著者
猿田 祐嗣
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 36 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.91-92, 2012-08-27 (Released:2018-05-16)

本研究の目的は,PISAで好成績を挙げているフィンランドと日本の義務教育段階での成果を明らにすることにある。TIMSS1999では,フィンランドは日本の約半数の学級人数で指導を行っていたが,理科及び数学の両教科とも日本の平均得点はフィンランドを上回っていた。学級単位集計による得点分布を調べたところ,フィンランドの学級間の格差は日本より大きかったことが明らかとなった。
著者
高藤 清美 上野 寛仁 根本 純一 金子 正夫
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 35 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.454-455, 2011-08-23 (Released:2018-05-16)
参考文献数
4

バイオ光化学電池は、バイオマス(バイオ系廃棄物を含む)と光を組み合わせることで、バイオマスを分解し、さらに電気エネルギーを取り出すことのできる、新しいタイプの光化学電池である。バイオマスの分解・浄化とエネルギーの生成を同時にできることから、資源・エネルギー教材として興味深いものがある。バイオ光化学電池は様々なバイオマスを使用することが可能であるため、それぞれの結果を定量的に比較することで、資源・エネルギーに対する考え方を深めることができると期待できる。本研究では、教室での定量的な実験のために必要となる、光源の検討、出力電力の評価方法の検対等をおこなった。発表では実演をおこなう予定である。
著者
山本 智一 竹中 真希子 稲垣 成哲 山口 悦司 大島 純 大島 律子 村山 功 中山 迅
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 27 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.163-164, 2003-07-20 (Released:2018-05-16)
参考文献数
4

筆者らは, CSCLシステムのKnowledge Forumを小学校へ導入し, 遺伝子組み換え食品問題をテーマとした授業のデザイン実験を実施してきている。本研究では, 遺伝子組み換え食品に関する内容理解と社会的な論争性を踏まえた上での意思決定という教育目標の達成と, KFを利用した他者の知識へのアクセスという観点から, 子どもたちの知識構築活動の分析を行った。その結果, 多くの他者の知識にアクセスすることは子どもたちの内容理解や意思決定に寄与していた可能性が示唆された。
著者
雲財 寛
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 47 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.285-286, 2023 (Released:2024-01-22)
参考文献数
2

本稿では,著者のオンライン研究コミュニティの運営経験を踏まえ,若手研究者同士で研究活動をどのように支え合ってきたのか,その事例について紹介するとともに,オンライン研究コミュニティをうまく機能させるためのポイントについて提案する.まず,オンライン研究コミュニティでは,最新のイベント情報,論文情報,教育・研究に関する関心事や困り事を共有したり,オンラインイベントで実況したり,定期的な勉強会を開催したりするなどして,研究プロジェクトにつなげていっていることを紹介した.そして,オンライン研究コミュニティをうまく機能させるポイントとして,心理的安全性,応答性,定期的なコンテンツの3点を指摘した.
著者
吉岡 亮衛
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 15 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.453-454, 1991-07-26 (Released:2018-05-16)

自由連想法で得られたデータをコンピュータで処理する際に、行われるデータのクリーニング作業で整理された語について分析した結果を、今後のデータのクリーニングの際に注意しておくべき観点としてまとめた。
著者
瀬沼 花子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 27 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.229-232, 2003-07-20 (Released:2018-05-16)
参考文献数
2

TIMSS1999の付帯調査として, 7か国の中学校2年生について合計638の数学授業のビデオ撮影と分析が行われた。分析の結果, 各国の指導法には類似点とともに多くの相違点があり, 高い得点を導く指導法はただ一つに決まるのではないことが明らかになった。例えば香港と日本は同じくらい数学得点の高い国であるが, 指導法はかなり異なっていた。なお, 国際比較結果に対する各国の視点は, その国の文化と相まって様々である。日本にとっては, 撮影された授業が典型か否かの検討と生徒の数学に対する態度を高める指導法の追求が今後の課題である。
著者
山田 俊弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 37 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.448-449, 2013-09-06 (Released:2018-05-16)

科学者が科学教育政策に関与する場面はいろいろ想定される。本稿では戦前から戦後初期にかけての地質学者と地学教育の関係についての事例を追い,その地学教育論の変遷,教育改革に果たした役割を検討する。この作業によって,一見断絶しているかにみえる戦中-前後期の議論の連続性を明確にする一方,特に「地学」という教育上のカテゴリーの形成と学問領域の認知(境界画定)との関係に注目しつつ,不連続性の側面,言い換えると戦後地学教育の新規性について議論する。
著者
金児 正史 早藤 幸隆 後藤 顕一
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 45 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.169-172, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
13

