著者
針谷 爽 坂田 理彦 岩原 明弘 伊藤 大聡 中西 美和
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.4_59-4_66, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
10

従来,製品デザインにおいては,ユーザが製品を通してどのような価値を体験したいのかをユーザ調査等によって掴み,それに忠実に応えるよう情報伝達形態をデザインすることが重視されてきた。一方,最近では,開発者側が積極的に発信したいと意図する価値を製品デザインに反映させる試みも見られ,ユーザのニーズを超えた製品デザインに繋がる可能性が期待されている。そこで,本研究では,開発者の意図する製品価値をより的確にユーザに伝えるための情報伝達形態について,家電製品を対象として評価・検討する。まず,開発者及びユーザの両者に対して調査を行い,家電製品に備わる直接的または間接的な情報伝達形態についてパタン化した上で,各パタンに作りこまれた開発者が意図する製品価値がユーザにどの程度伝わっているのかを疎通度として定量化した。次に,この疎通度を用いて,開発者がユーザに与えたいと意図した製品価値をユーザに的確に伝えるためには,どの情報伝達形態のデザインに注力すべきかを導出した。
著者
服部 等作
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.9-16, 2005-01-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
19

本研究の目的は、王、皇帝、あるいは聖職者用に象徴性を備えた玉座に関する研究である。本論文では、紀元前3000年期のメソポタミア文明1期のウルク、及びジェムデド・ナスル様式の印章に表現された3種類の特徴的な座像を調ペた。座像は、地面に直接すわる床座像、敷物にすわる床座像、そして低い座面の原形風スツールの上の床座および椅座の人物像が出現する。これら3種の座像から、地面に直接すわる床座像には、群像が多い、単独像に従い敷物あるいはスツールを利用する図像が増大する。特に単独の座像は、スツールの上の片立て膝の床座姿勢が多数ふくまれ、その表現には特別な人物を想起させる神殿や祭犯の光景が加わる。このことからスツールの上の床座、とりわけ片立て膝の床座姿勢をとる人物座像に玉座の性格の一部を有するとしてその特徴が見いだせる。
著者
井口 壽乃 森脇 裕之
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.3_81-3_88, 2022-01-31 (Released:2022-02-05)
参考文献数
28

本研究の目的は,名古屋市で 1989 年から 1997 年に全5回開催された国際ビエンナーレ「アーテック」(ARTEC)の歴史的意義を明らかにすることにある。アーテックが開催されたおよそ 10 年間は、インターネット社会の到来以前の高度情報社会を背景としたアートとデザインの転換期にあたる。この展覧会の意義は,いわゆる現代芸術の一つのジャンルとしての「メディアアート」の形成にとどまらず,1980 年代から国が主導する地域産業の高度化に寄与する特定事業構想に基づいて名古屋市が推進する「デザイン都市名古屋」の文化政策に貢献したことが指摘できる。 本稿では,第1にアーテックと同時に開催された世界デザイン博覧会および世界デザイン会議 ICSID と名古屋市の地域的課題の関連を考察する。第2に,アーテック企画者の森茂樹と山口勝弘に注目し,ハイテクノロジー・アート国際展からアーテック開催までの過程における彼らの役割を明らかにする。第3に,名古屋市の都市政策,および通産省の政策とハイテクノロジー・アートの関係を考察する。最後に,アーテックは国と地域経済,都市のイメージづくりと文化創造,そして芸術の国際化が複雑に関連した文化事業であったと結論づけた。
著者
松岡 由幸 谷郷 元昭 寺内 文雄 久保 光徳 青木 弘行
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.57-66, 1997-11-30 (Released:2017-07-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1

