著者
辻本 悟史 梶間 早央里
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 36 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.99-100, 2012-08-27 (Released:2018-05-16)

本研究では,科学絵本と知的好奇心の関連性に着目し,小学校で科学絵本の読み聞かせを実践するとともに,絵本の読書習慣についての調査と,児童の知的好奇心に関する調査を実施した.その結果,日常的に絵本に多く触れていて「お気に入り」の絵本の数が多い児童ほど,知的好奇心の尺度の得点が高く,それらの児童ほど読み聞かせ実践の有無による差も大きいという傾向が見られた.科学絵本の読み聞かせの実践と日常の絵本読書の相互作用が,知的好奇心の向上を介して,科学教育の拡充に寄与するかもしれない.
著者
山田 邦彦
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 36 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.77-78, 2012-08-27 (Released:2018-05-16)

本研究は平成24度から実施される数学I「データの分析」における箱ひげ図の導入について、先行授業を行い本格導入に向けての教員の共通認識と課題点を明確にすることを目指した。その結果、箱ひげ図についての共通認識を得ることができ、その扱い方についての課題点が明らかとなった。
著者
河野 大空見 渡辺 尚
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 41 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.253-254, 2017 (Released:2018-08-16)
参考文献数
2

本研究は2020 年度より小学校教育において導入されるプログラミング学習によって、論理的思考力などの能力が育まれることに着目した。実態の一例として宮城県郡部における現状のICT 環境をアンケート調査などによって把握し,小学校ICT 整備に対する機器、人材の課題と以後求められるプログラミング教育の形態について考察を行った。
著者
加納 寛子 菱田 隆彰 長谷川 元洋 古崎 晃司
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 37 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.152-155, 2013 (Released:2018-05-16)
被引用文献数
2

本稿では,「情報」を「現象や事象等すべての存在に意味を付与して伝達するもの」と定義し,「情報的な見方・考え方」とは,「様々な現象や事象等を解釈し意味を付与し,場面に応じて適切に判断・処理する見方・考え方」と定義し,「情報リテラシー」とは,「情報的な見方考え方を身につけ,現象や事象等を適切に解釈し意味を付与し,分析し,判断し,表現および伝達する能力」と定義した。そして,文部科学省検定教科書高等学校「情報」の用語についてKH Coderを用いて分析を行った結果,頻出キーワードは情報,インターネット,通信,データ,コンピュータ等であり,用語の出現パターンより共起ネットワーク図を作成し,「情報とメディア」「情報通信ネットワーク」「ディジタル情報の表現と活用」「情報モラル」の4領域の用語に分類された。
著者
伊藤 裕子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 42 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.347-348, 2018 (Released:2019-06-14)
参考文献数
2

本研究は,政策事例として「電子版のお薬手帳の普及」を対象とし,政策実現に科学教育が貢献 し得るかどうかを検討した。一般人対象にアンケートを実施し、その分析より,政策実現のために は,年齢の高い人には情報教育,若い人には科学(医薬)教育が必要であることが示唆された。
著者
清水 美憲
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.75-76, 2009
参考文献数
8

シンガポールにおける数学カリキュラムの枠組みを概観し,我が国の教育課程と対比してその特徴を考察した。シンガポールの数学カリキュラムの枠組みは,数学的問題解決を中核として情意面まで含む広い立場から数学カリキュラムを把握する点に特色があり,我が国の教育課程編成における数学方法的の観点からみた学年・学校種間の接続のあり方を再考する必要性を示唆する。
著者
國次 太郎 石田 唯之
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.257-258, 2005
参考文献数
5

シンガポールの数学教育は,国際調査の結果が優秀であったことから注目されている。シンガポールの教育制度は,すべての子供の能力を最大限に発揮できるようにすることをねらいとされ,最近,この方向でさらに柔軟性と多様性をもとめて改革が加えられている。数学や自然科学における創造性を発揮できるよう数学・科学に重点をおいた中等学校が新設された。そこでは,学校の独自性と大学との強い連携が強調されている。
著者
塩瀬 隆之 後藤 崇志 加納 圭
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 42 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.61-62, 2018 (Released:2019-06-14)
参考文献数
5

