著者
早内 玄 中村 文彦 田中 伸治 有吉 亮 三浦 詩乃
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.A_223-A_228, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)
参考文献数
13

近年、都市内交通としての索道整備が複数報告され、新たな交通手段としての役割が期待されている。 そこで本研究ではトランスポーテーションギャップの考え方に基づき、所要時間の観点から索道の役割を定量的に明らかにすることを目的とする。はじめに、東京都市圏パーソントリップ調査から得られる手段別所要時間分布と人々が受容する所要時間との比較により、都市内交通において現在、既存交通手段では所要時間が受容されない、またはされにくいトリップ距離が複数存在することが明らかとなった。 次に、世界各都市の索道について、同様の比較によりその受容可能範囲が 0.3km~4.2km であることが明らかとなった。最後に両者を重ね合わせた結果、課題の残るトリップ距離のうちおよそ 2~4km の領域における課題を索道が改善しうることが明らかとなった。
著者
櫻井 和輝 小早川 悟 菊池 浩紀 田部井 優也
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.A_151-A_159, 2021-02-01 (Released:2021-02-20)
参考文献数
15

わが国では、高度経済成長を機にバブル経済期に至るまで駐車場不足が顕在化し、路上における違法駐車問題が発生した。この問題を解決するため、路外の駐車場整備のための制度が整えられ、次第に都市における普通乗用車のための駐車スペースは整備が進み、都心部では路外駐車施設の利用率が低下するようになった。そのため、駐車場の配置適正化や集約化の議論がされ始めたが、駐車場の集約化が駐車場利用者に与える影響については解明されていない。そこで本研究では、駐車場の利用者の駐車場選択行動を明らかにすることで、駐車場集約後の駐車場利用者の歩行距離に与える影響について分析を行った。その結果、各駐車場の利用者の利用実態を考慮して駐車場を組み合わせて集約することで利用者の徒歩距離に与える影響を小さくできることが明らかになった。
著者
石田 翔平 小早川 悟 菊池 浩紀 田部井 優也
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.A_78-A_85, 2021-02-01 (Released:2021-02-20)
参考文献数
13

交通事故が多発する交差点では、事故データ等の分析に基づいて様々な交通事故対策が実施されている。しかし、対策の検討に用いられる交通事故データやヒヤリハットデータでは危険事象発生時の全ての状況を把握できるわけではない。例えば、交通事故やヒヤリ事象の発生時における信号現示の状況等は主観的なデータしか記録されない。また、交通事故は偶発的事象であるため、特定の交差点部の事故件数だけで定量的な分析を行うことは困難である。そこで本研究では、右折自動車と横断者の交通事故が多発する交差点を対象に、危険事象を定量的に抽出する交通コンフリクト指標の PET を用いて危険事象の発生状況を分析した。その結果、車群の中の右折車や単独横断の歩行者・自転車は危険性が高く、青開始から時間が経過するほど危険であることがわかった。
著者
佐藤 拓郎 小早川 悟 小柳 純也 菊池 浩紀 田部井 優也
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.A_142-A_150, 2021-02-01 (Released:2021-02-20)
参考文献数
15

自転車の車道通行促進のため車道上に自転車通行空間整備が進められている。しかし、自転車専用の空間は幅員が確保できない等の理由でネットワーク化が進んでいない。その中で、ニュータウンは計画的に道路が整備されたため、自転車専用空間のネットワーク化を図るための幅員確保が可能と考える。本研究は千葉ニュータウンを対象に道路幅員構成の調査を行った結果、現状において車道上の自転車専用通行帯として必要な幅員である1.5m以上の確保が可能な道路延長は3割程度であることを確認した。また、通行実態として、自転車利用者の多くが歩道通行し、属性によらず歩道を徐行しない傾向があることがわかった。さらに、構造改変を伴わず車線や側帯の修正のみの道路再配分を提案し、その結果7割の道路において自転車専用通行帯が確保できることを示した。
著者
横関 俊也 森 健二 矢野 伸裕
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.B_6-B_11, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)
参考文献数
7

本研究では、歩行者用交通信号の赤表示での残留歩行者の発生を抑制することを目的に、歩行者用交通信号の青表示の残り時間秒数を 1 秒毎にカウントダウン方式で表示する装置を開発して交差点に試験設置し、その効果を計測した。その結果、装置の導入により、全歩行者に占める歩行者用交通信号の赤表示での残留歩行者の割合が 6.1%から 3.4%に改善した。また、歩行者用交通信号の青点滅表示時に横断歩道に到着した歩行者の信号遵守率は 40.9%から 64.3%に大幅に改善するといった効果、歩行者用交通信号の青表示終了前後に横断を開始する歩行者の横断速度の上昇といった影響も観測された。このことから、装置の導入により歩行者の横断の安全が確保できるものと期待される。
著者
辰巳 浩 堤 香代子 吉城 秀治
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.B_24-B_33, 2019-02-01 (Released:2019-02-06)
参考文献数
3

