著者
中原 健一 島田 史也 宮崎 邦洋 関根 正之 大澤 昇平 大島 眞 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1M204, 2018 (Released:2018-07-30)

株式市場における売買審査業務をより効率的かつ合理的に行うために,定量的に見せ玉を検知する手法を提案する.本手法においては,教師ラベルを使用せずに相場操縦行為中に見られる不自然な取引履歴を発見するため,密度比推定による異常検知手法を用いた.東京証券取引所の上場銘柄の中より無作為に選択され,専門家チームによってラベル付けされた118 件の半日単位の一銘柄取引履歴による検証結果によると,見せ玉が疑われる事例の80%は,モデルが予測した異常度順にソートした事例の上位50%に含まれ,実務で使用されている単純な規則によるスクリーニングの結果と比較して更なる精緻化が達成できていることが示された.
著者
久保 静真 岩澤 有祐 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.4M103, 2018 (Released:2018-07-30)

本稿では、Generative adversarial networks(GANs)に基づく写真上の自動着せ替えの新しい手法であるSwapGANを提案する。Conditional Analogy GAN(CAGAN)は、GANに基づく自動着せ替えの手法として既に提案されているが、複雑なパターンの服の生成は難しい。衣類の領域を考慮することで、SwapGANはCAGANよりも服のパターンをよりよく反映させることが出来る。このSwapGANは、大規模なデータセットで訓練されたセグメンテーションのモデルを使用してして、写真上の人物の衣服の領域を最初に取得する。次に、取得した領域を用いて衣服部分を人間の画像から除去する。そして、空白領域に所望の衣服を描写する。このようにネットワークは新しい服を人の服の領域に適用出来るようになる。さらに、テスト時にCAGANで必要であった人物が元々着用している服の画像はSwapGANでは不要になる。
著者
亀垣 航 森山 甲一 武藤 敦子 犬塚 信博
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2P203, 2018 (Released:2018-07-30)

リアルタイム戦略ゲームでは、人間の能力に合わせてコンピュータの認識能力に制限をかけた条件下では、人間のプレイヤーに勝利することは困難である。 常に多くのパラメータがごくわずかな時間で変動し続けるため、限られた時間内で膨大な量の情報を処理して行動を選択することが求められるからである。 モンテカルロ木探索の計算時間を増加させることで行動選択能力の向上が見込まれるが、ゲーム環境の変化への対応が遅れてしまい、悪化する可能性が推測される。 本論文では、応答時間を延長させることによって、モンテカルロ木探索の探索時間増加による行動選択能力の向上と、ゲーム環境の変化への対応能力である即応性の兼ね合いを観察する。
著者
米田 英嗣 市村 賢士郎 西山 慧 西口 美穂 渡邊 智也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.3D2OS7b02, 2018 (Released:2018-07-30)

物語を読むことは、物語に記述された世界、登場人物が経験する出来事を疑似的に体験することであり、読者の脳の中で行われる現実世界のシミュレーションとも言える (米田, 2010; Mar & Oatley, 2008)。本研究では、小説を読むことによって社会的能力の向上がみられるかどうかを、教育介入前のプレテスト、介入直後のポストテスト、介入一ヵ月後のフォローアップテストを用いて検討した。小説読解トレーニングにおいて、ストレンジストーリー課題で心情理解の成績が向上したのに対し、アニメーション課題では、介入の効果が出なかったことから、近転移のみが見られることが明らかになった。社会的能力は、小説読解をトレーニングをしたときのみ向上することがわかった。本研究から、プレ・ポストデザインを用いた小説読解トレーニングによる社会的能力向上の長期的効果を明らかにした。
著者
赤間 怜奈 渡邉 研斗 横井 祥 小林 颯介 乾 健太郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1N203, 2018 (Released:2018-07-30)