本稿は,科学的リテラシーに必要な「認識に関する知識」を評価するために、どのような項目が必要かを特定するため、PISA 型の過去問について回答理由まで掘り下げた追加設問への回答傾向から偽陽性、偽陰性の傾向を分類、どのような項目候補が想定されるか、調査結果について概説する。
著者
伊藤 啓子 山崎 昇 篠原 文陽児
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 13 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.271-274, 1989 (Released:2018-05-16)

CAIシステムは、伝統的な一斉授業の中では必ずしもも十分ではない個別化や個性化指導を具体的に可能にしつつ、かつ、これらに関わる要因を科学的に分析、解明する手段となる。 本研究では、小学校5年81名を対象に、算数科における「分数」単元の中の「異分母分数のたし算」を、一斉授業とCAIシステムを使って学習させ、CAIによる学習は内向的性格の児童に、一斉授業は外向的性格の児童に、それぞれ効果的であることを実験的に明らかにしている。なお、一斉授業が内向的性格の児童に対して適切な援助を必要とする学習形態であること、および、CAIコースウェアの開発にあたっては、学習者の能力、適正、興味などが考慮すべき要因であることを指摘している。
著者
清水 美憲
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 37 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.22-23, 2013-09-06 (Released:2018-05-16)

数学科授業の国際比較研究を通して,日本の数学科授業の諸相にみられる固有性が明らかになってきた。本研究では,この固有性についての探求の一環として,授業における「演劇性」に焦点を当て,経験豊かな教師による授業と授業後のインタビューデータを分析した。その結果,教授・学習行為や数学的内容が一つの主題の周りに一貫性をもったまとまりとして想定される一話完結型や連続型のドラマのような授業構想の特徴が見いだされた。
著者
大高 泉 遠藤 優介
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 36 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.139-142, 2012-08-27 (Released:2018-05-16)
被引用文献数
1

ドイツにおけるPISAショック後の教育政策と科学カリキュラム改革の展開について、KMKによる教育スタンダードの策定、科学の教育スタンダードの意味内容及び評価と各州への波及状況、新たなカリキュラムとしてのChemie im Kontextの開発動向等々の面から、その一端を明らかにした。
著者
藤原 大樹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 39 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.101-104, 2015 (Released:2018-08-03)
参考文献数
6

本研究では,中学校関数領域に着目し,数学的モデリングを通して生徒が新たな数学を生み出すための指導について検討した。第3 学年の「関数y=ax2」単元で教材「リレーのバトンパス」を扱い,グラフ描画ソフトを活用した協働的な解決,及び多様な解決方法の比較・検討を重視して実践した結果,生徒は既習の関数のグラフを用いた視覚的,近似的な解決を端緒に,簡潔さや正確さを志向して,未習である二次方程式の重解条件を自ら生み出した。新たな数学を生み出すことに向けて,数学的モデルをつくったり解釈したりして考える授業を意図的に複数位置付けた単元計画とその実践・検証が課題である。
著者
山口 忠承 尾關 徹 小和田 善之 中嶋 周平
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 41 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.461-462, 2017 (Released:2018-08-16)
参考文献数
1

新学習指導要領でアクティブ・ラーニングと呼ばれる学習指導要領が求められている。有機化合物は,その化合物と性質が密接に結びついている。中学校や高校でのリアルタイムな有機化合物の化学構造の検証や定量は,問題解決学習に求められるものである。しかし,現場の教員を含め中学生や高校生に何を対象に,どのような測定ができるか情報を具体的に提示する必要があるものと考えられる。本研究では,中学校の教科書に記載されている水とエタノールの分離を通して,核磁気共鳴装置の原理や化学構造の解析が学べる教材を作成した。
著者
大木 道則
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 20 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.S7-S8, 1996-07-28 (Released:2018-05-16)