近年, 製品に対するニーズが多様化する傾向にあり, 製品開発においてユーザーの嗜好性の違いを考慮した設計方法の構築が望まれている。そこで, 嗜好性の違いを考慮する方法として, ロバスト設計の方法に注目した。ロバスト設計とは, 製品における機能のばらつきに対処する方法である。本研究では, この方法を基に, 機能のばらつきを人の嗜好性の違いに置き換えることで, 嗜好性の違いを考慮する設計方法の構築を図った。具体的には, 自動車用シートのギャザーパターンをケーススタディーとして, シート設計におけるいせ込み量と引張力を制御因子, ギャザーパターンの外観に対する嗜好性の違いを誤差因子とし, ロバスト設計の手順に従うことで設計方法の構築を試みた。また, 従来の設計方法と比較することにより, 本方法の有効性を検討した。その結果, 今回の方法が製品設計において嗜好性の違いを考慮する上で有効であることを示した。
著者
田村 良一 森田 昌嗣
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.13-22, 2006-11-30 (Released:2017-07-11)
参考文献数
15
被引用文献数
4

本論文は,熊本県阿蘇郡小国町の地域ブランドを構築していくための端緒として,小国町と他の九州圏内11地域を対象として,地域イメージの構造などについて検討したものである。観光地の選定において「全体的なイメージが良い」ことが重視されていることがわかった。住民,一般者,来訪者を対象とした小国町の地域イメージと,一般者のみを対象とした12地域の地域イメージに関するアンケート調査の結果を因子分析した。その結果,地域イメージは文化度,親近度,閑静度の3因子で捉えられることがわかった。また前者の分析から,住民に比較して一般者,さらには来訪者の小国町に対する評価が高いことがわかった。後者の分析から,一般者を性別・観光年齢層別の4グループに分類して比較すると,小国町は評価のバラッキが大きく,因子空間上の付置の様子からも大きな特徴がないことがわかった。小国町から想起されるものやイメージとして,「杉」「温泉」「ジャージー牛乳」などが高頻度であげられたことから,これらをタッチポイントとして有効に活用することで,地域イメージの構築に結びつくと考えられた。
著者
櫻井 かのこ 山本 政幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.2_31-2_40, 2022-09-30 (Released:2022-10-01)
参考文献数
3

シピ・ピネルズ(Cipe Pineles, 1908-1991)は,第⼆次世界⼤戦後のアメリカの出版業界で活躍し,20世紀における経済成⻑と社会変動の時代に重要な役割を果たした。その貢献のひとつは,当時新たに存在感を増した⼤衆雑誌,とりわけ若い⼥性をターゲットにしたファッション誌の編集に携わったことである。⼥性初のアートディレクターとして数々の編集に関わり,10代の⼥性や働く⼥性というこれまで社会的にも経済的にも⽬を向けられていなかった⼈々に注⽬し,誌⾯構成を駆使して広い読者層を取り込むことにより,新しい視覚⽂化を⽣み出した。グラフィックデザイン界で数々の功績を収め,⼥性の社会進出に向けた先駆的な役割を果たす⼀⽅で,仕事のストレスや⼥性としての幸せに思い悩んだ末に⾃殺未遂を図るなど,公私のコントラストが際⽴つピネルズの⼈⽣は,⼀⼈のデザイナーの成功事例を⽰すだけでなく,性差別や社会問題に取り組む現代社会において⽰唆に富む内容といえる。本研究は,新しい⼤衆雑誌づくりの基盤を築き,⼥性のためのデザインの歴史をつくったピネルズの業績を明らかにする。
著者
山崎 和彦 爲我井 敦史 堀 雅洋
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.6_95-6_102, 2014-03-31 (Released:2014-06-10)
参考文献数
17

ユーザビリティ評価におけるインスペクション法では,実際に動作するプロトタイプやエンドユーザーの協力を必要としない.しかし,ユーザビリティ評価について実践的スキルを有する専門家の不足により,インスペクション法を適切に実施することは必ずしも容易でない.本研究では,ユーザビリティ評価の初心者として大学生の協力を得て,2種類のインスペクション法を用いてユーザビリティ評価を実施し予備的検討を行った.その結果,初心者がインスペクション法を実施する際に直面する主要な問題点が,対象ユーザー視点ならびに対象箇所の指定に関わるものであることを確認した.そして,それらの問題点への方策として,対象ユーザーの特徴分解法および壁を利用したヒューリスティック法を提案する.その上で,提案手法をユーザビリティ評価の初心者に使用してもらい,携帯電話端末の評価を行ない,その有用性を検証するとともに提案手法の利点と課題について考察する.
著者
劉 俊哲 植田 憲 宮崎 清
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.3_93-3_102, 2012 (Released:2012-11-30)
参考文献数
53