本研究は,教師なし学習によりスタイル(言葉遣いや文体など)の類似性を捉えるを試みる初めての研究である. 本研究では「スタイル」の類似性を捉えるベクトル空間を構築するに当たり,「同一発話内に含まれる単語は同一のスタイルを持つ」という仮定を置く. この仮定に基づき,同一発話内の単語を予測できるようなベクトルを構成することで,スタイルの類似性を捉えた単語ベクトル空間を獲得する手法を提案する.我々が期待する単語ベクトル空間とは,(「意味」は近くとも)「スタイル」が大きく異なる``俺''と``私''は遠くに配置され,(「意味」は異なっているとしても)「スタイル」が似ている``俺''と``だぜ''が近くに配置されるような空間である. さらに本研究では,スタイルの類似性を包括的に定量評価する手法を提案し,そのための評価データセットを新たに作成する. 提案手法により獲得した単語ベクトルが,スタイルの類似性を捉えていることを定量的および定性的に示す.
著者
福島 良紀 西村 悟史 福田 賢一郎 西村 拓一 來村 徳信
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2H103, 2018 (Released:2018-07-30)

本プロジェクトでは、介護施設における介護士の知識共有のためのソフトウェアシステムの開発を目指している。 このシステムにおいて、介護行為知識の一般的な記述のための統制語彙を提供するために、我々は介護オントロジーを構築している。 このオントロジーは主に対象物の状態変化によって、介護行為を定義する。 本論文では、介護オントロジーの構造に加えて、語彙の階層構造の生成を含む知識共有システムにおけるオントロジーの使用法についても述べる。
著者
梶野 洸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.3E104, 2018 (Released:2018-07-30)

原子価を守った分子グラフを常に生成可能なグラフ文法とそのデータからの学習方法を提案する。
著者
木村 苑子 浅谷 公威 菅原 俊治
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.3O2OS1b03, 2018 (Released:2018-07-30)

人は様々なコミュニティに所属し,それぞれのコミュニティ内の環境に適応しながら意見形成をしているため,コミュニティ間で異なる意見を表明することがある.このような意見の一貫性のなさが発覚すると,二枚舌として批判され炎上し,その圧力により意見の表明をやめ沈黙することがある.SNSなどのコミュニケーションツールの発達により,意見の一貫性のなさが発覚しやすくなった.このため,複数のネットワーク上での意見形成を考えるとき,意見の一貫性のなさへの圧力を感じて意見の表明を躊躇したり沈黙したりするメカニズムを考慮する必要性が生じている. 本研究では,多層のコミュニティをマルチプレックスネットワークとしてモデル化し,意見の一貫性のなさの発覚による沈黙が意見形成に与える影響を調べた.そのために,Bounded Confidence Modelに基づいた意見形成方法を用いた先行研究のモデルを,異なる意見形成方法やネットワーク構造を取り入れることでより現実に即したモデルに拡張した.シミュレーションの結果,意見形成方法の違いやネットワーク構造の違いが,意見形成の結果に影響を及ぼす可能性があることがわかった.
著者
江島 昇太 小杉 太一 岡 瑞起 三宅 雅矩 池上 高志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1B301, 2018 (Released:2018-07-30)

SNS などのウェブ上の人々の活動においては, 特定の話題に対する言及が急激に増えるバースト現象が見られる. このバースト現象を解析する手法として, 確率的点過程モデルである Hawkes Process が用いられる. Hawkes Process の内部のダイナミクスを表す指標として branching ratio というものがあり, この値がある特定の閾値を超えるとイベント時系列が静的な定常状態から, バースト現象が起こりやすい非定常状態へと相転移することが知られている. 本研究では, SNS から得られるデータの中でも特に Social Tagging System に着目し, サービスの成長に伴って branching ratio がどのように時間的に変化していくのかを分析する.
著者
宮本 一巧 塩瀬 隆之 阪上 雅昭
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2B2OS19a04, 2018 (Released:2018-07-30)

理学療法士,作業療法士が治療の中で行う「ハンドリング」は,経験主義的な部分が多く,その技術を他者に伝達していくには困難を伴う.本研究は,リハビリテーション領域での患者の起立動作の治療に対するハンドリングにおいて,熟練者が持つ特徴と,そこから推測可能な「コツ」を検討した.対象はセラピスト役として18年目の作業療法士 (以下,熟練者)と作業療法学科学生の2名,患者役として仮想片麻痺者を想定した健常者2名とした.熟練者は患者との距離を大きくとりながらも,終始,セラピストと患者の距離間を一定にすることで起立動作に重要な前方への運動を誘導していたことが示唆された.その特徴を支持していたのは上肢運動の自由度を抑え,下肢運動の自由度を大きくするという全身の協応構造にあった.一方,このような身体構造は古武術などの武術的な身体運動の特徴にも見られる.そこで,古武術的な要素を取り入れた他者の上体起こしと一般的なそれを比較した結果,古武術の方が,頭と肩・肘・手との距離を小さくして身体操作を行っていた.
著者
藤原 幸一 坂根 史弥 宮島 美穂 山川 俊貴 加納 学 前原 健寿
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.4C1OS27a05, 2018 (Released:2018-07-30)