2021年度から高等学校で始まる教科「理数」では,科学的に探究する過程を踏まえて自ら見出した課題を解決し,考えを伝達する活動を求めている。こうした学習にたけていない高校生の状況も踏まえ,筆者らは,理科と数学科の融合に焦点化した課題を教師が提供し,その課題を解決する過程を通して,理科や数学科に関連する既習事項の科学的背景をより深く学ぶとともに,科学的・数学的な課題解決の過程も学べる授業の開発を行った。本稿では,理科と数学科を総合する課題として,化学反応速度に着目した。化学の教科書のデータを活用して,時間の変化とともにモル濃度の減少速度が,変化しないで残っている溶質のモル濃度に
著者
今井 泉 宮本 一弘 高見 聡
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 45 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.185-186, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
6

中等化学教育,とりわけ学問体系の視点から我が国の過去の総合的な理科の科目について俯瞰すると,学習指導要領1977-1978年(昭和52〜53 年)改訂で登場した高等学校「理科I」の評価は高いと言える.具体的には,物理・化学・生物・地学の4領域の基礎として「エネルギー」の内容が全員必修の科目として存在したからだ.後期中等教育における必修理科科目を構築するためには学問体系の視点に加えて,日常生活との関連を重視した視点が欠かせない.そのためには,4領域を繋ぐ資質・能力育成を志向する文脈を基盤としたカリキュラムが必要となる.
著者
縣 秀彦 松本 直記
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 45 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.173-176, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
11

日本本学術会議提言「これからの高校理科教育のあり方」を始点として,2030年代の学習指導要領に実装可能な中等教育カリキュラムを多角的に検討する.高等学校理科4領域すべてが,相互に関連しながら現代社会に密接に関連していることを重視し,科学教育の意義・目的と現代社会における役割を再考し,生徒の課題解決能力の育成を主眼とした総合的でかつ基礎的な必修理科科目設置に向けての課題を抽出する.
著者
今井 章人 篠原 秀雄 勝田 仁之
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 45 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.177-180, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
3

高校理科の基礎科目は現在物化生地および科学と人間生活の5科目中3科目を選択必修としており,物理を学ばずに高校を卒業してしまう生徒がいる.その生徒は,学校が科目を設定していない場合,選択する余地がなく学ぶ機会すら与えられない.物化生地4分野を全て履修するため,4分野が統合した高校理科必修科目を設置することが考えられる.その場合に高校物理で何を学ばせたいのかを再検討したところ,定量化・モデル化・数値化・一貫性を大切にしていることを再確認した.その上で,運動方程式・エネルギー・波動・熱などの具体的な内容に関して検討した.また,総合理科や基礎理科など具体的な高校理科必修科目を設置した場合,物理教員の視点でのメリット・デメリットを検討した.さらに,STEAM教育の観点からみた物理についても報告する.
著者
都築 功 佐野 寛子 宇田川 麻由
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 45 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.181-184, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
11

現在の高等学校の生物教育は,ヒトや日常生活と乖離しているという課題がある.また,現在直面している諸課題の解決のためには4分野を統合し,他教科,領域とも連携することが必要である.これらのことから,人間生活に関わりの深い,統合的な必修の理科の科目が必要であると考える.これまで学習指導要領の改定ごとに統合的な理科の科目が設置されてきたが,選択の科目は履修率が低く,必修の「理科Ⅰ」も定着しなかった.今回,「あるテーマについて4つの分野で多角的に考察・学習することでコンピテンシーを育てる統合的な理科の科目」を提案する.理科4分野を統合した科目を考えるにあたっては,基礎的な事項を重視するか日常生活や社会との関わりを重視するかということや,コンピテンシーをどう育てるかということなど,今後の課題である.
著者
渡辺 信
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 46 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.471-474, 2022 (Released:2023-03-07)
参考文献数
5

科学教育は生涯学習へと延長できるかを問う.この生涯学習を考えるにあたって,生涯学習の姿を眺め,どのような生涯学習を目指すのかを検討する.工業社会から情報社会へと過度期な現在,日本の教育・学習はどの方向に進むのかを眺め,情報社会に必要な生涯学習を見たときに,いかに日本の教育制度が工業社会のままで新しい社会を目指すことに乏しい姿を見ることによって,どのような未来の教育の在り方を眺める.このような社会の改革の中で科学教育は生涯学習 Out School に進めるかを否定的な立場に立たざるを得ない方向から眺める.新しい社会には新しい学習が必要である.
著者
石井 雅代
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 36 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.311-312, 2012-08-27 (Released:2018-05-16)