本稿は、中国の南京に伝わる伝統的な「秦淮灯彩」の歴史の源流、変遷、沿革と歴史の諸相を考察したものである。特に、「秦淮灯会」活動を明確に記載した文献の調査を通して、南北朝時代から清末、民国までの歴史を回顧した。その結果、以下の知見が得られた。(1)古くから「秦淮灯会」は、「秦淮灯彩」を用いながら一連の具体的な活動を通して長期間に当該地域の活性化に果たす役割がある。(2)「秦淮灯彩」をはじめ、当該地域に盛んになった手工業から生み出した伝統的な生活文化は、人びとが地域のなり立ちを確認する重要な契機を提供していた。(3)「秦淮灯彩」は身分、年齢、性別を問わず、当該地域の人びとに共有された。そのため、「秦淮灯彩」のあった姿を明らかにすることは、人間関係、調和社会の構築を強調している中国には、現実的な意義がある。(4)近年では、機器導入するによる、量産が多くなされるととに、「秦淮灯彩」の質と意匠の低下が激しい現状を迎えている。今後、伝統的なものづくりを、いかに継承していくかが大きな課題となっているといえよう。
著者
定延 久美子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.87-96, 2010-01-31 (Released:2017-06-29)
参考文献数
20

本研究では,紙衣和紙の性質を生かしたデザインの考察,および実際の作品制作を目的としている。紙衣とは和紙で作った衣服で,17世紀から19世紀にかけて日本では安価な庶民の衣服として広く用いられた反面,おしゃれ着として趣向をこらした紙衣も作られていた。紙衣和紙のテクスチャーを生かしたデザインの考察を目指すため,紙漉きと紙衣和紙の加工についても研究対象とし,紙衣和紙を自作した。さらに,紙衣和紙の材料試験を行い,布地や加工を施していない和紙と比較した結果,非常に強いハリがあり,量高いという特徴を導き出すことができた。この試験結果に基づいて衣服デザインを考察し,あわせて衣服構成法の検討を行い,実際の作品を作成した。方形に裁断した紙衣和紙を組み合わせることにより,材料試験で明らかにした強いハリと量高さによって生まれる襞を最大限に生かすようにデザインした。方形の紙衣和紙は,ミシンで縫合するのではなく紐で綴じ合わせることにより,ユニークなシルエットのブラウス,スカート,ワンピース,ジャケットを完成させることができた。
著者
斎藤 共永
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.55-62, 2002-05-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
14

本稿では、多様な可能性を秘めたデジタル機器のデザインにおいて、イノベィティブなデザイン生成のための方法としてのプロトタイピングについて検討する。プロトタイピングのもつ意味は、次の諸点にまとめられた。1)プロトタイピングの文化はイノベーションの質を決定づける。2)デジタルの価値創造においては、非線形的なプロトタイピングの役割が大きい。3)それは、デジタルの価値が、主に非モノ特性からなることによる。4)プロトタイプからスペックを導くプロトタイピング主導型のプロセスが必要である。5)プロトタイプは、開発過程における共通言語となる。これらを検証するために、企業のデザイン組織において、プロトタイピングがどのように行われているか調査を行った。その結果、技術や社会の変化を考慮に入れて、製品のあるべき姿を描くというプロトタイピングが、企業の開発プロセスや、組織構造などの中に組み込まれており、プロトタイピングが、これからのデザインプロセスとして、有効であるとの認識が定着しつつあることが分かった。
著者
寺澤 勉
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.79-86, 1996-05-31
被引用文献数
3