京都市祇園で起きた軽ワゴン車の暴走により,多数の死傷者が出た痛ましい事故は記憶に新しい.事故原因としてドライバのてんかん発作が挙げられている.てんかんとは脳細胞のネットワークに起きる異常な神経活動のため,けいれんや意識障害などのてんかん発作を来す疾患である.てんかん治療の第一選択は抗てんかん薬であるが,3割の患者は薬剤では発作を抑制できない.しかし,数十秒前に発作を予知できれば,患者は発作までに身の安全を確保し,生活の質を改善できる.我々はこれまでに心拍変動(HRV)と異常検知アルゴリズムを組み合わせたてんかん発作予知技術を開発した.オフライン解析によると,感度90%以上,擬陽性率0.7回/hが達成されている.発作予知技術が実用化できれば,発作起始の前に即効性抗てんかん薬の服薬することなどにより,発作を抑制または軽減できると期待される.このような治療法をClosed-Loopてんかんケアと呼ぶ.現在,AMED先端計測プログラムにて,Closed-Loopてんかんケアの実現に向けた研究開発を行っている.本発表ではてんかん発作予知システム開発の現状と今後の見通しについて発表する.
著者
田草川 智秋 内田 英明 藤井 秀樹 吉村 忍
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.4D2OS18c03, 2018 (Released:2018-07-30)

近年、環境保護の観点から電気自動車(以下EV)と再生可能エネルギーへの期待が高まっているが、将来的なEVの大規模な普及に対して、大都市におけるEVの充電需要やそれに対する太陽光発電の重要性をシミュレーションにより明らかにする必要がある。本研究ではEVエージェントを実装した交通シミュレータを用いて、EVの普及による岡山市周辺の電力系統への影響を定量的に評価し、現状の太陽光エネルギーによる発電量と比較した。結果として、EVによる消費電力を太陽光発電によって安定的にカバーするためには充電時間の適切な誘導やEVの性能向上を行う必要があることを示した。
著者
YANG KAI 中村 剛士 加納 政芳 山田 晃嗣
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1K1OS2a04, 2018 (Released:2018-07-30)

日本のコミックにはオノマトペがよく現れる.また,新しいオノマトペは日々創造され,コミックに登場している.当然ながら,造語された新しいオノマトペは日本語辞書では見つけることができない.そのため,中国語を母国語とする人にとっては,その新しいオノマトペの意味や印象を理解することは難しい.そこで,本稿では,日本語オノマトペから中国語オノマトペへの機械翻訳を提案する.提案する翻訳システムは音象徴性仮説に基づくものである.この翻訳システムは現在構築中である.本稿では,システムの構成要素について述べ,それらの実現可能性について議論する.
著者
野口 渉 飯塚 博幸 山本 雅人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2D2OS21a03, 2018 (Released:2018-07-30)

生物は高次元で複雑な生のデータを認識する.近年発展した深層学習はそのような複雑なデータの認識を可能とする.本論文では,深層学習を用いて,従来のミニマルモデルでは扱われ難かった高次元のデータの認識が生み出す生命性を考える.我々は視覚と運動の統合学習を通して空間認識能力を発達する階層型リカレントニューラルネットワーク(階層型RNN)モデルについて研究を行ってきた.階層型RNNはシミュレーション実験において,視覚と運動の主観的な経験のみから空間の客観的な地図である認知地図とみなせる内部モデルを獲得した.さらに,現実のヒトによって取得する視覚と運動の系列を用いた場合にも空間認識能力を獲得することが示された.これらの結果は,深層学習モデルを用いて現実の生命における認識を理解できる可能性を示唆している.
著者
野村 真由美 尾崎 知伸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2L105, 2018 (Released:2018-07-30)