本研究は、地方自治体によるコミュニティバスおよびデマンド交通の運営状況を明らかにすることで、地域公共交通を担当する自治体職員への情報提供を図ることを目的とする。そこで、全国の市町村に対するアンケート調査を実施し、全国の約半数の市町村から回答を得た。得られたアンケート調査データをもとに、まずコミュニティバスおよびデマンド交通の導入状況と適用法令(道路運送法)について整理した。次に運行状況として、運行日、運行便数、コース長、所要時間、運賃、デマンド交通の予約システムの導入状況について集計した。さらに、2015 年度における地域公共交通の利用実績(1 便当たりの平均乗車人数、住民1 人当たりの年間平均利用回数)や収支(運賃収入額、補助金受入額、総収入額、総支出額、赤字額)の状況について集計した。
著者
永見 豊 鈴木 晴子 滝沢 正仁 木嶋 彰
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.A_230-A_237, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
6

道路に標示される区画線や規制標示の補助的役割をもつ路面標示「止まれ」を対象に、その文字を運転者に立体的に見えるようデザインすることで交通安全に寄与することを目的として研究を行った。遠近法によって三次元立体を平面上に再現する手法をアナモルフォーシスと呼ぶ。この手法を用いて、「止まれ」の路面標示文字を立体的に見せるデザイン案を作成した。ドライブシミュレータを用いたCG走行実験に加え、実物大シートを設置した道路での実走実験によりその効果を検証した。その結果、「止まれ」文字の横表示ブロック案と「止まれ」の道路標識を表示した案は、運転の障害になることなく、止まろうとする意識を高められることが確認できた。
著者
大橋 幸子 川瀬 晴香 関 皓介 瀬戸下 伸介
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.A_263-A_270, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
6

生活道路の交通安全確保のためには、走行車両の速度抑制対策が重要な事項となる。本研究は、生活道路における安全性確保のための屈曲部に着目し、大型車が走行可能で、普通車の速度を抑制できる屈曲部の形状を明らかにすることを目的とする。研究では、大型車の車両軌跡を確認した上で見通し幅の異なる屈曲部を 3 パターン設定し、これらの形状の屈曲部を設置した実験用の走路で、被験者による普通車の走行実験と意識調査を行った。そのうえで、見通し幅と車両速度、ドライバー意識との関係を分析した。その結果、見通し幅 2m 以下で、速度が概ね 30km/h 以下に抑制される傾向があることが分かった。また、見通し幅 3m では、ドライバーが周辺に注意して運転するようになる効果はあるものの、屈曲部での十分な速度抑制がなされないことなどが分かった。
著者
浦田 淳司 羽藤 英二
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.1-10, 2017-04-01 (Released:2017-04-01)
参考文献数
33

東日本大震災における避難時の課題として,多くの避難行動要支援者に被害が生じたこと,同時に支援送迎者側も被災してしまったことがある.避難開始への他者の影響や職住地の分離を考えれば,こうした支援送迎行動の全てを止めることは有効とはいえず,また現実的ではない.そこで,本研究では,送迎避難交通の動的制御モデルとその求解方法を提案する.支援による避難促進の正の影響と渋滞増大による避難遅れの負の影響の双方を評価した上で,被災リスクが最小となる動的制御を検討する.また,最適動的制御導出にかかる計算コストの抑制のため,将来予測を利用しない逐次・演繹的な決定方法を提案する.最後に,数値計算により送迎避難とその制御の導入によるリスク低減の効果を例示する.
著者
萩田 賢司 森 健二 横関 俊也 矢野 伸裕
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.B_22-B_27, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
7

飲酒運転取締りによる飲酒運転事故抑止効果を明らかにするために、GIS による飲酒運転取締り・飲酒運転事故の統合分析ツールを活用した分析を行った。東京都と岡山県のデータを活用して、飲酒運転取締り地点の近接空間の飲酒運転事故件数を、飲酒運転取締り前後で比較したところ、岡山県は事後に飲酒運転事故が大きく減少していたが、東京都はそのような傾向がみられなかった。この原因としては、飲酒運転厳罰化により、東京都では 15 年間で飲酒運転事故が約 95%も減少し、加えて代替交通機関も発達しており、飲酒運転取締りによる飲酒運転抑止効果が表れにくい悪質運転者による飲酒運転が多く残されているためと推察される。岡山県の減少率は約 65%であり、飲酒運転取締りによる飲酒運転事故抑止効果が出現する余地があるのではないかと考えられた。
著者
谷田 英駿 奥嶋 政嗣
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.A_311-A_318, 2019-02-01 (Released:2019-02-06)
参考文献数
10