数学においては,性差が他教科よりも表れる傾向にある。特に,中学校から高等学校にかけその様子が顕著に表れる。本研究は,中学校および高等学校の数学の授業において,女子校ならではの効果的な指導について考察したものである。
著者
大貫 麻美
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 45 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.189-190, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
8

STEM/STEAM 教育は近年国内外で大きく注目されている.一方で日本の幼児教育における実践的研究はまだ少ない.本発表においては,日本の幼児教育の特性である「遊び」を通しての総合的な指導に着目し,既報の事例研究を基に,幼児がクラフト紙を用いて遊ぶ過程で多様なプログラミング的思考の萌芽が見られること,モンテッソーリ教育園において園児が自ら選んだ生命科学に関する活動を行う過程で,算数・数学の基礎的概念や,表現活動につながる学びがあること,親や保育者との関係の中で自発的な活動に進展が見られたり,科学的思考の萌芽が精緻化されたりすること等を示した。これらをふまえ,日本における幼児向けSTEM/STEAM 教育の在り方について検討し,(1)幼児が充実感や満足感を得られる「遊び」としての活動の設定, (2)幼児が主体的に遊ぶ過程で科学的な気づきが得られうる環境構成, (3)幼児の発見に寄り添い発展を支援する保育者・教育者,を重要な要素として示した.
著者
岡田 努 野ヶ山 康弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 40 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.251-252, 2016 (Released:2018-08-16)
参考文献数
2
被引用文献数
2

本研究は福島の原発事故後5年間に実施されてきた放射線教育の現状と課題に関する事例研究である。福島県内外の中学校での実践事例の調査と放射線に関するアンケート調査結果から,震災直後に「放射線に関する知識がないから恐れる」というイメージの固定化が顕著となったが,正しい知識を得ることで,原発や放射線の有効利用の是非等について多様な意見が見られ,調査した地域間に差異が見られた。さらに小中高校といかに接続すべきかという今後の放射線教育の課題も提示した。
著者
齊藤 智樹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 43 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.17-20, 2019 (Released:2020-07-31)
参考文献数
1

本研究では,Next Generation Science Standards(NGSS, 2013)における,領域横断的な概念(Cross-cuing Concepts: CCs)と米国でのその歴史的な扱いに着目し,STEM教育の統合的・領域横断的な学習を支える分析的な枠組みの在り方について,基礎的な研究を行った.特に,NGSSにおけるこれら概念が,領域の核となる概念(DCIs)や科学とエンジニアリングの体験的・経験的活動(SEPs)と効果的に統合されることを目指す,3Dラーニングモデルにおいてどのように扱われているか,それぞれの概念と領域がどのようにつながれているか,またCCs同士がどのように連携するかといった点を明らかにし,領域横断的なカリキュラムの結節点として,期待される機能について考察した.
著者
柴田 康 松本 茂樹 吉田 賢史
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 21 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.173-174, 1997 (Released:2018-05-16)
参考文献数
11

インターネットはこの1, 2年で急速に一般家庭に浸透しつつあり、教育的利用への期待が高まっている。英語教育では、電子メールを取り入れ国際交流などの多くの実践報告がある。また、マルチメディアを駆使し、遠隔地で英会話などの授業を受けられるシステムなども報告されている。ここでは、数学教育の立場からインターネットの教育的利用とその意義と可能性についてさぐってゆく。
著者
副島 大陸 牧下 英世
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 42 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.485-486, 2018 (Released:2019-06-14)
参考文献数
3

本研究では ICT 機器の 3D プリンタを数学に活用し,積分による体積導出における教材を開発した。また,開発教材を用いた研究授業を行い,その有用性を考察した。その結果,学生の単元への意欲, 関心を向上させるといった効果を得ることができた。
著者
河野 純大
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 40 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.25-26, 2016 (Released:2018-08-16)
参考文献数
2

本稿では2016 年4 月に施行された「障害者差別解消法」の概要を述べ,国や地方公共団体等にとっては法的義務となった「差別的取扱いの禁止」「合理的配慮の提供」について例とともに解説し,今後の科学系博物館における合理的配慮のあり方について述べる。