本研究では,政治家の日常の発信であるTwitterに焦点を当てる.議員のツイートから論点となりそうな単語を抽出するとともに,それらを整理し,また論点に対する立場から議員を分類する.
著者
中川 慧 今村 光良 吉田 健一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2J203, 2018 (Released:2018-07-30)

時系列およびクロスセクションの属性を持つデータセットに対する時系列勾配ブースティング木を提案する。 我々の時系列勾配ブースティング木は、内部ノードに時系列およびクロスセクションの属性を持つ弱学習器をもち、時系列間の非類似度に基づく基準例分割テストまたは通常の不純度に基づく分割を行う。 時系列間の非類似性は、Dynamic Time Warping(DTW)または金融時系列に対してはIndexing DTWによって定義される。 TOPIXを対象とした株価予測の結果は、提案手法は収益性、精度ともに優れていることが確認できた。
著者
加藤 旺樹 穴田 一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2J204, 2018 (Released:2018-07-30)

近年,テクニカル分析を用いた株式売買に関する研究が多く行われている.テクニカル分析を用いた投資では,相場のトレンドや転換点を判断するテクニカル指標を用いることで,過去の値動きのパターンから将来の値動きを予測し売買を行う.しかし,そのためには専門的な知識を必要とする上,利益を上げにくいという問題がある.そこで,本研究ではテクニカル指標を用いた高確率で利益を生み出す投資戦略の構築を目的とする.
著者
高橋 英之 石黒 浩
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.3D1OS7a03, 2018 (Released:2018-07-30)

近年,様々なコミュニケーションロボットが開発されている.これらのロボットは,人間のパートナーとして生活に溶け込み,我々の暮らしをより豊かにすることが期待されている.我々は,コミュニケーションロボットが提供する一つの価値として,ロボットとの交流により,人間の自己の外部投影を促進し,行動変容を引き起こすことで個人の成長につながる“気付き”を生じさせることにあると考えている.本発表では,「ロボットを用いた自己開示の促進」と「ロボットを用いた批判的思考の促進」という二つの具体的な研究事例を紹介することで,ロボットが促す自己変容過程のモデル化について議論したい.
著者
津川 翔
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2C204, 2018 (Released:2018-07-30)

人と人との関係を表現したソーシャルネットワークの多くは、互いに密に接続されたノードのコミュニティと、それらのコミュニティ間を接続する少数のリンクで構成されるというコミュニティ構造を有している。このようなソーシャルネットワークのコミュニティ構造は、人と人との交流のパターンに影響を与えることが知られている。本稿では、ソーシャルメディアユーザ間の関係を表現したソーシャルネットワークのコミュニティ構造が、ソーシャルメディア上での投稿の拡散に与える影響を分析する。代表的なソーシャルメディアである Twitter のデータを用いる。分析の結果、コミュニティをまたがるツイートの拡散は、最終的なツイートの拡散規模を増加させる影響を与えること、その影響の強さは、ツイート本文の URL やハッシュタグの有無と比較可能であることを示す。さらに、ツイートの拡散規模を予測する実験により、コミュニティに関する特徴量が拡散規模の予測に有用であることを示す。
著者
外園 康智 長谷川 貴博 渡邉 知樹 馬目 華奈 簗 有紀子 谷中 瞳 田中 リベカ Mart'ınez-G'omez Pascual 峯島 宏次 戸次 大介
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.3G105, 2018 (Released:2018-07-30)

本稿では、日本語・英語のテキストを論理式に変換し、自動推論を行う意味解析システムccg2lambdaの基本的な機能を解説し、特にこのシステムを金融ドキュメントの処理へと応用する試みについて紹介する。ccg2lambdaでは、統語・意味解析から推論までの各モジュールが明確に区別されており、統語情報・意味合成・意味表現をCCG導出木としてグラフィカルに表現する機能をサポートしている。このため、処理プロセスのどの部分で解析エラーが起こったのかを容易に同定することが可能である。ccg2lambdaの意味解析と推論システムについて紹介した上で、特に金融ドキュメントを対象とした含意関係認識と矛盾検知について具体例に基づいて説明する。