道路橋梁の長期補修計画においては、補修費用だけでなく、補修工事によって生じる道路利用者負担についても考慮する必要がある。本研究では、道路利用者負担を考慮した複数橋梁における長期補修計画案の評価方法を提案する。具体的には、複数橋梁における補修シナリオを対象として、橋梁劣化モデルと交通量配分モデルを組み合わせ推計した LCC により比較評価した。この結果、道路利用者負担は補修費用の半数程度もあり、その重要性が明確となった。また、橋梁劣化の進行が遅い場合を除いては、予防保全型シナリオが優位であることを検証した。さらに、事後保全型シナリオと比較して、予防保全型シナリオは初期では費用負担が大きくなるが、長期補修計画としては適切であることを実証した。
著者
川崎 智也 安倍 智紀 西内 裕晶 轟 朝幸
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.A_25-A_32, 2016-04-01 (Released:2016-04-01)
参考文献数
14

都市鉄道では、朝ラッシュ時の混雑により、ホーム上の出口に通じる階段付近において歩行者の滞留が生じている。本研究では、階段付近の滞留を緩和するための一策として、混雑車両への課金を提案する。分析では、生存分析により混雑課金に対する乗客の支払意志額を把握し、適切な混雑課金額を検討した。次に、混雑課金を実施した場合を想定し、乗客を混雑車両から非混雑車両へシフトさせた。その後、シミュレーションソフト Viswalk を用いてホーム上の混雑緩和効果を計測した。分析の結果、混雑課金が 20 円と 100 円の場合、船橋日大前駅西口階段付近におけるピーク時の歩行者数は、それぞれ 27 人と 25 人減少し、一人当たり遅れ時間はそれぞれ 12.25 秒と16.81 秒短縮され、混雑車両への課金がホ ーム上における歩行者の滞留緩和効果が示された。
著者
成嶋 晋一 葛西 誠 邢 健 後藤 秀典 辻 光弘
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.A_125-A_134, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
14

本稿は,高速道路の暫定 2 車線区間の交通機能低下箇所への効果的な付加車線設置に関する検討の一環として行った暫定 2 車線区間の速度変動の交通実態の分析結果をまとめたものである.具体的には,暫定 2 車線の代表的な区間において,トラカン交通量と紐付けた ETC2.0 データを用いて交通量ランク別の速度プロファイル図を作成し,各区間での速度変動状況や要因について分析を行った.その結果,暫定 2 車線区間では,サグや上り坂といった幾何構造の影響を受ける箇所で速度低下が断続的に発生しながら,区間を進行するにつれ徐々に速度低下していくこと,付加車線区間で回復した速度は長く持続せず,付加車線の終端部直後の短い区間内で速度低下すること,また,これらは交通量レベルが高いほどより顕著に現れることが判った.
著者
元田 良孝 宇佐美 誠史 湯田 直人
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.B_40-B_46, 2015-02-06 (Released:2015-02-06)
参考文献数
8

東日本大震災で被災した JR 気仙沼線、大船渡線、山田線では鉄道事業者から臨時的な措置として鉄道敷を利用した BRT(高速バス輸送システム) が提案され、山田線を除き運行が開始されている。しかし鉄道の復旧を望む地元自治体の意向も大きく、BRT の是非について大きな論点となっているが、住民の意見は明らかになっていない。ここでは最も早く BRT の運行が開始された気仙沼線の BRT について気仙沼市民の意識調査を行い、BRT の評価と鉄道復旧意識等について調査を行った。その結果震災前と比べ利用者は減少したが、気仙沼線離れは運転免許保有者と自宅が駅から遠い者が多かった。鉄道復旧意識は高く、最も関係がある要因は、あったものを復旧させるのは当然との考えであった。BRT の評価も影響を与えており、評価が低い程復旧意識が高くなることも明らかとなった。
著者
前田 紘弥 関本 義秀 瀬戸 寿一 樫山 武浩 小俣 博司
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.A_1-A_8, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)
参考文献数
15

課題先進国と言われる日本のインフラ維持管理は、財源・専門家不足が深刻な問題となっている。一方で、ここ数年の深層学習等の技術発展により高度な画像認識が可能になっており、さらに世界中広く普及しているスマートフォンのカメラ機能は高精細化している。そこで本研究では、7 つの自治体の道路管理者と連携し、深層学習により路面損傷のリアルタイム検出を行うとともに、ランダムフォレスト法により自治体ごとの修繕対応決定における各特徴量の重要度比較を試みた。その結果、一般的なスマートフォンのみを用い、路面損傷を検出率(真陽性率)87%で検出することができ、自治体ごとの維持対応基準の違いを定量化することができた。この成果により、安価で簡易なインフラ点検が可能となり、財源・専門家不足に悩む諸地域においてブレークスルーとなる可能性がある。
著者
西元 崇 植木 宗司郎 松本 修一 平岡 敏洋
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.A_29-A_35, 2017-04-01 (Released:2017-04-01)
参考文献数
14