展示会は,現代のマスメディアにおいて参加型のメディアとして重視されている。とはいえ,これまでの展示会計画は,経験をもとにした手法ですすめられ,展示会を構造的にとらえた本格的な計画方法論は存在していない。本報はこうした現状を打開し,実用的な展示会計画法を追求する第一歩として,展示会の基本的構造の解明を,次のようにすすめた。1)マスメディアとしての展示特性を明らかにして,展示(ディスプレイ)と展示会(エキシビション)を定義づけた。2)ライヴコミュニケーションメディアとも言えるくくりの中でディスプレイ,広義のエキジビション,展示会(狭義のエキジビション)を位置づけ,展示メディアを分類した。3)展示会に関する既往研究を調べ,参加型の双方向情報伝達としての展示計画研究の必要性を明らかにした。4)これらの検討をもとに「展示会の基本構造」を設定し,これからの展示会計画システムの構築のためのガイドラインを明らかにした。
著者
宮内 [サトシ]
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.1971, no.13, pp.15-24, 1971

The products that people have manufactured, in their original intention, have two elements, One of them, that is, is the physical use value and the other is the semantic of symbolization. In this study of armour, I searched a series of the semantic of symbolization, the structure and the process In the second place, I have tried out the relativity between the use value and the symbolization. The swords, which have acted a host of life and death, have brought people to the supernatural impression on them. At first, people recognized that swords were symbolic of life. And then they regarded them as the symbolization of God who give life. In the fioal stage, swords were God itself, they concluded. From time immemorial, it is why people have substituted the imitations of the practical swords, In the second place, people took swords into consideration in its actionary elements as weapons fighting against harmfed devils, so them people considered them to be sym- bolic of the courage or righteousness. The possibility and credibility of the swords that people were dependent upon their whole life were put in the same line with their individual lives in value. Under the condition of the swords guaranteing their own creditability, the possibility of educing it were open only to the trainning in its skill of the users. This fact led the users to the spiritual intercourse, extremely close and dense. In consequence, many a well-knewn sword-makers came into existence, while the users used it as their own souls, put a deep meaning onit. The people sculptured in sword the constellation or the cloudings that they believed to keep its owner from devils. Swords were considered to give people the happiness and lonevity, without being confined merely to the original function to be a weapon. Sword, enshrined such meaning, often were dedicated to God. In case of Samurais, warriors in the fuedal periods, aii that they prayed were the luck in the war and the security of the country. The weapons necessities of Samurais dependent upon their lives, were loved to be gorgeous, only because Samurais wanted to be with a victory much more glorified, in the bloody scene. To be gorgeous and to be practical were always incompatible. Toward the end of 16 th century, Hideyoshi banned the farmers' possession of weapons Since them, these tools, whicht distinguished the beened from the permitted, became the status symbol, of cast system of men all ranks and classes. The practibility were all the more esteemed because the military tools were cruel. And at that same time, they had been made use with a deep significance. They give us good examples from the stand-point of our understanding the interrelation between human-beings and tools, and the use value of tools and the symbolization.
著者
吉松 孝 池田 美奈子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.3_25-3_34, 2022-01-31 (Released:2022-02-05)
参考文献数
16

日本人被験者の米国と中国のシットコムに対する面白さの認識にどのような違いが生まれるのかを明らかにする。質問紙を用いて調査を行い、データ分析からどこに違いが生まれるのかについて可視化し、内容分析からなぜそのような違いが生まれたのかについて考察を行った.また,面白さを高く認識できた箇所と、面白さをほとんど認識できなかった箇所を抽出し、テキストの内容や感想から理由や背景を探った。 その結果、日本人被験者は、米国と中国シットコムを比較して、米国シットコムの方に面白さを高く認識し、また、面白さを高く認識できるラフ・トラックの挿入ポイントも米国作品の方が多かった。また、被験者は米国シットコムに対し、テンポが良い、下品、友人間の会話が多いという印象や感想を持ち、中国シットコムに対し、分かりにくい、動作が面白い、家族間の会話が多いという印象や感想を持つことが分かった。
著者
池田 稔 大澤 隆男 熊谷 健太 古谷 純
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.3_29-3_38, 2021-01-31 (Released:2021-02-20)
参考文献数
4

