や利活用についての理解支援を目的とした「里山Life・アドミンズ」の開発・評価研究を行っている.本研究ではその機能拡張として,「My里山画面」の実装と「里山シミュレータ」の改良を行った.本稿ではこれらの機能拡張の概要を解説するとともに,大学生を対象とした予備的評価の結果を報告する.</p>
著者
吉田 安規良 島田 悠那 馬場 壮太郎
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.355-358, 2020

<p>地学分野おける野外観察学習は,小中学校ともに学習指導要領で重要視されているものの実施率が低い.本研究では,理科の学習指導に授業者の視点でICTを身近なものとして活用するための在り方を検討するため,マーカーレス型ビジョンベースAR技術を用いて,沖縄で実際に観察可能な断層としゅう曲に注目した中学校向け地層観察代替教材を製作した.また,教材製作過程から「理科を教える教師教育」の在り方を展望した.学習内容に興味関心がある学生は,高度なICT活用能力が無くても大学での学びを生かして自らのアイデアを基盤にARを利用した地層観察代替教材が製作可能である.製作した教材は,現職教員からARと携帯情報端末を用いるという枠組みは肯定的に評価されたが,内容構成や使用のメリットに関しては十分には受け入れられなかった. </p>
著者
城間 吉貴 北條 優 福本 晃造 レンゼッティ アンドレア 宮国 泰史 古川 雅英 杉尾 幸司
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.335-336, 2020

<p>琉球大学では,科学技術振興機構の支援を受けて2018年度より琉球大学GSCプログラム(琉大カガク院)を実施している。この事業では,早期から高校生の基盤的能力を伸長させる機会を提供している。このプログラムによる受講生の能力・資質の伸長を把握するため,受講前と受講後に受講生の能力評価を実施した。その結果から,琉大カガク院の受講により,受講生の研究基礎力が多面的に成長していることが示唆された。</p>
著者
小林 和雄 大高 泉
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 30 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.423-424, 2006-08-10 (Released:2018-05-16)
参考文献数
5

科学的な思考を科学的な探究(問題解決)の全過程における一連の思考と考えるならば,これらの諸過程における生徒の実態を把握することは科学的な思考力を育成するために不可欠である。その過程の主要な要素である仮説を設定するには「仮説」とは何かの認識が必要であり,そのような視座からAnton E. Lawsonらは未知の課題に対する問題解決のための仮説演繹的推論を行うには,「仮説」と「予想」の区別が重要であることを指摘している。本稿では,A E. Lawsonらが米国の高校と大学の生物教科書に対して実施した「仮説」と「予想」の定義に関する研究を参考にして,日本の中学生,高校生,大学生の「仮説」と「予想」に対する認識を質問紙法で調査したものである。その結果,A E. Lawsonらの定義するような「仮説」と「予想」の区別ができる生徒や学生は,非常に少ないことが明らかになった。
著者
野口 大介
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.259-260, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
10

全国の高校生によって発表された最近の化学研究テーマは従来の枠組みの区分には収まらない多様なものが増加する傾向にある.高校化学で学ばれることになる新たな項目「化学が果たす役割」に適合しうる先端的なテーマがある一方で,プラスチック(合成高分子)の再利用をテーマとしたものはほとんど見当たらなかった.
著者
中越 進
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 40 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.79-82, 2016 (Released:2018-08-16)
参考文献数
4

本研究の目的は,確率の実践と考察を通して,小学校算数科における確率の位置づけの示唆を得ることである。そこで,ニュージーランドの初等中等教育で実践されている確率指導を参考にし,小学校第3学年で授業実践を行い,分析,考察を行った。これらの結果から,以下の3点が明らかになった。① 「確からしさの考え(主観確率から間主観確率)」から導入することは有効である。② 日常事象を取り上げ,起こりやすさを定性的に表す活動が,確率的な実験場面を数値で表すことにつながり有効である。③ 現行の学習指導要領におけるカリキュラムにも「確からしさの考え」を位置づけ導入することができる。これらをもとにして,小学校における確率指導の実践に向けての示唆を得ることができた。