化学教育は, 後継者養成のために始まった.しかし, 国民全てが受ける教育としては, 後継者養成のための教育は不適当である.今日は, 教育現場は後継者の養成に重点を置き, 社会は生活に必要な化学教育を求めているといった, 一種の混乱期にある.今後は, 化学に才能ある学生を発掘するための教育を早期から行い, 独創的な化学者を養成すると共に, 市民の素養としての化学教育を充実して, 賢明な生き方ができる市民の育成に努める必要がある.
著者
中村 剛
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 42 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.269-272, 2018 (Released:2019-06-15)
参考文献数
8

本研究は,高等学校数学科の授業において,深い学びがなされている状態を把握するために,単元の体系的理解の様相を捉える授業実践とその分析を行ったものである。その際,ICE モデル(Sue,2013)に照らし合わせた振り返りシートを用いた。また,単元の最後には,日々の授業がどのように結びついているかを表現する体系化シートによって,生徒の体系的理解の様相を捉えるという活動を取り入れた。単元終了後に客観評価テスト及び質問紙調査を行った結果,学習者が単元内の学習事項を体系的につなげる事ができている方が,客観評価テストにおいても良い結果が得られたが,質問紙調査においてはつながりを意識していない学習者が多かった。これを受けて,単元の体系的な見通しや,つながりを意識させる工夫について考察した。
著者
野口 大介
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 40 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.419-420, 2016 (Released:2018-08-16)
参考文献数
3

本研究は,テルミット反応で鉄-アルミニウム合金が作り出せるという仮説を設定し,生徒が教科書で学ぶ基礎化学的事項を活用しそれを証明していく探究活動に関するものである。反応させるアルミニウム量を通常の1.7 倍にまで増やすと次第に生成物の質量は減少していき,それ以上となると逆に増加した。なお,生成物である鉄にアルミニウムが含まれることは,生成物を塩酸に溶かし,水酸化ナトリウム水溶液を過剰に加え,希塩酸を加えて水酸化アルミニウムが生成することで確認している。これらの結果から,鉄にアルミニウムが置き換わった合金様生成物,および内外にアルミニウムが積層・集合した生成物が生じるものと考察した。
著者
後藤 聡
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 26 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.405-406, 2002-09-12 (Released:2018-05-16)
参考文献数
2

短乗法(筆算の計算過程で部分積を書かない方法)、長乗法(部分積を書く方法)における計算処理速度の違いが、一桁たし算の繰り上がりの有無とどのように関係しているかについて、処理速度(1問の回答に要した時間を称する。)を測定して発達的に検討した。その結果、繰り上がりのない問題は6年生で短乗法が、繰り上がりのある問題では3年生で長乗法が処理速度は速かった。
著者
飯高 茂
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 27 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.13-14, 2003-07-20 (Released:2018-05-16)

科学技術、特に情報技術に関して近年、急速な発展があり、一般市民社会に科学文明の成果は大きな影響を与えるようになった。しかし数学教育は伝統的な教育方法によるのが主で、目を瞠るような新しい展開がないし、目指すべき大きな新目標があるわけではない。地道に進むしかないのではないか。
著者
清水 欽也 岡本 信司 久米川 真紀
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 25 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.335-338, 2001 (Released:2018-05-16)

本報告では、科学技術政策研究所が行った成人3000人対象の「科学技術に関する意識調査」の結果 (科学クイズ16問と理科教育との関連について) を一部発表する。収集された調査データを分析した結果、我が国の一般成人の科学・技術知識について以下のことが明らかになった。①我が国の一般成人の科学・技術知識について、人口統計学的な属性 (年齢群、性別、学歴、居住区域の都市規模) にかかわらず広く理解されている「一般的知識」が存在する。② 我が国の中学校理科で扱われる内容は、「一般的知識」 の形成に深く関与しており、高校での内容は回答者の社会的属性に基づく知識格差が生じうる内容となっている。③ 平成元年改訂の学習指導要領に基づく、中等科学教育は、本調査に限れば、知識レベルの低下を引き起こしているとはいえない。