本稿は,日立製作所が2005年から2007年に実施した,多様な製品群を対象としたデザイン言語開発の枠組みについて述べるものである。そのプロセスや成果について具体的な実施例を示しながら報告することで,その有用性と展開の可能性について考察するものである。ここで扱うデザイン言語とは、製品の色彩や造形の表現を対象とする。 デザイン言語開発の枠組みは,大きく3つの活動から成っている。一つ目は、複数のデザイン言語開発を、一貫した考え方に基づいて行うためのデザインフィロソフィーの設定である。二つ目は、ユーザーの視点に基づいた製品カテゴリーの再分類である。三つ目は、前述2つの活動を踏まえた、具体的なデザイン言語の開発である。これらの活動をまとめ、デザイン言語開発の枠組みとした。本報告では、この枠組みについて詳しく述べるとともに、実際にそれを活用して行った生活家電製品とATMのデザイン開発の事例を紹介する。
著者
高橋 靖 長谷川 桂介 杉山 和雄 渡辺 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.15-24, 2000
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究は映画における物語の構造を簡潔に表現し, タイトルや内容の検索, ブラウジング, 編集, 要約等に活用するために, 映画における物語の意味的単位であるシーンを複雑化・解決化の尺度で評価するセマンティックスコア法を提案した。5ジャンル15タイトルのセマンティックグラフの解析から重要シーン抽出の手がかりが得られ, またジャンル別にグラフを特徴づける4つの特徴関数, すなわち最高シーン率, 最終複雑度率, 平均シーン秒数, フラクタル次元が導かれた。これよりジャンルのグラフの型が次のように定められた。アクションタイプ「右上がり型」ドラマタイプ「山型」コメディタイプ「台地型」ラブストーリータイプ「右寄り山型」ファンタジータイプ「連峰型」さらに, 4つの特徴関数を用いたジャンルの判別分析によって15タイトルの映画が効果的に判別され, 映画の構造記述におけるセマンティックスコア法の有効性が示された。
著者
高橋 靖 長谷川 桂介 杉山 和雄 渡辺 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.57-66, 2000-03-31
被引用文献数
9

本研究は映画における物語の構造を簡潔に表現し, タイトルや内容の検索, ブラウジング, 編集, 要約等に活用するために, 映画における物語の意味的単位であるシーンを複雑化・解決化の尺度で評価するセマンティックスコア法を提案した。5ジャンル15タイトルのセマンティックグラフの解析から重要シーン抽出の手がかりが得られ, またジャンル別にグラフを特徴づける4つの特徴関数, すなわち最高シーン率, 最終複雑度率, 平均シーン秒数, フラクタル次元が導かれた。これよりジャンルのグラフの型が次のように定められた。アクションタイプ「右上がり型」ドラマタイプ「山型」コメディタイプ「台地型」ラブストーリータイプ「右寄り山型」ファンタジータイプ「連峰型」さらに, 4つの特徴関数を用いたジャンルの判別分析によって15タイトルの映画が効果的に判別され, 映画の構造記述におけるセマンティックスコア法の有効性が示された。
著者
Warrunthorn Kittiwongsunthorn Katsuhiko Kushi Aleksandar Kovac
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.3_7-3_14, 2014-09-30 (Released:2015-01-23)
参考文献数
38

Both internal and external factors are contributing to the complexity of the driving environment. Traffic conditions, sophisticated car management systems, ubiquitous communication devices, and so on demand increased levels of visual and cognitive attention from drivers. Despite this, modern in-car information displays increasingly more and more information. As a result, the displays are cluttered and distracting, negatively influencing the driving performance. To address these distractions, this research investigates the potential of displaying and delivering information in driver's peripheral vision via peripheral vision interface in a driving environment. Experimental findings suggest some benefits of implementation of such an information interface. However, the driver's perception of information presented by a peripheral vision interface is reduced due to cognitive load and optic flow generated while driving. The driver's perception varies depending on type of visual stimuli used to display information. The results are discussed and possible further developments are proposed.