ETC の普及に伴って国内の高速道路における料金所渋滞は大幅に減少し,現在の都市間高速道路における渋滞はサグ部で 60 %程度発生すると言われている.すなわち,高速道路の更なる渋滞削減を達成するには,サグ部における渋滞解消法の検討が急務である.渋滞対策には,ハード面とソフト面双方において多種多様なものが提案されているが,本研究では,比較的低コストかつ即応性が期待されるサグ部における渋滞抑制対策として,サグ部上りに設置間隔が広がるようにポールを設置することでドライバに減速感の錯視を生じさせる手法を提案する.ドライビングシミュレータ実験を行い,提案手法によって,サグ部における速度低下を抑制し,円滑な交通流の実現に有効であることを示唆する結果が得られた.
著者
井ノ口 弘昭 秋山 孝正
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.A_22-A_28, 2017-04-01 (Released:2017-04-01)
参考文献数
13

近年、コンパクトな車両として超小型モビリティ(Ultra Light-weight Vehicle: ULV)の開発・実用化が進められている。一般的な超小型モビリティは、電気モーターを動力としており、出力は通常車両と比較して低い。このため、最高速度が低く設定されている。本研究では、超小型モビリティと通常車両の走行特性の相違点を明らかにするとともに、超小型モビリティが混在した道路での交通流特性を分析する。走行調査の結果、超小型モビリティの発進時の加速度は、走行速度が 40km/h 程度以下では通常車両と比較して高く、それ以上では通常車両と比較して低くなることがわかった。また、交通シミュレーションによる検討の結果、交通密度が比較的低い場合に、超小型モビリティの比率が高いと平均走行速度が若干低く、交通密度が高い場合に平均走行速度が若干高くなることがわかった。
著者
土屋 哲 谷本 圭志
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.A_280-A_286, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
6

過疎地域における持続可能な社会のしくみを考える際、サービスの供給者が専業ではなく兼業によって、限られた労力で多くの機能を担い、地域を支えていくことが必要である。本研究では、地方のタクシー業者に注目し、タクシー運転手が本業の傍らに集落を巡回して何らかの生活支援サービスを行うことを想定して、本業に付随した生活支援サービスがどの程度供給可能であるのかを簡易的に分析するための方法論を時空間プリズムの概念を援用して構築する。その上で、実際のタクシーの賃走履歴データを用いた分析を通して、付随的なサービスの供給可能性を明らかにしうることを実証的に示す。
著者
日野 泰雄 向井 一雄 水上 和也 森田 隼一
出版者
Japan Society of Traffic Engineers
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.B_18-B_25, 2015

少子高齢化と同時に人口減少が進む中、賑わいづくりもまた、まちづくりの重要な要素となっており、そのためには、特に高齢者を中心に外出機会を提供するとともに、移動のしやすさや同伴移動の推奨などによる移動支援が求められていると考えられる。そこで、本研究では、このような高齢者にとって移動しやすいまちづくりの実現を念頭に、「日曜日同伴者割引」、「通院利便性の向上に合わせた路線バスのコミバス同一区間同一料金」、「高齢化率の高い地区でのフリー乗降サービス」を新たに導入し、利用実態と利用者や市民意識の調査を実施した。その結果、これらのサービスの有用性と今後の展開に向けた課題を抽出することができた。その成果は、今後の高齢化社会におけるまちづくりと一体となったバスサービスの実現の先例を示すものと考えられる。
著者
大山 雄己 羽藤 英二
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.5, pp.1-10, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
21

既存の経路選択モデルは,ドライバーが直接的な経験を通じてネットワークに対する空間的知識を獲得していることを前提とし,大域的な経路の評価・選択をモデル化する.しかし災害時のネットワークにおいては,ドライバーは経験や情報を持たず,先読みを伴う近視眼的な判断が重要となる.こうした意思決 定の動学性を記述するため,空間割引率の概念を導入した一般化 RL(Recursive Logit) モデルを提案し た.数値計算では,空間割引率が経路選択行動の評価に与える影響だけでなく,本モデルが特殊ケースとして既存モデルの結果を含むことを示した.さらに,東日本大震災時の首都圏のデータを用いたパラメータ推定を行い,日常時のデータと比較した.結果として,災害時には近視眼的な意思決定が重視され,また経路選択メカニズムが動的に変化したことを明らかにした.